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第2章 国
第30話 冒険者ギルド
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冒険者ギルドの前に着いた。観音開きの扉のある建物で、二階建ての家だ。なかなか大きい建物だな。早速扉を開いて入っていく。何故か、みんなは俺の後ろを着いてくる感じだ。
「おいおい、ここはいつから孤児院になったんだ?」
想像通り、酒場が併設されていて酔っぱらっている中堅冒険者っぽい奴らが俺達を見て大きく呟いた。別に子供が入ってきてもいいんだろ?
「いらっしゃいませ。ご依頼ですか?」
冒険者を気にせずに正面の受付に向かうと小さな角を生やした少女が迎えてくれた。
「冒険者になりたいんですけど」
「冒険者ですか? あなただけですか?」
「全員です」
少女に説明すると少し驚いた顔をして、すぐに気を取り直して受付の下から紙を人数分取り出した。
「子供たちはこちらに、大人のお二人はこちらです」
二枚ずつ受付に出された羊皮紙、片方は子供用でもう片方は大人用。羊皮紙自体に違いがないように思える、何が違うのだろうか?
「こちらにお名前をお書きください。……読み書きは大丈夫ですか?」
「あっ」
言葉は分かるけど、字は日本語じゃないんだよな。読むことはできるけど、書くのは無理だ。
「ヒフミ様、私が」
「私もかけるよ~」
マイルとアイリが書けるようだ。というか、リックも書けるみたいで俺だけマイルに書いてもらう事になってしまった。今から勉強するしかないな~。
「ぷっ、あいつ、字書けないみたいだぜ」
酒場の方からそんな声が聞こえてくる。よっぽど暇なんだな。
学校でもあんな感じでいじられたっけな~。スルースキルが高いからいじめまではいかなかったけどな。ハジメが親友っていうのはでかかった、顔が断然かわいいからな。女からの支持率がかなり高くて男たちが手をだせなかった。たまに俺とハジメが話していると女達がヒソヒソと話をしては目を背けて来たんだよな。たぶん、お腐りになっていたんだろうな。
「ではヒフミ様、マイル様はこちらに指を」
酒場の冒険者の言葉を気にもせずに少女はお酒を飲むときに使うコップ、トックリのような陶器を向けてきた。どうやら、指を入れてほしいみたいだな。
「指を入れれば良いのか?」
「はい、どの指でも大丈夫ですよ」
少女はニッコリと微笑んで答えてくれた。
「おいおい、ゼーレンちゃん。そんな奴に優しくしても意味ないぜ~」
「俺達に優しくしてくれよ~」
またもやヤジが飛んできた。少女はゼーレンっていうのか、変わった名前だな~。
「気にせずに」
「じゃあ、私から」
ヤジを気にしないで少女がトックリを前に出してきた。マイルが先に指を入れる。
マイルが指を入れると、トックリの口が閉じる。少しするとトックリが開いて花が咲くように口が開いていく。
口が開ききると底だった所が上に来て魔法陣みたいなものが光っていた。その魔法陣を羊皮紙に押し当てている。ハンコかな?
「これでこの羊皮紙はあなたの物になります。腕にしまうことが出来るのでギルドと言うか、念じれば出てきます」
ゼーレンがそう言って自分の腕を見せてきた。タトゥーのような文字が手首の表に書いてある、四角の中に丸が書いてある感じだ。
ハンコを押された所が魔法陣の形に光ってる。魔法があるのは知っていたけど、やっぱり、こういうの見ると異世界に来たって感じがするな~。
「では次はヒフミ様」
ゼーレンは俺へとトックリを差し出してきた。さっきまで花みたいに開いていたトックリは元のトックリに戻っている。
「これで二人は冒険者になりました」
マイルの時と同じように腕にタトゥーが刻まれた。傷物になってしまった、父さんと母さんに顔向けできないな。戻る気はないけどな。
「僕も書けました」
「私も~」
「はい、大丈夫ですよ」
リック達も待ち遠しかったみたいで羊皮紙を掲げている。リックとアイリもめでたく冒険者か。
「おいおい、ここはいつから孤児院になったんだ?」
想像通り、酒場が併設されていて酔っぱらっている中堅冒険者っぽい奴らが俺達を見て大きく呟いた。別に子供が入ってきてもいいんだろ?
「いらっしゃいませ。ご依頼ですか?」
冒険者を気にせずに正面の受付に向かうと小さな角を生やした少女が迎えてくれた。
「冒険者になりたいんですけど」
「冒険者ですか? あなただけですか?」
「全員です」
少女に説明すると少し驚いた顔をして、すぐに気を取り直して受付の下から紙を人数分取り出した。
「子供たちはこちらに、大人のお二人はこちらです」
二枚ずつ受付に出された羊皮紙、片方は子供用でもう片方は大人用。羊皮紙自体に違いがないように思える、何が違うのだろうか?
「こちらにお名前をお書きください。……読み書きは大丈夫ですか?」
「あっ」
言葉は分かるけど、字は日本語じゃないんだよな。読むことはできるけど、書くのは無理だ。
「ヒフミ様、私が」
「私もかけるよ~」
マイルとアイリが書けるようだ。というか、リックも書けるみたいで俺だけマイルに書いてもらう事になってしまった。今から勉強するしかないな~。
「ぷっ、あいつ、字書けないみたいだぜ」
酒場の方からそんな声が聞こえてくる。よっぽど暇なんだな。
学校でもあんな感じでいじられたっけな~。スルースキルが高いからいじめまではいかなかったけどな。ハジメが親友っていうのはでかかった、顔が断然かわいいからな。女からの支持率がかなり高くて男たちが手をだせなかった。たまに俺とハジメが話していると女達がヒソヒソと話をしては目を背けて来たんだよな。たぶん、お腐りになっていたんだろうな。
「ではヒフミ様、マイル様はこちらに指を」
酒場の冒険者の言葉を気にもせずに少女はお酒を飲むときに使うコップ、トックリのような陶器を向けてきた。どうやら、指を入れてほしいみたいだな。
「指を入れれば良いのか?」
「はい、どの指でも大丈夫ですよ」
少女はニッコリと微笑んで答えてくれた。
「おいおい、ゼーレンちゃん。そんな奴に優しくしても意味ないぜ~」
「俺達に優しくしてくれよ~」
またもやヤジが飛んできた。少女はゼーレンっていうのか、変わった名前だな~。
「気にせずに」
「じゃあ、私から」
ヤジを気にしないで少女がトックリを前に出してきた。マイルが先に指を入れる。
マイルが指を入れると、トックリの口が閉じる。少しするとトックリが開いて花が咲くように口が開いていく。
口が開ききると底だった所が上に来て魔法陣みたいなものが光っていた。その魔法陣を羊皮紙に押し当てている。ハンコかな?
「これでこの羊皮紙はあなたの物になります。腕にしまうことが出来るのでギルドと言うか、念じれば出てきます」
ゼーレンがそう言って自分の腕を見せてきた。タトゥーのような文字が手首の表に書いてある、四角の中に丸が書いてある感じだ。
ハンコを押された所が魔法陣の形に光ってる。魔法があるのは知っていたけど、やっぱり、こういうの見ると異世界に来たって感じがするな~。
「では次はヒフミ様」
ゼーレンは俺へとトックリを差し出してきた。さっきまで花みたいに開いていたトックリは元のトックリに戻っている。
「これで二人は冒険者になりました」
マイルの時と同じように腕にタトゥーが刻まれた。傷物になってしまった、父さんと母さんに顔向けできないな。戻る気はないけどな。
「僕も書けました」
「私も~」
「はい、大丈夫ですよ」
リック達も待ち遠しかったみたいで羊皮紙を掲げている。リックとアイリもめでたく冒険者か。
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