上 下
15 / 59
第1章 異世界

第15話 エベレス

しおりを挟む
「じゃあ、行ってきます」

「「行ってきま~す」」

 みんなを助けて二日、みんなが領民になった事で留守を任せることが出来るようになった。剣君達がいるので戦力的には大丈夫なんだけど、指揮をしてくれる人が必要だったんだよな。来た人をとりあえず、攻撃じゃ、話にならないからね。精霊だから色々と命令は出来るんだけど、それでも心配だったんだ。
 留守を任せるのは赤髪のポニーテール、名前はレイニーさん。マイルさんの友達で気立ての言いお姉さんだ。因みに俺と一緒に行ってくれるのはマイルさんとアイリ。リックは拠点に残ってもらってみんなの手伝いだ。唯一の男として頑張ってくれ。精霊に任せれば何でもやってくれるけどね。

「鉄の馬さんカッコいい~」

 鉄の馬を3体作って精霊化しておいた。売れそうなものはマイルさんに選別してもらった結果、大八車三台分になったんだよね。
 大体はミスリルで後はポーション三種類。スタミナは多くあるので50個程詰んで、マナとヒールポーションは10個づつ詰んでいる。マイルの話ではスタミナポーションと言うものは初めて見たんだってさ。お腹がいっぱいになるポーションはこの世界になかったみたいだ。高く売れればいいけどな。

 鉄の馬に鉄のマネキンを乗せて、更に大八車を引いていく三機の馬車、鉄の馬だけあって凄い馬力だ。屋根がないから雨が降ると大変だ。急いで向かおう。

 道なき道を鉄の馬が進んでいく。剣君も30以上大八車に乗っている。俺達が乗っている大八車には盾君も控えているので防御も万全だ。町までは三日かかるらしい、長い道のりだな。

 町までの道のりで魔物と数回出会った。会ったとたんに剣君に貫かれる熊や鹿、三つ目の小人と多くの魔物と出会った。オークやゴブリンだけじゃないんだな。
 そして、とうとう大きな町が見えてきた。
 
 赤レンガの壁に覆われた大きな町、一キロ以上も続く壁は爽快の一言だな。
 万里の長城とか、馬鹿かとか思っていたけど、これも十分馬鹿なレベルの建設物だよ。
 俺もこんな壁を作るのかなって思うとちゃんと見ておいた方がいいよな。

「止まれ。鉄人形か...錬金術師か何かか?」

 町の入り口に来ると門番に止められた。首を傾げる門番、とりあえず、俺が応対した方がいいよな。

「衛兵さん。初めまして、私はしがない錬金術師です。今日はミスリルやポーションを売ろうと思ってやってきました」

 別に錬金術師ではないけどそう言う事にしておいた方が話が速そうなのでのっかっておいた。

「そうか、じゃあ、荷物を見させてくれ」

 衛兵はそう言って大八車に乗り込む。怪しい物は何一つない。剣君達は大人しく剣のフリをしているからな。って剣なんだけどね。

「大丈夫だな。この量だと、通行料で銀貨一枚だな」

「すいません。通貨を持っていなくて、物品じゃダメですか?」

「そうか、文無しか。じゃあ、この剣でいいぞ」

 衛兵は剣君を一体手に取ってそう言ってきた。潜入させておいてもいいかと思って俺は頷いて答える。鉄の剣君を潜入させて情報を得よう。最強のスパイの誕生だな。チャンスなので五体程の剣君をプレゼントしておこうかな。
 オークの洞窟で見つけた金貨をだしてもよかったんだけど、やめておいた。剣君を置いておいた方が色々と利益があるからね。
 ということで剣君を五体潜入させた。大きな町だから、あくどい領主とかいた時は彼らに成敗してもらおう。リビングウェポンってやっぱり最強だよな。

「なかなかの切れ味だ。あんた、いい鍛冶屋でもあるんじゃないのか?」

「僕は来ないかもしれないですけど、これからこの子達は来ることになると思うのでその時に買ってやってください」

「ああ、仲間にも宣伝しておくよ。エベレスへようこそ」

 衛兵のおじさんは快く俺達を通してくれた。この町はエベレスと言うらしい。
 マイルさんとアイリの笑顔も効いているのかもしれないな。門を通る時に衛兵一人一人にアイリが手を振っていて、みんなのハートを鷲掴んでいたよ。やっぱり、二人を連れてきてよかった。

 あんまりマネキンたちに驚いていなかったな。精霊とか従魔は都会では普通なのかもしれないな。チートだと思ってたら田舎者だと思われそうだ、注意しよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

変わり者と呼ばれた貴族は、辺境で自由に生きていきます

染井トリノ
ファンタジー
書籍化に伴い改題いたしました。 といっても、ほとんど前と一緒ですが。 変わり者で、落ちこぼれ。 名門貴族グレーテル家の三男として生まれたウィルは、貴族でありながら魔法の才能がなかった。 それによって幼い頃に見限られ、本宅から離れた別荘で暮らしていた。 ウィルは世間では嫌われている亜人種に興味を持ち、奴隷となっていた亜人種の少女たちを屋敷のメイドとして雇っていた。 そのこともあまり快く思われておらず、周囲からは変わり者と呼ばれている。 そんなウィルも十八になり、貴族の慣わしで自分の領地をもらうことになったのだが……。 父親から送られた領地は、領民ゼロ、土地は枯れはて資源もなく、屋敷もボロボロという最悪の状況だった。 これはウィルが、荒れた領地で生きていく物語。 隠してきた力もフルに使って、エルフや獣人といった様々な種族と交流しながらのんびり過ごす。 8/26HOTラインキング1位達成! 同日ファンタジー&総合ランキング1位達成!

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

【異世界ショップ】無双 ~廃絶直前の貴族からの成り上がり~

クロン
ファンタジー
転生したら貴族の長男だった。 ラッキーと思いきや、未開地の領地で貧乏生活。 下手すれば飢死するレベル……毎日食べることすら危ういほどだ。 幸いにも転生特典で地球の物を手に入れる力を得ているので、何とかするしかない! 「大変です! 魔物が大暴れしています! 兵士では歯が立ちません!」 「兵士の武器の質を向上させる!」 「まだ勝てません!」 「ならば兵士に薬物投与するしか」 「いけません! 他の案を!」 くっ、貴族には制約が多すぎる! 貴族の制約に縛られ悪戦苦闘しつつ、領地を開発していくのだ! 「薬物投与は貴族関係なく、人道的にどうかと思います」 「勝てば正義。死ななきゃ安い」 これは地球の物を駆使して、領内を発展させる物語である。

【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!

猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」 無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。 色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。 注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします! 2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。 2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました! ☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。 ☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!) ☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。 ★小説家になろう様でも公開しています。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

突然だけど、空間魔法を頼りに生き延びます

ももがぶ
ファンタジー
俺、空田広志(そらたひろし)23歳。 何故だか気が付けば、見も知らぬ世界に立っていた。 何故、そんなことが分かるかと言えば、自分の目の前には木の棒……棍棒だろうか、それを握りしめた緑色の醜悪な小人っぽい何か三体に囲まれていたからだ。 それに俺は少し前までコンビニに立ち寄っていたのだから、こんな何もない平原であるハズがない。 そして振り返ってもさっきまでいたはずのコンビニも見えないし、建物どころかアスファルトの道路も街灯も何も見えない。 見えるのは俺を取り囲む醜悪な小人三体と、遠くに森の様な木々が見えるだけだ。 「えっと、とりあえずどうにかしないと多分……死んじゃうよね。でも、どうすれば?」 にじり寄ってくる三体の何かを警戒しながら、どうにかこの場を切り抜けたいと考えるが、手元には武器になりそうな物はなく、持っているコンビニの袋の中は発泡酒三本とツナマヨと梅干しのおにぎり、後はポテサラだけだ。 「こりゃ、詰みだな」と思っていると「待てよ、ここが異世界なら……」とある期待が沸き上がる。 「何もしないよりは……」と考え「ステータス!」と呟けば、目の前に半透明のボードが現れ、そこには自分の名前と性別、年齢、HPなどが表記され、最後には『空間魔法Lv1』『次元の隙間からこぼれ落ちた者』と記載されていた。

処理中です...