8 / 23
第8話 ランク
しおりを挟む
「ふふ、そうなのね。マイトは街を堂々とハイハイしていたの」
「そうなの。みんな不思議そうに見つめるだけで誰も助けようとしてなくて、だから私が」
森へと歩いている間、お母さんはムギちゃんから話を聞いてる。なんだか恥ずかしいけど、あの時は急いでいたんだよ。まあ、軽率だったかもだけど。
「さあ、二人ともついたわ。ここで採取しましょ」
「ダブ!」
「はい」
森に到着して早速採取を開始。元気に答えた僕とムギちゃんに優しく微笑むお母さん。子供が増えたようなそんな心境なのかな。楽しそうで何より。
「魔法の草10と薬草が10。Eランクの依頼だね」
依頼には冒険者と同じようにランクが設定されてる。Eから始まって、D、C、B、A、Sって感じに上がる。上に行けば上に行くほど難しい依頼ってこと。
「二つ合わせて銀貨一枚の依頼なのよ」
「そうなんだ~。あっ、私は報酬いらないから」
「そういうわけにはいかないわ。ちゃんと半分こよ」
「ダメ。今日はちゃんとしたパーティーじゃない」
報酬に関して二人で言い合いになっちゃった。パーティーになったんだからちゃんと分け合わないとね。
「バブ!」
「どうしたのマイト」
「バブバブ!」
言い争っているので僕はムギちゃんの足に抱き着く。すぐにムギちゃんが抱き上げてきたので頬をぺちぺちと叩く。
「ほら、マイトも報酬を受け取ってほしいって言ってるわ。探していたお礼がしたいのよ」
「ほんと?」
「バブ!」
お母さんの指摘にムギちゃんが確認を取ってきた。そうだよと元気に答えると頬を朱に染めて『ありがとう』って呟いた。お母さんと一緒に微笑むとさらに赤くなっていった。可愛い子だな~。
「魔法の草あったよ~」
「こっちは薬草。これで全部ね」
薬草はHPを回復させるポーションに出来る。魔法の草はマナポーションっていうMPを回復させるポーションになる。どれも冒険者には欠かせないアイテムだからいくらでも売れる。ギルドには必ず張られる依頼ってことになってるみたい。
「少し多めに持って行ってもいいんだけど、それなら十ずつのほうがいい。そうすれば依頼をもう一回受けるのと同じ報酬になる」
「へ~、少ないとやすくなっちゃうのね。わかったわ」
ムギちゃんの説明に僕とお母さんは頷いた。ムギちゃんは結構物知りだな~。
「そういえばムギは魔法使いなのよね。どんな魔法が使えるの?」
「うっ……、まだ魔法は使えない。ごめんなさい」
「え? なんで謝るの? 使えないなら私も一緒に覚えようかしら」
「怒らないの?」
ムギちゃんは申し訳なさそうに伏し目がちになった。お母さんと僕は顔を見あって首を傾げる。
「冒険者ギルドで何かあったの?」
「……魔法使いのくせにって言われて怒られて、いつも一人だった。だから」
「ダブ!」
「なるほどね」
ムギちゃんはいじめられていたってことか。まったく、同じギルドの一員なんだから育てあえばいいのにな。
「因みになんだけどねムギちゃん」
「はい」
「誰でも魔法って覚えられるの?」
「えっと、一応みんな覚えられます。生まれついてみんな自分にあった職業が決まってる。職業で覚える難易度が違うから覚えられない人もいるかも」
なるほどなるほど、そんな適性が存在しているのか。僕もそうってことだけどどうなんだろう?
「その適正はどこで見られるの? マイトなら全てに適性があると思うんだけどみたいわ」
僕を見つめて話すお母さん。僕も気になるけど、お母さんは知らないみたいだった。世界の常識っぽいんだけどな。
「教会でお金を払わないと見てもらえない。ルルは見てもらってない?」
「う~ん、ムギになら言ってもいいかしらね。私たちは奴隷だったの。だから、そういうものがあると言うのも知らなかったわ」
「えっ! 奴隷?」
ムギちゃんは凄い驚いてる。少しすると落ち着いたみたいで口を開いた。
「じゃあ、奴隷が逃げたって噂になってるのが?」
「そうよ。マイトが助けてくれたっていうのはそれよ」
「でも、どうやって、奴隷には首輪が」
「あれは鍵があれば外せるのよ」
「そ、そうなんだね」
視線が泳ぐムギちゃん。彼女みたいな優しい子でもこうなるんだ。奴隷は自由になっちゃダメなのかな?
「わかってると思うけど、人に言っちゃだめよ。私とマイトが捕まっちゃうから」
「うん。わかってる。だけど、なんで私に」
視線を泳がしていたムギちゃんだったけど、お母さんの言葉に真剣に答える。
僕とお母さんは顔を見合って彼女を見つめた。
「あなたはとても優しいわ。自分はいじめられたのにマイトを助けてた。思っていた通り、奴隷って言っても少しの動揺だけだった。だから教えたの。あなたなら私たちの仲間になってくれるって思ったの」
「……二人よりは優しくないよ」
素直に褒められてムギちゃんは顔を赤くさせて、僕らを褒めてきた。僕らはともに顔を見あって微笑む。
「お金をためてみんなで教会にいこ」
「そうね」
改めて握手をしあった。僕は頭を撫でてもらいました。
僕らは薬草と魔法の草を採取して帰路に立った。
「そうなの。みんな不思議そうに見つめるだけで誰も助けようとしてなくて、だから私が」
森へと歩いている間、お母さんはムギちゃんから話を聞いてる。なんだか恥ずかしいけど、あの時は急いでいたんだよ。まあ、軽率だったかもだけど。
「さあ、二人ともついたわ。ここで採取しましょ」
「ダブ!」
「はい」
森に到着して早速採取を開始。元気に答えた僕とムギちゃんに優しく微笑むお母さん。子供が増えたようなそんな心境なのかな。楽しそうで何より。
「魔法の草10と薬草が10。Eランクの依頼だね」
依頼には冒険者と同じようにランクが設定されてる。Eから始まって、D、C、B、A、Sって感じに上がる。上に行けば上に行くほど難しい依頼ってこと。
「二つ合わせて銀貨一枚の依頼なのよ」
「そうなんだ~。あっ、私は報酬いらないから」
「そういうわけにはいかないわ。ちゃんと半分こよ」
「ダメ。今日はちゃんとしたパーティーじゃない」
報酬に関して二人で言い合いになっちゃった。パーティーになったんだからちゃんと分け合わないとね。
「バブ!」
「どうしたのマイト」
「バブバブ!」
言い争っているので僕はムギちゃんの足に抱き着く。すぐにムギちゃんが抱き上げてきたので頬をぺちぺちと叩く。
「ほら、マイトも報酬を受け取ってほしいって言ってるわ。探していたお礼がしたいのよ」
「ほんと?」
「バブ!」
お母さんの指摘にムギちゃんが確認を取ってきた。そうだよと元気に答えると頬を朱に染めて『ありがとう』って呟いた。お母さんと一緒に微笑むとさらに赤くなっていった。可愛い子だな~。
「魔法の草あったよ~」
「こっちは薬草。これで全部ね」
薬草はHPを回復させるポーションに出来る。魔法の草はマナポーションっていうMPを回復させるポーションになる。どれも冒険者には欠かせないアイテムだからいくらでも売れる。ギルドには必ず張られる依頼ってことになってるみたい。
「少し多めに持って行ってもいいんだけど、それなら十ずつのほうがいい。そうすれば依頼をもう一回受けるのと同じ報酬になる」
「へ~、少ないとやすくなっちゃうのね。わかったわ」
ムギちゃんの説明に僕とお母さんは頷いた。ムギちゃんは結構物知りだな~。
「そういえばムギは魔法使いなのよね。どんな魔法が使えるの?」
「うっ……、まだ魔法は使えない。ごめんなさい」
「え? なんで謝るの? 使えないなら私も一緒に覚えようかしら」
「怒らないの?」
ムギちゃんは申し訳なさそうに伏し目がちになった。お母さんと僕は顔を見あって首を傾げる。
「冒険者ギルドで何かあったの?」
「……魔法使いのくせにって言われて怒られて、いつも一人だった。だから」
「ダブ!」
「なるほどね」
ムギちゃんはいじめられていたってことか。まったく、同じギルドの一員なんだから育てあえばいいのにな。
「因みになんだけどねムギちゃん」
「はい」
「誰でも魔法って覚えられるの?」
「えっと、一応みんな覚えられます。生まれついてみんな自分にあった職業が決まってる。職業で覚える難易度が違うから覚えられない人もいるかも」
なるほどなるほど、そんな適性が存在しているのか。僕もそうってことだけどどうなんだろう?
「その適正はどこで見られるの? マイトなら全てに適性があると思うんだけどみたいわ」
僕を見つめて話すお母さん。僕も気になるけど、お母さんは知らないみたいだった。世界の常識っぽいんだけどな。
「教会でお金を払わないと見てもらえない。ルルは見てもらってない?」
「う~ん、ムギになら言ってもいいかしらね。私たちは奴隷だったの。だから、そういうものがあると言うのも知らなかったわ」
「えっ! 奴隷?」
ムギちゃんは凄い驚いてる。少しすると落ち着いたみたいで口を開いた。
「じゃあ、奴隷が逃げたって噂になってるのが?」
「そうよ。マイトが助けてくれたっていうのはそれよ」
「でも、どうやって、奴隷には首輪が」
「あれは鍵があれば外せるのよ」
「そ、そうなんだね」
視線が泳ぐムギちゃん。彼女みたいな優しい子でもこうなるんだ。奴隷は自由になっちゃダメなのかな?
「わかってると思うけど、人に言っちゃだめよ。私とマイトが捕まっちゃうから」
「うん。わかってる。だけど、なんで私に」
視線を泳がしていたムギちゃんだったけど、お母さんの言葉に真剣に答える。
僕とお母さんは顔を見合って彼女を見つめた。
「あなたはとても優しいわ。自分はいじめられたのにマイトを助けてた。思っていた通り、奴隷って言っても少しの動揺だけだった。だから教えたの。あなたなら私たちの仲間になってくれるって思ったの」
「……二人よりは優しくないよ」
素直に褒められてムギちゃんは顔を赤くさせて、僕らを褒めてきた。僕らはともに顔を見あって微笑む。
「お金をためてみんなで教会にいこ」
「そうね」
改めて握手をしあった。僕は頭を撫でてもらいました。
僕らは薬草と魔法の草を採取して帰路に立った。
11
お気に入りに追加
459
あなたにおすすめの小説
その幼女、最強にして最恐なり~転生したら幼女な俺は異世界で生きてく~
たま(恥晒)
ファンタジー
※作者都合により打ち切りとさせて頂きました。新作12/1より!!
猫刄 紅羽
年齢:18
性別:男
身長:146cm
容姿:幼女
声変わり:まだ
利き手:左
死因:神のミス
神のミス(うっかり)で死んだ紅羽は、チートを携えてファンタジー世界に転生する事に。
しかしながら、またもや今度は違う神のミス(ミス?)で転生後は正真正銘の幼女(超絶可愛い ※見た目はほぼ変わってない)になる。
更に転生した世界は1度国々が発展し過ぎて滅んだ世界で!?
そんな世界で紅羽はどう過ごして行くのか...
的な感じです。
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
病弱な僕は病院で息を引き取った
お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった
そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した
魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる