【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)

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第1章

第13話 信頼

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 お父さんを捕まえようとしてきた兵士を街へと帰して、帰ってきたダークに情報を聞いてきたのか聞く。
 どうやら、兵士たちは王からの命令で僕らを立ち退きさせたかったみたいだ。
 確かに、城壁のすぐそばに建物があると守りにくいっていうのはあるかもしれないな。
 戦国時代の一夜城みたいなもんだもんな。剣と魔法の世界では木っていうのは弱いと思うけどね。

「魔法兵が少なくて焦ったようですね」

「ダブ?」

 ええ、失格紋の事を悪く言う人が多いのに魔法使えないの? 変なの~。
 ダークの報告に首を傾げているとお母さんが僕を抱き上げた。

「バブ」

「もう! アーリー。危ないことをしてはダメよ。あなたがどんなに強くても子供なんだからね」

 お母さんが頬をスリスリしてきて怒ってきた。怒っているのにスリスリしてくるものだからあまり説得力がないよ。

「は~とりあえず、王に話をつけたほうがいいかもしれないですね」

「そうだな。ダークさん。一緒に来てくれますか?」

 ダークが話すとお父さんが提案した。ダークは僕を見つめてきたので頷いてこたえる。
 
「私も一緒に行くわ! アーリーを連れて」

「バブ!」

 オクライナのみんなも行くと言って来たんだけど、大勢で行くと騒ぎになってしまうので僕らだけで行くことにした。
 最大戦力の僕とダークがいれば大丈夫でしょう。
 因みに僕のステータスは更に上がっちゃった。

 アーリー 0歳 LV 320

 HP 1000000
 MP 500000

 STR 175000
 DEF 169000
 DEX 170000
 AGI 180000
 MND 137000
 INT 130000
 
 【幸せ】【経験値100倍】【ファイアブレス】

 0歳で320レベルは異常だ。
 ヒュドラを倒したことで特殊能力が目覚めた。炎が吐ける赤ん坊になってしまいました。ここぞという時に吐かせてもらいます。
 まあ、ステータスが凄いから使うこともないと思うけどね。
 ということで僕らは王城の前にやってきた。内壁もあって立派な城が覆われているよ。

「外の農場を作ったものです。王の命令で兵士が来たので話し合いをしたくて来ました」

「……少し待て」

 内壁の門を守るのは屈強な兵士。僕らを追い出そうとしてきた兵士よりもかなり強そうだ。

 屈強な兵士は武骨な返事をすると門の横の扉からはいっていった。

 しばらくすると兵士が帰ってきて同時に門が開いていった。

「王がお会いになるそうだ」

 兵士はそういって元の位置に戻った。門番って感じだな。

「こちらでございます。皆様」

 門から一歩、城の敷地に入ると執事の服を着たおじさんが僕らに一つお辞儀をして城の扉へと案内してくれた。

 僕らはそのまま案内されるまま城へと入って行く。





「お父様! オクライナの方々の建物を壊すとは本当ですか?」

 私は王都ウラスの王、ラエラルの娘ランネローゼ。14歳になった私はお父様の代わりに街の有力者と話し合いをしていた。その時にオクライナの話を聞いたの。
 お父様は愚王と言われているのは知っていたけど、ここまでおろかだとは思わなかったわ。
 
「おお、ランネローゼ。知っているだろう。建物を建て始めたのでなやめさせたのじゃ。まあ、失敗したがの。しかし、儂は必ずやり遂げるぞ。今、オクライナの領主に苦情の文を送ったからの」

 は~と大きなため息をわざとらしくする私。お父様は困惑したようにオドオドしてる。
 まったく、なんで自分が愚王と言われているか知っているのかしら。後先考えずに行動しすぎよ。
 オクライナからの避難民を壁の中に匿わずに外へやり、肉壁にするだけでは飽き足らずに迫害しているなんて……有力者に話をしてオクライナの方々のために建物なんかを用意していた私がばかみたいだわ。

 再度大きなため息をついた私を見てお父様は更に困ってる。
 お父様は更に愚かな行動を口にしていく。

「大丈夫じゃランネローゼ。オクライナへと行かせた儂の最強の近衛兵、シンザリオがすぐに領主に話をつけるはずじゃ」

「へ!? 文を持たせただけじゃないんですの?」

「言うことを聞かせるために暴力も必要じゃろ」

 ここへきて暴君のようなことまで言い始めたわ。
 まったく、実の親じゃなければいっそのこと毒でも盛るというのに。
 シンザリオ様は近衛兵の中でも一番の兵。炎を操ることにかけていて、魔法兵の少ないウラスの重要な戦力。
 もちろん、二番目に強い方も強いのだけど、しょせんは物理を極めているだけ、空を飛んでいるものに勝てるほどの強さではない。
 
「もういいですわ! お父様は何もしないでください! 民への信頼が一番大切なのですから!」

「ランネローゼ……なにをあんなに怒っておるのじゃ?」

 拒絶の言葉と共に私は玉座の間を後にした。
 まったく、お母様がこの国を離れたのも分かるわ。頭がどうにかなりそう。

「ランネローゼ様」

「クリス。オクライナのキャンプに行くわよ」
 
 玉座の間を出るとすぐに私の従者であるクリスがそばに来て跪いた。
 彼女は細剣の達人で私の最高の部下で親友。彼女に声をかけるとすぐに外へとかけていったわ。

 クリスを見送っていると彼女とすれ違うように集団が執事に連れられて歩いてきているのが見えた。
 異様な雰囲気を感じてクリスが何度か振り返ってる。
 私もそれを感じたわ。

「バブ?」

 集団の女性が抱きかかえる赤ん坊。とても可愛らしいその子が指を咥えて声をあげている。
 一瞬で私は頬を緩ませてしまった。
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