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第二章 学校
第65話 お兄ちゃんとお父さん
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「落ち着いてオーリーさん」
「これが落ち着いていられますか! ラルクが別の人になっちゃったなんて聞いて!」
アイとお父さんがリビング来るとオーリーちゃんが涙を流しながらウテナさんに迫っているの。今にも崩れてしまいそうな表情で可哀そうなの。レッグお兄ちゃんたちやイデアお姉ちゃんたちもいて、悲しそうな顔をしているの。
「ラルク! 嘘よね? あなたはラルクなんでしょ?」
「……」
「嘘って言ってよ!」
「すまない」
「嘘よ……」
オーリーちゃんはそう言ってその場に座ってしまうの。涙がとめどなく流れて絨毯にしみていくの。アイも涙が止まらないの……。
「僕にも何が何やら……」
お父さんがオーリーちゃんの肩に手を置いて慰めているの。それは逆効果だったみたいなの、すぐに手を払われて睨まれているの。
「触らないで! 泥棒! ラルクを返してよ!」
「……」
オーリーちゃんは別の人になっちゃったみたいにお父さんにひどい言葉を投げつけているの。アイは何も言えないの、どっちも大切な人だから何も言えないの。
「……酷いなオーリー。俺は泥棒になったつもりはないよ」
「ラ、ラルク?」
「そうだよオーリー」
お父さんが目を瞑ると口調が変わったの。ラルクお兄ちゃんが声をあげたの。
「俺はアイちゃんのお父さんと体を分け合っているみたいなんだ。プラクティラ様が教えてくれてね」
「プラクティラ様……」
「可笑しな感じだよね。神様なんて会った事もないのに……しばらくはこんな変な感じになっちゃうけど、俺を待っててくれるかな?」
「う、うん。待ってる」
「ありがとう。大好きなオーリー」
「私も大好きだよ……」
ラルクお兄ちゃんとオーリーちゃんが抱き合って泣いているの。みんな泣いてるの! アイも泣くの!
「ウテナ様、説明してもらっていいですか?」
「ええ、全部、説明するわ」
レッグお兄ちゃんがウテナさんに説明を求めているの。みんなでソファーのある、二階の部屋に入るの。
部屋に入って、それぞれソファーや椅子に腰かけるとウテナさんがみんなにこれまでの話をするの。みんな驚いていて、アイとラルクお兄ちゃんを何度も見ているの。
「アイちゃんの両親を救えるって事ですか」
「そういうことになるわ。たぶん」
「たぶんなんですね」
みんな考えこんじゃっているの。
「大丈夫なの! お父さんもお母さんも大丈夫なの!」
「……ふふ、相変わらずね、アイは」
ルナちゃんに笑われちゃったの。みんなもつられて笑っているの。やっぱり、みんな笑顔がいいの。
「……じゃあ、あの魔族の女性が怪しいんじゃないかな?」
オーリーちゃんが口を開いたの。
「メイギスお姉ちゃんなの?」
「そうよ。その人が怪しいわ。ラルクも可笑しな感じだったし、あの人に殴られてアイちゃんのお父さんになったし」
メイギスお姉ちゃんはお母さんと同じ匂いがしたし確定だと思うの。
「ラルクお兄ちゃん。もう一度お父さんになってほしいの」
「いや、出てきてくれないんだ。しばらくは出れないかも」
メイギスお姉ちゃんのことを知っていると思うから聞きたかったけど、ダメみたいなの。どうすればいいの?
「アイは何か感じた?」
「感じたの。甘い匂いがしてホッとして、抱きしめてほしいと思ったの」
「当たりね。ラルクさんの時もそんな感じだったもの」
ルナちゃんの質問に答えたの。やっぱり、メイギスお姉ちゃんがお母さんっぽいの。
「メイギスお姉ちゃんも初めて会った気がしないって言っていたの」
「あ~そりゃ当たりだわ。ラルクもそんなこと言ってたしな」
レッグお兄ちゃんとレザーお兄ちゃんが頷いたの。
「お姉ちゃんはマスターがなんとかって言って飛んで行っちゃったの」
「マスター? 魔族のマスターというと魔王かしら?」
「それか魔属領の領主?」
「ということは北のワグナリア国の領か」
みんな考え込んでいるの。魔族さんが住んでいるのは北にあるらしいの。
「空を飛ぶ魔法を使っている人はいないはずなんだけどな」
「アイは使えるの」
「いや、アイちゃんは特別だよ」
「じーじも使えるの」
「じーじ?」
「ゴルグィード先生なの」
「あ~。なるほど、ゴルグィード様か、あの人も特別だ」
レザーお兄ちゃんが何度も頷きながら納得しているの。じーじはやっぱりすごいみたいなの。
「ゴルグィード様と話せるんだったら仲人になってもらって魔族と話してみるとか?」
「それが一番早いかも」
イデアお姉ちゃんとフランお姉ちゃんが提案したの。じーじは凄い人だから、いけるかもしれないの。
「話してみるの!」
「アイちゃん、頑張ってね」
「私達じゃ話すこともできないから」
オーリーちゃん達がアイを抱きしめてくれたの。アイはみんなの為にも頑張るの。
「これが落ち着いていられますか! ラルクが別の人になっちゃったなんて聞いて!」
アイとお父さんがリビング来るとオーリーちゃんが涙を流しながらウテナさんに迫っているの。今にも崩れてしまいそうな表情で可哀そうなの。レッグお兄ちゃんたちやイデアお姉ちゃんたちもいて、悲しそうな顔をしているの。
「ラルク! 嘘よね? あなたはラルクなんでしょ?」
「……」
「嘘って言ってよ!」
「すまない」
「嘘よ……」
オーリーちゃんはそう言ってその場に座ってしまうの。涙がとめどなく流れて絨毯にしみていくの。アイも涙が止まらないの……。
「僕にも何が何やら……」
お父さんがオーリーちゃんの肩に手を置いて慰めているの。それは逆効果だったみたいなの、すぐに手を払われて睨まれているの。
「触らないで! 泥棒! ラルクを返してよ!」
「……」
オーリーちゃんは別の人になっちゃったみたいにお父さんにひどい言葉を投げつけているの。アイは何も言えないの、どっちも大切な人だから何も言えないの。
「……酷いなオーリー。俺は泥棒になったつもりはないよ」
「ラ、ラルク?」
「そうだよオーリー」
お父さんが目を瞑ると口調が変わったの。ラルクお兄ちゃんが声をあげたの。
「俺はアイちゃんのお父さんと体を分け合っているみたいなんだ。プラクティラ様が教えてくれてね」
「プラクティラ様……」
「可笑しな感じだよね。神様なんて会った事もないのに……しばらくはこんな変な感じになっちゃうけど、俺を待っててくれるかな?」
「う、うん。待ってる」
「ありがとう。大好きなオーリー」
「私も大好きだよ……」
ラルクお兄ちゃんとオーリーちゃんが抱き合って泣いているの。みんな泣いてるの! アイも泣くの!
「ウテナ様、説明してもらっていいですか?」
「ええ、全部、説明するわ」
レッグお兄ちゃんがウテナさんに説明を求めているの。みんなでソファーのある、二階の部屋に入るの。
部屋に入って、それぞれソファーや椅子に腰かけるとウテナさんがみんなにこれまでの話をするの。みんな驚いていて、アイとラルクお兄ちゃんを何度も見ているの。
「アイちゃんの両親を救えるって事ですか」
「そういうことになるわ。たぶん」
「たぶんなんですね」
みんな考えこんじゃっているの。
「大丈夫なの! お父さんもお母さんも大丈夫なの!」
「……ふふ、相変わらずね、アイは」
ルナちゃんに笑われちゃったの。みんなもつられて笑っているの。やっぱり、みんな笑顔がいいの。
「……じゃあ、あの魔族の女性が怪しいんじゃないかな?」
オーリーちゃんが口を開いたの。
「メイギスお姉ちゃんなの?」
「そうよ。その人が怪しいわ。ラルクも可笑しな感じだったし、あの人に殴られてアイちゃんのお父さんになったし」
メイギスお姉ちゃんはお母さんと同じ匂いがしたし確定だと思うの。
「ラルクお兄ちゃん。もう一度お父さんになってほしいの」
「いや、出てきてくれないんだ。しばらくは出れないかも」
メイギスお姉ちゃんのことを知っていると思うから聞きたかったけど、ダメみたいなの。どうすればいいの?
「アイは何か感じた?」
「感じたの。甘い匂いがしてホッとして、抱きしめてほしいと思ったの」
「当たりね。ラルクさんの時もそんな感じだったもの」
ルナちゃんの質問に答えたの。やっぱり、メイギスお姉ちゃんがお母さんっぽいの。
「メイギスお姉ちゃんも初めて会った気がしないって言っていたの」
「あ~そりゃ当たりだわ。ラルクもそんなこと言ってたしな」
レッグお兄ちゃんとレザーお兄ちゃんが頷いたの。
「お姉ちゃんはマスターがなんとかって言って飛んで行っちゃったの」
「マスター? 魔族のマスターというと魔王かしら?」
「それか魔属領の領主?」
「ということは北のワグナリア国の領か」
みんな考え込んでいるの。魔族さんが住んでいるのは北にあるらしいの。
「空を飛ぶ魔法を使っている人はいないはずなんだけどな」
「アイは使えるの」
「いや、アイちゃんは特別だよ」
「じーじも使えるの」
「じーじ?」
「ゴルグィード先生なの」
「あ~。なるほど、ゴルグィード様か、あの人も特別だ」
レザーお兄ちゃんが何度も頷きながら納得しているの。じーじはやっぱりすごいみたいなの。
「ゴルグィード様と話せるんだったら仲人になってもらって魔族と話してみるとか?」
「それが一番早いかも」
イデアお姉ちゃんとフランお姉ちゃんが提案したの。じーじは凄い人だから、いけるかもしれないの。
「話してみるの!」
「アイちゃん、頑張ってね」
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