4 / 60
第1章 新たな始まり
第4話 お引越し
しおりを挟む
「バブ~」
ごちそうを食べ損ねて次の日。僕はうなだれていた。なぜかというと、魔石がないからだ。
せっかく帰る方法がなんとなくわかったっていうのに、試せない。じれったいな~。早く大人になりた~い。
「ふぅ、今日もゴーレムを仕留めた。最近本当に多いな」
項垂れているとレッグスが帰ってきた。ここら辺の魔物にゴーレムはいなかった。それなのに最近現れるようになった。何だか嫌な予感がするな~。
僕みたいな存在は異物みたいなもの、それが生まれてすぐに魔物が増える。関係がないとは思えない。
「あら? 今日はゴーレムの褒賞はないの?」
「ああ、今日は魔石だ。活性化していないからゴーレムになることはないけど、売れば金になる。これから増える魔物に懸賞金を出していたら町から金がなくなっちまうとか言われたよ」
エミの疑問に答えるレッグス。
なるほど、ゴーレムは多発すると町の領主は判断したってことか。中々優秀な人っぽいな。
って!? ゴーレムの魔石!
「バブバブバブ!」
「おう!? な、どうしたんだアキラ?」
レッグスの足にしがみついてお尻まで登る。お尻をつねると声をあげるレッグス。魔石に手を伸ばすと彼は分かってくれたようで、魔石を手渡してくれる。
「バブバブ!」
「魔石は綺麗だからね。触ってみたいんでしょ」
魔石を手に入れてペシペシと叩く。エミは僕の頭を撫でてくれる。
召喚魔法に使う魔石は不活性化している魔石を使う。まずは活性化させなくちゃいけない。ペシペシと叩いているのはその為。マナ、MPを込めた手のひらでペシペシと叩いてると魔石が緑色に輝く。
「「ええ!?」」
緑色に輝くとエミとレッグスが驚きの声をあげる。召喚魔法は珍しい魔法。属性魔法のように適性もあるから、僕にできるか心配してた。だけど、出来そうだ。
「緑色に輝いてる? 魔物は赤く輝くはず」
レッグスが魔石の輝きを見て呟く。魔物になる時は赤く光る。召喚に使われるときは緑に輝く。人のMPを注いでいるから緑色に輝いているらしい。
「召喚魔法ね。アキラがやっているみたい」
「それは本当か!? ってことはゴーレムが召喚されるのか?」
エミが気が付いて声をあげる。魔石の元となった魔物が召喚されるのは普通の召喚魔法。このままMPを注いでいけばゴーレムが召喚される。この魔石を心臓にして。
「ゴーレムが召喚されたら家が壊れるぞ」
「そ、そうね……。アキラ、召喚しちゃダメよ」
……召喚しようと思ったらレッグスが気になることを言ってきた。今の両親に迷惑をかけるのは良くないよな……。外に出てやろう。
「まって、外でならいいと思っちゃダメよ。召喚魔法が出来る赤ん坊なんて珍しい。人さらいに知られたら毎日恐怖におびえないといけなくなる。あなたを失う恐怖と……」
扉の方向にハイハイしているとエミにそんなことを言われてしまった。赤ん坊が召喚魔法を使える。それはとても魅力的なステータスのようだ。
人攫いか、それは怖いな。誰にも見られない所で召喚魔法を勉強していかないといけないってことか。
「はは、凄いなアキラは。お祝いにその魔石はお前にやるよ。ゴーレムを召喚するときは見せてくれよ」
「バブ!」
レッグスはそう言って頭を撫でてくれる。その様子を見てエミは呆れてため息をついた。
「もう、そう言う問題じゃないでしょ。その魔石も隠しておかないとダメよ。貴族なんかに見られたら問答無用でアキラを寄こせって言ってくるわ。引っ越さないといけないわね」
エミは危機感を持ってるみたいだ。それほど召喚魔法は貴重な物ってことか。引っ越しまでしないといけないとは、少しうかつだった。
でも、町の外に行くってことは召喚魔法が使えるってことだよな。魔法使いたい放題ってこと! 帰る為に色々試せるぞ!
「よし、大体荷積みは終わったな。エミ、アキラ。俺達の故郷へ帰るぞ~」
次の日、荷積みを終えて声をあげるレッグス。エミと一緒に頷いて答える。
僕らはこうして、生まれた町【レグルスエイド】を後にした。
ーーーーーーーーーーー
馬車に揺られること一週間。農場のある村にたどり着いた。ここが二人の故郷?
「はぁ~、やっと着いた」
「荷物が無ければもっと早くつけたんだけどね」
村の中にはいって馬車から荷ほどきを始める。騒がしくなって村の人達が出てきてる。あんまり歓迎されていないような感じがするけど。
「この【ルインズ】で育ったレッグスとエミだ。帰ってきたからよろしくな!」
レッグスが村の人達に声をあげる。すると村の人達は無視するように家に帰っていく。あまり感じはよくないな。
「ん? なんか雰囲気が悪いな」
「元からよそ者には厳しかったからね。私の家に行った方がよさそうね」
レッグスが首を傾げているとエミが提案する。荷ほどきした荷物を村の中央の家にいれようとしていたレッグスだったけれど、それは彼の実家みたい。村の真ん中にあるから悪目立ちするという事でエミの実家に行くことにした。
実家と言っても両親は居ないみたいだな。話では別の町に移り住んでるみたい。家は二人に譲っていたらしい。村の人達に嫌われてるのはそのせいじゃないかな? 一番いい家を手付かずにしていたから。
「よっし! 荷ほどきおしまいだ。はぁ~、埃臭いな~」
「そりゃそうよ。10年も誰もすんでいなかったんだから。補修もしないといけないかもね」
荷ほどきが終わってホッと胸をなでおろすのも束の間。埃臭い家にため息をつくレッグス。エミは早速掃除に取り掛かる。
僕は手伝うこともできない。迷惑かけちゃったな~。
ごちそうを食べ損ねて次の日。僕はうなだれていた。なぜかというと、魔石がないからだ。
せっかく帰る方法がなんとなくわかったっていうのに、試せない。じれったいな~。早く大人になりた~い。
「ふぅ、今日もゴーレムを仕留めた。最近本当に多いな」
項垂れているとレッグスが帰ってきた。ここら辺の魔物にゴーレムはいなかった。それなのに最近現れるようになった。何だか嫌な予感がするな~。
僕みたいな存在は異物みたいなもの、それが生まれてすぐに魔物が増える。関係がないとは思えない。
「あら? 今日はゴーレムの褒賞はないの?」
「ああ、今日は魔石だ。活性化していないからゴーレムになることはないけど、売れば金になる。これから増える魔物に懸賞金を出していたら町から金がなくなっちまうとか言われたよ」
エミの疑問に答えるレッグス。
なるほど、ゴーレムは多発すると町の領主は判断したってことか。中々優秀な人っぽいな。
って!? ゴーレムの魔石!
「バブバブバブ!」
「おう!? な、どうしたんだアキラ?」
レッグスの足にしがみついてお尻まで登る。お尻をつねると声をあげるレッグス。魔石に手を伸ばすと彼は分かってくれたようで、魔石を手渡してくれる。
「バブバブ!」
「魔石は綺麗だからね。触ってみたいんでしょ」
魔石を手に入れてペシペシと叩く。エミは僕の頭を撫でてくれる。
召喚魔法に使う魔石は不活性化している魔石を使う。まずは活性化させなくちゃいけない。ペシペシと叩いているのはその為。マナ、MPを込めた手のひらでペシペシと叩いてると魔石が緑色に輝く。
「「ええ!?」」
緑色に輝くとエミとレッグスが驚きの声をあげる。召喚魔法は珍しい魔法。属性魔法のように適性もあるから、僕にできるか心配してた。だけど、出来そうだ。
「緑色に輝いてる? 魔物は赤く輝くはず」
レッグスが魔石の輝きを見て呟く。魔物になる時は赤く光る。召喚に使われるときは緑に輝く。人のMPを注いでいるから緑色に輝いているらしい。
「召喚魔法ね。アキラがやっているみたい」
「それは本当か!? ってことはゴーレムが召喚されるのか?」
エミが気が付いて声をあげる。魔石の元となった魔物が召喚されるのは普通の召喚魔法。このままMPを注いでいけばゴーレムが召喚される。この魔石を心臓にして。
「ゴーレムが召喚されたら家が壊れるぞ」
「そ、そうね……。アキラ、召喚しちゃダメよ」
……召喚しようと思ったらレッグスが気になることを言ってきた。今の両親に迷惑をかけるのは良くないよな……。外に出てやろう。
「まって、外でならいいと思っちゃダメよ。召喚魔法が出来る赤ん坊なんて珍しい。人さらいに知られたら毎日恐怖におびえないといけなくなる。あなたを失う恐怖と……」
扉の方向にハイハイしているとエミにそんなことを言われてしまった。赤ん坊が召喚魔法を使える。それはとても魅力的なステータスのようだ。
人攫いか、それは怖いな。誰にも見られない所で召喚魔法を勉強していかないといけないってことか。
「はは、凄いなアキラは。お祝いにその魔石はお前にやるよ。ゴーレムを召喚するときは見せてくれよ」
「バブ!」
レッグスはそう言って頭を撫でてくれる。その様子を見てエミは呆れてため息をついた。
「もう、そう言う問題じゃないでしょ。その魔石も隠しておかないとダメよ。貴族なんかに見られたら問答無用でアキラを寄こせって言ってくるわ。引っ越さないといけないわね」
エミは危機感を持ってるみたいだ。それほど召喚魔法は貴重な物ってことか。引っ越しまでしないといけないとは、少しうかつだった。
でも、町の外に行くってことは召喚魔法が使えるってことだよな。魔法使いたい放題ってこと! 帰る為に色々試せるぞ!
「よし、大体荷積みは終わったな。エミ、アキラ。俺達の故郷へ帰るぞ~」
次の日、荷積みを終えて声をあげるレッグス。エミと一緒に頷いて答える。
僕らはこうして、生まれた町【レグルスエイド】を後にした。
ーーーーーーーーーーー
馬車に揺られること一週間。農場のある村にたどり着いた。ここが二人の故郷?
「はぁ~、やっと着いた」
「荷物が無ければもっと早くつけたんだけどね」
村の中にはいって馬車から荷ほどきを始める。騒がしくなって村の人達が出てきてる。あんまり歓迎されていないような感じがするけど。
「この【ルインズ】で育ったレッグスとエミだ。帰ってきたからよろしくな!」
レッグスが村の人達に声をあげる。すると村の人達は無視するように家に帰っていく。あまり感じはよくないな。
「ん? なんか雰囲気が悪いな」
「元からよそ者には厳しかったからね。私の家に行った方がよさそうね」
レッグスが首を傾げているとエミが提案する。荷ほどきした荷物を村の中央の家にいれようとしていたレッグスだったけれど、それは彼の実家みたい。村の真ん中にあるから悪目立ちするという事でエミの実家に行くことにした。
実家と言っても両親は居ないみたいだな。話では別の町に移り住んでるみたい。家は二人に譲っていたらしい。村の人達に嫌われてるのはそのせいじゃないかな? 一番いい家を手付かずにしていたから。
「よっし! 荷ほどきおしまいだ。はぁ~、埃臭いな~」
「そりゃそうよ。10年も誰もすんでいなかったんだから。補修もしないといけないかもね」
荷ほどきが終わってホッと胸をなでおろすのも束の間。埃臭い家にため息をつくレッグス。エミは早速掃除に取り掛かる。
僕は手伝うこともできない。迷惑かけちゃったな~。
577
お気に入りに追加
855
あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる