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第1章
第6話 策略
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「全員起きろ~!」
魔物の群れの斥候が僕たちに気づいてしまったみたいだ。街から出てきた獲物として狙ってきたみたい。
見張りの張りつめた声がそこかしこでしている。
「この場で迎え撃つ! 戦えるものは武器を取れ!」
護衛を請け負った冒険者の隊長さんが声をあげた。
隊長さんはシデンさんと言って紫髪のポニーテールの女性だ。なぎなたのような槍を持っていてなんだかカッコいい。
「マ、マスター。私が行きますか? マスターは流石に手を出せませんよね」
「バブ! バブバブ」
「ダメですか。確かに私も魔物ですから。バレたら混乱が増しますね。ではどうしますか?」
僕はステータスがおかしいからあまり出たくない。ダークもあまり出ると危険だよね。
出来るだけみんなを守りたいけど、う~どうしよう。
「お前たちは早く後方に」
「あなた!」
「私は兵士だ。一人でも助けなければ」
お父さんが鎧に着替えて戦場に向かった。
「マスターどうしますか」
「アウアウ~」
考えている場合じゃない。そろそろ接敵する。お父さんが危ない!
「バブ!」
「わかりました。人の姿で一掃してきます!」
「バブ!」
親指を立ててダークを向かわせる。人の姿で戦えば何とかごまかせる。
ただ、ダークがスカウトされてしまうかもしれない。なんて言ってもダークフェンリルとかいう凄い魔物っぽいからね。僕の半分の強さと言っていたけど相当なもののはずだから、人の姿でもそのままの強さになるんだったら絶対に目をつけられちゃうだろうな。それでも人の命には代えられない仕方ないよね。
ダークを見送って僕とお母さんは後方に下がって見守ることになった。
◇
「ひっひっひ、計画通りだ」
避難民の中でほくそ笑む一人の男がいた。
その男はある国の貴族に依頼されて魔物をおびき寄せる香を焚いた。
本来ならば、街に向かうはずの魔物の群れの斥候。
狼などの四足獣は鼻もいいため、香に反応するのだった。
まんまと男の計画通りに事が進み我慢できずにほくそ笑むのだった。
「数人を残して迎撃に出る」
「はっ!」
シデンはそうとも知らずに迎え撃たんと兵士や部下を連れて前線へと向かった。
しめしめと男は懐に忍ばせていた短剣を手に取り暗躍する。
「数人殺して何人か引っ張っていくか」
男はさらなる報酬を望み危険へと足を踏み入れた。
「バブ!」
「ぎゃ……。もごもご」
エネへと迫る気配にいち早く気づいたアーリー。彼のお腹が男へと覆いかぶさり意識をもぎ取っていった。
誇らしげにお腹をさすり何事もなかったかのようにエネの腕の中へと戻る。
「ど、どうした? ん、なんだこいつは短剣を持っている?」
「この紋章は!」
男の持っていた短剣に兵士たちは見たことがあったようだ。短剣を拾いまじまじと見つめている。
「ガストゥーレの紋章!」
「じゃあ、こいつは帝国の犬ってことか!」
「紋章を持っているものはそれなりの身分のはずだ。それか、依頼されたもの……」
「ってことは」
「とりあえず、縛っておこう。この短剣を何に使おうとしたのか吐かせる。そして、魔物の群れとの関係もな」
兵士たちは男を縛り上げた。状況が状況のため、すぐに尋問をすることはできない。身動きを取れない状況にしておくことしかできない。歯がゆいが致し方ない。
「アーリーは本当にすごいわね。お母さん、お鼻が高いわ」
「バブ~」
悔しがる兵士達を他所にエネとアーリーは微笑み合っていた。
先ほど命を狙われたご夫人とは思えないほどの笑みで見ているこちらも笑みがこぼれてしまうほどだ。
しかし、あの男も高望みした結果正体がバレることとなってしまった。馬鹿な男である。
◇
「さてさて、どんな感じだ?」
「シデン隊長、少し後退してください。危ないです」
陣の柵から身を乗り出して、魔物の群れを覗き込んだ。暗闇に赤い目が波のようにこちらに流れてくる。
部下は青年が私を止めようとしてくる。まったく、私の事はいいから自分の心配をしてほしいものだ。
「弓兵撃て!」
私の合図で弓が射かけられる。赤い波がいったん止まった。しかし、それも刹那、すぐに元の速度に戻ってこちらに向かってくる。
「もう一射したら出るぞ 重装兵も続け!」
『応っ!』
私は弓兵に合図しながら槍を構えた。私の槍は東の国の槍。主に女性が使う槍と言われているらしいがそれを使っている。魔物の主が持っていたものを奪い使うようになったんだが、雷を操ることが出来るアーティファクトだった。
それから私の名は紫電となり、いつの間にか本名で呼ばれなくなった。
元貴族だから、本名を名乗るのを控えていたというのもあったのだが少し悲しく思う。
「シデン隊長に続け!」
戦闘をひた走り赤い波を裂いていく。両端に裂けた赤い波を部下達がひたすらに追い詰める。
戦いながら少しずつ静かになって行く戦場。
「はっ!」
静かになりかけた戦場に大きな圧を感じた。私は思わずその圧の方向へ雷撃を放ってしまう。
戦場に始めてきた子供のように怯えている私。これでも数多くの戦場を勝ち進んできた。色々な強敵と刃を交えた。それなのに私はこんなにも怯えている。
「雲一つないのになんで雷が?」
「……」
圧の正体は綺麗な金髪の女性だった。所々肌の見える漆黒の鎧を着ている。
自慢ではないけど、私の雷撃はミノタウロスですら黒焦げになって死ぬ。まともに受けたと思った、それなのに女性は素知らぬ顔で辺りの魔物を素人のような剣で蹴散らしている。
「あなた名前は?」
「え? あなた誰?」
「し、失礼した。私はシデン。この避難民を王都まで護衛している部隊の隊長を務めている」
「あら、じゃあ、偉い人なのね。私はダークよ。よろしくね」
飛び交ってくる魔物を躱しながら撫でるように切りつける。
二人してそうして話している。まるで街の中であったかのような日常を感じて彼女への興味が尽きなかった。
「あなたなかなかやるわね」
「あ、あなたこそ」
魔物達がいなくなり夜の静寂が戻る。
彼女は何もなかったかのように平然と私を褒めてきた。
それがなんだかすごく嬉しかった。まるで先生に褒めてもらったときのような。
「じゃあ、私は避難民に戻るわ」
「えっ! 冒険者じゃないのか?」
彼女は驚くことに守られるはずの一般人だった。
あれだけの腕を持っていながら……。
欲しい!
「ダークさん。私の部隊に入らないか?」
「え?」
彼女を誘った。私と同等の強さを持つ仲間、絶対に欲しい。
「普通に嫌よ」
彼女は普通に断って去っていった。
少しの間があったけど、ほぼほぼ即答。これでも名のあるクランなんだが。少しショックだ。
魔物の群れの斥候が僕たちに気づいてしまったみたいだ。街から出てきた獲物として狙ってきたみたい。
見張りの張りつめた声がそこかしこでしている。
「この場で迎え撃つ! 戦えるものは武器を取れ!」
護衛を請け負った冒険者の隊長さんが声をあげた。
隊長さんはシデンさんと言って紫髪のポニーテールの女性だ。なぎなたのような槍を持っていてなんだかカッコいい。
「マ、マスター。私が行きますか? マスターは流石に手を出せませんよね」
「バブ! バブバブ」
「ダメですか。確かに私も魔物ですから。バレたら混乱が増しますね。ではどうしますか?」
僕はステータスがおかしいからあまり出たくない。ダークもあまり出ると危険だよね。
出来るだけみんなを守りたいけど、う~どうしよう。
「お前たちは早く後方に」
「あなた!」
「私は兵士だ。一人でも助けなければ」
お父さんが鎧に着替えて戦場に向かった。
「マスターどうしますか」
「アウアウ~」
考えている場合じゃない。そろそろ接敵する。お父さんが危ない!
「バブ!」
「わかりました。人の姿で一掃してきます!」
「バブ!」
親指を立ててダークを向かわせる。人の姿で戦えば何とかごまかせる。
ただ、ダークがスカウトされてしまうかもしれない。なんて言ってもダークフェンリルとかいう凄い魔物っぽいからね。僕の半分の強さと言っていたけど相当なもののはずだから、人の姿でもそのままの強さになるんだったら絶対に目をつけられちゃうだろうな。それでも人の命には代えられない仕方ないよね。
ダークを見送って僕とお母さんは後方に下がって見守ることになった。
◇
「ひっひっひ、計画通りだ」
避難民の中でほくそ笑む一人の男がいた。
その男はある国の貴族に依頼されて魔物をおびき寄せる香を焚いた。
本来ならば、街に向かうはずの魔物の群れの斥候。
狼などの四足獣は鼻もいいため、香に反応するのだった。
まんまと男の計画通りに事が進み我慢できずにほくそ笑むのだった。
「数人を残して迎撃に出る」
「はっ!」
シデンはそうとも知らずに迎え撃たんと兵士や部下を連れて前線へと向かった。
しめしめと男は懐に忍ばせていた短剣を手に取り暗躍する。
「数人殺して何人か引っ張っていくか」
男はさらなる報酬を望み危険へと足を踏み入れた。
「バブ!」
「ぎゃ……。もごもご」
エネへと迫る気配にいち早く気づいたアーリー。彼のお腹が男へと覆いかぶさり意識をもぎ取っていった。
誇らしげにお腹をさすり何事もなかったかのようにエネの腕の中へと戻る。
「ど、どうした? ん、なんだこいつは短剣を持っている?」
「この紋章は!」
男の持っていた短剣に兵士たちは見たことがあったようだ。短剣を拾いまじまじと見つめている。
「ガストゥーレの紋章!」
「じゃあ、こいつは帝国の犬ってことか!」
「紋章を持っているものはそれなりの身分のはずだ。それか、依頼されたもの……」
「ってことは」
「とりあえず、縛っておこう。この短剣を何に使おうとしたのか吐かせる。そして、魔物の群れとの関係もな」
兵士たちは男を縛り上げた。状況が状況のため、すぐに尋問をすることはできない。身動きを取れない状況にしておくことしかできない。歯がゆいが致し方ない。
「アーリーは本当にすごいわね。お母さん、お鼻が高いわ」
「バブ~」
悔しがる兵士達を他所にエネとアーリーは微笑み合っていた。
先ほど命を狙われたご夫人とは思えないほどの笑みで見ているこちらも笑みがこぼれてしまうほどだ。
しかし、あの男も高望みした結果正体がバレることとなってしまった。馬鹿な男である。
◇
「さてさて、どんな感じだ?」
「シデン隊長、少し後退してください。危ないです」
陣の柵から身を乗り出して、魔物の群れを覗き込んだ。暗闇に赤い目が波のようにこちらに流れてくる。
部下は青年が私を止めようとしてくる。まったく、私の事はいいから自分の心配をしてほしいものだ。
「弓兵撃て!」
私の合図で弓が射かけられる。赤い波がいったん止まった。しかし、それも刹那、すぐに元の速度に戻ってこちらに向かってくる。
「もう一射したら出るぞ 重装兵も続け!」
『応っ!』
私は弓兵に合図しながら槍を構えた。私の槍は東の国の槍。主に女性が使う槍と言われているらしいがそれを使っている。魔物の主が持っていたものを奪い使うようになったんだが、雷を操ることが出来るアーティファクトだった。
それから私の名は紫電となり、いつの間にか本名で呼ばれなくなった。
元貴族だから、本名を名乗るのを控えていたというのもあったのだが少し悲しく思う。
「シデン隊長に続け!」
戦闘をひた走り赤い波を裂いていく。両端に裂けた赤い波を部下達がひたすらに追い詰める。
戦いながら少しずつ静かになって行く戦場。
「はっ!」
静かになりかけた戦場に大きな圧を感じた。私は思わずその圧の方向へ雷撃を放ってしまう。
戦場に始めてきた子供のように怯えている私。これでも数多くの戦場を勝ち進んできた。色々な強敵と刃を交えた。それなのに私はこんなにも怯えている。
「雲一つないのになんで雷が?」
「……」
圧の正体は綺麗な金髪の女性だった。所々肌の見える漆黒の鎧を着ている。
自慢ではないけど、私の雷撃はミノタウロスですら黒焦げになって死ぬ。まともに受けたと思った、それなのに女性は素知らぬ顔で辺りの魔物を素人のような剣で蹴散らしている。
「あなた名前は?」
「え? あなた誰?」
「し、失礼した。私はシデン。この避難民を王都まで護衛している部隊の隊長を務めている」
「あら、じゃあ、偉い人なのね。私はダークよ。よろしくね」
飛び交ってくる魔物を躱しながら撫でるように切りつける。
二人してそうして話している。まるで街の中であったかのような日常を感じて彼女への興味が尽きなかった。
「あなたなかなかやるわね」
「あ、あなたこそ」
魔物達がいなくなり夜の静寂が戻る。
彼女は何もなかったかのように平然と私を褒めてきた。
それがなんだかすごく嬉しかった。まるで先生に褒めてもらったときのような。
「じゃあ、私は避難民に戻るわ」
「えっ! 冒険者じゃないのか?」
彼女は驚くことに守られるはずの一般人だった。
あれだけの腕を持っていながら……。
欲しい!
「ダークさん。私の部隊に入らないか?」
「え?」
彼女を誘った。私と同等の強さを持つ仲間、絶対に欲しい。
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