異世界転生したら【スキル】が【グミ】でした 【魔王】の友達もできたので世界を平和にしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)

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第二章 不思議な洞窟

第36話 融合

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「貴様! 【シャドウディーク】」

「しゅ、シュン!?」

 シャドウさんがお父さんへ魔法を繰り出す。丸い球体の影が飛んでいくとお父さんが真っ二つに切り落とした。お父さんは魔法を見ずに切り落としてる。絶望した表情のお父さん、僕を攻撃したのはお父さんの意思じゃない?

「ち、違う。俺じゃない……アーラ! てめえ!」

 お父さんは頭を抱えながら声をあげる。苦悩して血の涙を流し始めるお父さん。

「シン様!」

 立っていられなくて座り込んで倒れると、マールちゃんが僕の手を握ってくれる。遠のきそうな意識の中、グミの入った革袋を指さす。マールちゃんは気が付いてくれてグミを僕の口に入れてくれる。

「血が……ダメ! 死なないでシン様!」

 口いっぱいの血が邪魔をして噛むことが出来ない。喉を通れば回復効果が行使されるはずなのに。ステータスもあげてきたのに心臓を一突きされて死んじゃうのか。

「!」

「レッド。何をするの! 傷口に入っちゃダメ!」

 暗くなる視界の中、マールちゃんの声が聞こえてくる。レッドが何かしているみたいだ。痛みも何も感じない。もっとエリナさんと過ごしたかった。シャドウさんと一緒に世界を平和にしたかった。マールちゃんとももっともっと冒険したかった。もっともっとやりたいことがあったのに……お母さん、先立つぼくを許してください。

「……え?」

「シン様!?」

 いつまでも来ない死に、目を開けて確認すると普通に体を起こすことが出来た。マールちゃんは驚いて抱き着いてくる。

「マールちゃんのおかげ?」

「違います。私何もできなくて、見ていることしかできなくて。そうしたらレッドがシン様の傷口に入って行って」

「レッド……」

 マールちゃんの説明を聞いて目を瞑る。すると真っ暗な視界の中、レッドがハートのマークになっているのが見える。レッドが僕の心臓になってくれたんだ。心臓に大きく空いた穴を塞いで血管と血管をつないで……レッドのおかげで僕は。ありがとうレッド。君は本当に凄い従魔だ。

「貴様! シンはシンは私の友だったんだぞ! 欠かせない私の友だ! 父であるお前がなぜだ!」

「シャドウさん!」

 レッドのことを考えているとシャドウさんの声が聞こえてくる。涙を流しながら凄い数の影の玉と雷を落としている。あれは【シャドウドゥーク】か。

「違う! 俺じゃない! 俺じゃないんだ!」

「お父さんもシャドウさんも落ち着いてください! 僕は無事です! レッドのおかげで!」

 魔法を切り落として躱すお父さん。戦う二人に声をあげる。だけど、声は聞こえないみたいだ。いつものシャドウさんからは想像も出来ない。黒い角が生えている、まるでマールちゃんの獣神みたいだ。

「……シャドウは【魔王】なんだ。暴走したら私など足元にも及ばない」

 ダークスさんは悲しい表情で話す。悲しい表情の彼だったけど、どこか嬉しそうにも感じる。

「殺す! 殺す殺す! 人間など全員皆殺しだ!」

 暴走するシャドウさん。影が渦を巻いて竜巻を作り出す。完全に理性が崩壊してる。帝国の軍艦が影の渦に飲まれて海へと沈んでいく。お父さんは海に向かって飛び上がり水上に浮かぶ。

『ケビン。お前の役目は終わった。これからは俺が表に出る』

「アーラ! てめえ、裏切るのか!」

『……裏切るのではない。最初から私は魔物なのだ。お前は人、私の食われるだけの存在だったのだ』

「アーラ! 許さねえぞ! アーラースーン!」

 僕らにもハッキリと聞こえる心の声。お父さんの中にいた魔物が表に出てきてしまったんだ。すぐにお父さんの姿が黒い人型の魔物に変わっていく。
 僕を貫いた腕がそのまま魔物のものだった。黒い魔物……ティアラさんのいっていた闇の精霊なのか?

「我にひれ伏せ! 魔物風情が!」

「そうせくな魔王!」

 シャドウさんへと迫るアーラ。二人共空を飛んでる。よく見ると黒い膜みたいなものが二人を覆っている。闇の魔法を体に纏って飛んでるのか。

「落ち着け、ケビンの息子は生きている。見て見ろ」

「そんな嘘を。な!? 本当に生きているのかシン!」

 なぜかアーラは僕が生きているのをシャドウさんに見せる。するとシャドウさんの角がみるみる小さくなって元の彼に戻って行く。

「フンッ。感情に支配された稚拙な生き物よ」

「ぐはっ!?」

「シャドウさん!? キングレオ!」

「ガオッ!」

 気を許したシャドウさんに手刀を振り落とすアーラ。シャドウさんの片腕が宙に舞い、彼が落ちてくる。キングレオに跨って落ちるシャドウさんを受け止める。

「グミを食べてくださいシャドウさん」

「シン……ありがとう生きていてくれて」

 ヒールグミを咀嚼しながらお礼を言ってくるシャドウさん。僕は嬉しくて頷くことしかできない。腕が回復するまで何粒も食べさせる。その間、ダークスさん達がアーラを引き止めてくれている。

「軍艦が更に来ます!」

「なに!? 本当に戦争を始めるつもりか! 魚人族は軍艦を止めろ。帆や舵を狙え!」

 兵士の知らせを聞いてダークスさんが指示を飛ばす。アーラは動かずにいるな。

「全員、上空の魔物へと魔法を飛ばせ!」

『応っ!』

 一斉に色とりどりな魔法が空へと飛んでいく。それをものともしないアーラはポカンと天を仰ぐ。

「自由だ。私は自由。何物にも縛られない。神も地上には降りてこない。私を止められるものはいない!」

「な!? 味方の船を!?」

 アーラは船よりも大きな黒い球体を作り出してこっちに向かってきていた軍艦に放った。水を消滅させて渦が出来ると軍艦が巻き込まれて沈んでいく。

「さて、あとはこの町だが」

 船の沈む光景を見て、驚いていると平然と降りてくるアーラ。キョロキョロと周りを見回して僕を見つけると近づいてくる。

「お前の父には世話になったからな。私自ら葬り去ってやる」

「……世話になったなら恩を返すのが普通だよ。アーラ」

「……ふは、流石親子だな。似ているよお前達は!」

「!?」

 紫炎と水龍を抜いて構える。話し終わるとアーラは一瞬で距離を詰めて鋭い爪を横なぎに払ってくる。紫炎と水龍で受け止めると紫炎の刃がかけた。

「中々丈夫な武器だな? 見たことがないが名前は何というんだ?」

「壊しておいて……欠けたのが紫炎、こっちが水龍だよ。刀って言うんだ。ちなみに鍛冶師の名前はイチリさんだ。覚えておくんだな!」

 首を傾げて聞いてくるアーラ。話している間も横なぎに力を込めてきていた、その爪を地面に受け流し、回転を加えて腕を切りつける。水龍が食い込み骨を断った。

「ぐあっ!?」

「!? お父さん!?」

 アーラからお父さんの声が聞こえてくる。僕はハッとして食い込む水龍を抜く。それを見てアーラは口角をあげた。

「くふ、ははははは。面白いな~。お前達人間は感情に殺される」

「……碌な死にかたしないよアーラ」

 僕は革袋に入っていたグミを全種類食べる。インビンシブルグミは手に持っていつでも食べられるように。

「お父さんを返してもらう!」

「それが感情に殺されるということだ!」
 
 アーラの両手の爪が鋭く切りつけてくる。紫炎と水龍で受け流して躱す。紫炎の悲鳴が聞こえる。もってくれ紫炎。
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