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第二章 海へ
第四十話 超健康児
しおりを挟む おっさんが真剣にルキアの背中に聴診器を当てている。今は見ることしかできない。
「うん・・・」
「どうなんだ?」
「健康だ」
「え?」
医者のおっさんが頷いてそうつぶやいた。健康なのにこんな高熱を出すのか?
「わからないのか?」
「分かったんだよ。すっごい元気だ。それじゃ私は帰るよ」
「おい!」
おっさんはそう言ってカバンを片づけて出て行ってしまった。どういうことだ!
「タツミさん・・」
「着替えます」
おっさんを信じていないわけじゃないけど、確認してみる。俺は医者の服に着替える。前にみんなには見せてしまっているので隠すのは今更だよな。
着替えると聴診器と注射器が手に握られていた。現代の医者みたいな白衣で凄い清潔だ。
「ルキア、ちょっとヒヤッとするぞ」
「・・・」
ルキアの胸に聴診器をつける。冷たいと思ったので声をかけたが返事は帰ってこなかった。
聴診器を当てるとルキアの状態異常が文字になって浮かび上がる。この世界の医者は魔法と一体になっているようだ。元の世界よりもこの世界のトップは最高クラスかもしれない。
ルキア 健康体【進化前放熱中】
種族 キャットマン
年齢 9か月
状態異常
なし
持病
なし
年齢と今の状態が表示される。おっさんの言っていたのはこういう事なのか?
医者の服に着替えたから医者のトップの人間の性能になった俺だけど、おっさんは違うはずだよな。それなのに健康だと言い切って帰ったあのおっさんは何者だ。そう言えば自己紹介もしなかったから名前もわからん。
「どうですか?」
「あのおっさんが言っていたように健康です。ただ、進化前放熱中となっています」
「そんな事までわかるんですか・・・タツミさんあなたは」
ルナさんは驚いて口を抑えた。好奇心を抑えられなかったのかもしれないな。この際だから正直に能力の事を話すか。
「俺はこういった能力があったんですよ。それで建物も建てれたんです」
「そうだったんですね。タツミさんは特別な能力をもっているんですね。でも、タツミさんなら納得です」
俺の言葉を聞いてルナさんは納得したように頷いた。そんな素直に納得されても恥ずかしいな。
「ルキアちゃん大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫だ。少しだけ寝させてやってくれ」
『は~い』
子供達は素直に俺のいう事を聞いて外へと遊びに行った。ルキアもすぐにあんな風に元気になるのだろうか?
「進化ってどうなるんだ?」
「私もそれが気になってたんです。もっと可愛くなっちゃうのかな?」
俺の疑問にルナさんも賛同して首を傾げている。あなたも可愛いですとかいったらいいムードになるのかな。しかし、サゲスの本心も知らないのでそんなゲスな事はしない。
「でもよかったよ。健康なのが分かって」
「ルキアちゃんは大丈夫だったんですか?」
ホッと胸をなで下ろしていると教会にアルフレドが入ってきた。ルキアの事を心配してくれたみたいだ。大丈夫だと言うとアルフレドも安心したようで胸をなで下ろすように息を漏らした。
「でもよかったですね」
「ん?」
「シーラインでルキアちゃんが倒れて」
「あ!?」
どういう事だ?さっきまで心配していたアルフレドの言葉に顔をしかめる。
「へ、変な意味じゃないですよ。あのお医者さんの事です」
しかめっ面でアルフレドを見ていたから彼は焦って弁解した。ルキアが倒れてよかったなんて言うから殺意だけで殺そうと思ってしまったぞ。しかし、どういうことだ?
「あのお医者さんは世界随一の医者と言われている人なんです。それなのに組織に属さずに昼夜、けが人や病人を見て回っているんですよ」
「あのおっさんが」
「見た目は綺麗とは言えませんがあれはそう言った事をする暇がないって事なんです」
「そうなのか・・」
元の世界の繁盛しているお店みたいな言い分だが、医者なら清潔にしないとダメだと思うぞ。今思い出すとトラがあのおっさんの体臭でしかめっ面になったのが面白かったな。
「キャン」
「うお、なんだよトラ」
俺の心を読んだのか、トラが頭で叩いてきた。三又の角が危ないんだからやめろって。
「ははは、本当に仲がいいんですね」
「みんな、俺の家族だからな」
「キャンキャン」「ガウ!」
サンとトラの首を抱きしめた。アルフレドは羨ましそうに指を咥えている。
「そうだ。牛と豚の件でダングルフとシャリフが呼んでいましたよ」
「ああ、そういえば持ってきてくれたんだっけか。代金も小屋で渡すな」
「はい」
そういって俺は小屋に向かった。サンとトラはルキアを見ていてくれるようだ。というより自分達の子供だと思っているのかルキアの近くのベッドに顔をうずめて見守っている。
しかし、あのおっさんが世界一の医者だったとはな。しかし、この世界に来てから初めて、最高位の存在にあったな。つまりあのおっさんの能力が医者の服に付与されているわけだな。できるだけ、困っている人の為に使わないと罰が当たりそうだな。今度、お礼に行って自己紹介しよう。結局名前分らなかったもんな。
「うん・・・」
「どうなんだ?」
「健康だ」
「え?」
医者のおっさんが頷いてそうつぶやいた。健康なのにこんな高熱を出すのか?
「わからないのか?」
「分かったんだよ。すっごい元気だ。それじゃ私は帰るよ」
「おい!」
おっさんはそう言ってカバンを片づけて出て行ってしまった。どういうことだ!
「タツミさん・・」
「着替えます」
おっさんを信じていないわけじゃないけど、確認してみる。俺は医者の服に着替える。前にみんなには見せてしまっているので隠すのは今更だよな。
着替えると聴診器と注射器が手に握られていた。現代の医者みたいな白衣で凄い清潔だ。
「ルキア、ちょっとヒヤッとするぞ」
「・・・」
ルキアの胸に聴診器をつける。冷たいと思ったので声をかけたが返事は帰ってこなかった。
聴診器を当てるとルキアの状態異常が文字になって浮かび上がる。この世界の医者は魔法と一体になっているようだ。元の世界よりもこの世界のトップは最高クラスかもしれない。
ルキア 健康体【進化前放熱中】
種族 キャットマン
年齢 9か月
状態異常
なし
持病
なし
年齢と今の状態が表示される。おっさんの言っていたのはこういう事なのか?
医者の服に着替えたから医者のトップの人間の性能になった俺だけど、おっさんは違うはずだよな。それなのに健康だと言い切って帰ったあのおっさんは何者だ。そう言えば自己紹介もしなかったから名前もわからん。
「どうですか?」
「あのおっさんが言っていたように健康です。ただ、進化前放熱中となっています」
「そんな事までわかるんですか・・・タツミさんあなたは」
ルナさんは驚いて口を抑えた。好奇心を抑えられなかったのかもしれないな。この際だから正直に能力の事を話すか。
「俺はこういった能力があったんですよ。それで建物も建てれたんです」
「そうだったんですね。タツミさんは特別な能力をもっているんですね。でも、タツミさんなら納得です」
俺の言葉を聞いてルナさんは納得したように頷いた。そんな素直に納得されても恥ずかしいな。
「ルキアちゃん大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫だ。少しだけ寝させてやってくれ」
『は~い』
子供達は素直に俺のいう事を聞いて外へと遊びに行った。ルキアもすぐにあんな風に元気になるのだろうか?
「進化ってどうなるんだ?」
「私もそれが気になってたんです。もっと可愛くなっちゃうのかな?」
俺の疑問にルナさんも賛同して首を傾げている。あなたも可愛いですとかいったらいいムードになるのかな。しかし、サゲスの本心も知らないのでそんなゲスな事はしない。
「でもよかったよ。健康なのが分かって」
「ルキアちゃんは大丈夫だったんですか?」
ホッと胸をなで下ろしていると教会にアルフレドが入ってきた。ルキアの事を心配してくれたみたいだ。大丈夫だと言うとアルフレドも安心したようで胸をなで下ろすように息を漏らした。
「でもよかったですね」
「ん?」
「シーラインでルキアちゃんが倒れて」
「あ!?」
どういう事だ?さっきまで心配していたアルフレドの言葉に顔をしかめる。
「へ、変な意味じゃないですよ。あのお医者さんの事です」
しかめっ面でアルフレドを見ていたから彼は焦って弁解した。ルキアが倒れてよかったなんて言うから殺意だけで殺そうと思ってしまったぞ。しかし、どういうことだ?
「あのお医者さんは世界随一の医者と言われている人なんです。それなのに組織に属さずに昼夜、けが人や病人を見て回っているんですよ」
「あのおっさんが」
「見た目は綺麗とは言えませんがあれはそう言った事をする暇がないって事なんです」
「そうなのか・・」
元の世界の繁盛しているお店みたいな言い分だが、医者なら清潔にしないとダメだと思うぞ。今思い出すとトラがあのおっさんの体臭でしかめっ面になったのが面白かったな。
「キャン」
「うお、なんだよトラ」
俺の心を読んだのか、トラが頭で叩いてきた。三又の角が危ないんだからやめろって。
「ははは、本当に仲がいいんですね」
「みんな、俺の家族だからな」
「キャンキャン」「ガウ!」
サンとトラの首を抱きしめた。アルフレドは羨ましそうに指を咥えている。
「そうだ。牛と豚の件でダングルフとシャリフが呼んでいましたよ」
「ああ、そういえば持ってきてくれたんだっけか。代金も小屋で渡すな」
「はい」
そういって俺は小屋に向かった。サンとトラはルキアを見ていてくれるようだ。というより自分達の子供だと思っているのかルキアの近くのベッドに顔をうずめて見守っている。
しかし、あのおっさんが世界一の医者だったとはな。しかし、この世界に来てから初めて、最高位の存在にあったな。つまりあのおっさんの能力が医者の服に付与されているわけだな。できるだけ、困っている人の為に使わないと罰が当たりそうだな。今度、お礼に行って自己紹介しよう。結局名前分らなかったもんな。
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