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第2章 天界と魔界
第51話 海龍
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目の前に現れた塔は海から出てきたみたいだ。水を滝のように流し、僕らを見下ろしてくる。
「人間ども、何をしている。なぜやられてる?」
塔はにらみを利かせてきて声を上げる。
水が落ち切ってきて姿が見えてきた。塔は鱗が輝いて綺麗に日の光を反射してる。
「か、海龍!?」
ロドリックが震えながら声を上げた。どうやら、この龍が海龍みたいだ。龍というだけあって大きい。大きいというより、長いと言った方がいいかな。うねうねと僕らの船の周りをとぐろを巻くように体がある。僕らを狙ってるようだ。
「サターンからの命令だろう。破ればどうなるか分かっているだろ?」
海龍はそう言って睨みを利かせてくる。ライドの説明通り、サターンの命令であの陸地を守っていたみたいだな。そして、それを破ると海龍に殺されるってところか。
「海龍さん。話をしたいんだけど」
「ん? 人の子よ。質問があるのか?」
僕は思わず声をあげる。知りたいことが多すぎる。少しでも聞けるようなら聞いておきたい。
「はい、海龍さんに質問です。人族と魔族が交わうと何かあるの?」
なんでサターンは人族と魔族の交流をなくそうとしているのか。とても気になる。
「ふむ、サターンが言うには人族と魔族が交わると特別な種族が生まれてしまうらしい。サターン自身がそうらしいのだが、強いものが出来上がりやすい」
海龍さんはそう言ってニッコリと口角をあげる。結構親しみやすい海龍さんだな。話もしっかりと聞いてくれるし。
そうか、サターンも人族と魔族のハーフってことか。自分以外に強い人が生まれることを嫌ってやっているってことか。それが天界と関係してる。
なるほど、天界への扉を開けさせないように強いものが生まれないように人族と魔族を遠ざけたってところかな。
「ではそろそろ時間だ。残念だが、子供であるお前もここで死んでもらう」
海龍さんはそう言って息を吸い込んでいく。体を膨らませていく海龍さんは今にも僕らに何かを吹きかけてきそうだ。
「ダメだよ海龍さん」
僕は海龍さんの顔へ飛び上がって蹴り上げる。蹴り上げるのと同時に彼の口から大量の水が吐き出された。水が雨の様に降りてくると虹が綺麗に出来上がる。
「な!? なんだこの子供は!? ま、まさか。お前も人族と魔族の交わりし子供?」
海龍さんは口から血を出しながら驚愕する。僕の親はレッグスとエミだ。二人はどう見ても人族。ハーフではない。
「違うよ。僕は正真正銘人族の子供。レッグスとエミの子だ」
驚く海龍さんに答える。すると彼は唖然として僕を見下ろす。
「私の体を跳ね上げられるものなどいない。サターンでも不可能なことだ。なぜお前のような子供が」
「まだやるというのか? マスターが手を出すまでもない。このウルドがお前を葬り去る」
海龍さんが狼狽えながらも再度攻撃をしようとしてくる。体を大きく動かし、海を荒れさせていく。船が大きく揺れはじめたからやめさせようと僕が力むとウルドが動き出す。声をあげて海龍さんの顔に飛んでいくと掴みあげていく。
海龍さんを持ち上げて空へと上がっていく。米粒程まで小さくなっていく海龍さん、しばらくすると激しい打撃音が聞こえてくる。そして、ウルドと一緒に降りてくる海龍さん。見るも無残な蝶々結びにされてる。
「や、やめてくれ!」
「魔石にされなかっただけマスターに感謝するんだな」
涙を流して声をあげる海龍さん。許しを請う彼に無慈悲に答えるウルド。流石にやり過ぎだよ。まあ、僕らを殺そうとしてきたんだから仕方ないけれど。
「これからここら辺はマスターの物だ! わかったか!」
「わ、わかりました。私が責任をもってお守りいたします。ですから命ばかりは!」
ウルドの睨みに海龍さんは涙を流しながら答える。どうやら、僕の物になるみたい。サターンが黙ってないんじゃないのかな?
「サターンも私には勝てません。何か言ってきたら私が奴を懲らしめて見せます!」
海龍さんは続けて声をあげる。彼はサターンよりも強い自信があるみたいだな。戦ったことがあるのかな?
「ふぅ。死ぬかと思ったが結果良ければすべてよしだ。俺達の勝ちだ。勝鬨をあげろ!」
『応っ!』
海龍さんの降伏の声にロドリックさんが声をあげる。船乗りの勝鬨の声が僕らの勝ちを彩る。
「よし! 俺達はこのまま人族の町に繰り出そう」
「え? すぐにいけるんですか?」
「ああ、お前達は急いでるんだろ? 恩人に時間を使わせるのは申し訳ないからな」
ロドリックは気を取り直して船の舵を取る。海龍さんを懲らしめたから海をそのままいけるようになったからすぐにでも人族の港に着ける。
レッグスもエミも心配しているだろうし、早く帰らないとな。
「そうだ。この海峡と海賊の土地の利益はちゃんと分配するからな。人族の港に届ける。誰か引き取る相手を作っておいてくれ」
ロドリックは機嫌よく煙草に火をつけてそう言ってくる。どうやら、かなりの儲けが生まれるみたいだ。レッグスも貴族になったからレッグスの名義にしておけばいいかな?
「レッグス準子爵の名前で倉庫にでも入れておいてよ。あるでしょ? 倉庫?」
「まあ、港ならあるわな。じゃあ、そうしておくぞ。一応言っておくがかなりの儲けになる。一か月も放置したらかなり貯まるからな。ちゃんと倉庫の管理をしてくれよ」
「え? そんなに」
「俺も素人じゃねえからな。期待しててくれ」
首を傾げて倉庫のことを聞くとロドリックは少し考えて答えてくれる。人族の町には言った事はあるみたいだから大丈夫だろう。
人族も魔族だからってむやみに攻撃をしてくることはないだろうしね。
思わぬ収穫を得て、僕らはエレービア王国の港町にたどり着いた。地図を港町で手に入れるとすぐにルインズの村へと帰還した。
「人間ども、何をしている。なぜやられてる?」
塔はにらみを利かせてきて声を上げる。
水が落ち切ってきて姿が見えてきた。塔は鱗が輝いて綺麗に日の光を反射してる。
「か、海龍!?」
ロドリックが震えながら声を上げた。どうやら、この龍が海龍みたいだ。龍というだけあって大きい。大きいというより、長いと言った方がいいかな。うねうねと僕らの船の周りをとぐろを巻くように体がある。僕らを狙ってるようだ。
「サターンからの命令だろう。破ればどうなるか分かっているだろ?」
海龍はそう言って睨みを利かせてくる。ライドの説明通り、サターンの命令であの陸地を守っていたみたいだな。そして、それを破ると海龍に殺されるってところか。
「海龍さん。話をしたいんだけど」
「ん? 人の子よ。質問があるのか?」
僕は思わず声をあげる。知りたいことが多すぎる。少しでも聞けるようなら聞いておきたい。
「はい、海龍さんに質問です。人族と魔族が交わうと何かあるの?」
なんでサターンは人族と魔族の交流をなくそうとしているのか。とても気になる。
「ふむ、サターンが言うには人族と魔族が交わると特別な種族が生まれてしまうらしい。サターン自身がそうらしいのだが、強いものが出来上がりやすい」
海龍さんはそう言ってニッコリと口角をあげる。結構親しみやすい海龍さんだな。話もしっかりと聞いてくれるし。
そうか、サターンも人族と魔族のハーフってことか。自分以外に強い人が生まれることを嫌ってやっているってことか。それが天界と関係してる。
なるほど、天界への扉を開けさせないように強いものが生まれないように人族と魔族を遠ざけたってところかな。
「ではそろそろ時間だ。残念だが、子供であるお前もここで死んでもらう」
海龍さんはそう言って息を吸い込んでいく。体を膨らませていく海龍さんは今にも僕らに何かを吹きかけてきそうだ。
「ダメだよ海龍さん」
僕は海龍さんの顔へ飛び上がって蹴り上げる。蹴り上げるのと同時に彼の口から大量の水が吐き出された。水が雨の様に降りてくると虹が綺麗に出来上がる。
「な!? なんだこの子供は!? ま、まさか。お前も人族と魔族の交わりし子供?」
海龍さんは口から血を出しながら驚愕する。僕の親はレッグスとエミだ。二人はどう見ても人族。ハーフではない。
「違うよ。僕は正真正銘人族の子供。レッグスとエミの子だ」
驚く海龍さんに答える。すると彼は唖然として僕を見下ろす。
「私の体を跳ね上げられるものなどいない。サターンでも不可能なことだ。なぜお前のような子供が」
「まだやるというのか? マスターが手を出すまでもない。このウルドがお前を葬り去る」
海龍さんが狼狽えながらも再度攻撃をしようとしてくる。体を大きく動かし、海を荒れさせていく。船が大きく揺れはじめたからやめさせようと僕が力むとウルドが動き出す。声をあげて海龍さんの顔に飛んでいくと掴みあげていく。
海龍さんを持ち上げて空へと上がっていく。米粒程まで小さくなっていく海龍さん、しばらくすると激しい打撃音が聞こえてくる。そして、ウルドと一緒に降りてくる海龍さん。見るも無残な蝶々結びにされてる。
「や、やめてくれ!」
「魔石にされなかっただけマスターに感謝するんだな」
涙を流して声をあげる海龍さん。許しを請う彼に無慈悲に答えるウルド。流石にやり過ぎだよ。まあ、僕らを殺そうとしてきたんだから仕方ないけれど。
「これからここら辺はマスターの物だ! わかったか!」
「わ、わかりました。私が責任をもってお守りいたします。ですから命ばかりは!」
ウルドの睨みに海龍さんは涙を流しながら答える。どうやら、僕の物になるみたい。サターンが黙ってないんじゃないのかな?
「サターンも私には勝てません。何か言ってきたら私が奴を懲らしめて見せます!」
海龍さんは続けて声をあげる。彼はサターンよりも強い自信があるみたいだな。戦ったことがあるのかな?
「ふぅ。死ぬかと思ったが結果良ければすべてよしだ。俺達の勝ちだ。勝鬨をあげろ!」
『応っ!』
海龍さんの降伏の声にロドリックさんが声をあげる。船乗りの勝鬨の声が僕らの勝ちを彩る。
「よし! 俺達はこのまま人族の町に繰り出そう」
「え? すぐにいけるんですか?」
「ああ、お前達は急いでるんだろ? 恩人に時間を使わせるのは申し訳ないからな」
ロドリックは気を取り直して船の舵を取る。海龍さんを懲らしめたから海をそのままいけるようになったからすぐにでも人族の港に着ける。
レッグスもエミも心配しているだろうし、早く帰らないとな。
「そうだ。この海峡と海賊の土地の利益はちゃんと分配するからな。人族の港に届ける。誰か引き取る相手を作っておいてくれ」
ロドリックは機嫌よく煙草に火をつけてそう言ってくる。どうやら、かなりの儲けが生まれるみたいだ。レッグスも貴族になったからレッグスの名義にしておけばいいかな?
「レッグス準子爵の名前で倉庫にでも入れておいてよ。あるでしょ? 倉庫?」
「まあ、港ならあるわな。じゃあ、そうしておくぞ。一応言っておくがかなりの儲けになる。一か月も放置したらかなり貯まるからな。ちゃんと倉庫の管理をしてくれよ」
「え? そんなに」
「俺も素人じゃねえからな。期待しててくれ」
首を傾げて倉庫のことを聞くとロドリックは少し考えて答えてくれる。人族の町には言った事はあるみたいだから大丈夫だろう。
人族も魔族だからってむやみに攻撃をしてくることはないだろうしね。
思わぬ収穫を得て、僕らはエレービア王国の港町にたどり着いた。地図を港町で手に入れるとすぐにルインズの村へと帰還した。
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