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第3章 ルインズ
第2話 懐かしき
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声をかけてきた女性は獣人ではない。人間の彼女と共に俺へと近づいてくる獣人たちはすっごい笑顔で獣人の人達も俺の事を知っているようだ。
「あなた達は?」
「ええ、覚えていないんですか!」
女性は驚いた様子で迫ってきた。獣人達は笑っているよ。
「タツミ様は見返りを求めるような方ではないということですね」
「ああ、そうでしたね」
獣人に肩を抑えられて納得したように頷く女性。
獣人の知り合いなんて? と思い返すとこの世界に来て初めて助けた人達を思い出す。まさかと思って、
「オラストロの?」
「そうです! それです!」
「お久しぶりです!」
やっとこさ思い出して獣人達と握手を交わした。みんな喜んでくれたが女性は頬を膨らませて不満顔だ。
「私の事は思い出さないんですか?」
「え? ああっと?」
オラストロの村で女性は確かにいたけど、みんな獣人だったと記憶してる。
彼女のことは覚えていないがどこで会ったのだろうか?
「マイサ。とりあえず、タツミ様を私達の泊まっている宿に招待しよう」
「あ、はい。雪も強くなってきましたしね」
「え? そんな悪いですよ」
「従魔にも獣人にもとてもいい宿屋ですから」
なんだか悪いので断ろうと思ったら獣人さんはそういって案内してくれた。
ここまでの世間話をしながら案内される。
オラストロからここまで来るのに船を使ったらしいんだけど、かなり大変だったと頭を掻く。
獣人にはいきにくい世界だからな。この土地でもそのようで宿屋とかも限られた施設しか使えない。
まったく、世知辛い世の中だな。
「ジュダインさん達のことは分かったんですが……」
「お父さんを睨まないで!」
案内された宿屋に入って食堂で椅子に座る。獣人達のリーダーはジュダインというらしい。そして、ルキアが怒っている女性は今もじとーっとした目で俺を見てる。睨むというか不満顔だな。
「睨んでいるんじゃないのよルキアちゃん! サンちゃんとトラちゃんもそれはわかってね」
女性の名前はマイサさん。マイサさんは弁解して三人を順番に抱きしめた。みんな嫌そうにしているが思い出せない俺が悪いので致し方ない。
「だってタツミさんが……」
サンを抱きしめたまま涙目で俺を見つめてきた。
彼女は答えを教えてくれないんだよな。自分で思い出せって感じなんだろうが思い出せん。
「ははは、まあまあ、再会を祝して乾杯と行きましょう。従魔の子たちも何でも頼んでください。村長にも会わせたいですね」
「この近くに村を作ったんですよね」
オラストロからこの地に来て、村を起こして大成功したらしい。この地は北国だったらしくて寒い。そこで獣人の彼らは寒くても行動できる体毛を持ってる。毛が自慢の獣人の毛を編んで商品にしたら大成功したんだってさ。
最初の時はマイサさんが街にその服とかマフラーを売っていたらしいけど、今じゃ認められてポートミルトは出入り自由になったらしい。流石にルインズっていうこの国の王都は無理らしいが服とかは流通しているみたい。いいものっていうのはそういう偏見はなくなるんだよな。
彼らにはこれからも頑張ってほしいな。
「タツミさんはどうやってここに? 船はだいぶ後に来るはずですけど、まさか! 自分の船をお持ち何ですか?」
「ああ、違いますよ。ダイロっていう人が知り合いでその人に」
「ダイロ~!?」
ジュダインさんに説明していると大きな声が上がった。食堂でエールを運んでいた褐色の女性がエールの入った木のジョッキを粉砕してズカズカと近づいてきた。
「ふ~、ふ~」
「あ、あの。なにか?」
机を大きく叩いて鼻息荒く睨んでくる。褐色美人に顔を近づかれているけど、全然嬉しくない状況だ。
「ダイロっていったろ! あんた! やつはどこだい!」
ダイロさんが頼れと言った人のお店だったようだ。
思ってみれば、従魔を連れて泊まれる宿屋とか店っていうのは限られているからジュダインさんの勧めるところは自然とダイロさんの知り合いの店になるんだよな。
「聞いてんのかい!!」
いろいろと考え込んでいると女性の睨みが強くなった。血走った目からは殺意を感じる。
ダイロさ~ん攻撃されないって言ってたじゃないか~。これは帰りに文句を言わなくちゃな。
「あなた達は?」
「ええ、覚えていないんですか!」
女性は驚いた様子で迫ってきた。獣人達は笑っているよ。
「タツミ様は見返りを求めるような方ではないということですね」
「ああ、そうでしたね」
獣人に肩を抑えられて納得したように頷く女性。
獣人の知り合いなんて? と思い返すとこの世界に来て初めて助けた人達を思い出す。まさかと思って、
「オラストロの?」
「そうです! それです!」
「お久しぶりです!」
やっとこさ思い出して獣人達と握手を交わした。みんな喜んでくれたが女性は頬を膨らませて不満顔だ。
「私の事は思い出さないんですか?」
「え? ああっと?」
オラストロの村で女性は確かにいたけど、みんな獣人だったと記憶してる。
彼女のことは覚えていないがどこで会ったのだろうか?
「マイサ。とりあえず、タツミ様を私達の泊まっている宿に招待しよう」
「あ、はい。雪も強くなってきましたしね」
「え? そんな悪いですよ」
「従魔にも獣人にもとてもいい宿屋ですから」
なんだか悪いので断ろうと思ったら獣人さんはそういって案内してくれた。
ここまでの世間話をしながら案内される。
オラストロからここまで来るのに船を使ったらしいんだけど、かなり大変だったと頭を掻く。
獣人にはいきにくい世界だからな。この土地でもそのようで宿屋とかも限られた施設しか使えない。
まったく、世知辛い世の中だな。
「ジュダインさん達のことは分かったんですが……」
「お父さんを睨まないで!」
案内された宿屋に入って食堂で椅子に座る。獣人達のリーダーはジュダインというらしい。そして、ルキアが怒っている女性は今もじとーっとした目で俺を見てる。睨むというか不満顔だな。
「睨んでいるんじゃないのよルキアちゃん! サンちゃんとトラちゃんもそれはわかってね」
女性の名前はマイサさん。マイサさんは弁解して三人を順番に抱きしめた。みんな嫌そうにしているが思い出せない俺が悪いので致し方ない。
「だってタツミさんが……」
サンを抱きしめたまま涙目で俺を見つめてきた。
彼女は答えを教えてくれないんだよな。自分で思い出せって感じなんだろうが思い出せん。
「ははは、まあまあ、再会を祝して乾杯と行きましょう。従魔の子たちも何でも頼んでください。村長にも会わせたいですね」
「この近くに村を作ったんですよね」
オラストロからこの地に来て、村を起こして大成功したらしい。この地は北国だったらしくて寒い。そこで獣人の彼らは寒くても行動できる体毛を持ってる。毛が自慢の獣人の毛を編んで商品にしたら大成功したんだってさ。
最初の時はマイサさんが街にその服とかマフラーを売っていたらしいけど、今じゃ認められてポートミルトは出入り自由になったらしい。流石にルインズっていうこの国の王都は無理らしいが服とかは流通しているみたい。いいものっていうのはそういう偏見はなくなるんだよな。
彼らにはこれからも頑張ってほしいな。
「タツミさんはどうやってここに? 船はだいぶ後に来るはずですけど、まさか! 自分の船をお持ち何ですか?」
「ああ、違いますよ。ダイロっていう人が知り合いでその人に」
「ダイロ~!?」
ジュダインさんに説明していると大きな声が上がった。食堂でエールを運んでいた褐色の女性がエールの入った木のジョッキを粉砕してズカズカと近づいてきた。
「ふ~、ふ~」
「あ、あの。なにか?」
机を大きく叩いて鼻息荒く睨んでくる。褐色美人に顔を近づかれているけど、全然嬉しくない状況だ。
「ダイロっていったろ! あんた! やつはどこだい!」
ダイロさんが頼れと言った人のお店だったようだ。
思ってみれば、従魔を連れて泊まれる宿屋とか店っていうのは限られているからジュダインさんの勧めるところは自然とダイロさんの知り合いの店になるんだよな。
「聞いてんのかい!!」
いろいろと考え込んでいると女性の睨みが強くなった。血走った目からは殺意を感じる。
ダイロさ~ん攻撃されないって言ってたじゃないか~。これは帰りに文句を言わなくちゃな。
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