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第1章 新たな始まり
第10話 気配
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「ん? どうしたんだアキラ? 元気がないな」
「そうなの。昨日本を読んでいたら急に元気がなくなって」
召喚についての本を読んで次の日の朝。意気消沈してベビーベッドに寝そべる。レッグスとエミは心配して見つめてくれる。
帰れる望みが断たれた気分で元気もでないよ。
「天才の子供でも壁にぶち当たるんだな。よし! それじゃあ、俺と一緒に仕事に行くかアキラ!」
「バブ?」
項垂れて寝ているとレッグスがそう言って僕を抱き上げる。仕事って村の警備かな?
「お? 今日はアキラも一緒か? 奥さんは許してくれたのか?」
レッグスに抱かれて村の入り口に来るとウィドが声を掛けてくる。ウィドはライリーと一緒にレッグスの手助けをしてくれてる。
「ウィド、こっち手伝って」
「ん? ああ、わかった」
ライリーが畑を耕していて声をあげてくる。ウィドは嫌な顔一つせずに向かっていく。なんで盗賊なんてやってたんだろう。
「ウィドは良い奴だ。盗賊達を懲らしめていて、退屈だったから親分になったらしい。強い奴と戦えたら儲けもの、そんな適当な考えでやったんだと。カデナは盗賊が勝手に始末したとか言ってた。すべてを信じてやるつもりはないが、俺は今のあいつを信じてる」
レッグスはそう言って微笑むと村の外に歩き出す。
「魔石はどこに落ちてるかわからない。非活性状態で見つけることが出来れば傷をつけるだけで活性化しなくなる。お! 噂をすればっだ」
街道を歩いていると灰色の魔石を見つける。レッグスが拾ってナイフで傷をつける。それだけで活性化しなくなるのか。
「再度活性化すると召喚に使えるようになる。いるだろ?」
「…バブ」
一応もらっておこう。レッグスから魔石を受け取る。傷をつけても活性化には支障はないみたいだ。
「ふぅ。なんで元気ないのか知らないけどな。お前は天才だ。天才が凡才よりも先に諦めちゃダメだぞ。天才のお前が諦めたら世界の終わりだ」
レッグスは元気のない僕を見てため息をつくと励ましてくれる。
「話せるようになったらアキラのしたいことを教えてくれよ。俺やエミは全てを投げうってでも手伝う。わかったか?」
それでも俯く僕の頬をつまむレッグス。そうだよね、まだ諦めるには早い。自分だけで出来ないなら出来る人を探せばいいんだ。あの召喚魔法の記述を書いた人とか。でも、それには話せるようにならないとな。一年間は魔法の修業をするか。
【魔界】に行くにも魔法は使うだろうし……はっ!? そう言えば、レベルが上がってると分かった時に確認を忘れてた! 今はレッグスに見られてしまうから確認できないけど、帰って二人が寝たら確認しよう。
「ん? 魔物か……。おかしい、これはやばいか?」
レグルスエイドのある方角からゴーレムが2体歩いてくるのが見える。それを見てレッグスは冷や汗を見せる。
「ライリー、ウィド。魔物だ。ゴーレムが2体」
「了解。俺が始末してくる」
「ああ、任せた」
冷や汗をかいて村に戻ってくると二人に声を掛ける。すぐにウィドがゴーレムを倒しに向かってくれる。
「どうしたんだ? そんなに慌てて?」
「ああ、おかしいんだ。ゴーレムは俺がいた時からレグルスエイドに現れてた。そんな長い間、湧き続けるなんてあり得ない。元々ゴーレムは居ない地域だったんだからな」
ライリーの声に焦りを見せるレッグス。
魔石の生まれ方を聞いてると可笑しなことではないと思うけどな。偶々多くゴーレムの魔石が降ってきただけじゃないのかな?
「俺はそういうのよくわからないな。まずい事なのか?」
「ああ、魔界からの攻撃っていう説があるだろ? ここら辺の誰かを狙ったことで起こっている可能性がある」
「あ~、【光生教会】の説か」
ライリーが首を傾げるとレッグスが説明してくれる。レッグスはたぶん僕が天才という事に気が付いてこのことを気にするようになったんだろう。
魔界が僕に気が付いて狙ってきている。そう思ってしまったんだ。いつもよりも僕を見つめる瞳に優しさが見える。
「でも可笑しくないか? 狙う奴がいるならもっと強い奴を落としてくるだろ?」
「……ゴーレムで十分だと思ってるんだろ」
「その程度の奴を狙うか?」
「……早めに芽を摘む、そうだろ?」
二人は話しながら僕を見つめてくる。ライリーも何のことか勘づいてポンと手を叩く。
「安心しろよ。ゴーレムは無理でもコボルトとかオーク程度なら俺でも勝てる。今はウィドもいるしな」
「ありがとうライリー、あてにしてる」
ライリーがレッグスの肩に手を置いて慰める。嬉しそうに彼の手を取るレッグス。しばらくするとウィドがゴーレムの魔石を持ってきてくれる。これでゴーレムが3体か、結構たまってきたな~。
「しばらくは警戒しておこう。俺は寝ずに見てるよ」
「ああ、朝早くに交代に来る」
ウィドは村の入り口で見張ってくれるみたいだ。本当にいい人になったな。ただの戦闘狂じゃなかったんだな。
レッグスと一緒に家に帰るとエミにも魔物のことを知らせる。僕が狙われているかもしれないと分かると頭を抱える。
「それならもっともっとアキラを強くしないとダメね。魔法の訓練を始めましょ」
エミはやる気を出して本を見繕ってくれる。ほとんど読んだけど、まだ隠し持っていたのか。これが危険なものとかいっていた奴だったのかな?
「これから戦闘魔法についての本になるわ。人を殺傷できる魔法、危険だけど身を守るには必要な物」
本をめくっていくエミ。その中には詠唱が書かれていてとても中二心をくすぶるものだ。
「おいおい、もう外は暗い。今日はもうやめて寝ようぜ」
「それもそうね。体調万全で挑まないとダメね。ご飯を食べて寝ましょ」
レッグスも明日は早い。早めに寝て明日に備えようとしてるんだ。僕も早めに寝よう、ステータスを確認したらね。
「そうなの。昨日本を読んでいたら急に元気がなくなって」
召喚についての本を読んで次の日の朝。意気消沈してベビーベッドに寝そべる。レッグスとエミは心配して見つめてくれる。
帰れる望みが断たれた気分で元気もでないよ。
「天才の子供でも壁にぶち当たるんだな。よし! それじゃあ、俺と一緒に仕事に行くかアキラ!」
「バブ?」
項垂れて寝ているとレッグスがそう言って僕を抱き上げる。仕事って村の警備かな?
「お? 今日はアキラも一緒か? 奥さんは許してくれたのか?」
レッグスに抱かれて村の入り口に来るとウィドが声を掛けてくる。ウィドはライリーと一緒にレッグスの手助けをしてくれてる。
「ウィド、こっち手伝って」
「ん? ああ、わかった」
ライリーが畑を耕していて声をあげてくる。ウィドは嫌な顔一つせずに向かっていく。なんで盗賊なんてやってたんだろう。
「ウィドは良い奴だ。盗賊達を懲らしめていて、退屈だったから親分になったらしい。強い奴と戦えたら儲けもの、そんな適当な考えでやったんだと。カデナは盗賊が勝手に始末したとか言ってた。すべてを信じてやるつもりはないが、俺は今のあいつを信じてる」
レッグスはそう言って微笑むと村の外に歩き出す。
「魔石はどこに落ちてるかわからない。非活性状態で見つけることが出来れば傷をつけるだけで活性化しなくなる。お! 噂をすればっだ」
街道を歩いていると灰色の魔石を見つける。レッグスが拾ってナイフで傷をつける。それだけで活性化しなくなるのか。
「再度活性化すると召喚に使えるようになる。いるだろ?」
「…バブ」
一応もらっておこう。レッグスから魔石を受け取る。傷をつけても活性化には支障はないみたいだ。
「ふぅ。なんで元気ないのか知らないけどな。お前は天才だ。天才が凡才よりも先に諦めちゃダメだぞ。天才のお前が諦めたら世界の終わりだ」
レッグスは元気のない僕を見てため息をつくと励ましてくれる。
「話せるようになったらアキラのしたいことを教えてくれよ。俺やエミは全てを投げうってでも手伝う。わかったか?」
それでも俯く僕の頬をつまむレッグス。そうだよね、まだ諦めるには早い。自分だけで出来ないなら出来る人を探せばいいんだ。あの召喚魔法の記述を書いた人とか。でも、それには話せるようにならないとな。一年間は魔法の修業をするか。
【魔界】に行くにも魔法は使うだろうし……はっ!? そう言えば、レベルが上がってると分かった時に確認を忘れてた! 今はレッグスに見られてしまうから確認できないけど、帰って二人が寝たら確認しよう。
「ん? 魔物か……。おかしい、これはやばいか?」
レグルスエイドのある方角からゴーレムが2体歩いてくるのが見える。それを見てレッグスは冷や汗を見せる。
「ライリー、ウィド。魔物だ。ゴーレムが2体」
「了解。俺が始末してくる」
「ああ、任せた」
冷や汗をかいて村に戻ってくると二人に声を掛ける。すぐにウィドがゴーレムを倒しに向かってくれる。
「どうしたんだ? そんなに慌てて?」
「ああ、おかしいんだ。ゴーレムは俺がいた時からレグルスエイドに現れてた。そんな長い間、湧き続けるなんてあり得ない。元々ゴーレムは居ない地域だったんだからな」
ライリーの声に焦りを見せるレッグス。
魔石の生まれ方を聞いてると可笑しなことではないと思うけどな。偶々多くゴーレムの魔石が降ってきただけじゃないのかな?
「俺はそういうのよくわからないな。まずい事なのか?」
「ああ、魔界からの攻撃っていう説があるだろ? ここら辺の誰かを狙ったことで起こっている可能性がある」
「あ~、【光生教会】の説か」
ライリーが首を傾げるとレッグスが説明してくれる。レッグスはたぶん僕が天才という事に気が付いてこのことを気にするようになったんだろう。
魔界が僕に気が付いて狙ってきている。そう思ってしまったんだ。いつもよりも僕を見つめる瞳に優しさが見える。
「でも可笑しくないか? 狙う奴がいるならもっと強い奴を落としてくるだろ?」
「……ゴーレムで十分だと思ってるんだろ」
「その程度の奴を狙うか?」
「……早めに芽を摘む、そうだろ?」
二人は話しながら僕を見つめてくる。ライリーも何のことか勘づいてポンと手を叩く。
「安心しろよ。ゴーレムは無理でもコボルトとかオーク程度なら俺でも勝てる。今はウィドもいるしな」
「ありがとうライリー、あてにしてる」
ライリーがレッグスの肩に手を置いて慰める。嬉しそうに彼の手を取るレッグス。しばらくするとウィドがゴーレムの魔石を持ってきてくれる。これでゴーレムが3体か、結構たまってきたな~。
「しばらくは警戒しておこう。俺は寝ずに見てるよ」
「ああ、朝早くに交代に来る」
ウィドは村の入り口で見張ってくれるみたいだ。本当にいい人になったな。ただの戦闘狂じゃなかったんだな。
レッグスと一緒に家に帰るとエミにも魔物のことを知らせる。僕が狙われているかもしれないと分かると頭を抱える。
「それならもっともっとアキラを強くしないとダメね。魔法の訓練を始めましょ」
エミはやる気を出して本を見繕ってくれる。ほとんど読んだけど、まだ隠し持っていたのか。これが危険なものとかいっていた奴だったのかな?
「これから戦闘魔法についての本になるわ。人を殺傷できる魔法、危険だけど身を守るには必要な物」
本をめくっていくエミ。その中には詠唱が書かれていてとても中二心をくすぶるものだ。
「おいおい、もう外は暗い。今日はもうやめて寝ようぜ」
「それもそうね。体調万全で挑まないとダメね。ご飯を食べて寝ましょ」
レッグスも明日は早い。早めに寝て明日に備えようとしてるんだ。僕も早めに寝よう、ステータスを確認したらね。
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