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第3話 町へ
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ステータスの事は置いておいて。僕は屋敷を飛び出す。屋敷の中の屍たちは掃除をするだけの傀儡だった。マシューじゃなくても襲わないみたいなんだ。しいて言えば強化版のル〇バ、臭いから劣化かもしれないけどね。
馬車からの景色を辿って街が見えてくる。赤ん坊がどうやってそんなに早く来れるんだって感じだけど、そこはあのステータスなのでとしか言いようがない。はいはいの体勢でジャンプジャンプといった感じ、一回のジャンプが4メートルの木を越えられるくらい、正直こんな赤ん坊がいたらびっくりするね。一躍有名人になってしまうだろうな~。
おっとっと、そうこうしているうちに街の前まで来てしまった。門の前は人が兵士さんがいるので10メートル程の壁を越える。この世界には魔物がいるので街は壁に覆われている。村は柵程度らしいけど僕は見たことはない。気が付いたら馬車に乗っていたからね。知る由もなし。
「ん? 赤ん坊か……」
街中を堂々とハイハイしているとすれ違う人たちがぎょっとして二度見してくる。少しは忍んだ方がよかったかな?
「奴隷~、奴隷はいかが~」
「バブ!」
奴隷商の声が聞こえてそちらを見ると目の前に白いパンツが、
「どうしたの? 迷子?」
伏し目がちの少女が屈んで声をかけてきた。屈んでいるからパンモロ、流石にこれは恥ずかしいレベルで嬉しいよりも驚きが勝ってしまう。
「お母さんを探そうね」
「あう~」
少女は僕を抱えると奴隷商とは別の道を歩き始めた。僕は不満の声をもらすんだけど、少女は微笑むのみ。僕のステータスでじたばたすると怪我をさせてしまいそうだ。奴隷商の場所はわかったからしばらくはこのままいくしかないか。
と思わせておいて、
「あ、どうしたの?」
服を脱いでするりと彼女の腕から抜ける。服などいらぬ。お母さんのところに行くんだ。
「ダッダッダ~」
「あ、まって」
少女から逃げるようにハイハイで路地へ。路地に入ってすぐに屋根へと飛びのった。すると少女が路地に入ってキョロキョロと周りを見て僕を探している。君の優しさは忘れないよ。
道路を堂々と進むと良い人に攫われてしまうので屋根を行くことにする。ぴょんぴょんと跳ねて奴隷商が見えるところに到着。
天幕の屋根にジャンプして天幕に穴をあけて中を伺う。
「ふ~、この街は奴隷が売れんな~。最初の赤ん坊しか売れん。あれはいい売り物だったな」
シルクハットの奴隷商のつぶやきが聞こえる。隠す必要がないから結構大きな独り言だな。
「あの女にもう一人産ませるか? いや、一人産んだら次は危ない。奴隷は死んだらマイナスしかないからな」
げすいことをいっていると思ったら思いとどまったみたい。思わず絞め殺してしまいそうになったけど、思いとどまってくれたおかげで我慢しました。
「運用は追々考えていこう。今日は店じまいだ」
奴隷商がそういって天幕を閉じていく。
チャ~ンス。
「ダッダッダ~」
店じまいだから明かりも全部消えている。天幕の中に入って、Gのように地べたを張って移動する。
『お前たちは奴隷、逃げてもいいがその首輪が閉まっていくからな』
奴隷商からお母さんが言われていた言葉。奴隷商から離れすぎると首輪が閉まって最後は死んでしまう。恐ろしい首輪だよ。その首輪を取るには鍵が必要。その鍵はさっきの奴隷商の腰についている。
「ス~ピ~」
外見とは違ってすっごい可愛い寝息を立てる奴隷商。ドキドキするので俊足で腰の鍵をぶっちぎる。
「うごっ……ス~ピ~」
早すぎて気づかれずに済んだみたいだ。これでお母さんを救える!
「マイト!」
「バ~ブ」
奴隷が集められている天幕にたどり着くとお母さんが僕に気づいてくれた。すぐに近づいて鍵を渡す。
「マイト。やっぱりあなたは凄い子なのね」
お母さんは涙して抱きしめてくれた。親不孝な僕だったけど、今世は親孝行に生きるぞ。
「おい、俺達も」
「わかっているわよ。マイト。みんなにも鍵を渡してあげて」
お母さんが首輪を外すと他の奴隷たちが声をあげた。あまり騒ぎになると困るのでお母さんはみんなに鍵を渡すことにした。僕はハイハイでみんなに鍵を手渡す。
「悪かったな坊主。まさか、こんなにすごい子供だと思わなかったからよ。この恩は必ず帰す」
うるさいと注意してきたおじさんがそういって微笑んでくれた。みんな好きで怒ってるわけじゃないんだよね。基本みんな良い人なんだ。
「じゃあ行こう」
「ああ、ありがとう。無事に脱出して何か困ったことがあったらアギレンに来てくれ。オーラの知り合いだと言えば歓迎してくれるはずだ」
お母さんと握手をしておじさんが微笑んだ。オーラさんは筋肉ムキムキのおじさん、覚えておこう。
「服を着替えて素知らぬ顔で出るわよ」
「みんなも着替えろ」
お母さんとオーラさんの号令にみんな従う。奴隷は全員で20人程だ。一緒に行動したら疑われるので何人かで分かれて街に紛れる予定。
「じゃあな。坊主ありがとうよ」
天幕を出るとき、みんな僕を一撫でしていく。僕はみんなのヒーローになれたみたいだ。
僕とお母さんはそのまま二人で街を行く。お母さんを助けられて、ほっと一息。
馬車からの景色を辿って街が見えてくる。赤ん坊がどうやってそんなに早く来れるんだって感じだけど、そこはあのステータスなのでとしか言いようがない。はいはいの体勢でジャンプジャンプといった感じ、一回のジャンプが4メートルの木を越えられるくらい、正直こんな赤ん坊がいたらびっくりするね。一躍有名人になってしまうだろうな~。
おっとっと、そうこうしているうちに街の前まで来てしまった。門の前は人が兵士さんがいるので10メートル程の壁を越える。この世界には魔物がいるので街は壁に覆われている。村は柵程度らしいけど僕は見たことはない。気が付いたら馬車に乗っていたからね。知る由もなし。
「ん? 赤ん坊か……」
街中を堂々とハイハイしているとすれ違う人たちがぎょっとして二度見してくる。少しは忍んだ方がよかったかな?
「奴隷~、奴隷はいかが~」
「バブ!」
奴隷商の声が聞こえてそちらを見ると目の前に白いパンツが、
「どうしたの? 迷子?」
伏し目がちの少女が屈んで声をかけてきた。屈んでいるからパンモロ、流石にこれは恥ずかしいレベルで嬉しいよりも驚きが勝ってしまう。
「お母さんを探そうね」
「あう~」
少女は僕を抱えると奴隷商とは別の道を歩き始めた。僕は不満の声をもらすんだけど、少女は微笑むのみ。僕のステータスでじたばたすると怪我をさせてしまいそうだ。奴隷商の場所はわかったからしばらくはこのままいくしかないか。
と思わせておいて、
「あ、どうしたの?」
服を脱いでするりと彼女の腕から抜ける。服などいらぬ。お母さんのところに行くんだ。
「ダッダッダ~」
「あ、まって」
少女から逃げるようにハイハイで路地へ。路地に入ってすぐに屋根へと飛びのった。すると少女が路地に入ってキョロキョロと周りを見て僕を探している。君の優しさは忘れないよ。
道路を堂々と進むと良い人に攫われてしまうので屋根を行くことにする。ぴょんぴょんと跳ねて奴隷商が見えるところに到着。
天幕の屋根にジャンプして天幕に穴をあけて中を伺う。
「ふ~、この街は奴隷が売れんな~。最初の赤ん坊しか売れん。あれはいい売り物だったな」
シルクハットの奴隷商のつぶやきが聞こえる。隠す必要がないから結構大きな独り言だな。
「あの女にもう一人産ませるか? いや、一人産んだら次は危ない。奴隷は死んだらマイナスしかないからな」
げすいことをいっていると思ったら思いとどまったみたい。思わず絞め殺してしまいそうになったけど、思いとどまってくれたおかげで我慢しました。
「運用は追々考えていこう。今日は店じまいだ」
奴隷商がそういって天幕を閉じていく。
チャ~ンス。
「ダッダッダ~」
店じまいだから明かりも全部消えている。天幕の中に入って、Gのように地べたを張って移動する。
『お前たちは奴隷、逃げてもいいがその首輪が閉まっていくからな』
奴隷商からお母さんが言われていた言葉。奴隷商から離れすぎると首輪が閉まって最後は死んでしまう。恐ろしい首輪だよ。その首輪を取るには鍵が必要。その鍵はさっきの奴隷商の腰についている。
「ス~ピ~」
外見とは違ってすっごい可愛い寝息を立てる奴隷商。ドキドキするので俊足で腰の鍵をぶっちぎる。
「うごっ……ス~ピ~」
早すぎて気づかれずに済んだみたいだ。これでお母さんを救える!
「マイト!」
「バ~ブ」
奴隷が集められている天幕にたどり着くとお母さんが僕に気づいてくれた。すぐに近づいて鍵を渡す。
「マイト。やっぱりあなたは凄い子なのね」
お母さんは涙して抱きしめてくれた。親不孝な僕だったけど、今世は親孝行に生きるぞ。
「おい、俺達も」
「わかっているわよ。マイト。みんなにも鍵を渡してあげて」
お母さんが首輪を外すと他の奴隷たちが声をあげた。あまり騒ぎになると困るのでお母さんはみんなに鍵を渡すことにした。僕はハイハイでみんなに鍵を手渡す。
「悪かったな坊主。まさか、こんなにすごい子供だと思わなかったからよ。この恩は必ず帰す」
うるさいと注意してきたおじさんがそういって微笑んでくれた。みんな好きで怒ってるわけじゃないんだよね。基本みんな良い人なんだ。
「じゃあ行こう」
「ああ、ありがとう。無事に脱出して何か困ったことがあったらアギレンに来てくれ。オーラの知り合いだと言えば歓迎してくれるはずだ」
お母さんと握手をしておじさんが微笑んだ。オーラさんは筋肉ムキムキのおじさん、覚えておこう。
「服を着替えて素知らぬ顔で出るわよ」
「みんなも着替えろ」
お母さんとオーラさんの号令にみんな従う。奴隷は全員で20人程だ。一緒に行動したら疑われるので何人かで分かれて街に紛れる予定。
「じゃあな。坊主ありがとうよ」
天幕を出るとき、みんな僕を一撫でしていく。僕はみんなのヒーローになれたみたいだ。
僕とお母さんはそのまま二人で街を行く。お母さんを助けられて、ほっと一息。
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