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第1章 異世界

第10話 順位報告

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 マネキンを探索に向かわせて次の日、木の素材が乏しくなってしまたので森を伐採することにした。鉄の斧と石の斧に切らせたのだが切り株をどうしようかとなった。流石の精霊達も切り株にはお手上げだ。

「おお、そうだ。鉄も一日で集まったことだし、鉄の馬マネキンを作りますか」

 大昔は牛とかに引っ張らせたんだよな。鉄の馬マネキンならばパワーも相当な物だろう。
 早速、鉄の馬マネキンを作った。しかし、引かせるロープがない事に気付く。どうしたものかな~。

「ヒヒン?」

「ああ、すまん。作ったはいいけど、あの切り株に巻きつけるロープがないんだよ。折角、切り株をどかしてもらおうと思ったのに」

「...ブルブルブル~」

 鉄の馬マネキンは俺の言葉を聞いて首を振って鳴いた。その後すぐに切り株へと頭をこすり付けている。

「おお、すげえ」

 頭をこすり付けたと思ったら切り株が一瞬で地面からはがれた。頭でかちあげたようだ。なんちゅうパワー。何馬力だって感じだな。

「助かったよ」

「ヒン」

 馬マネキンの頭を撫でてあげると馬マネキンは嬉しそうに頭をこすり付けてきた。痛い、ものっそ痛い。流石は鉄だ。
 馬マネキンに切り株を任せて斧君に木を伐り進んでもらう。オークの洞窟の前まで切り揃えてもらうことにした。拠点を大きくしようと思っていると何やら脳内に声が響いてきた。
 
『あ、あ~。ただいまマイクのテスト中~』

「この声は..」

 テセリウスの声だ。って事はこれが定期順位報告って奴か?

『え~。定期順位報告をいたします。おっとその前にみんなはちょっと待っていておくれ』

「な...」

 テセリウスが目の前に現れた。みんなって言うのはクラスメイト達の事か?

「君には何も説明しなかったでしょ。だから、時間を取ったんだ~。へ~あの状況からここまでもってくるなんてやるね、君」

 テセリウスを前にして、あぶら汗をかく。あの空間だと気付かなかったけど、異様な圧力を纏っているんだよな。強者のプレッシャーって奴かな?

「そんなに身構えないでよ。褒めているんだからね。君の存在の器にした男は家なし金なしの何も持っていない男だった。これからただ死ぬだけの男。そこからここまでやるなんてね~。スキルが凄いのか、君が凄いのか」

 テセリウスは小さな家の扉を触りながら褒めてきた。まあ、精霊のおかげだけどな。

「という事で君に説明する為に時間を設けたんだ。じゃあ、説明するぞ~」

 テセリウスはそう言って地面に座った。座るように促されたので俺もテセリウスの前に座った。

「君達の順位は何で決まるのか。それは領民の数とレベルさ」

「領民...」

 人なんて一人もいないな。

「領民は一人もいないけど、レベルは君が一番だよ。まあ、まだビリだけどね」

 順位報告の前にバラされた。流石に順位に食い込めてはいないみたいだな。

「君の場合は領民を得ないといけないからね。それが大変だろうね。じゃあ、僕は帰るよ。頑張ってね~」

「...」

 なんかテセリウスはフレンドリーだったな。下剋上な状況だから贔屓目で見てくれているって所か? そう考えると腹立つな。
 まあ、いい。それよりも拠点の強化だ。

『では、お待たせしました~。現在の順位発表です!』

 そうだった。まだ順位発表してなかったんだった。どうせビリだけど。

 テセリウスの声と共に目の前にモニターが現れる。

【一位】

 金田一 一

【二位】

 綾崎 姫子

【三位】

 金山 金治



 ずらっとクラスメイト達の名前が書かれていく。三位以下は省略されて名前が書かれるだけだった。クラスは25人いたので俺は25位って事だな。みんな領民が俺のレベル以上にいるってことだよな~。という事はクラスメイトのいる所は村かそれ以上って事だ。ゼロからの俺はかなり不利だな~。

『因みに、一位から三位を知らせるのは、その順位でゴールすることが出来たら願いを叶えてあげられるんだ。三位まで願いで一位は更にもう一個願いを叶えてあげられるよ。じゃあ、みんな頑張って~』

 願いか...このゲームの様な世界に来ただけで叶ってしまっているんだよな。スキルのある生活は俺の夢だったし。あとは魔法が使えるようになったら最高だな。目指せるなら目指してテセリウスをギャフンと言わせてやるか。

「よっし、じゃあ、拠点を強化していきますかね~」

 順位や仕組みがわかってもやる事は一緒、じゃんじゃか作っていくぞー。
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