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第2章 天界と魔界
第56話 共闘
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「よく来た。歓迎する」
魔国サダラーンにつき、魔王城の内壁に馬車が着くとサターンが出迎えてくれる。
レッグスは彼を見ると警戒して構える。
その姿を見てサターンは笑みをこぼす。
「剣は握らないのだな。優しい男だ」
小声で確かにそういったサターン。その目はとても優しかった。
前にあった彼じゃなくなってる。何があったのかわからないけど、メイデスさんを見ると嬉しそうに彼を見つめてる。
彼らにとっていいことに気が付いたのかな。
城の中に案内されて玉座の間へと入る。
サターンは玉座には座らずに赤い絨毯に胡坐をかいて座る。
「対等の立場だ。座ってくれ」
僕らが唖然として見ているとそう言ってくるサターン。キョトンとしながらもみんなで座る。
「私の過去を話そう」
そう言ってサターンは過去を話し始める。異世界から来た少年が異世界に帰ろうとした話。とても悲惨な最期を迎えた話。
「天界への扉を開くと奴らが来る。私は恐怖で動けなくなってしまう。どうか助けてくれ。異世界人の力を貸してくれ」
サターンはそう言って祈るように目を瞑る。僕へと祈りを捧げてくる。
「お、おい。なんだか話が見えないんだが」
「な、なんでアキラにそんな話をするの? まるで異世界から来た子みたいに……」
レッグスとエミがサターンの話を聞いて僕を見つめる。二人は信じたくないといった様子で悲しそうにしてる。
「サターン様。アキラはまだ両親にそのことを話してないんだよ」
「なに!? す、すまなかった。話していないとは思わなかった」
グダスが焦りながらサターンに声をあげる。二人は僕に謝ってくれる。
「な、なあアキラ。違うよな? 異世界からきたわけじゃないよな?」
「ごめんなさい。今まで言えなくて……」
「「……」」
僕の両肩を掴んでゆすってくるレッグス。悲しそうに問いかけてくる彼に僕は正直に答えた。悲しませると分かっていても伝えないといけない。いつかは言わないと行けなかったことだ。少し早くなっただけ。
「僕は地球という世界から転生してきた。僕は病弱で3歳から10歳まで病院で暮らしてた。白い一室が僕の世界だったんだ。TVっていう絵本を沢山つめたような機械、この世界だと道具かな。それで僕の世界を広げてた」
僕の言葉にみんな頷いて相槌を打ってくれる。僕は続けて話し出す。
「最後に地球でのお母さんに感謝を告げられなかった。僕はそれを言いたくて、お母さんの顔が見たくて帰りたいんだ。我儘な子供でごめんなさい。二人のことも考えずに……」
二人の顔が見れない。僕は俯いて呟く。
少しすると二人が僕を抱きしめてくれる。顔をあげると二人とも涙を流してた。
「親孝行な息子をもったってことだよな」
「そうね。その親は私達ではなかったみたいだけど」
二人は無邪気に笑ってくれる。二人は許してくれたのかな。
「あちらに行ってから帰ってこれるのか。そもそも、帰ってきてくれるのか?」
「……魔法のない世界だから難しいと思う。帰ってきたいと思ってはいるけど」
「そうか……」
レッグスの質問に正直に答える。二人は再度悲しい表情になる。
帰ってきたいけど、魔法のない世界じゃ召喚なんてできない。天界や魔界なんていうのも存在しないだろうし。天国と地獄は話で聞いたことはあったけどね。
「……それでも、息子がやりたい、帰りたいって言うなら叶えてやるのが親ってもんだよな」
「レッグス……。私は嫌よ」
「エミ……」
レッグスは笑顔で僕の頭を撫でてくれる。だけど、エミは首を大きく横に振る。頭を撫でられている僕を引き離す様に抱き寄せる。
「親孝行ないい子と思ったけど。最愛の息子を『はい、そうですか』って譲れない! 私だってアキラに魔法を教えたり色々お世話してた。10年一緒だった別のお母さんに勝てないかもしれないけど、私だってアキラを愛してる。帰ってこれないかもしれないなんて聞いて行かせられない!」
エミは泣き出しながら引き留めてくれる。泣きすぎて鼻水まで豪快に出してる。流石に見ていられない。
「お母さん、鼻水が凄いよ」
「うえ? ん、ありがと」
鼻水を拭ってあげるとエミは無遠慮に鼻をかむ。今まで黙っていたサターン達はその姿で笑みがこぼれる。
「感動の家族愛を見せてもらっている所悪いのだが、帰ってくることは出来るぞ」
「勇者召喚ですね」
サターンが口角をあげて声をあげるとメイデスさんが推測する。彼女の言葉に彼は大きく頷いて見せる。
「アキラの唾液でも血でもを持っていれば指定して呼ぶことが出来る。本来は無差別に呼ぶ召喚魔法だが、それらがあれば指定できる」
長く生きているだけあって色々知ってるな。サターンの声に感心してしまった。
「アキラが帰ってきたいというならそちらの準備もする。しかし、それをする前に天使との戦いが待って居る。それは忘れないように」
サターンは話を本題に戻す。天使との戦いか。その為に戦力を整えないとな。
魔国サダラーンにつき、魔王城の内壁に馬車が着くとサターンが出迎えてくれる。
レッグスは彼を見ると警戒して構える。
その姿を見てサターンは笑みをこぼす。
「剣は握らないのだな。優しい男だ」
小声で確かにそういったサターン。その目はとても優しかった。
前にあった彼じゃなくなってる。何があったのかわからないけど、メイデスさんを見ると嬉しそうに彼を見つめてる。
彼らにとっていいことに気が付いたのかな。
城の中に案内されて玉座の間へと入る。
サターンは玉座には座らずに赤い絨毯に胡坐をかいて座る。
「対等の立場だ。座ってくれ」
僕らが唖然として見ているとそう言ってくるサターン。キョトンとしながらもみんなで座る。
「私の過去を話そう」
そう言ってサターンは過去を話し始める。異世界から来た少年が異世界に帰ろうとした話。とても悲惨な最期を迎えた話。
「天界への扉を開くと奴らが来る。私は恐怖で動けなくなってしまう。どうか助けてくれ。異世界人の力を貸してくれ」
サターンはそう言って祈るように目を瞑る。僕へと祈りを捧げてくる。
「お、おい。なんだか話が見えないんだが」
「な、なんでアキラにそんな話をするの? まるで異世界から来た子みたいに……」
レッグスとエミがサターンの話を聞いて僕を見つめる。二人は信じたくないといった様子で悲しそうにしてる。
「サターン様。アキラはまだ両親にそのことを話してないんだよ」
「なに!? す、すまなかった。話していないとは思わなかった」
グダスが焦りながらサターンに声をあげる。二人は僕に謝ってくれる。
「な、なあアキラ。違うよな? 異世界からきたわけじゃないよな?」
「ごめんなさい。今まで言えなくて……」
「「……」」
僕の両肩を掴んでゆすってくるレッグス。悲しそうに問いかけてくる彼に僕は正直に答えた。悲しませると分かっていても伝えないといけない。いつかは言わないと行けなかったことだ。少し早くなっただけ。
「僕は地球という世界から転生してきた。僕は病弱で3歳から10歳まで病院で暮らしてた。白い一室が僕の世界だったんだ。TVっていう絵本を沢山つめたような機械、この世界だと道具かな。それで僕の世界を広げてた」
僕の言葉にみんな頷いて相槌を打ってくれる。僕は続けて話し出す。
「最後に地球でのお母さんに感謝を告げられなかった。僕はそれを言いたくて、お母さんの顔が見たくて帰りたいんだ。我儘な子供でごめんなさい。二人のことも考えずに……」
二人の顔が見れない。僕は俯いて呟く。
少しすると二人が僕を抱きしめてくれる。顔をあげると二人とも涙を流してた。
「親孝行な息子をもったってことだよな」
「そうね。その親は私達ではなかったみたいだけど」
二人は無邪気に笑ってくれる。二人は許してくれたのかな。
「あちらに行ってから帰ってこれるのか。そもそも、帰ってきてくれるのか?」
「……魔法のない世界だから難しいと思う。帰ってきたいと思ってはいるけど」
「そうか……」
レッグスの質問に正直に答える。二人は再度悲しい表情になる。
帰ってきたいけど、魔法のない世界じゃ召喚なんてできない。天界や魔界なんていうのも存在しないだろうし。天国と地獄は話で聞いたことはあったけどね。
「……それでも、息子がやりたい、帰りたいって言うなら叶えてやるのが親ってもんだよな」
「レッグス……。私は嫌よ」
「エミ……」
レッグスは笑顔で僕の頭を撫でてくれる。だけど、エミは首を大きく横に振る。頭を撫でられている僕を引き離す様に抱き寄せる。
「親孝行ないい子と思ったけど。最愛の息子を『はい、そうですか』って譲れない! 私だってアキラに魔法を教えたり色々お世話してた。10年一緒だった別のお母さんに勝てないかもしれないけど、私だってアキラを愛してる。帰ってこれないかもしれないなんて聞いて行かせられない!」
エミは泣き出しながら引き留めてくれる。泣きすぎて鼻水まで豪快に出してる。流石に見ていられない。
「お母さん、鼻水が凄いよ」
「うえ? ん、ありがと」
鼻水を拭ってあげるとエミは無遠慮に鼻をかむ。今まで黙っていたサターン達はその姿で笑みがこぼれる。
「感動の家族愛を見せてもらっている所悪いのだが、帰ってくることは出来るぞ」
「勇者召喚ですね」
サターンが口角をあげて声をあげるとメイデスさんが推測する。彼女の言葉に彼は大きく頷いて見せる。
「アキラの唾液でも血でもを持っていれば指定して呼ぶことが出来る。本来は無差別に呼ぶ召喚魔法だが、それらがあれば指定できる」
長く生きているだけあって色々知ってるな。サターンの声に感心してしまった。
「アキラが帰ってきたいというならそちらの準備もする。しかし、それをする前に天使との戦いが待って居る。それは忘れないように」
サターンは話を本題に戻す。天使との戦いか。その為に戦力を整えないとな。
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