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第3話
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冒険者ギルドでゴールデンゴーレムとロック鳥のお金をもらって外へと出る。
すぐにでも船に乗りたいところだけど、日も落ちてきたので宿屋を見つけることにする。
夜に人を運ぶ船は出港しないからな~。早く帰りたいんだけどな。
「師匠! 宿屋ならポピンが紹介します!」
「いい宿屋はないかな~」
「師匠! ポピンが紹介します!」
「ん? 師匠って僕の事?」
「はい!」
いい宿屋はないかな~っと思って辺りを見回しているとギルドで誇らしげにマジックバッグを見せていた少女がついてきていた。
なぜか師匠って言ってきてるんだけど、知り合いだったっけ?
「師匠はポピンが目指す最強のポーターだと思いました! なので今日からポピンの師匠になっちゃいます!」
「へ? じゃあ、初めまして?」
「はい! 初めまして師匠!」
ポピンはお辞儀をして、挨拶をしてきた。礼儀正しいんだか、礼儀正しくないんだかよくわからないな。
「あまり少女が見知らぬ人についてきちゃダメだと思うよ」
「少女じゃありません! これでも14歳です師匠! 師匠を目指すには近くにいて真似をする必要があると思います。なので着いていきます師匠!」
キラキラした瞳で見つめてくるポピンちゃん。まさかの一歳下の少女かこの身長で成人しているとはなんだか親近感を感じるな。
僕も全然身長がのびなかったからな~。ってそうじゃなくて。
「女の子なんだから知らない男についてきちゃダメでしょ」
「そういわれましても冒険者の知り合いはみんな悪い人でポピンみたいなポーターとは組んでくれないんです」
「……」
冒険者は悪い人……否定できないが中には良い人もいるよ。
僕を追い出した黒い刃の人達もグナンとロエタが嫌だったから出てきただけで他の三人は嫌みとかそういったことを言って来たりやってきたりしてこなかった。
まあ、本当は思っていたけど言わなかっただけかもしれないけどね。
更にこの子に対して親近感を感じてしまった。
「師匠! ここです!」
「へ~。船の錨が看板なんだね」
「はい~!」
にっこりと笑って中に入って行く。
宿屋の入口には【海のオアシス】と看板と大きな錨が飾られていた。
ポピンについてはいると食堂と受付があってバンダナをつけたお姉さんがポピンと話していた。
「師匠をお連れしました!」
「あ~? ポピンの師匠?」
ポピンが僕を指さして話すと怪訝な表情で僕を見つめてくる。
ため息をついて受付で頬杖をつくお姉さん。明らかに不機嫌だ。
「またタダ宿のだめ冒険者かい……ここは孤児院じゃないんだよポピン」
「し、師匠はポピンみたいなダメポーターじゃないよ! 師匠はとっても凄いポーターなんだから!」
「はぁ~。凄いポーターね~」
話から察するにタダでポピンは泊めてもらってるみたいだな。お姉さんはあんな表情をしているけど、優しい人みたいだ。
「泊まるんだったらこっちで記帳しな」
「は、はい……」
「一応聞いておくけど、一泊銅貨5枚だよ」
「はい……」
やっぱり、タダ宿を期待していると思われていたみたいだな。すぐにお金を出すと少し驚いてすぐにお金を取っていった。
「金はあるんだね。飯代も出すかい? 朝晩で銅貨5枚だけど」
「じゃあお願いします」
「へ~。ポピンの言ってることは本当なんだね」
お金を更に出すと感心したように僕を見据えてきた。
「ふふん! 師匠は本当に凄いんだから」
「あんたが言うんじゃないよ! 早く凄くなって借金を返しな!」
「痛い……」
お姉さんの拳骨を受けて痛がるポピン。借金までしてるのか。この子の両親は何をしているんだ?
「私はクレハレッド。みんな気軽にクレハって呼ぶよ」
「僕はアズです」
「アズ師匠!」
「おいおい。もしかして今まで名前知らなかったのかいポピン」
そういえば、ここまで名前を言っていなかったな。
「知らなかった~!」
「馬鹿だねあんたは~」
クレハさんは頭を抱えてため息をつく。
ポピンは本当に無知な子なんだな。
「しかしあんた。そんなに幼いのに金に余裕があるんだね~」
「ああ、今さっき獲物を換金したんで」
「あ~チームに入ってるわけね」
「いえ、脱退してきました」
「え? じゃあ一人で?」
クレハさんの質問に答えていくとどんどん呆れたものを見る表情になっていく。
最後の質問に頷いてこたえる。
「獲物は何だったんだい?」
「えっと、依頼とかじゃないんですけどゴールデンゴーレムと」
「はぁ!?」
「あとロック鳥だよクレハ~」
「はああ!? ゴールデンゴーレムとロック鳥だって!?」
ポピンと一緒に報告するとクレハさんの意識がどこかへ行ってしまう。しばらくすると意識を取り戻して僕へと顔を近づけてきた。
「あんた!? ゴールデンゴーレムとロック鳥がどれだけ凄いかわかってるのかい! 嘘を言うんじゃないよ!」
「クレハ! 嘘じゃないよ。師匠は凄いって言ったでしょ」
「信じられるかっての! こんな少年が倒せるような、ましてやポーターなんだろ? 剣士や戦士でも刃がたたない魔物だっていうのに勝てるわけがないだろ」
ポピンと言い合いになってしまう。嘘だ! 嘘じゃないの言いあい。
仕方ない、証拠を出すか。
「これが証拠ですよ」
「!? 大白金貨。それも二枚……」
ゴールデンゴーレムの死骸はそのまま白金貨に加工できるから大白金貨二枚になったんだよね。
ロック鳥は美味しいのと羽が売れるから金貨になって細かくしてもらってクレハさんに銅貨を渡せた。
大白金貨は普通のお店じゃ使えないから両替してもらわないと使えないんだよな~。
「子供が本当に……」
またもや意識がどこかへ行ってしまうクレハさん。ポピンはその隙に僕を奥の部屋へと案内してくれた。
「師匠のお部屋です! ここで一番いいお部屋なの! クレハとお話ししてくるから待っててください」
大きな部屋に案内されて入ると大きめのベッドが二台見える。結構高そうな部屋だけど、本当に銅貨五枚の部屋なのか? クレハさんを説得するとか言っていたが何についてなのかわかりかねる。
「邪魔するぜクレハ~!」
部屋を眺めていると受付の方から声が聞こえてきた。聞くからにお客って感じではない声だな。
すぐにでも船に乗りたいところだけど、日も落ちてきたので宿屋を見つけることにする。
夜に人を運ぶ船は出港しないからな~。早く帰りたいんだけどな。
「師匠! 宿屋ならポピンが紹介します!」
「いい宿屋はないかな~」
「師匠! ポピンが紹介します!」
「ん? 師匠って僕の事?」
「はい!」
いい宿屋はないかな~っと思って辺りを見回しているとギルドで誇らしげにマジックバッグを見せていた少女がついてきていた。
なぜか師匠って言ってきてるんだけど、知り合いだったっけ?
「師匠はポピンが目指す最強のポーターだと思いました! なので今日からポピンの師匠になっちゃいます!」
「へ? じゃあ、初めまして?」
「はい! 初めまして師匠!」
ポピンはお辞儀をして、挨拶をしてきた。礼儀正しいんだか、礼儀正しくないんだかよくわからないな。
「あまり少女が見知らぬ人についてきちゃダメだと思うよ」
「少女じゃありません! これでも14歳です師匠! 師匠を目指すには近くにいて真似をする必要があると思います。なので着いていきます師匠!」
キラキラした瞳で見つめてくるポピンちゃん。まさかの一歳下の少女かこの身長で成人しているとはなんだか親近感を感じるな。
僕も全然身長がのびなかったからな~。ってそうじゃなくて。
「女の子なんだから知らない男についてきちゃダメでしょ」
「そういわれましても冒険者の知り合いはみんな悪い人でポピンみたいなポーターとは組んでくれないんです」
「……」
冒険者は悪い人……否定できないが中には良い人もいるよ。
僕を追い出した黒い刃の人達もグナンとロエタが嫌だったから出てきただけで他の三人は嫌みとかそういったことを言って来たりやってきたりしてこなかった。
まあ、本当は思っていたけど言わなかっただけかもしれないけどね。
更にこの子に対して親近感を感じてしまった。
「師匠! ここです!」
「へ~。船の錨が看板なんだね」
「はい~!」
にっこりと笑って中に入って行く。
宿屋の入口には【海のオアシス】と看板と大きな錨が飾られていた。
ポピンについてはいると食堂と受付があってバンダナをつけたお姉さんがポピンと話していた。
「師匠をお連れしました!」
「あ~? ポピンの師匠?」
ポピンが僕を指さして話すと怪訝な表情で僕を見つめてくる。
ため息をついて受付で頬杖をつくお姉さん。明らかに不機嫌だ。
「またタダ宿のだめ冒険者かい……ここは孤児院じゃないんだよポピン」
「し、師匠はポピンみたいなダメポーターじゃないよ! 師匠はとっても凄いポーターなんだから!」
「はぁ~。凄いポーターね~」
話から察するにタダでポピンは泊めてもらってるみたいだな。お姉さんはあんな表情をしているけど、優しい人みたいだ。
「泊まるんだったらこっちで記帳しな」
「は、はい……」
「一応聞いておくけど、一泊銅貨5枚だよ」
「はい……」
やっぱり、タダ宿を期待していると思われていたみたいだな。すぐにお金を出すと少し驚いてすぐにお金を取っていった。
「金はあるんだね。飯代も出すかい? 朝晩で銅貨5枚だけど」
「じゃあお願いします」
「へ~。ポピンの言ってることは本当なんだね」
お金を更に出すと感心したように僕を見据えてきた。
「ふふん! 師匠は本当に凄いんだから」
「あんたが言うんじゃないよ! 早く凄くなって借金を返しな!」
「痛い……」
お姉さんの拳骨を受けて痛がるポピン。借金までしてるのか。この子の両親は何をしているんだ?
「私はクレハレッド。みんな気軽にクレハって呼ぶよ」
「僕はアズです」
「アズ師匠!」
「おいおい。もしかして今まで名前知らなかったのかいポピン」
そういえば、ここまで名前を言っていなかったな。
「知らなかった~!」
「馬鹿だねあんたは~」
クレハさんは頭を抱えてため息をつく。
ポピンは本当に無知な子なんだな。
「しかしあんた。そんなに幼いのに金に余裕があるんだね~」
「ああ、今さっき獲物を換金したんで」
「あ~チームに入ってるわけね」
「いえ、脱退してきました」
「え? じゃあ一人で?」
クレハさんの質問に答えていくとどんどん呆れたものを見る表情になっていく。
最後の質問に頷いてこたえる。
「獲物は何だったんだい?」
「えっと、依頼とかじゃないんですけどゴールデンゴーレムと」
「はぁ!?」
「あとロック鳥だよクレハ~」
「はああ!? ゴールデンゴーレムとロック鳥だって!?」
ポピンと一緒に報告するとクレハさんの意識がどこかへ行ってしまう。しばらくすると意識を取り戻して僕へと顔を近づけてきた。
「あんた!? ゴールデンゴーレムとロック鳥がどれだけ凄いかわかってるのかい! 嘘を言うんじゃないよ!」
「クレハ! 嘘じゃないよ。師匠は凄いって言ったでしょ」
「信じられるかっての! こんな少年が倒せるような、ましてやポーターなんだろ? 剣士や戦士でも刃がたたない魔物だっていうのに勝てるわけがないだろ」
ポピンと言い合いになってしまう。嘘だ! 嘘じゃないの言いあい。
仕方ない、証拠を出すか。
「これが証拠ですよ」
「!? 大白金貨。それも二枚……」
ゴールデンゴーレムの死骸はそのまま白金貨に加工できるから大白金貨二枚になったんだよね。
ロック鳥は美味しいのと羽が売れるから金貨になって細かくしてもらってクレハさんに銅貨を渡せた。
大白金貨は普通のお店じゃ使えないから両替してもらわないと使えないんだよな~。
「子供が本当に……」
またもや意識がどこかへ行ってしまうクレハさん。ポピンはその隙に僕を奥の部屋へと案内してくれた。
「師匠のお部屋です! ここで一番いいお部屋なの! クレハとお話ししてくるから待っててください」
大きな部屋に案内されて入ると大きめのベッドが二台見える。結構高そうな部屋だけど、本当に銅貨五枚の部屋なのか? クレハさんを説得するとか言っていたが何についてなのかわかりかねる。
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