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第2章 国
第27話 レイなんたら
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「我はレギントス帝国、王の長子、レイグランド。この町の長はいるか?」
温泉を楽しんでから四日。やっとこさ、レギントス帝国の本隊がやってきた。町の壁から見える兵士たちを見るに二百ほどしかいないように見える。本隊といってもこの程度か。
「一応、俺が責任者だけど、何の用だ?」
門の上から声をかけると金髪イケメンが髪をかきあげて見つめてきた。一瞬で高飛車なのが分かる野郎だ。
「その方がこの町の長だと……。まあいい、ここにドワーフはいないか?」
「ドワーフはいますよ。何かあったんですか?」
隠す必要もないので答えると金髪は顔を歪めた。
「いるのだな……。私の可愛い弟に恥をかかせてくれたと聞いてな。ドワーフ共をこき使って、殺してやろうと思っているのだ。言い値で買うぞ、すぐに連れて参れ」
歪めた顔のまま凄いことを言ってきた。このレイ何とかさんは異常だな。
「嫌だね。元々その可愛くない弟が悪さしたんだろ。盗賊まがいの事してさ」
「何! 知っていて匿ったのか……。お前も同罪だ! こんな町燃やし尽くしてやる」
レイ何とかさんは歪めた顔から鼻息荒く吐き出して帰っていった。二百程度でこの町がやられるかよっとその様子を見ていると、遠くの見えない位置から空を飛んでいる物体が現れた。
「ドラゴンじゃ! あれはドラゴンじゃ~」
ガーツがその姿を見て、驚き戸惑う。あれがドラゴン? ワイバーンの間違いじゃないか? 遠目だから大きさはよくわからないけど、ジャンボジェット機の半分もないくらいだと思うぞ。あんなのうちの弓君達からしたら、空飛ぶ的だろ。
「やっておしまい!」
「御意」
ヒュンヒュンヒュンと弓君達が城壁から弓を射かける。本来の弓ならば、ドラゴンの鱗は貫けないと思う、案の定、城壁上からではダメだった、距離もあるし高低差があるからそりゃそうだよな。だけど、彼らも飛べるんだよな。
「ドラゴンが落ちるだと……」
遠目でもわかるくらいの戸惑いようがレイ何とかさんから伺えた。ドラゴンはゼロ距離からの弓攻撃で目を狙われて死んでいった。体はいくらか刺さるけど、貫くほどではないらしい。ドラゴンというだけあって生命力が半端ないようだ。
「すげえ」
「弓君でダメなら、杖達を行かせれば終わりだよ」
ガーツ達がほれぼれしているのを横目に呟くとなぜかアイリが自慢げに胸を張っている。杖達は魔法だから、それで自慢げなのかもしれないな。可愛いから許す。
「ドラゴン騎士、十体撃墜です」
「分かっておるわ!」
「ヒィ」
大きな声で怒っているレイ何とかさん。あんなに威圧してちゃ、まともに兵士達が戦えないだろ。ダメな上司を持ったのが運の尽きだな。
「騎馬隊と歩兵を前面に出せ。後方から魔法と弓を射かけるのだ」
『はっ!』
空がダメなら、陸でってか。またもや少し離れたところから騎士の列が現れた。伏兵のつもりなのだろうけど、城攻めで隠しちゃ威嚇にならんでしょ。
俺達のやる気をそいでいかなくちゃだめだと思うんだけどな~。まあ、ゲームをやりつくしている素人の考えだけどさ。
城壁から見える兵士の数は二百程度だったけど、騎士を見るからに三百はいるようにみえる。更に騎士の後方からローブと弓装備が見えるがそれも同じくらい見える。思った通り三、三、二百の八百人といった感じか。
「弓君達は高高度から弓の雨、杖君達は待機でいいよ。そして、出番だ。鉄騎士隊」
『御意』
石の門と木の門が同時に開く。門の中から黒鉄の騎士が五十、横一列で敵騎士に駆けていく。鈍重は音を立てながら高速で走る黒鉄の騎士達、なんとも重苦しい圧をかけているのだろう。歩兵たちが二の足を踏んでいる。
「良し、騎士たちが接敵する前にリビングアーマー隊、蹴散らした敵を仕留めてくれ」
門の横に放置されていたリビングアーマー。命令を聞くと開いている門から駆けていく。騎士達よりは遅いけど、人よりは早いといった速度で騎士達の作った轍を踏んでいく。
リビングアーマー達を見送ると鈍い音が鳴り響いた。どうやら、鉄騎士が騎士達を蹴散らしたようだ。敵騎士達は全員吹き飛ばされて馬から落とされている。そのまま、突っ切って黒鉄の騎士達は歩兵たちを踏み荒らして、弓の雨にやられている魔法兵達をも踏み荒らしていった。リビングアーマーたちはその掃除をするかのように淡々と戦闘をこなしていく。簡単なお仕事です。
「何ということだ! レギントス帝国の主力が一瞬で……」
レイ何とかさんが頭を抱えているのが見える。
「かくなる上は……」
レイ何とかさんは手を挙げた。まだ、何か手があるのか? そう思ったら、
「撤退~」
『撤退だ~全軍撤退~』
レイ何とかさんは尻尾巻いて逃げるようで撤退の合図を出した。敵さんは撤退するみたいだな。
「……逃がすかよ」
それを見た俺はすぐに指示を出した。鉄騎士にレイ何とかさんは生きて捕まえろとね。逃げられてもいいことないからな。
温泉を楽しんでから四日。やっとこさ、レギントス帝国の本隊がやってきた。町の壁から見える兵士たちを見るに二百ほどしかいないように見える。本隊といってもこの程度か。
「一応、俺が責任者だけど、何の用だ?」
門の上から声をかけると金髪イケメンが髪をかきあげて見つめてきた。一瞬で高飛車なのが分かる野郎だ。
「その方がこの町の長だと……。まあいい、ここにドワーフはいないか?」
「ドワーフはいますよ。何かあったんですか?」
隠す必要もないので答えると金髪は顔を歪めた。
「いるのだな……。私の可愛い弟に恥をかかせてくれたと聞いてな。ドワーフ共をこき使って、殺してやろうと思っているのだ。言い値で買うぞ、すぐに連れて参れ」
歪めた顔のまま凄いことを言ってきた。このレイ何とかさんは異常だな。
「嫌だね。元々その可愛くない弟が悪さしたんだろ。盗賊まがいの事してさ」
「何! 知っていて匿ったのか……。お前も同罪だ! こんな町燃やし尽くしてやる」
レイ何とかさんは歪めた顔から鼻息荒く吐き出して帰っていった。二百程度でこの町がやられるかよっとその様子を見ていると、遠くの見えない位置から空を飛んでいる物体が現れた。
「ドラゴンじゃ! あれはドラゴンじゃ~」
ガーツがその姿を見て、驚き戸惑う。あれがドラゴン? ワイバーンの間違いじゃないか? 遠目だから大きさはよくわからないけど、ジャンボジェット機の半分もないくらいだと思うぞ。あんなのうちの弓君達からしたら、空飛ぶ的だろ。
「やっておしまい!」
「御意」
ヒュンヒュンヒュンと弓君達が城壁から弓を射かける。本来の弓ならば、ドラゴンの鱗は貫けないと思う、案の定、城壁上からではダメだった、距離もあるし高低差があるからそりゃそうだよな。だけど、彼らも飛べるんだよな。
「ドラゴンが落ちるだと……」
遠目でもわかるくらいの戸惑いようがレイ何とかさんから伺えた。ドラゴンはゼロ距離からの弓攻撃で目を狙われて死んでいった。体はいくらか刺さるけど、貫くほどではないらしい。ドラゴンというだけあって生命力が半端ないようだ。
「すげえ」
「弓君でダメなら、杖達を行かせれば終わりだよ」
ガーツ達がほれぼれしているのを横目に呟くとなぜかアイリが自慢げに胸を張っている。杖達は魔法だから、それで自慢げなのかもしれないな。可愛いから許す。
「ドラゴン騎士、十体撃墜です」
「分かっておるわ!」
「ヒィ」
大きな声で怒っているレイ何とかさん。あんなに威圧してちゃ、まともに兵士達が戦えないだろ。ダメな上司を持ったのが運の尽きだな。
「騎馬隊と歩兵を前面に出せ。後方から魔法と弓を射かけるのだ」
『はっ!』
空がダメなら、陸でってか。またもや少し離れたところから騎士の列が現れた。伏兵のつもりなのだろうけど、城攻めで隠しちゃ威嚇にならんでしょ。
俺達のやる気をそいでいかなくちゃだめだと思うんだけどな~。まあ、ゲームをやりつくしている素人の考えだけどさ。
城壁から見える兵士の数は二百程度だったけど、騎士を見るからに三百はいるようにみえる。更に騎士の後方からローブと弓装備が見えるがそれも同じくらい見える。思った通り三、三、二百の八百人といった感じか。
「弓君達は高高度から弓の雨、杖君達は待機でいいよ。そして、出番だ。鉄騎士隊」
『御意』
石の門と木の門が同時に開く。門の中から黒鉄の騎士が五十、横一列で敵騎士に駆けていく。鈍重は音を立てながら高速で走る黒鉄の騎士達、なんとも重苦しい圧をかけているのだろう。歩兵たちが二の足を踏んでいる。
「良し、騎士たちが接敵する前にリビングアーマー隊、蹴散らした敵を仕留めてくれ」
門の横に放置されていたリビングアーマー。命令を聞くと開いている門から駆けていく。騎士達よりは遅いけど、人よりは早いといった速度で騎士達の作った轍を踏んでいく。
リビングアーマー達を見送ると鈍い音が鳴り響いた。どうやら、鉄騎士が騎士達を蹴散らしたようだ。敵騎士達は全員吹き飛ばされて馬から落とされている。そのまま、突っ切って黒鉄の騎士達は歩兵たちを踏み荒らして、弓の雨にやられている魔法兵達をも踏み荒らしていった。リビングアーマーたちはその掃除をするかのように淡々と戦闘をこなしていく。簡単なお仕事です。
「何ということだ! レギントス帝国の主力が一瞬で……」
レイ何とかさんが頭を抱えているのが見える。
「かくなる上は……」
レイ何とかさんは手を挙げた。まだ、何か手があるのか? そう思ったら、
「撤退~」
『撤退だ~全軍撤退~』
レイ何とかさんは尻尾巻いて逃げるようで撤退の合図を出した。敵さんは撤退するみたいだな。
「……逃がすかよ」
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