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第一章
第10話 ゴブリンの集落
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「この山にゴブリンの集落が出来ているようです。鹿の死骸が飾られているのが目撃されました」
「ゴブリンか~。あいつら女を見るとすぐに群がってくるからな」
色々なファンタジーで語られている通り、ゴブリンは他種族の女と交わって子を増やす。
稀にゴブリンの雌というのもいるのだが、それはごくまれなんだよな。だけど、その稀が極めて危険。
雌は一日で子を産んで一回で30匹以上産む。子供も戦えるようになるのに一日だし、その中でも強個体が多く見受けられるようになる。
どちらにしても早めに処分するのが世界のためだな。
「いた!」
フジノちゃんがみんなに聞こえるほどの声をあげる。
少し山を登っていくと鹿の頭が木の槍に刺さっているものが見えてきた、とおもったら、ゴブリンも見えた。
ツルヤさんとウルハさんに気づくと襲い掛かってくる。
「頭の悪い!」
「どりゃ!」
アダチさんは盾で地面に叩きつけて片手剣を突き刺した。ゴブリンは簡単に息絶えていった。
「こっちで間違いないみたいですね。しかし……」
「うん。タチカワッチの支援魔法が凄すぎて体が軽いよ~」
みんな俺を見て褒めてくる。
今日の強化値は+3で同じなんだけど、それでも驚いてるね。
マナ結晶を消費しなくても魔力には余裕が出来てきてる。これならもうちょっと強化値を上げてもいいかもな。
「集落をせん滅出来たらいくらくらいになるんですか?」
「ゴブリン一匹が常備依頼で一万ですから集落は百以上。上位種がいればランクでかわりますけど、300万くらいが最低額でしょうか?」
エガワさんが答えて、もう一人の無口なワサキさんが頷いてこたえてくれた。ワサキさんは前の時も一言も口を開かなかったな~。顔からして女の人だと思うけどな。
そのまま、俺達は集落があると思われる方角へと山を登っていく。
獣道が骨の杖のようなもので囲われていて、まるで道のように整備されている。
「見えてきた」
アダチさんがそういって指さした。そこには段々畑のような土地に一段一段ずつ木や骨で作られたテントが見える。
あれすべてにゴブリンがいるのか、外には一匹も見られないな。
「おかしい。集落を作るほどの統率がみられるのに、見張り台がないし、見張りがいない……」
「後ろ!?」
ギィ! ギィ! という声が聞こえてくる。
整備された道を歩いてくるゴブリン達が鹿を仕留めてきたらしい。見張りがいなかったのも総出で狩りに行っていたのが伺える。
「あいつら、魔物も狩ってるな」
「なかなか強い個体がいるようだね」
獲物を盗み見ると、普通よりも大きな熊が鎧を身に着けているような魔物、名前はアーマードベアというらしいがそれが見える。銃なんかじゃ勝てないような魔物だな。
「いた! ゴブリンチャンピオンだね」
最後尾にひときわ大きなゴブリンがいた。ゴブリンと言われるにはあまりにも大きい個体だ。
3メートルのアーマードベアと同じくらいか、それ以上のゴブリンが鼻息荒く大きな斧を肩に担いで歩いている。鬼と言われても納得の体躯だな。
「わっ!?」
「どうした?」
「あのゴブリンこっちをみた」
ツルヤさんがそういうと、ギャギャギャ! という声がゴブリンの集落からしてきた。
「ばれた! 戦闘準備!」
アダチさんの合図でツルヤさんとアダチさんを先頭にした陣形を取る。
「【ゴーレム召喚】」
「「「「「!?」」」」」
ツートップでは間に合わないと思った俺は思わずゴーレムを召喚した。
アダチさん達は顎が外れるんじゃないかってくらい驚いたがすぐにそれどころじゃないと気を取り直してゴブリンに向き直った。
「支援を強化します!」
「ええ!? まだ何かあるの?」
驚くウルハさんを他所に支援魔法の強化をあげる。
+3から10へと変化させるとみんな顔を見合って微笑んだ。
その一瞬の微笑みのあと、先頭の二人が接敵して盾と剣を無数のゴブリンへ当てる。ゴブリンは無抵抗に体が裂け、またはつぶれて絶命していく。
「これはいい! 抵抗を感じない」
「それにすっごい早いよ! +3でも凄いのにその二倍入ってる?」
アダチさんとツルヤさんが大喜びで声をあげる。+10でこんなにも変化があるのか。基本のステータスの情報が欲しいな。
「皆さんのステータスを聞いても?」
「こんなときに!?」
「こんなときだからこそですよ。それにゴーレムにゴブリン達が集まっていますから大丈夫」
ゴーレムは大きいから目立つ。ゴブリン達は知性があまりないので目立つ方へと群がるようだ。
「俺は筋力が10ってところだ。これでも運がいい方だぜ。レベル上がってもステータス上がらないことがあるんだからな」
「!?」
レベルが上がってもステータスが上がらないことがある!? そんなことあっていいのか?
しかし、それなら色々と納得だ。全てのステータスを+3するだけで、あれだけ驚かれたり。+10でこれだけみんなの強さが変わったりね。
「みんな、散開して戦うぞ」
「了解! タチカワッチの力を思い知らせてやる~」
ステータスが上がったことでみんなのテンションが上がってる。ゴブリンも当初は三百程かと思われたけど、千はいそうだ。みんなでバラバラで倒したほうが効率がいいと判断したんだろう。ゴーレムを先行させて安全を確保しつつ、段々畑の段を一つ一つ制圧していく。
「テントにはここら辺の村を襲った戦利品があるな」
テントを見ると収集されたものが散乱している。
クエストとして指定されたエリアの近くは避難対象地域となって避難をさせられる。
今ではその命令を断ると罰せられるため人死には発生しないが、奪われたものはだいたい帰ってこないので色々と議論されてる。
「あれ? 貴金属がない……」
「ゴブリンは貴金属を集める傾向があるんですか?」
フジノちゃんもテントに入ってきて呟いた。貴金属がないのはおかしなことなのか?
「あるよ。カラスみたいに光るものが大好きなんだよ。それなのにないってことは貴金属を集める個体がいるってことだね……」
「じゃあ?」
「グルァァァ~~~」
「「!?」」
ウルハさんもテントに入ってきて話していると外から凄い叫び声が聞こえてきた。
急いで外へ出て上を見上げるとアダチさん達と対峙するゴブリンチャンピオンの姿が見えた。
「ゴブリンか~。あいつら女を見るとすぐに群がってくるからな」
色々なファンタジーで語られている通り、ゴブリンは他種族の女と交わって子を増やす。
稀にゴブリンの雌というのもいるのだが、それはごくまれなんだよな。だけど、その稀が極めて危険。
雌は一日で子を産んで一回で30匹以上産む。子供も戦えるようになるのに一日だし、その中でも強個体が多く見受けられるようになる。
どちらにしても早めに処分するのが世界のためだな。
「いた!」
フジノちゃんがみんなに聞こえるほどの声をあげる。
少し山を登っていくと鹿の頭が木の槍に刺さっているものが見えてきた、とおもったら、ゴブリンも見えた。
ツルヤさんとウルハさんに気づくと襲い掛かってくる。
「頭の悪い!」
「どりゃ!」
アダチさんは盾で地面に叩きつけて片手剣を突き刺した。ゴブリンは簡単に息絶えていった。
「こっちで間違いないみたいですね。しかし……」
「うん。タチカワッチの支援魔法が凄すぎて体が軽いよ~」
みんな俺を見て褒めてくる。
今日の強化値は+3で同じなんだけど、それでも驚いてるね。
マナ結晶を消費しなくても魔力には余裕が出来てきてる。これならもうちょっと強化値を上げてもいいかもな。
「集落をせん滅出来たらいくらくらいになるんですか?」
「ゴブリン一匹が常備依頼で一万ですから集落は百以上。上位種がいればランクでかわりますけど、300万くらいが最低額でしょうか?」
エガワさんが答えて、もう一人の無口なワサキさんが頷いてこたえてくれた。ワサキさんは前の時も一言も口を開かなかったな~。顔からして女の人だと思うけどな。
そのまま、俺達は集落があると思われる方角へと山を登っていく。
獣道が骨の杖のようなもので囲われていて、まるで道のように整備されている。
「見えてきた」
アダチさんがそういって指さした。そこには段々畑のような土地に一段一段ずつ木や骨で作られたテントが見える。
あれすべてにゴブリンがいるのか、外には一匹も見られないな。
「おかしい。集落を作るほどの統率がみられるのに、見張り台がないし、見張りがいない……」
「後ろ!?」
ギィ! ギィ! という声が聞こえてくる。
整備された道を歩いてくるゴブリン達が鹿を仕留めてきたらしい。見張りがいなかったのも総出で狩りに行っていたのが伺える。
「あいつら、魔物も狩ってるな」
「なかなか強い個体がいるようだね」
獲物を盗み見ると、普通よりも大きな熊が鎧を身に着けているような魔物、名前はアーマードベアというらしいがそれが見える。銃なんかじゃ勝てないような魔物だな。
「いた! ゴブリンチャンピオンだね」
最後尾にひときわ大きなゴブリンがいた。ゴブリンと言われるにはあまりにも大きい個体だ。
3メートルのアーマードベアと同じくらいか、それ以上のゴブリンが鼻息荒く大きな斧を肩に担いで歩いている。鬼と言われても納得の体躯だな。
「わっ!?」
「どうした?」
「あのゴブリンこっちをみた」
ツルヤさんがそういうと、ギャギャギャ! という声がゴブリンの集落からしてきた。
「ばれた! 戦闘準備!」
アダチさんの合図でツルヤさんとアダチさんを先頭にした陣形を取る。
「【ゴーレム召喚】」
「「「「「!?」」」」」
ツートップでは間に合わないと思った俺は思わずゴーレムを召喚した。
アダチさん達は顎が外れるんじゃないかってくらい驚いたがすぐにそれどころじゃないと気を取り直してゴブリンに向き直った。
「支援を強化します!」
「ええ!? まだ何かあるの?」
驚くウルハさんを他所に支援魔法の強化をあげる。
+3から10へと変化させるとみんな顔を見合って微笑んだ。
その一瞬の微笑みのあと、先頭の二人が接敵して盾と剣を無数のゴブリンへ当てる。ゴブリンは無抵抗に体が裂け、またはつぶれて絶命していく。
「これはいい! 抵抗を感じない」
「それにすっごい早いよ! +3でも凄いのにその二倍入ってる?」
アダチさんとツルヤさんが大喜びで声をあげる。+10でこんなにも変化があるのか。基本のステータスの情報が欲しいな。
「皆さんのステータスを聞いても?」
「こんなときに!?」
「こんなときだからこそですよ。それにゴーレムにゴブリン達が集まっていますから大丈夫」
ゴーレムは大きいから目立つ。ゴブリン達は知性があまりないので目立つ方へと群がるようだ。
「俺は筋力が10ってところだ。これでも運がいい方だぜ。レベル上がってもステータス上がらないことがあるんだからな」
「!?」
レベルが上がってもステータスが上がらないことがある!? そんなことあっていいのか?
しかし、それなら色々と納得だ。全てのステータスを+3するだけで、あれだけ驚かれたり。+10でこれだけみんなの強さが変わったりね。
「みんな、散開して戦うぞ」
「了解! タチカワッチの力を思い知らせてやる~」
ステータスが上がったことでみんなのテンションが上がってる。ゴブリンも当初は三百程かと思われたけど、千はいそうだ。みんなでバラバラで倒したほうが効率がいいと判断したんだろう。ゴーレムを先行させて安全を確保しつつ、段々畑の段を一つ一つ制圧していく。
「テントにはここら辺の村を襲った戦利品があるな」
テントを見ると収集されたものが散乱している。
クエストとして指定されたエリアの近くは避難対象地域となって避難をさせられる。
今ではその命令を断ると罰せられるため人死には発生しないが、奪われたものはだいたい帰ってこないので色々と議論されてる。
「あれ? 貴金属がない……」
「ゴブリンは貴金属を集める傾向があるんですか?」
フジノちゃんもテントに入ってきて呟いた。貴金属がないのはおかしなことなのか?
「あるよ。カラスみたいに光るものが大好きなんだよ。それなのにないってことは貴金属を集める個体がいるってことだね……」
「じゃあ?」
「グルァァァ~~~」
「「!?」」
ウルハさんもテントに入ってきて話していると外から凄い叫び声が聞こえてきた。
急いで外へ出て上を見上げるとアダチさん達と対峙するゴブリンチャンピオンの姿が見えた。
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