転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
上 下
102 / 113
第3章 ルインズ

第9話 罠

しおりを挟む
「カール。体を起こしてくれる?」

「はい! リステア様」

 自分では起き上がれない様子のリステアさん。カールさんに起こしてもらうとニッコリと微笑んで見つめてきた。

「ありがとうございます。えっと」

「俺の名前はタツミです」

「タツミさんありがとうございます。とても変わった力をお持ちのようですね」

 リステアさんはそういって微笑んだ。凄い優しい人っていうのが伝わってくる。

「あなたはどこから来たのですか? なんだか変わった人」

「え? ああ、俺はオラストロのある大陸から来たんですよ」

「ああ、だから潮の香りがするのね。懐かしいわ。私は海で生まれたの。また海をみたいわね」

 ふふふと笑うリステアさん。元気になってくれたみたいでなんだか嬉しいな。

「お父さん、まだ~?」

「おおルキア。上がってきたのか」

 遅いもんだからルキアが心配して上がってきた。
 ルキアを抱き上げて頭を撫でてやる。嬉しそうに目を細めるルキアをリステアさんは興味津々。

「あら、あらあらあら。可愛いキャットマンね。タツミさんは従魔使いなの?」

「いえ、違うんですけどね」

 別に従魔使いの服を手に入れたわけでもないんだけど、ルキアはなついてくれたんだよな。
 
「そうなの? 従魔使いじゃないのにそんなに懐いて凶暴じゃないのね」

「最初は噛みつかれましたよ。だけど、少ししたら落ち着いてくれて名前をあげたら光輝いて懐いてくれたんです」

「光輝く? 初めて聞きました」

「そうですか?」

 普通の従魔使いの人はそんなことにならないのかな? 
 
「神の落とし子がそのようなことが出来たと聞いたことがありますが。……まさかあなた様が」

「いやいや、そんな大それた人物じゃないですよ」

 リステアさんが考えを巡らせて変なことを言って来た。神の落とし子ってそんなのキリストとかそのレベルでしょ。ただの服好きの両親が神なんておかしな話だ。

「タツミ兄さん。父さんが!?」

 全否定しているとアスベルが凄い勢いで階段を登ってきて声をあげた。シルバさんがどうしたんだ?

 すぐに階段を下るとうなり声が聞こえて壁を爪でひっかく音が聞こえた。

「父さんが急に苦しみだして凶暴になったんです」

「そうか……。リステアさんがよくなってすぐか、タイミングが良すぎるな」

 見られていると思ったほうが良さそうだ。

 傷つけずに制圧したいな。となると階段は戦いにくい。一度上にあがろう。
 リステアさんの部屋の前の部屋で迎え撃つ。オラストロ騎士の服に着替えてフルプレートで身構える。全身鎧はこういう時安心できるな。

「グルルルル」

「父さん!」

「大丈夫だ。すぐに元に戻る」

 アスベルが前に出ようとしたので盾で制す。アスベルは闘い自体はしたことがないみたいなので見ていてもらおう。ルキアにはノームの服を着ておいてもらおう。いざという時はみんなをにがす。塔から飛び出して地面に着地では無事に済みそうにないから地面を階段状にしてもらって降りてもらう。リステアさんはアスベルに肩を貸してもらえば大丈夫だろう。
 と、そんな撤退の考えを巡らせているとシルバさんが扉を壊して入ってきた。目が赤く光っていて成体のキャットマンのように魔物そのものだ。

「リステアさん大丈夫そうですか?」

「はい、何とか……」

 カールさんとアスベルに肩を貸してもらってやっと歩けてるリステアさん。
 タイミングからしてリステアさんが目的だと思われるシルバさんを操る誰か、そいつの思い通りになるのはしゃくなのでリステアさんを守らないとな。

「ガア!」

「おっと! 行かせるわけにはいかない」

 リステアさんが見えると急に早く動き出したシルバさん。やっぱり、目的はリステアさんのようだな。
 盾で防ぎつつ、壁へと押し返す。シルバさんはそれほど強くないみたいだ。このまま、抑えておくか。

「アスベル! このまま行けそうだ。螺旋階段から降りて」

「わかりました。リステアさん。ゆっくり」

「はい……」

 普通に抑えることが出来たのでノームの着ぐるみは無駄になりそうだな。

「あ、そうだ」

 ノームの力なら石を柔らかくするとか石で牢を作るとかできるんじゃないかな?

「ルキア、シルバさんの動きを止めることできないか?」

「うん! やってみる!」

 ルキアに提案するとシルバさんに近づいて両手を壁に埋め込んでいった。続いて足も石造りの床に埋めていく。
 両手両足を埋められてジタバタするシルバさん。流石にこれじゃ動けないだろうな。

「首輪をどうにかしないとダメっぽいな」

 首輪の仕組みはわからない。こういう時はウンディーネを呼んで聞いてみるか。
 ということで精霊使いにチェンジ。
しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!! 僕は異世界転生してしまう 大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった 仕事とゲームで過労になってしまったようだ とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた 転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった 住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる ◇ HOTランキング一位獲得! 皆さま本当にありがとうございます! 無事に書籍化となり絶賛発売中です よかったら手に取っていただけると嬉しいです これからも日々勉強していきたいと思います ◇ 僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました 毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。

桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

処理中です...