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第一章 新たな地で
第19話 強化薬
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「いました!」
「あれか、オークだな」
洞窟から出て森の中を進むとすぐに足が黒くなっているオークを見つけることが出来た。足が黒くなっているってことは脚力が強くなってるのかな。
「霧散させずに捕獲できるか?」
「え!? それは難しいですよ」
「HPを削りすぎないようにやればいいんだ。体を調べないと黒くなっている原因がわからないぞ」
「ん~、そうですか。じゃあ、やってみます」
シャドウさんの無茶なお願いに仕方なく答える。そうしないとわからないって言われたらやるしかない。
「なるべく黒くなっている足は避けるようにな。本体から切断されると霧散して消えていくからな」
魔物の欠損はしばらくすると霧散して消えちゃうんだよな。魔物は時間で欠損箇所が再生するから問題ないのだろう。
「足を狙わずにか」
今までは倒せればいいと思って戦っていた。絶命させないようにしないといけないのは難しいな。
「む!? 気づかれたぞ!」
「ええ!? まだ心の準備が!」
シャドウさんの声にオークを見ると走りこんでくるのが見えた。オークはふくよかな体系だから遅いな。
「む? 遅いな。これなら【シャドウバインド】」
「フゴ!?」
「ええ!?」
遅いことに気が付いたシャドウさんが魔法を放つ。周りの木や草の影がオークに伸びて行くと縛り付けて行く。
「今だシン!」
「はい! 【ファイアシーク】からの紫炎! 水龍!」
影の縛りにもがくオークの顔にファイアシークを放つ、痛みにもがいている間に両腕を切り落とす。
「よし! いいコンビじゃないか? 私達は?」
「あ、はい! 魔法ありがとうございます」
手をあげてシャドウさん、ハイタッチすると顔を見合って笑いあった。
「フゴ! フゴフゴ!」
「早めに済ませよう。足の部位から血を抜き取る。血も早めに解析しないと霧散してしまうからな」
シャドウさんはそう言って少し大きめの注射器で血を抜き始める。科学が進んでいない世界だから注射器の針がでかいな~、痛そう。
「よし! これと持ってきた魔物強化薬の試薬を混ぜる」
オークの血と薬品を混ぜると赤かった血が黒くなっていく。そして、キラキラと黒光りし始めた。
「ふむ、やはり……。同じ強化薬の反応だな」
「え? ってことは?」
「ああ、この強化薬は空気感染する可能性が出てきた。私の実験は失敗だ。これでは被害者が増えてしまうだけだ」
従魔の魔物に言うことを聞かせることが出来ても野良の魔物が強くなっちゃったら意味ないもんな。
「人族に被害は出ているか?」
「まだ少し冒険者に怪我人が出たくらいかな」
「そうか……」
悲しそうに俯くシャドウさん。かなりショックだったみたいだな。
「感染する強化薬とはな。それも薬品を投与した魔物が死んでも消えないとは、厄介なものを作ってしまった」
「シャドウさん……」
更に表情が暗くなっていくシャドウさん。声もかけられない程の後悔が見える。
「しかし、私は夢を諦めないぞシン! 黒い魔物を全て駆逐するぞ!」
「はい!」
シャドウさんは顔をあげると声をあげた。僕もそれに答えると歩き出す。
「【シャドウソナー】影が魔物を探す。倒すのはシンに任せるぞ」
「任せてください」
シャドウさんが魔法の影を森へと放つ。影は静かに森をつき進んでいく。扇状に放たれた魔法がすぐに魔物のいる場所を教えてくれるみたいだ。
「この方角に3、こっちは2だ」
「了解!」
シャドウさんの指さす方向へ駆ける。今度は手加減なしに片付ける。
水龍に手をかけて走ってくると体の一部が黒くなっているオークが3体。情報通りだ。
「はっ! 続けて!」
僕の速度に反応できずにいるオークを水龍で上下に切り分ける。更に返す刃でもう1体の首を切り落とす。
両者の胴体が土につく前に3体目のオークに向かって紫炎を投げつけると簡単に頭に命中して倒れて行く。
休んでいる暇もない。紫炎を拾い上げて走りながら紫炎と水龍についた血を払い捨てる。
「いた! 2体」
新たなオークも情報通り2体。だが、少し様子が違う。
「ん!?」
「ガアァァァ!」
「な!?」
杖を持っているオークとオークと言うには体が大きい豚人だ。普通のオークは身長が2メートル程が普通、だけどこいつは4メートルはある。
それに体も異常だ。全身が黒くなっていて杖持ちのオークが小さく見える。って杖持ちってことは。
「【ストーンシーク】」
「わっ!? 危なかった」
大きいオークを見ていると杖持ちのオークが魔法を放ってきた。ギリギリ躱して木の後ろに隠れる。巨躯のオークが杖持ちを守るように動いてるな。
「まずは巨躯のオークか? え!?」
考えを口にして整理していると巨躯のオークが素早く動いてきた。
僕が隠れていた木をなぎ倒してそのまま突撃してきた。避けることはできないと判断した僕は、紫炎と水龍でガードする。
巨躯のオークは刀を物ともせずに僕をかちあげる。宙に浮かされた僕を巨躯のオークはまるでサッカーボールを蹴るように蹴りつけてきた。それも何とか刀でガードすることが出来たけど、大きく吹き飛ばされる。
「ぐはっ」
壁に叩きつけられると僕は吐血した。すぐにグミを服用する。美味しい。
「……【ストーンドゥーク】」
「!?」
グミを食べて満足していると杖持ちのオークが上級魔法を唱えてきた。ファイアドゥークと同じように地面が盛り上がって鋭い土の刃が僕を切り刻む。
「ううっ、まずい!?」
ファイアドゥークと違う、僕は吹き飛ばされずに盛り上がった鋭い山の上に放置だ。体に突き刺さる土の棘が僕の動きを阻害してきた。このままここにいたら、あいつがくる。
「早く! ってダメだ! 間に合わない!」
「ガアァァ!」
「くる! 何か! 何かないか! ってインビンシブルグミ!」
そうだよ、こういう時にこれがあるじゃないか! 僕はすぐにインビンシブルグミを口に放り込む。食べると同時に土の棘が体から離れて行く。そして、すぐに僕は巨躯のオークへと走り出す。
「下る速度と僕の脚力で!」
紫炎をしまい、水龍だけで構える。加速度を増してオーク達へと迫る。
「【ストーンシーク】」
下降する僕に向かって杖持ちの魔法が放たれる。だけど、今は無敵だ。バチバチと僕に当たる前に弾け飛ぶ石つぶて。そして、
「はっ! そして、お前も!」
水龍がまるで海を渡るように横なぎに巨躯のオークを横断。鋭く入った刃が巨躯のオークの命を刈り取ると杖持ちが背中を見せて逃げようとしてきた。そんなこと許すはずがない。魔法使いの魔物、上級の魔法使いの魔物を逃がしたら被害がどれだけ増えるか。
やつを横切るように追い越すと水龍を滑らせた。巨躯のオークの体が地面に落ちるのと同時に杖持ちのオークの首が地面に落ちる。
「レベルが上がりました」
「ふぅ。何とか終わった」
システム音声を聞いてホッと胸を撫でおろす。
とりあえず、シャドウさんの探してくれた魔物は退治出来たな。
「あれか、オークだな」
洞窟から出て森の中を進むとすぐに足が黒くなっているオークを見つけることが出来た。足が黒くなっているってことは脚力が強くなってるのかな。
「霧散させずに捕獲できるか?」
「え!? それは難しいですよ」
「HPを削りすぎないようにやればいいんだ。体を調べないと黒くなっている原因がわからないぞ」
「ん~、そうですか。じゃあ、やってみます」
シャドウさんの無茶なお願いに仕方なく答える。そうしないとわからないって言われたらやるしかない。
「なるべく黒くなっている足は避けるようにな。本体から切断されると霧散して消えていくからな」
魔物の欠損はしばらくすると霧散して消えちゃうんだよな。魔物は時間で欠損箇所が再生するから問題ないのだろう。
「足を狙わずにか」
今までは倒せればいいと思って戦っていた。絶命させないようにしないといけないのは難しいな。
「む!? 気づかれたぞ!」
「ええ!? まだ心の準備が!」
シャドウさんの声にオークを見ると走りこんでくるのが見えた。オークはふくよかな体系だから遅いな。
「む? 遅いな。これなら【シャドウバインド】」
「フゴ!?」
「ええ!?」
遅いことに気が付いたシャドウさんが魔法を放つ。周りの木や草の影がオークに伸びて行くと縛り付けて行く。
「今だシン!」
「はい! 【ファイアシーク】からの紫炎! 水龍!」
影の縛りにもがくオークの顔にファイアシークを放つ、痛みにもがいている間に両腕を切り落とす。
「よし! いいコンビじゃないか? 私達は?」
「あ、はい! 魔法ありがとうございます」
手をあげてシャドウさん、ハイタッチすると顔を見合って笑いあった。
「フゴ! フゴフゴ!」
「早めに済ませよう。足の部位から血を抜き取る。血も早めに解析しないと霧散してしまうからな」
シャドウさんはそう言って少し大きめの注射器で血を抜き始める。科学が進んでいない世界だから注射器の針がでかいな~、痛そう。
「よし! これと持ってきた魔物強化薬の試薬を混ぜる」
オークの血と薬品を混ぜると赤かった血が黒くなっていく。そして、キラキラと黒光りし始めた。
「ふむ、やはり……。同じ強化薬の反応だな」
「え? ってことは?」
「ああ、この強化薬は空気感染する可能性が出てきた。私の実験は失敗だ。これでは被害者が増えてしまうだけだ」
従魔の魔物に言うことを聞かせることが出来ても野良の魔物が強くなっちゃったら意味ないもんな。
「人族に被害は出ているか?」
「まだ少し冒険者に怪我人が出たくらいかな」
「そうか……」
悲しそうに俯くシャドウさん。かなりショックだったみたいだな。
「感染する強化薬とはな。それも薬品を投与した魔物が死んでも消えないとは、厄介なものを作ってしまった」
「シャドウさん……」
更に表情が暗くなっていくシャドウさん。声もかけられない程の後悔が見える。
「しかし、私は夢を諦めないぞシン! 黒い魔物を全て駆逐するぞ!」
「はい!」
シャドウさんは顔をあげると声をあげた。僕もそれに答えると歩き出す。
「【シャドウソナー】影が魔物を探す。倒すのはシンに任せるぞ」
「任せてください」
シャドウさんが魔法の影を森へと放つ。影は静かに森をつき進んでいく。扇状に放たれた魔法がすぐに魔物のいる場所を教えてくれるみたいだ。
「この方角に3、こっちは2だ」
「了解!」
シャドウさんの指さす方向へ駆ける。今度は手加減なしに片付ける。
水龍に手をかけて走ってくると体の一部が黒くなっているオークが3体。情報通りだ。
「はっ! 続けて!」
僕の速度に反応できずにいるオークを水龍で上下に切り分ける。更に返す刃でもう1体の首を切り落とす。
両者の胴体が土につく前に3体目のオークに向かって紫炎を投げつけると簡単に頭に命中して倒れて行く。
休んでいる暇もない。紫炎を拾い上げて走りながら紫炎と水龍についた血を払い捨てる。
「いた! 2体」
新たなオークも情報通り2体。だが、少し様子が違う。
「ん!?」
「ガアァァァ!」
「な!?」
杖を持っているオークとオークと言うには体が大きい豚人だ。普通のオークは身長が2メートル程が普通、だけどこいつは4メートルはある。
それに体も異常だ。全身が黒くなっていて杖持ちのオークが小さく見える。って杖持ちってことは。
「【ストーンシーク】」
「わっ!? 危なかった」
大きいオークを見ていると杖持ちのオークが魔法を放ってきた。ギリギリ躱して木の後ろに隠れる。巨躯のオークが杖持ちを守るように動いてるな。
「まずは巨躯のオークか? え!?」
考えを口にして整理していると巨躯のオークが素早く動いてきた。
僕が隠れていた木をなぎ倒してそのまま突撃してきた。避けることはできないと判断した僕は、紫炎と水龍でガードする。
巨躯のオークは刀を物ともせずに僕をかちあげる。宙に浮かされた僕を巨躯のオークはまるでサッカーボールを蹴るように蹴りつけてきた。それも何とか刀でガードすることが出来たけど、大きく吹き飛ばされる。
「ぐはっ」
壁に叩きつけられると僕は吐血した。すぐにグミを服用する。美味しい。
「……【ストーンドゥーク】」
「!?」
グミを食べて満足していると杖持ちのオークが上級魔法を唱えてきた。ファイアドゥークと同じように地面が盛り上がって鋭い土の刃が僕を切り刻む。
「ううっ、まずい!?」
ファイアドゥークと違う、僕は吹き飛ばされずに盛り上がった鋭い山の上に放置だ。体に突き刺さる土の棘が僕の動きを阻害してきた。このままここにいたら、あいつがくる。
「早く! ってダメだ! 間に合わない!」
「ガアァァ!」
「くる! 何か! 何かないか! ってインビンシブルグミ!」
そうだよ、こういう時にこれがあるじゃないか! 僕はすぐにインビンシブルグミを口に放り込む。食べると同時に土の棘が体から離れて行く。そして、すぐに僕は巨躯のオークへと走り出す。
「下る速度と僕の脚力で!」
紫炎をしまい、水龍だけで構える。加速度を増してオーク達へと迫る。
「【ストーンシーク】」
下降する僕に向かって杖持ちの魔法が放たれる。だけど、今は無敵だ。バチバチと僕に当たる前に弾け飛ぶ石つぶて。そして、
「はっ! そして、お前も!」
水龍がまるで海を渡るように横なぎに巨躯のオークを横断。鋭く入った刃が巨躯のオークの命を刈り取ると杖持ちが背中を見せて逃げようとしてきた。そんなこと許すはずがない。魔法使いの魔物、上級の魔法使いの魔物を逃がしたら被害がどれだけ増えるか。
やつを横切るように追い越すと水龍を滑らせた。巨躯のオークの体が地面に落ちるのと同時に杖持ちのオークの首が地面に落ちる。
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