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第一章 愛

第29話 隠してあったの

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「屋根がみんな青色なの~」

「ホワイトランスの町は屋根を青くしないといけないのよ。統一されているの」

 壁を越えて、町に入ると道路沿いにいろんな形の家が並んでいるの。高いのや低い家があるの、だけど、みんな屋根が青いの~。綺麗なの。

「私達の家は東側、ここは西だから、中央の学校を横目に行きましょうか」

「了解しました、ウテナ様」

 御者さんに聞こえるようにウテナさんが呟いたの。学校を窓から見えるみたいなの。

 しばらく走ってると、学校の塔が近づいてきたの。とっても高いの、首が痛くなっちゃうの。

「綺麗ね~」

「ほんと...」

「お姫様がいそうなの~」

 お母さんとお父さんに連れられて、行ったことがあるお城みたいなの。青と白のお城みたいな学校を正面から見て、東側に走っていくの。あの学校に通うようになると思うと楽しみなの~。






 目的の屋敷が見えてきたの~。

「さあ、メイド達。掃除を始めますよ」

『はい!』

 家に着くとメイド長のメイルさんがメイドさん達と一緒に屋敷に走っていったの。屋敷には管理していた人はいなかったみたいで汚れているみたいなの。外から見ると綺麗だけど、誰もいなかったからそこそこ汚れているみたいなの。

「少しの間、お待ちくださいませ」

「私も手伝うわ。みんなは待っていてね」

「ああ、ウテナ様そのような事は我々が」

「メイル諦めて頂戴、一緒に掃除をさせてあげて」

「ルナ様...分かりました。お体にも障るのであまりやってほしくないのですが..」

 ウテナさんが屋敷に走っていっちゃったの。メイルさんは困って頬に手を当てているの。ルナちゃんの言葉にメイルさんはため息まじりに頷いて追いかけていったの。ウテナさんは偉いの何でも自分でやろうとしちゃうの。

「じゃあ、私達は別の所を見てみましょ」

「手伝わなくていいの?」

「これだけ広い屋敷だもの。私達は別の所を掃除しましょ」

 ルナちゃんが指さす方向に屋敷とは別の家があるの。メイドさん達は大きな屋敷にみんな行っちゃってるから少し小さめの家には誰も行っていないの。
 コンデフォート家の屋敷は大きな宮殿みたいな屋敷なの、一番大きな屋敷は左右で同じ作りになっていて、とっても綺麗なの。屋敷の前は水の道が出来てて、花壇もいっぱいあるの。今はせっせとメイドさん達が掃除しているの、大変そうなの。
 ルナちゃんと向かってる家はアイのおうちの二倍くらいの大きさの二階建てなの。一番大きな屋敷はそれの三倍くらいあるから大きいのが分かるの。

「アイ~、これをつけて」

 少し小さめの家の前に着くとルナちゃんがアイのお口にハンカチをつけてくれたの。中は埃が凄いみたいだからこういったものをつけないといけないみたいなの。何もつけないで入るとケムケムなの~。

「よし、じゃあ、入りましょ」

「探検なの~」

 マスクみたいにハンカチをつけて、早速入っていくの。二枚扉を二人で一枚ずつ開けて、日の光を中に入れるの。中は真っ暗だから開けておくの、暗いとお化けさんが来るから開けておいた方がいいの。怖くないけど怖いのは嫌なの。

「アイ怖い?」

「怖くないの。大丈夫なの」

「そう? じゃあ、手分けして探検していきましょ」

「掃除じゃないの?」

「まずは探検よ」

 ルナちゃんは楽しそうに微笑んでいるの。掃除は口実で探検が目的みたいなの、アイと一緒なの。

「私は一階を、アイは二階を探して」

「何を探せばいいの?」

「そうね~。アイの場合は精霊さんとかかしら?」

「精霊さんはもう、いっぱいいるの~」

 精霊さんはいっぱいいるから大丈夫なの。

「精霊はアンティークのものに多く集まるらしいわ。アイは精霊が見えるんだからそれでお宝を見つけるのよ」

「アンティークさんなの?」

「アイにはまだ難しかったかしら、アンティークって言うのは骨とう品って意味よ。価値のあるものなの」

「こっとうひんなの?」

 よくわからないけど、精霊さんが集まっている物を探せばいいの?

「じゃあ、頑張ってね」

「頑張るの~」

 玄関から二階に行ける階段があるの、吹き抜けの二階に上がってすぐの扉を勢いよく開けたの。ルナちゃんに負けないくらいのアンティークさんを見つけるの~。

「茶色の犬さん、何か見つけたの?」

 精霊さんの犬さんが尻尾をフリフリして、吠えているの。精霊さんは声を出せないから真似をしている感じなの。

「そっちなの?」

 犬さんが尻尾をフリフリ振って走っていったの。入った部屋の立掛けられてる絵の前に座ったの、とってもお利口さんなの。

「茶色のトカゲさんがいっぱいいるの」

 絵の周りにルナちゃんが最初に魔法を使った時みたいにトカゲさんが集まっているの、色は違うけど同じトカゲさんなの。
 ルナちゃんが言っていた通り精霊さんが集まっているの、ルナちゃんははくしきなの~。

「綺麗な女の人なの~」

 絵はとっても綺麗な女の人が書かれているの。この家の玄関で書いたと思うの、玄関と全く一緒だったの。
 ルナちゃんと同じ金髪の女性でポニーテールにしているの、アイももうちょっと長くしてポニーテールにしたいの。お母さんはお団子にしたいとか言ってたけど、アイはポニーさんがいいの。自分でやるのも簡単でとっても可愛いの。

「一個見つけたの~」

 アイは早速持って行こうと本棚を登るの。絵を取ろうと手をかけると絵が傾いたの。

「何かあるの?」

 犬さんがずっと吠えているの。絵が凄いんじゃないみたいなの。

「何かあるの」

 絵を取り外すと絵の掛けてあった壁に色違いの壁が現れたの。明らかに可笑しいの。

「ルナちゃ~ん!」

「どうしたのアイ?」

 このまま、一人でやるのは怖いの。怖いわけじゃないけど怖いのは嫌なの。

「どうしたのよアイ? こっちは地下を見つけたから今から行こうと思ったのに」

「これなの!」

「あら? 金庫かしら?」

「金庫さんなの?」

 ルナちゃんに壁を見せるとすぐにわかっちゃったの。精霊さんも集まってるからもっとすごい物だと思ったの、残念なの。
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