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第1章
第22話 スタートライン
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「よく来れたな。ライナ……。この裏切り者め」
「……」
ライナ様達が僕らの農場に住むようになって3日程が経った。
今日こそ、ラエラル様と話をつけて町の中に住まわせてもらおうと王城にやってきた。
僕とライナ様、ダークとお父さんが一生にそばについてる。
玉座の間にて、辛辣な言葉を吐きかけてくるラエラル王、まさに愚王といった様相だな。
「私は裏切ってなどいません。そのような噂に惑わされないでください」
「ふんっ! そうとも言い切れんだろ? あのような農場を建ててしまうのだからな。それも我がウラスよりも高い武力で」
ライナ様の声に鼻息荒く答えるラエラル様。もう何を言ってもだめかもしれないな。
「まあいい……。それで今日も城壁の中に入りたいと言いに来たのか?」
「はい、城壁の外はとても危険です。オクライナの魔物の群れがいつ来るかと、兵士達もおびえています」
「ふんっ! その群れも仲間なのだから恐れる意味がないだろ。城壁の中に入れるようになったらすぐにその群れを差し向けてくるのではないか?」
にらみを利かせるラエラル様。完全に裏切り者だと思われてるな。
グライアスさんもそう思ってしまう程の噂だもんな。みんなそんな目で僕らを見てきてしまっても仕方ないのか。
「そんな話よりも危機的状況だというのに、時間を割いてやっているのだ。ウラスのためになることを話そうじゃないか」
玉座の間には大臣や赤いじゅうたんの両端に甲冑を着た兵士もいる。大臣がラエラル様に耳打ちをすると王はそう言って手を叩いた。すると兵士が白い紙に書かれた表を見せてくる。
「商人どもが町から逃げて行っておる。ウラスでは食料が不足している。このままでは町民が別の町へと流入してしまう。お前たちの農場からうまそうな匂いがすると報告されている。それを提供してもらいたい」
「は、はぁ? それはお安い御用ですが」
「そうか、”無償”で提供してくれるとはさすがはライナだな」
「え!? ”無償”!?」
流石の要求に声を張り上げるライナ様。僕らも顔を見あってしまう要求だ。どんなものにも対価を払わないとダメだ。そんなこと赤ん坊の僕でもわかる。
「バブ!」
「愚王とはよくいったものだ!」
「なに!?」
僕が声をあげるとダークがあきれて首を振りながら呟く。僕の気持ちを代弁しているからわざわざラエラルに聞こえるほどの声量。よく言ってくれたと拍手を送る。もう、こいつに王は合わない。呼び捨てでいいな。
「ぐぬぬぬ。言わせておけば。私が手をあげればあのような農場はすぐにでも!」
「それはこちらも同じこと。私の眷属を放てばお前の頭は玉座の間に座ることになる」
ラエラルは歯ぎしりをして言い放つが、ダークは気にも留めずに喧嘩を買う。さすがの状況に大臣がラエラルを沈め始める。僕もダークも飄々として見据える。
「ふむ、睨みあっていても両者にとって不利益になる。争うのはやめるとしよう。王として当然の判断だな」
「それがすぐにできないから愚王なのだろうが」
「な!? 無礼だぞお前! 強いからと言って……。もういい、大臣! 食料に見合った金を握らせてやれ!」
一つ咳ばらいをしてラエラルが怒りを鎮める。それでも喧嘩を売るダークの言葉にいら立ちを見せるけど、大臣に諫められて指示を飛ばす。ライナ様と話だす大臣。
大臣さんも大変なんだろうな。髪の毛が全くない人だ。可愛そうに。
「ではこれ以上の話はないだろ? 帰るがいい」
ライナ様と大臣の話が終わるとラエラルがそう言ってシッシと手を振ってくる。ダークはそれを見て舌打ちをする。ラエラルも舌打ちをすると舌打ち合戦が始まった。一周回って仲がいいな。
何度目かの話し合いも空振り、ライナ様はうなだれながら町の外への門に歩く。後ろから見ても落胆が見える。
「元気出してくださいライナ様。ラエラル様もいつかわかってくれますよ」
「そうだといいのだが……。はぁ~、本当に私が裏切り者だったらよかったんだがな」
お父さんが慰めの言葉をかけるとあきらめを口にする。裏切りか、そうすればあのラエラルを仕留められるんだもんな。ってそんなことしちゃダメだよな。……ダメなのかな?
「ふむ、人間達はあのような無能でも王というだけで従う。血筋だけの王など、弱ければ意味がないというのに。私だったらすぐにでも首をはね、王になり替わるというのに」
「ははは、ダークさんは過激だな……」
ダークが腕を組んで言い放つ。お父さんが冷や汗をかきながら笑ってる。
彼女の言うことも一理あるよね。王国があるからってその下で暮らさなくても生きていけるんじゃないのかな?
「……ダークさんのいうことも間違っていないな。オクライナの皆を守るには我々の国を作るべきなのかもしれん……」
「バブ!」
ライナさんの言葉に僕は目を光らせる。建国! それは楽しみだ!
「……」
ライナ様達が僕らの農場に住むようになって3日程が経った。
今日こそ、ラエラル様と話をつけて町の中に住まわせてもらおうと王城にやってきた。
僕とライナ様、ダークとお父さんが一生にそばについてる。
玉座の間にて、辛辣な言葉を吐きかけてくるラエラル王、まさに愚王といった様相だな。
「私は裏切ってなどいません。そのような噂に惑わされないでください」
「ふんっ! そうとも言い切れんだろ? あのような農場を建ててしまうのだからな。それも我がウラスよりも高い武力で」
ライナ様の声に鼻息荒く答えるラエラル様。もう何を言ってもだめかもしれないな。
「まあいい……。それで今日も城壁の中に入りたいと言いに来たのか?」
「はい、城壁の外はとても危険です。オクライナの魔物の群れがいつ来るかと、兵士達もおびえています」
「ふんっ! その群れも仲間なのだから恐れる意味がないだろ。城壁の中に入れるようになったらすぐにその群れを差し向けてくるのではないか?」
にらみを利かせるラエラル様。完全に裏切り者だと思われてるな。
グライアスさんもそう思ってしまう程の噂だもんな。みんなそんな目で僕らを見てきてしまっても仕方ないのか。
「そんな話よりも危機的状況だというのに、時間を割いてやっているのだ。ウラスのためになることを話そうじゃないか」
玉座の間には大臣や赤いじゅうたんの両端に甲冑を着た兵士もいる。大臣がラエラル様に耳打ちをすると王はそう言って手を叩いた。すると兵士が白い紙に書かれた表を見せてくる。
「商人どもが町から逃げて行っておる。ウラスでは食料が不足している。このままでは町民が別の町へと流入してしまう。お前たちの農場からうまそうな匂いがすると報告されている。それを提供してもらいたい」
「は、はぁ? それはお安い御用ですが」
「そうか、”無償”で提供してくれるとはさすがはライナだな」
「え!? ”無償”!?」
流石の要求に声を張り上げるライナ様。僕らも顔を見あってしまう要求だ。どんなものにも対価を払わないとダメだ。そんなこと赤ん坊の僕でもわかる。
「バブ!」
「愚王とはよくいったものだ!」
「なに!?」
僕が声をあげるとダークがあきれて首を振りながら呟く。僕の気持ちを代弁しているからわざわざラエラルに聞こえるほどの声量。よく言ってくれたと拍手を送る。もう、こいつに王は合わない。呼び捨てでいいな。
「ぐぬぬぬ。言わせておけば。私が手をあげればあのような農場はすぐにでも!」
「それはこちらも同じこと。私の眷属を放てばお前の頭は玉座の間に座ることになる」
ラエラルは歯ぎしりをして言い放つが、ダークは気にも留めずに喧嘩を買う。さすがの状況に大臣がラエラルを沈め始める。僕もダークも飄々として見据える。
「ふむ、睨みあっていても両者にとって不利益になる。争うのはやめるとしよう。王として当然の判断だな」
「それがすぐにできないから愚王なのだろうが」
「な!? 無礼だぞお前! 強いからと言って……。もういい、大臣! 食料に見合った金を握らせてやれ!」
一つ咳ばらいをしてラエラルが怒りを鎮める。それでも喧嘩を売るダークの言葉にいら立ちを見せるけど、大臣に諫められて指示を飛ばす。ライナ様と話だす大臣。
大臣さんも大変なんだろうな。髪の毛が全くない人だ。可愛そうに。
「ではこれ以上の話はないだろ? 帰るがいい」
ライナ様と大臣の話が終わるとラエラルがそう言ってシッシと手を振ってくる。ダークはそれを見て舌打ちをする。ラエラルも舌打ちをすると舌打ち合戦が始まった。一周回って仲がいいな。
何度目かの話し合いも空振り、ライナ様はうなだれながら町の外への門に歩く。後ろから見ても落胆が見える。
「元気出してくださいライナ様。ラエラル様もいつかわかってくれますよ」
「そうだといいのだが……。はぁ~、本当に私が裏切り者だったらよかったんだがな」
お父さんが慰めの言葉をかけるとあきらめを口にする。裏切りか、そうすればあのラエラルを仕留められるんだもんな。ってそんなことしちゃダメだよな。……ダメなのかな?
「ふむ、人間達はあのような無能でも王というだけで従う。血筋だけの王など、弱ければ意味がないというのに。私だったらすぐにでも首をはね、王になり替わるというのに」
「ははは、ダークさんは過激だな……」
ダークが腕を組んで言い放つ。お父さんが冷や汗をかきながら笑ってる。
彼女の言うことも一理あるよね。王国があるからってその下で暮らさなくても生きていけるんじゃないのかな?
「……ダークさんのいうことも間違っていないな。オクライナの皆を守るには我々の国を作るべきなのかもしれん……」
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