制作スキル持ちのリビングマスター ~異世界覇者への道~

カムイイムカ(神威異夢華)

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第1章 異世界

第9話 マネキン

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 オークの洞窟を占領して、次の日。前の日に焼いておいたオーク肉を頬張って、飲み水にスタミナポーションを飲み干す。地下鉱山を建設しているツルハシ君達がオーク洞窟とつながった事を知らせてくれた。地下鉱山には小屋に入りきらない程の鉄鉱石が山になっているよ。これで次の製作レベルへの備えは万全だ。石君達に少しずつ外に出してもらって鉄系の製作物が作れるようになった時に備えていく。小さな家も作ったので小屋と物置小屋をもう一個づつ作っていくかな。

 ピンポン!

「おっ上がったな~」

 鉱山の事を考えながら物置小屋を作るとレベルアップ音がなった。小精霊生成薬をオークとの闘い中にも作っていたのでレベルが14まで上がっていたんだよな。これで15になって製作物が増えているはずだ。

【製作スキル LV 15】

【新】
 
 木の杖
 木の家具一式
 鉄の剣
 鉄の盾
 鉄の斧
 鉄のツルハシ
 鉄のクワ
 鉄のスコップ
 鉄のマネキン
 鉄の馬マネキン
 鉄の壁

 中精霊生成薬
 中マナポーション
 
 おおとうとう家具が作れるようになったぞ~。やっとベッドで寝られる。
 それに中精霊生成薬を作れるようになった。これで大八車を引っ張れる馬力が手に入る。遠出も簡単にできるようになったな。鉄シリーズも解禁されたから戦力の増強も可能だ。
 みんなの体は強固だけど、寿命通りにいきられるとは思えないんだよな。石剣君達も刃こぼれしていたしね。壊れる前に鉄剣君を増産しなくちゃいけないよ。という事で鉄シリーズの精霊達を作っていく。物置小屋と小屋の間に作った地下鉱山への入り口、その前に積まれた鉄鉱石に触れてどんどん製作。剣を20、盾5、ツルハシ10、斧2と製作。クワは木でも石でも関係ないのでそのままだ。種がないので耕す事だけさせているが予定はない。草系統の製作物もないしな。鉄になっても、小精霊生成薬で可能だったのでやっぱり、体積が重要なのだろう。安上がりで強い、これはチートだわ。
 そして、次が本題だ。中精霊生成薬を作る。これは小精霊生成薬を五個で一個作れる。オークの核一個で一個作れる計算だ。スライム井戸のおかげで核はそこそこ溜まっているし、昨日のオーク洞窟を攻めたおかげでまだまだおつりがくる。とりあえず、作っておいた木のマネキンにぶっかける。一番最初の小屋に放置していて夜になると怖かったがこれでその恐怖もなくなるぞ。

「マスター。ありがとうございます」

「おお」

 他の精霊とは違って、命令を求めてこない。体積が大きい事もあって知能が高いのか?

「お前は何ができるんだ?」

「武器を与えてくれれば戦えます。探索ができます。採取ができます。...主に人の出来る事なら何でもできますマスター」

 質問に最初は他の精霊と同じように一個一個答えてくれたが途中で考えたのか省略して答えた。人の出来る事なら何でもできるのか。

「さて、どうするか。あの計画を実行に移すか」

 布製品は何も扱えない製作スキル。なのに布を使う製作が出てきたんだよ。念願だったベッド、これが布を使うんだ。もちろん、枕もそうだよ。家具の多くのゆったり成分を含む物にはもれなく布が入ってくるんだ。泣けるね。
 これを解消するのに布を探さないといけないんだ。って事は布を作らないといけないわけで、という事はその原料か布そのものを手に入れないといけないんだ。結果考え着いたのが人里を探すって事。貿易って奴をやらないとベッドが! 俺のゆったりが得られないんだ。
 なのでマネキン君には人里を探してきて欲しいんだよな~。不眠不休で歩けるんだから俺が行くよりも早いはずだしな。

「マネキン君には人里を探してほしいんだ。できるか?」

「はい、できます」

「自分が傷つくようなことがあったら逃げてもいい。盗賊だと判断したら応戦しなさい。盾君と剣君もつけるからね」

「その大斧も頂いていいでしょうか?」

「ん? ああ、必要ならばそうしなさい」

 マネキン君は自分で考える事も容易みたいだな。オークウォーリアの持っていた斧を指さしてほしいと言ってきたよ。マネキン君は斧が好きなようだな。

「では行ってきます」

「おう! 行ってらっしゃい」

 何だか人と話しているみたいだな。自然と笑顔になってしまうよ。
 人の形をしているってだけで何だかうれしい。

「和んでいる場合じゃないな。次は馬マネキンと鉄マネキンシリーズだ」

 木の馬マネキンと鉄のマネキンを作って全員で人里を探してもらう計画なんだ。この拠点の配送サービスは石君で賄えているから拠点には要らないんだよな。早速、作って木の馬マネキンに中精霊生成薬をぶっかける。

「ヒヒ~ン。ブルブルブル」

 馬のテンプレの泣き声を一つして、頬をすり寄せてくる木馬。サラブレットと思われる大きさの馬で艶めいているぞ。木で出来ているとは思えない重厚感だ。しかし、言葉は分かるのか?

「言葉は分かるか? 何ができる?」

「ヒン! ヒヒヒン!」

「分かっているようだが馬語しか喋れないのか...」

 失敗したな。これなら、木マネキンと一緒に行かせればよかった。石君に通訳を頼むか? 石君が分かってくれればいいけど。

「石君~、一人来てくれるか」

「はい」

 配送サービス中の石君を呼び止める。早速、馬君と話せるかを聞くと大丈夫と言ってくれた。石君を馬君の背に乗せて通訳をさせる。

「私は馬の出来る事なら何でもできます、っと」

「なるほど、人マネキンと用途は同じなのか」

 ようは真似事って事だな。マネキンの類はそう言ったものって事だな。尚更、木マネキンと一緒に行かせればよかったな。しょうがないから鉄マネキンと一緒に木マネキンとは反対方向に向かってもらうか。
 という事で予定は決まった。鉄マネキンを作って一緒に向かってもらおう。鉄の馬マネキンは今度で良いだろう。鉄鉱石も剣君達を作って結構減ったしな。鉄のマネキンを作るのに百使うからたぶん、枯渇するし。マネキンシリーズは地味に家とかよりも素材を使っているんだよな。家よりも詰まっているという事なのかもしれないが、倍以上も使うのはかなり痛い。オークの洞窟との間にも鉄鉱石の鉱脈が見つかったみたいだから、かなり資源は豊富だ。大丈夫何も問題ない。

「行ってまいります」

「おう! 行ってらっしゃい」

 鉄のマネキンを作って中精霊生成薬をぶっかけると木マネキンと同じ感じだった。命令も同様に与えると頷いて大斧を所望してきたよ。武器も潤沢なので大斧を渡すと試しに振り回して感触を楽しんでいた。マネキンはかなり優秀だな。一応、剣君と盾君も添えたので道中の危険はないだろう。木のマネキンでは鉄の重さに耐えられないようなので一緒に歩いて行くみたいだ。あれじゃ、馬の意味がないな。大八車をひかせてもいいんだけど、村とか町にしょっぱな入ろうとしたら絶対に撃退されてしまうだろう。俺達の世界であんなのが来たら間違いなく撃たれるか恐怖で逃げられる。この世界だったら間違いなく剣を振り下ろされるだろう。なので村や町が見つかったら最初の交渉は俺が行かないといけないんだよな。言葉分かるのかが心配だ。

 心配を口にだしながら製作を進めていく。小さな家を増産して、木の家具を揃えていく。布があればソファーとかも作れるのだが、ないのでゆったり感ゼロの家具達です。
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