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第二章 見知った大地
第55話 激しい戦い
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「少し本気を出すよ!」
「「!?」」
浮かせた土の足場を悠々と歩きながらマジックバッグから大きな斧を取り出す。僕の身長の二倍はある大きな斧。雷を纏わせるとバチバチと大きな音を立てる。セリナとツトムは驚いて息を飲み込む。
「あんな大きな斧で叩かれたら流石に私達でも」
「か、会長なら大丈夫ですよ!」
「ちょ、ツトムが地面と同化して前に出なさいよ。私の能力は後方支援なんだから」
実力差を感じたのか二人共しり込みし始める。待っている時間がもったいない。僕は大きく跳躍して二人の足元へと斧を叩きつける。斧から放たれた雷撃が八方に散らばり二人をしびれさせる。気絶するように倒れてくれたけれど。
「ふ、ふふ、このくらいじゃ私のマリさんへの想いは」
「そうとも。会長の覇道は」
二人は気絶せずに僕へと顔を向けてくる。
「仕方ない。もっと強く行くよ!」
「ま、待って!」
大きな斧を担ぎ上げるとセリナが手と声をあげて止めてくる。二人は僕を止めるとある方向を指さしてきた。
「ひ、人質です。警察は今私達の指示で動くんですよ!」
「す、すまないライト君……」
指さした先を見るとパトカーの前で拘束されているケンジさんとアラキさんがいた。二人は拳銃を頭に突きつけられている。
「卑怯な手を……。失望しました」
「ふ、ふふふ。マリさんの為ならどんなことでもいといません。それよりもその武器を捨ててください」
武器を捨てるように言ってくるセリナ。僕はゆっくりと武器から手を離していく。地面に落ちていく大きな斧、みんな僕に注目してる。
「【ライト】!」
『!? ま、眩しい!』
斧が落ちて大きな音を立てると同時に全方向へと閃光の魔法を放つ。光魔法は回復だけじゃない。こういった使い方も出来る。
命令をしていたセリナとツトムの目を奪ってしまえば指示は飛ばせない! この間に警官達を黙らせる。
「はっ! やっ!」
警官達に雷撃を当てて気絶させる。ケンジさんとアラキさんの拘束を解いた。
「大丈夫ですかケンジさん、アラキさん」
「あ、ありがとうライト君」
「ありがとう」
二人は僕にお礼を言って抱き着いてくる。う、動けない?
「け、ケンジさん? アラキさん?」
「ふ、ふふふ。人質なんて取るはずないでしょ!」
戸惑っているとセリナの声が聞こえてくる。振り返ると楽しそうに微笑む。
「二人共別荘から帰ってきた時にマリさんの力で操っているのよ」
「罠にかかったってことさ」
セリナとツトムはしてやったりと声をあげる。すでに二人も敵になってたってことか。
「じゃあ、仕方ないね」
僕の体から雷撃が二人に走る。警官達と同じように気絶していく。
「知り合いでも容赦ないな……」
考える暇もなく行動した僕に恐怖を感じてるツトム。二人にも再度雷撃を加える。人質がいないなら容赦はしない。
「うう」
「このままじゃ」
苦しむセリナとツトム。僕は二人に触れる。試してみたいことを思いついた。マリさんも元に戻せるかもしれない方法だ。
「【マナドレイン】」
「「う!?」」
相手の魔力を吸い出す闇魔法【マナドレイン】。魔力が悪ささせているなら魔力を吸い出してしまえばいい。魔力を吸い出す想像をしながら二人から魔力を吸収していく。
「あう……。撃ちなさい!」
「え!?」
セリナが苦しそうにしながら声を発した。その刹那の瞬間、寒気がして背中に痛みが走る。僕にあたった何かが地面に転がる。これは弾丸?
「は、離せ!」
「痛いな。スナイパーか」
痛くても【マナドレイン】を止めない僕。ツトムが抵抗するけど、手を離さない。普通の警察官ではない攻撃だ。特殊部隊か。警察は完全に掌握されてるな。
「相手をしている暇はない。【アースドーム】」
大きく地面を蹴りこんで土魔法を唱える。地面がめくれて僕とセリナ達を包み込む。現代兵器じゃ壊せないだろう。
アースドームの外に弾の当たる音が聞こえてくる。しばらくは持ちそうだ。
その間に二人の魔力を全部頂いてしまおう。
「「あああ……」」
「ふう、これで終わりかな。僕ほどじゃないけど凄い魔力量だったな。20000くらいは吸ったかもしれない」
この二人にこれだけ魔力を注いでも大丈夫なマリさんは僕くらい強いのかもしれない。あの時は僕に勝てなくて引いてくれたけど、厳しい戦いになりそうだ。
「……嫌な予感」
アースドームの外から嫌な予感、というよりも音が聞こえてくる。風を切る音、これはたぶん。
「バズーカかな?」
ゲームでさんざん聞いたことのある音だ。そんな呑気に考えているとアースドームが爆発した。流石にバズーカは耐えられないか。
「ここは日本だよ君達……」
アースドームが壊れて煙が晴れてくると警察が特殊部隊と共に僕を包囲して来ていた。
ショットガンにアサルトライフル、バズーカにスナイパーライフル……日本じゃ考えられない装備ばかりだ。
「そんなダメな警察官はみんなお仕置きだ!」
『き、消えた!?』
闇魔法で姿を眩ませる。闇の球の中に入って僕を包囲してくる警察の影を光の球で大きくすれば簡単に隠れられる。
一人また一人と【マナドレイン】で眠らせる。スナイパーの特殊部隊も問題なく魔力を吸えた。ケンジさんとアラキさんも魔力も吸って仕事を終える。
「少し時間かかっちゃったな。それにしても僕の体はスナイパーライフルも弾くのか。鍛えすぎたかな?」
異世界のステータスって偉大だな。そんな感想を覚えて墓地へと入って行く。
「「!?」」
浮かせた土の足場を悠々と歩きながらマジックバッグから大きな斧を取り出す。僕の身長の二倍はある大きな斧。雷を纏わせるとバチバチと大きな音を立てる。セリナとツトムは驚いて息を飲み込む。
「あんな大きな斧で叩かれたら流石に私達でも」
「か、会長なら大丈夫ですよ!」
「ちょ、ツトムが地面と同化して前に出なさいよ。私の能力は後方支援なんだから」
実力差を感じたのか二人共しり込みし始める。待っている時間がもったいない。僕は大きく跳躍して二人の足元へと斧を叩きつける。斧から放たれた雷撃が八方に散らばり二人をしびれさせる。気絶するように倒れてくれたけれど。
「ふ、ふふ、このくらいじゃ私のマリさんへの想いは」
「そうとも。会長の覇道は」
二人は気絶せずに僕へと顔を向けてくる。
「仕方ない。もっと強く行くよ!」
「ま、待って!」
大きな斧を担ぎ上げるとセリナが手と声をあげて止めてくる。二人は僕を止めるとある方向を指さしてきた。
「ひ、人質です。警察は今私達の指示で動くんですよ!」
「す、すまないライト君……」
指さした先を見るとパトカーの前で拘束されているケンジさんとアラキさんがいた。二人は拳銃を頭に突きつけられている。
「卑怯な手を……。失望しました」
「ふ、ふふふ。マリさんの為ならどんなことでもいといません。それよりもその武器を捨ててください」
武器を捨てるように言ってくるセリナ。僕はゆっくりと武器から手を離していく。地面に落ちていく大きな斧、みんな僕に注目してる。
「【ライト】!」
『!? ま、眩しい!』
斧が落ちて大きな音を立てると同時に全方向へと閃光の魔法を放つ。光魔法は回復だけじゃない。こういった使い方も出来る。
命令をしていたセリナとツトムの目を奪ってしまえば指示は飛ばせない! この間に警官達を黙らせる。
「はっ! やっ!」
警官達に雷撃を当てて気絶させる。ケンジさんとアラキさんの拘束を解いた。
「大丈夫ですかケンジさん、アラキさん」
「あ、ありがとうライト君」
「ありがとう」
二人は僕にお礼を言って抱き着いてくる。う、動けない?
「け、ケンジさん? アラキさん?」
「ふ、ふふふ。人質なんて取るはずないでしょ!」
戸惑っているとセリナの声が聞こえてくる。振り返ると楽しそうに微笑む。
「二人共別荘から帰ってきた時にマリさんの力で操っているのよ」
「罠にかかったってことさ」
セリナとツトムはしてやったりと声をあげる。すでに二人も敵になってたってことか。
「じゃあ、仕方ないね」
僕の体から雷撃が二人に走る。警官達と同じように気絶していく。
「知り合いでも容赦ないな……」
考える暇もなく行動した僕に恐怖を感じてるツトム。二人にも再度雷撃を加える。人質がいないなら容赦はしない。
「うう」
「このままじゃ」
苦しむセリナとツトム。僕は二人に触れる。試してみたいことを思いついた。マリさんも元に戻せるかもしれない方法だ。
「【マナドレイン】」
「「う!?」」
相手の魔力を吸い出す闇魔法【マナドレイン】。魔力が悪ささせているなら魔力を吸い出してしまえばいい。魔力を吸い出す想像をしながら二人から魔力を吸収していく。
「あう……。撃ちなさい!」
「え!?」
セリナが苦しそうにしながら声を発した。その刹那の瞬間、寒気がして背中に痛みが走る。僕にあたった何かが地面に転がる。これは弾丸?
「は、離せ!」
「痛いな。スナイパーか」
痛くても【マナドレイン】を止めない僕。ツトムが抵抗するけど、手を離さない。普通の警察官ではない攻撃だ。特殊部隊か。警察は完全に掌握されてるな。
「相手をしている暇はない。【アースドーム】」
大きく地面を蹴りこんで土魔法を唱える。地面がめくれて僕とセリナ達を包み込む。現代兵器じゃ壊せないだろう。
アースドームの外に弾の当たる音が聞こえてくる。しばらくは持ちそうだ。
その間に二人の魔力を全部頂いてしまおう。
「「あああ……」」
「ふう、これで終わりかな。僕ほどじゃないけど凄い魔力量だったな。20000くらいは吸ったかもしれない」
この二人にこれだけ魔力を注いでも大丈夫なマリさんは僕くらい強いのかもしれない。あの時は僕に勝てなくて引いてくれたけど、厳しい戦いになりそうだ。
「……嫌な予感」
アースドームの外から嫌な予感、というよりも音が聞こえてくる。風を切る音、これはたぶん。
「バズーカかな?」
ゲームでさんざん聞いたことのある音だ。そんな呑気に考えているとアースドームが爆発した。流石にバズーカは耐えられないか。
「ここは日本だよ君達……」
アースドームが壊れて煙が晴れてくると警察が特殊部隊と共に僕を包囲して来ていた。
ショットガンにアサルトライフル、バズーカにスナイパーライフル……日本じゃ考えられない装備ばかりだ。
「そんなダメな警察官はみんなお仕置きだ!」
『き、消えた!?』
闇魔法で姿を眩ませる。闇の球の中に入って僕を包囲してくる警察の影を光の球で大きくすれば簡単に隠れられる。
一人また一人と【マナドレイン】で眠らせる。スナイパーの特殊部隊も問題なく魔力を吸えた。ケンジさんとアラキさんも魔力も吸って仕事を終える。
「少し時間かかっちゃったな。それにしても僕の体はスナイパーライフルも弾くのか。鍛えすぎたかな?」
異世界のステータスって偉大だな。そんな感想を覚えて墓地へと入って行く。
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