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 第一章 辺境貴族の苦悩



 僕はウィン。異世界転生を果たして、見事〝当たり〟である貴族の家に生まれた元日本人サラリーマンだ。
 前世では三十歳だった記憶があるので、自分を僕と言うのは恥ずかしいが、こっちではまだ七歳だからそっちの方が違和感がない。
 周りからも可愛いとめられているし、よしとしておこう。
 当たりとは言ったものの、僕が生まれたのは田舎いなか男爵家だんしゃくけで、ヘイゼル王国の王都から一番離れた位置にある海沿いの小さな土地が領地だ。
 領内には三つの村があって、全部合わせても人口はわずか二百人ほど。沿岸部では塩害で作物が育たないし、内陸はほとんど砂漠化しているせいで、食べ物に困っている。
 海水から塩を作って財政をやりくりしているけど、塩の値が下がったり売れなくなったりしたら、ちょっとマズい。
 僕の前世の死因は過労。最期に見た光景は農場ゲームでメインヒロインと結婚したところだった。
 死後、神様と話す機会を与えられて、そこで「やっと結婚したのに」などと運のなさを愚痴ぐちったら、なんとも僕向きのチートスキルをもらえた。
ぼくだけの農場のうじょう】は現実世界とは隔絶された空間に農場を持つことができるスキルだ。
 その名の通り、畑で作物を育てたり牛などの家畜を飼ったりできる。そして、農場の小屋の横にある『納品箱』を介して、現実世界と農場との間でアイテムのやりとりが可能らしい。
 僕が転生した世界の文明の発展度合は、中世ヨーロッパ程度だ。魔法もあるようだが、残念ながら僕には魔法の源である魔素マナを扱う才能がないから使えない。
 その代わりに【僕だけの農場】をもらえたってことだと思う。
 ないものねだりしても仕方ないので、与えられたチート能力を活用して生きていくことにした。今度は過労死しないように、のほほんスローライフを送るぞ~。
 そんなわけで、僕は今日も【僕だけの農場】に来ている。
 現実世界の僕は、家の近くを散歩している途中。休憩中にふと気になって、農場の様子を見に来たんだ。
 農場にいる間、現実世界の時間は止まっている。神様が言うには、僕の精神だけを移動させているらしいので、ここにいた時間の分も歳を取るみたいなことはないんだってさ。
 農場には畑の他に小さな小屋と動物を飼える柵付きの牧場がある。
 最初は石や雑草、木なんかがもっさもっさで大変だったよ。それを全部整備するのに一年くらいかかった。
 実は一歳から時々農場に来ていたんだけど、赤ん坊の体でできることはほとんどない。六歳になってやっと、自力で石とか小枝とかを集めて、小屋の横にある大きな木箱――納品箱に入れられるようになった。
 納品すると現実世界に送るか、ポイントに変換するかを選べて、貯めたポイントは農場のアイテムと交換できる。
 もちろん、石や小枝を現実世界に持ってきても意味がないのでポイントに変えておいたんだけど、その手のガラクタじゃそんなにポイントは貯まらないんだよね。
 やっぱり、野菜とか果物を育てて納品しないとダメっぽい。
 とはいえ、そのポイントで農業道具を買えたのは大きな一歩だったよ。道具を最初から持っていないのは結構厳しいと思ったな~。とはいえ、前世は過労死したほどの社畜だったので、こんな苦労は苦労のうちに入らないのでした。
 納品箱を触って、ポイントショップを開く。今買えるのはこんな感じ。


 木のくわ:五十ポイント  木のおの:五十ポイント  木のジョウロ:五十ポイント
 木の鎌:五十ポイント


 とりあえず、今まで集めた石と雑草、小枝なんかを変換して百ポイントになったので、木の鍬と木のジョウロに換えておいた。
 これらの道具は一個しか買えないらしく、購入したら鍬とジョウロはリストから消えてしまった。そもそもポイントが足りていないのもあるが、今のところ問題はない。
 このポイント取引は、買ったらすぐに小屋に届くから、とっても便利だ。
 斧を買って、木を切って納品するのもありだが、実は雑草を抜いた時に『何かの種』っていうアイテムを手に入れていた。早速植えていこうと思う。
 鍬で耕して、種をく。
 少し離れた所にある川の水をんできて、ジョウロでくと、見る間に芽が出てきた。
 雑草からとれた種は五十個。初めてだから全部蒔いたけど、何ができるのか楽しみだ。


 ◇


 これ以上農場でやることもないので、元の世界に戻る。
 木陰こかげで休んでいると、女性の声が聞こえてきた。

「ウィン、どこに行っていたの、さがしたのよ」
「お母様、どうしたのですか、そんなに急いで。僕はどこにも行っていませんよ?」

 この人が僕のお母様。名前はリリス、金髪縦ロールの綺麗きれいな人です。前世で会っていたら告白していたかもしれない――って、そんな度胸あったら、彼女の一人くらいできていたか……。

「ちょっと抱きしめたくなったのよ。あの人ったら、王都へ行ってしまっているしね」

 ギュスタお父様は食料調達のために王都に行っていてしばらく不在だから、僕に構ってほしいらしい。

「ははは、お母様は本当に寂しがり屋ですね」

 お母様はとっても寂しがり屋で、朝起きたらすぐに僕やモニカのところに来て抱きしめてくれる。たとえ子供扱いでも、男としては好みの女性に抱きしめられるのはうれしい。

「もう! お母様! お兄様が痛そうです」

 ほおふくらませながら駆けてきた少女は、妹のモニカ。お母様と一緒で寂しがり屋だから、よく一緒に寝ている。おかげでお母様は僕の部屋に来るだけで二人とも抱きしめられるから嬉しそうだ。

「モニカ、そんなことはないわ。強くしていないもの」
「私だってお兄様を捜していたのに。お母様は本当に足が速いんですから」
「ふふ、私はあなた達の母親よ? あなた達を抱きしめるためだったら、風になるわ」

 得意げに返すお母様。そんなに思いっきり走って、転ばないか心配だ。

「それよりも、食事の時間です。行きましょ、お兄様」
「もう、モニカはせっかちね」

 僕はモニカに手を引かれて、小高い丘の上に立つお屋敷へ向かう。田舎貴族だから、僕らの家は結構ぼろっちい。それでも、家族と一緒に幸せに暮らせるのならば、全然気にならなかった。


 ◇


「ええ!? もう実がなってる」

 翌日、農場の様子を見に行くと、昨日植えた『何かの種』が僕の身長くらいまで成長して、実をつけていた。五十個の種全てが同じというわけではなく、色んな植物がえている。三分の二くらいは雑草で、ぺんぺん草の背が高い版といったところだ。
 しかし、中には見てわかる野菜もあった。
 赤くて中身がジューシーな太っちょさん、トマトさんです。
 見事にぷりぷりと太っていて、美味おいしそう。他にも、キュウリやジャガイモもある。
 いずれも三個ずつあるから、一個くらい現実世界に持って帰ってもいいかな~。
 と思ったが、とりあえず、何ポイントになるか見てからだ。我慢我慢。
 うちの領地、本当に財政は大丈夫なんだけど、食べ物の種類が少ないのが難点なんだよ。
 それこそトマトなんか見たこともなくて、食卓に並ぶのは決まってトウモロコシを練って作った何かと、具が少ないスープって感じ。しかも味は全部塩味で、正直飽き飽きなんだよね。
 ああ、牛肉が食べたい。できれば和牛!
 モニカやリリスお母様にも食べさせてあげたいな~。
 しかし、日本の畜産家が育て上げた和牛レベルにまでできるだろうか。……いや! できるのだろうかではなくて、やるんだ! 僕は和牛になる……じゃなかった、和牛を作る!
 よだれを垂らしながらトマトを一個納品箱に納品。ポイントに変換すると、なんと二百ポイントになった。これで初期道具を全部買って、木を切ることができるよ。
 道具を買ったことでポイントショップの品揃えが増えているみたいだけど、別の野菜のポイントの確認が先だ。
 キュウリとジャガイモはどちらも五十ポイントだった。トマトってこの子達の四倍もらえるのか。これもリコピンの力かな?
 ひとまず、トマト一個とジャガイモは元の世界へ持ち出して、残ったトマトとキュウリはポイントに変換することにした。さらに大量の雑草類を納品して、全部で七百五十ポイントになった。
 ジャガイモは僕の領地でも育てられるかもしれない。少し海から離れた場所に植えれば、いけると思うんだよね。ジャガイモは普通の作物よりも強いから、せた土地でも大丈夫でしょう。
 といっても、僕の農業知識はほとんどゲームのものなので、それほど現代知識チートは使えない。まあ、その分、チート能力でなんとかします。
 気を取り直して、新しく取引できるようになったアイテムを見てみよう。


 妖精S:五万ポイント  妖精A:一万ポイント  妖精B:五千ポイント
 妖精C:二千五百ポイント  妖精D:二千ポイント  妖精E:千ポイント
 トマトの種:五十ポイント  キャベツの種:五十ポイント
 ジャガイモの種芋たねいも:五十ポイント


 むむむ、妖精さんとな……。
 新しいアイテムは妖精を雇えるというものらしい。期限は書いていないので、ずっと雇用できる可能性があるな。
 あとは手に入れた野菜達……。トマトの種を買いまくって量産が一番ポイントになりそうなので、ここはトマト一択! 十三個の種に変換して、一気に植えていく~。
 ふふふ、これでミートソースが作れる。いや、ミートがないからトマトソースか。だが、パスタは王都で買った小麦粉で作れるから、いけるぞ~。
 しかし、今のところ一個の種につき一個しか実らないのは悩ましい。トマトは種との差額で百五十ポイントプラスだからいいんだけど、ジャガイモとかは種との差額がゼロで、もうけが出ないしね。
 いずれ農場が発展するにしたがって、収穫量が増えていくんだろうか。
 余ったポイントで木の斧を入手したので、適当な木を切っていくことにした。
 さすがに子供の僕では大きな木は切れる気がしないので、自分の身長くらいの低木を切ってみる。このくらいなら……と思っていたけど、それでもかなりきつかった。
 木の斧の切っ先は、もちろん木でできているので、切れ味は最悪だ。それでも、スキル的な力が働くのか、なんとか切れた。どうやら対象を切りつけた回数で切れてくれるようなので、斧で切りつけるという行為そのものが重要みたいだ。
 何とか切った木をそのまま納品箱に納品すると、また新しい商品がポイントショップに入ってきた。


 竿ざお:五十ポイント  牛小屋:十万ポイント  豚小屋:三万ポイント
 鶏小屋:五千ポイント  ビニールハウス:一万ポイント  家:一万ポイント
 大きな家:五万ポイント


 増えたのは主に建物系の商品だ。木材を入れたことが引き金になって出てきたのかな。今まで小枝では出てこなかったから、入れた量で解放されているのかもしれない。
 だったら、たとえば動物達を狩って納品すれば、別の商品が解放されるのかな? 
 とはいえ、今の段階だと野菜を入れ続けることしかできないよね~。
 ……ん? 建物のインパクトで見過ごしていたけど、釣り竿が追加されている? ってことは、魚を釣って納品すれば、何か解放されるんじゃないか? 動物だといいな~。
 ということで、早速釣り竿を買って近くの川で釣り。
 水を汲みに来た時には気づかなかったけど、ここには魚も棲息せいそくしているんだな~。
 なんか、釣り糸を垂らすと魚影が見えるようになっているから、ゲームみたいだ。
 魚を飼えたりするのかな? これから家を大きくしていけばできるようになるかもしれない。


 そのまま釣り糸を垂らして三十分……釣れない。
 川魚は賢いと聞いたことがある。ゲーム感覚でやっていたからえさがなくても大丈夫だと思っていたが、そんなに甘くはなかったよ。
 農場の世界では虫を見たことがないから、手頃な餌がない。
 どうにかして魚を手に入れて納品を試してみたかったけど、今回はあきらめるかな~。
 餌になりそうな虫を現実世界から逆納品して釣ってみよう。


 ◇


 現実世界に戻った僕は、餌になりそうなものを探しに浜辺の村へやってきた。
 港町というより漁村といった感じで、周囲を守る防壁のようなものはない。
 周辺に出没する魔物への対処は、毎日自警団が見回りをしている。自警団といっても五人くらいだけどね。

「お兄様~」

 僕の少し後ろを、妹のモニカが早足で追いかけてくる。

「モニカ、無理して追いかけてこなくてもいいんだよ。すぐに家に帰るからさ」
「いいえ! お兄様はそう言って夜遅くに帰ってくることが多いんです。夜しかお兄様と遊べないなんて、お母様じゃなくても悲しいです」

 モニカは頬を膨らませて抗議する。本当にお母様にそっくりな性格だ。
 仕方ないので、妹の手を取って漁村に入ると、若いお兄さんが声をかけてきた。

「ウィン様、今日も来られたのですか? お一人では危険だと何度も言っているでしょう」
「モニカも一緒ですよ」
「いや、そういうことではなく……」

 この人は村長のファイさん。年上相手に若いなんて七歳児が言うと変だけど、僕は前世と合わせて実年齢は三十七歳なので、自分的にはおかしくない。
 先代の村長さんは流行はややまいで早くに亡くなっちゃって、まだまだ若いファイさんに替わったんだ。他にも候補の年長者はいたんだけど、誰もやりたがらなかったそうだ。
 そりゃ、こんな田舎村の村長なんて誰もやりたくないよね。
 お父様は、やりたくない人にやらせるよりはやりたい人にやらせた方がいいだろうって言っていたけど、正解だったよ。
 彼は今まで塩しか作っていなかった村で網を使った漁を始めて、今では結構な収益になってきている。
 ただ、魚をるだけで干物とかの作り方は知らなかったので、日持ちがせず、売り物にはできなかった。そこで僕が少しヒントを与えた。
 ヒントと言っても、ただ開いた魚をしまい忘れたっていうていで網に干しておいただけだけどね。それで異臭はしないからって焼いて食べさせたら、「これは美味しい!」となって、すぐに商品化された。

「大丈夫、ファイさん。ここら辺は平和ですし、それに自警団もあります」
「まあ、私的にはむしろ、ウィン様には毎日来てほしいほどですよ。だって、色々と教わることが多いですから」

 ファイさんはそう言って頭をく。七歳に学ぶっておかしな話だけど、日頃から学ぶ姿勢を忘れない彼には年齢なんて関係ないみたいで、素直すなおに聞いてくれる。
 干物の件も、実は僕がわざとやったと気づいていたみたいなんだよね。それ以来、困ったことがあると僕に相談してくる。さすがに他の人がいるところでは聞かないけど。
 しかしモニカは不満そうで、フンスと鼻息荒く文句を言う。

「お兄様は忙しいの! そんな毎日なんて来られるわけありません」
「こら、モニカ、そんな言い方はダメじゃないか。すみません、ファイさん」

 ファイさんが恐縮してしまったので、モニカをしかる。頭を軽く叩くと「お兄様痛いですわ……」などと大げさに痛がっている。
 仕方ないので頭をでてあげると、抱きついてきた。可愛い妹だな~。

「それでウィン様、今日は何を?」
「釣りの餌に何かないかなと思って」
「釣りをするんですか? それでしたら、ちゃんと護衛をつけますけど」
「いや、餌が欲しいだけで、釣りはやらないよ」

 ファイさんが首をかしげている。餌が欲しいのに釣りはしないって、おかしな話だもんな~。
 とはいえ、現実世界ではやるつもりはない。海はとても危険だ。下手したら魔物も出るし、この国だけでも毎年何百っていう人が死んでいるんだよ。そんなところに行く気はありません。

「小さいエビってあるかな~」
「ああ、あのゴミですか? あれが餌になるんですか? 大きなエビは食べるところもあるそうですけど……」

 この世界での漁業は網で無理やり捕まえる漁法がほとんどだ。餌も虫系が主で、エビは網に引っかかるゴミとして処分されている。
 この辺で捕れるエビはアミエビのような小さなエビばかりっていう事情もあって、食用としても見向きもされていない。
 そんな不遇な立場になっているエビちゃん、うん可哀かわいそう

「ファイさん、そもそも魚って海で何を食べていると思う?」
「……考えたこともないです」

 まだまだ生態系の知識の少ない世界だから、単純な質問にも答えられないファイさん。
 小さな魚やエビなんかが植物性プランクトンという小さな生物を食べて、その小さな魚を中くらいの魚が食べる。そして大きな魚が中くらいの魚を食べてふんをする。それらの糞や死骸しがいがプランクトンの栄養になってまた小さな生物へ。ざっくりそんな説明をすると、ファイさんは目からうろこといった様子で驚いている。ちょっとやりすぎたかな。

「じゃあ、このエビをちょっといただきますね」

 僕は呆然ぼうぜんとするファイさんを横目に、木でんだかごにアミエビを一掴ひとつかみ入れた。
 モニカに気づかれないように、僕はすかさず「納品」とつぶやく。すると籠に入れていたアミエビが一瞬で消えた。
 対象を手に持って「納品」と言うだけで【僕だけの農場】に転送できるなんて、本当に便利だよね。


 ◇


 釣り餌を手に入れた次の日、早速釣りを……といきたいところだけど、まずはトマトの収穫だ!
 せっかくだから木の鎌を使ってみたところ、どういうわけか十三個の種から二十六個の実が採れた。しかも、なっている実は一つなのに、一つ収穫したら手元で二つに増えているという、何ともゲーム的な動きで、少し脳が混乱した。
 おそらく、鎌を使ったら収穫量が自動で増えると考えていいだろう。
 収穫したトマトのうち二十個はポイント変換して、六個を元の世界に持ち出し。
 この前の一個は生食でみんなに振る舞ったけど、今日は六個持っていくので、トマトソースを作ってびっくりさせよう。
 新たに四千ポイントゲットしたので、妖精E、妖精Dを購入してみる。残りの千ポイントはトマトの種二十個だ。
 妖精Eは真っ黒なサンタ服で、妖精Dは茶色のサンタ服。両方とも帽子にポンポンがついていて可愛らしい。妖精達は何ができるのだろうか?

「遅いけど仕事ができます」
すごく遅いけど仕事ができます」

 妖精D、Eに聞くとそんな答えが返ってきた。
 なるほど、ってことはCは普通の仕事ができるってことかな。しかし、仕事か~。

「じゃあ、D君には畑を任せるね。E君は木を切ってくれる?」
「「はい」」

 二人にそれぞれの道具を渡して、僕は釣りをしに川へ。エビは納品箱の横に置いてあったので、回収しておいた。残念ながら、現実の世界のものはポイントに変換できないみたいだ。
 野菜が作れるようになったおかげで、ポイントのやりくりはだいぶ楽になっているんだけどね。
 しかし、トマトを二十個も納品したのに新しい種が増えていないところを見ると、やっぱり雑草から得た種を植えていかないと新しい品種は増えなそうだ。ここだけは結構厳しい。
 早く色々な建物を建てて、動物も解放して、飼育していくぞ~。
 まあ、魚の納品で動物が解放されるとは限らないんだけど、とにかく検証していかないと。
 ということで、僕は釣りに集中する。
 エビを釣り針にセットして川へポイッ。この間は餌なしというめたプレイ〝舐めプ〟をしてしまったせいで三十分無駄むだにしたけど、今回は違うぞ。

「――ええ!?」

 凄いことが起こっている。手応えがあって竿を引くと、なんと三匹の魚が釣れた。何を言っているのかというと、一匹は釣り針にかかって、それに追従するように別の二匹が飛んできて、地面でぴちぴちしているというわけだ。エビはこの世界の魚達に大人気みたい。
 釣れた魚は横っ腹に赤い模様があるから、ヤマメかな? あゆっぽい顔の子もいるけれど、どうなんだろう? 僕はあまり魚には詳しくないからな~。
 そんなことはどうでもいい、すぐに納品だ!
 納品箱に魚を入れに向かうと、妖精が働いているのが見えた。
 Eの子はかなり遅い、でも汗を流しながら頑張っている。外見も可愛いから応援しておこう。D君の仕事ぶりは僕とあまり変わりないように見えるな~。
 妖精達は僕よりも少し小さい。それなのに僕と同じくらいの木を切っているし、畑も耕せている。妖精さん達はかなり優秀だな~。
 期待を込めて魚を納品すると、案の定ポイントショップの商品が新たに解放された。


 良い釣り竿:五百ポイント  凄い釣り竿:二千ポイント  海エリア:十万ポイント
 釣り船:一万ポイント  大きな船:二十万ポイント  池:千ポイント


 ――っていうか、海エリアって何さ。この空間に海を作ることができるの!? ちょっと想定外すぎるよ。その海よりも高い大きな船も気になるけれど。
 しかし、動物が解放されないとは想定外。どうすれば動物が解放されるんだろう?


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