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第2章 天界と魔界
第59話 地球へ
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「シュン? シュンじゃないの?」
僕を抱き上げているテセラは驚いて聞いてくる。僕のお父さんという声はしっかりと発していたみたいだ。
「お父さんは謝っていたよテセラさん」
「お父さん……。そんな、あの人に子供は……」
彼女のお父さんとの話を伝える。すると彼女は驚き戸惑って考えを巡らせる。
「「マスターを返せ!」」
ウルドとプラナの声が聞こえてくる。いつの間にか天界の扉の中にいたみたいだ。二人は大天使達に阻まれて入れないでいる。
「僕はシュンお父さんの子供だよ。前世のね」
「そ、そんな……。アキラ、そういえばシュンは息子の名前を教えてくれた」
驚きながらも僕の話を考えていくテセラ。
「……シュンは息子に会えたんだ。彼はこの魔石の中にいるわ。あなたが持っているべきよね」
テセラさんは微笑んで魔石を手渡してくる。彼女はとてもやさしい表情に変わった。まるで子供を見つめるお母さんみたいな、そんな表情。
「みんな、もういいわ。入れてあげて」
テセラのそんな声でウルドとプラナが扉から天界に入ってくる。彼女達はすぐに僕を庇って前に出てくれる。
「マスター! 大丈夫ですか?」
「お怪我は?」
二人は心配して聞いてくる。大丈夫だと頷いて答えると二人は大天使達に視線を戻す。
「心配しないで、私達は敵じゃない。女神のよこしてきた魔物を倒しましょう」
テセラの声で大天使たちが扉の外に出ていく。サターンたちと戦うためじゃない魔物を駆逐していく。
「この世界の戦いにあなたは関わらなくていい。元の世界に帰りなさい」
テセラさんはそう言って一つの橋を指さす。その橋の先には別の世界の景色が見える。あれは宇宙からの地球の姿? 青い星が映し出されてる。
「僕が帰った後、どうなるの?」
「そうね。女神と天使の戦争。正確には増やされた魔物と人類の戦争かしら。女神はこちらの世界に入れないから。直接介入できないのが神なのよ」
僕の問いかけに素直に答えてくれるテセラ。魔物が増える戦いか……。レッグスとエミは大丈夫かな……。
「行かないの? あなたも前世の世界に帰りたかったんじゃないの?」
「……」
テセラの声に頷くこともできない。前世の世界のお母さんも大事だ。だけど……。
「マスター。帰ってくることが出来るんです。行きましょう」
「ウルド……」
ウルドが帰ることを勧めてくれる。だけど、本当に帰ってこれるのかな。サターンは確かに僕の血液や唾液を保管してくれた。
実際に召喚魔法を使ったわけじゃない。
「サターンを信じていないんですか?」
「信じてるよ。だけど、できるとは思えないんだ」
異世界人がこちらの世界に来た。何人もの異世界人が来て、帰った人もいると思う。だけど、こっちに帰ってきた人の情報はない……。
「「アキラ!」」
レッグスとエミが扉の中に入ってくる。僕に抱き着くと涙を流す。
「心配したんだ! 大丈夫なのか?」
「怪我はしてない? ひどいことされてない?」
二人は心配して僕の体を調べる。僕は二人の顔を見たら涙が流れてくる。なんで流れてくるのかわからない。だけど、なんでか嬉しかった。
「大丈夫だよ。でも、別れを伝えないといけないかもしれない」
「「ええ!? 帰ってくるだろ?」帰ってくるんでしょ?」
僕の言葉に二人は驚いて聞いてくる。僕は微笑みかける。
「帰ってくるつもりだよ。だけど、わからないから」
僕は素直に心配していることを話す。二人は泣き顔になり抱きしめてくれる。
「大丈夫だ! 絶対に大丈夫だ!」
「アキラはいい子だもの。神様が助けてくれる」
耳元で囁いてくれる二人。神様か……女神さまが天使と戦うような世界もある。地球の神様は傍観主義者だと思う。助けてくれるとは思えないな。
「マスター……我らもついて言って大丈夫でしょうか?」
「マスターをお守りしたい」
ウルドとプラナがついてきたそうに声をかけてくる。地球で二人は目立ちすぎる。僕は二人に首を横に振ってこたえた。
「二人はここに残って。僕が地球に戻っても魔石に戻らなければいいんだけど。どうかな……」
二人がいてくれれば助かるけれど、僕が離れてしまったら魔石に戻ってしまうかもしれない。フィールちゃんなら二人を維持できるかもしれない。彼女に任せよう。
僕は二人にフィールちゃんに従うように話す。
「じゃあ、行ってきます。お父さん、お母さん」
「「……行ってらっしゃい」」
レッグスとエミに挨拶を交わす。そして、僕は橋を渡っていく。一歩一歩着実に進む。地球の風景がどんどん近づいてくる。
地球のどのあたりに降りることが出来るんだろう。僕のいたところは東京だったけど、そもそも日本に降りられるのかな。
そんな心配がよぎる中、地球が目の前に迫ってきた。このままいけば地球に帰れる。だけど……
僕を抱き上げているテセラは驚いて聞いてくる。僕のお父さんという声はしっかりと発していたみたいだ。
「お父さんは謝っていたよテセラさん」
「お父さん……。そんな、あの人に子供は……」
彼女のお父さんとの話を伝える。すると彼女は驚き戸惑って考えを巡らせる。
「「マスターを返せ!」」
ウルドとプラナの声が聞こえてくる。いつの間にか天界の扉の中にいたみたいだ。二人は大天使達に阻まれて入れないでいる。
「僕はシュンお父さんの子供だよ。前世のね」
「そ、そんな……。アキラ、そういえばシュンは息子の名前を教えてくれた」
驚きながらも僕の話を考えていくテセラ。
「……シュンは息子に会えたんだ。彼はこの魔石の中にいるわ。あなたが持っているべきよね」
テセラさんは微笑んで魔石を手渡してくる。彼女はとてもやさしい表情に変わった。まるで子供を見つめるお母さんみたいな、そんな表情。
「みんな、もういいわ。入れてあげて」
テセラのそんな声でウルドとプラナが扉から天界に入ってくる。彼女達はすぐに僕を庇って前に出てくれる。
「マスター! 大丈夫ですか?」
「お怪我は?」
二人は心配して聞いてくる。大丈夫だと頷いて答えると二人は大天使達に視線を戻す。
「心配しないで、私達は敵じゃない。女神のよこしてきた魔物を倒しましょう」
テセラの声で大天使たちが扉の外に出ていく。サターンたちと戦うためじゃない魔物を駆逐していく。
「この世界の戦いにあなたは関わらなくていい。元の世界に帰りなさい」
テセラさんはそう言って一つの橋を指さす。その橋の先には別の世界の景色が見える。あれは宇宙からの地球の姿? 青い星が映し出されてる。
「僕が帰った後、どうなるの?」
「そうね。女神と天使の戦争。正確には増やされた魔物と人類の戦争かしら。女神はこちらの世界に入れないから。直接介入できないのが神なのよ」
僕の問いかけに素直に答えてくれるテセラ。魔物が増える戦いか……。レッグスとエミは大丈夫かな……。
「行かないの? あなたも前世の世界に帰りたかったんじゃないの?」
「……」
テセラの声に頷くこともできない。前世の世界のお母さんも大事だ。だけど……。
「マスター。帰ってくることが出来るんです。行きましょう」
「ウルド……」
ウルドが帰ることを勧めてくれる。だけど、本当に帰ってこれるのかな。サターンは確かに僕の血液や唾液を保管してくれた。
実際に召喚魔法を使ったわけじゃない。
「サターンを信じていないんですか?」
「信じてるよ。だけど、できるとは思えないんだ」
異世界人がこちらの世界に来た。何人もの異世界人が来て、帰った人もいると思う。だけど、こっちに帰ってきた人の情報はない……。
「「アキラ!」」
レッグスとエミが扉の中に入ってくる。僕に抱き着くと涙を流す。
「心配したんだ! 大丈夫なのか?」
「怪我はしてない? ひどいことされてない?」
二人は心配して僕の体を調べる。僕は二人の顔を見たら涙が流れてくる。なんで流れてくるのかわからない。だけど、なんでか嬉しかった。
「大丈夫だよ。でも、別れを伝えないといけないかもしれない」
「「ええ!? 帰ってくるだろ?」帰ってくるんでしょ?」
僕の言葉に二人は驚いて聞いてくる。僕は微笑みかける。
「帰ってくるつもりだよ。だけど、わからないから」
僕は素直に心配していることを話す。二人は泣き顔になり抱きしめてくれる。
「大丈夫だ! 絶対に大丈夫だ!」
「アキラはいい子だもの。神様が助けてくれる」
耳元で囁いてくれる二人。神様か……女神さまが天使と戦うような世界もある。地球の神様は傍観主義者だと思う。助けてくれるとは思えないな。
「マスター……我らもついて言って大丈夫でしょうか?」
「マスターをお守りしたい」
ウルドとプラナがついてきたそうに声をかけてくる。地球で二人は目立ちすぎる。僕は二人に首を横に振ってこたえた。
「二人はここに残って。僕が地球に戻っても魔石に戻らなければいいんだけど。どうかな……」
二人がいてくれれば助かるけれど、僕が離れてしまったら魔石に戻ってしまうかもしれない。フィールちゃんなら二人を維持できるかもしれない。彼女に任せよう。
僕は二人にフィールちゃんに従うように話す。
「じゃあ、行ってきます。お父さん、お母さん」
「「……行ってらっしゃい」」
レッグスとエミに挨拶を交わす。そして、僕は橋を渡っていく。一歩一歩着実に進む。地球の風景がどんどん近づいてくる。
地球のどのあたりに降りることが出来るんだろう。僕のいたところは東京だったけど、そもそも日本に降りられるのかな。
そんな心配がよぎる中、地球が目の前に迫ってきた。このままいけば地球に帰れる。だけど……
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