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第二章 見知った大地
第44話 超能力者
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「ふふふ、マリさん。お久しぶりね」
「だ、だれ!?」
外から屋上まで跳躍すると声が聞こえてくる。
「マリさん!」
「ライト君。な、なんか変な泡に入れられて気づいたら屋上に」
屋上に着地して大きなシャボン玉の中にいるマリさん。叩いているけど割れないみたいだ。
「私を無視しないでくださる?」
マリさんと話しているとこのシャボン玉を使ってきたと思われる金髪縦巻きロールの女性が声をかけてくる。
「すぐにマリさんを解放して。でないと~!」
「ふふ、そう言われてすぐに解放するわけないでしょ。言っておくけれど、私以外にこのシャボン玉を割れる人はいない」
「はっ!?」
金髪縦巻きロールの女性が言い終わる前に火の塊をシャボン玉に押し込む。相殺し合ってシャボン玉が割れる。マリさんを受け止めると彼女は顔を赤くさせた。
「って、割れてる!?」
金髪縦巻きロールの女性は驚愕して僕らを見つめてきた。
「ま、マリ大丈夫? え!? あなたは確かセリナさん?」
アイコさんが屋上に上がってきて声をあげる。彼女はこの女性のことを知ってるみたいだ。セリナって言うのか。
「アイコ! 知っているの?」
「う、うん。マリのことをしょっちゅう聞いてきてて、ファンだって言ってた」
「「ファン?」」
マリさんの疑問にアイコさんが答えると僕とマリさんで顔を見合って首を傾げた。ファンなのにこんなことしてきたの?
「ど、どういうこと! 私の愛がなんで割れるの! ありえない!」
セリナがそういって地団駄を踏む。まさか、愛でシャボン玉を作り出すのか?
「許せない。私の愛を割るなんて! もっと、もっとマリさんを愛するシャボン玉を作らなくては!」
戸惑っているとセリナが更に大きなシャボン玉を作り出して屋上を覆って行く。やっぱり【愛でシャボン玉を作り出す】超能力か。
「ふふ、ふふふ、私の愛を理解できないものはこのシャボン玉の中じゃ生きられない。私とマリさんだけの世界。さあ、二人は死になさい」
な、なるほど。熱狂的なマリさんファンか。確かにスレンダーでストイックな彼女のファンになってしまうのはわかる。だけど、こんな強引なやり方じゃダメでしょ。
「こんなことをしてもマリさんは喜ばないよ!」
「ふふふ、マリさんはこんな私を愛してくれた。私だけのマリさん」
僕の声に見向きもしない。目がハートでマリさんしか目に入ってない感じだな。
「な、なんだか苦しくなってきた」
「え!?」
アイコさんが膝をついた。僕は何ともないのに彼女だけ? これが妹の言っていた未来視?
「おかしいわね。すぐにマリさん以外の空気がなくなるはずなのに。中々倒れないわ」
セリナがそういってアイコさんに近づいていく。すぐにシャボン玉を割らないと彼女が危ない。
「はっ!」
屋上を覆っていたシャボン玉に大きな火の玉を当てる。すぐにシャボン玉が割れる。
「ちょ、ちょっとなんなのよあなた! なんで私の愛を割ることが出来るの!」
「僕はちょっと強いんだ。家族を傷つける人にはお仕置きだよ!」
「!?」
僕へと視線を移すセリナ。僕は問答無用とばかりに雷の球を彼女のお腹に押し当てる。電撃が走ると卒倒するセリナ。その場に倒れると危ないので抱きとめる。
「ど、どうなってるのライト君?」
「ん~」
アイコさんが心配そうに近づいてきてセリナの顔を覗く。電撃で気絶している彼女、寝顔は普通の女の子だな。
「ちょっと死んでいた間に超能力者が普通にいる世界になった?」
「そんなわけないでしょ! そんな人漫画やアニメの世界だけよ」
僕が異世界で努力していた間に、地球では超能力者が普通にいるようになったと思ったんだけど違うみたいだ。マリさんに怒られてしまった。
「ほんと超能力者なんて非常識……。と、とりあえずライト、ありがとうね……」
恥ずかしそうにお礼を言ってくるマリさん。これから呼び捨てってことかな? 少しはお兄ちゃんらしく出来たか。と思っていたらマリさんが頭を撫でてきた。これは確実に子供扱いしているな。
「あ~、マリがライト君の頭を撫でてる~。私も~!」
「今はダメ! 今は私の番!」
「あ~ん。ずるいずるい~」
抱き上げて僕を独り占めするマリさん。アイコさんが騒ぐものだからセリナが目を覚ます。
「ん? ここは? な、なんで屋上に? ま、マリ様!? なんでこんなところに?」
セリナが僕らに気がついて声をあげる。どうやら、覚えていない様子だけど。マリさんのことを様って言ってる。ファンなのは本当なのか。
「セリナって言ったっけ? 何か覚えてる? 超能力者のこととか」
「マリ様が私に話しかけてくれてる! でも何のことを言ってるのか分からないです! ごめんなさい!」
マリさんの質問にセリナが目をハートにして答える。嘘を言ってる感じじゃないな。ってことは正気を失っていたのか?
「ここに来る前に何か覚えていることは?」
「え? ん~、マリ様の写真を生徒会室で整理していたと思いましたけれど」
僕の質問には普通に答えてくれた。生徒会室? そんなところでマリさんの写真を整理していたの? 凄い子だな。
「本当に超能力のことは知らないの?」
「よくわかりませんわ」
アイコさんの質問にも普通に答えるセリナ。生徒会室が怪しいな。
「あっ!? チャイム!」
「遅刻するとうるさいんだよね。あとはお願いライト」
学校のチャイムが鳴って二人が下の階への階段を下っていく。こんな事態なのに授業を受けるのか。ある意味逞しい子達だな。
「あの、私も行ってよろしいですか?」
「あ~うん、いいんだけどさ。生徒会室っていうところに案内してくれるかな?」
「丁度私も行く予定だったんです。マリ様の弟様なら色々と知っていますわよね。楽しみですわ~!」
セリナに答えて彼女の後をついていく。なんだか背筋に嫌なものを感じた。僕から何を聞きだすつもりなんだ。
「だ、だれ!?」
外から屋上まで跳躍すると声が聞こえてくる。
「マリさん!」
「ライト君。な、なんか変な泡に入れられて気づいたら屋上に」
屋上に着地して大きなシャボン玉の中にいるマリさん。叩いているけど割れないみたいだ。
「私を無視しないでくださる?」
マリさんと話しているとこのシャボン玉を使ってきたと思われる金髪縦巻きロールの女性が声をかけてくる。
「すぐにマリさんを解放して。でないと~!」
「ふふ、そう言われてすぐに解放するわけないでしょ。言っておくけれど、私以外にこのシャボン玉を割れる人はいない」
「はっ!?」
金髪縦巻きロールの女性が言い終わる前に火の塊をシャボン玉に押し込む。相殺し合ってシャボン玉が割れる。マリさんを受け止めると彼女は顔を赤くさせた。
「って、割れてる!?」
金髪縦巻きロールの女性は驚愕して僕らを見つめてきた。
「ま、マリ大丈夫? え!? あなたは確かセリナさん?」
アイコさんが屋上に上がってきて声をあげる。彼女はこの女性のことを知ってるみたいだ。セリナって言うのか。
「アイコ! 知っているの?」
「う、うん。マリのことをしょっちゅう聞いてきてて、ファンだって言ってた」
「「ファン?」」
マリさんの疑問にアイコさんが答えると僕とマリさんで顔を見合って首を傾げた。ファンなのにこんなことしてきたの?
「ど、どういうこと! 私の愛がなんで割れるの! ありえない!」
セリナがそういって地団駄を踏む。まさか、愛でシャボン玉を作り出すのか?
「許せない。私の愛を割るなんて! もっと、もっとマリさんを愛するシャボン玉を作らなくては!」
戸惑っているとセリナが更に大きなシャボン玉を作り出して屋上を覆って行く。やっぱり【愛でシャボン玉を作り出す】超能力か。
「ふふ、ふふふ、私の愛を理解できないものはこのシャボン玉の中じゃ生きられない。私とマリさんだけの世界。さあ、二人は死になさい」
な、なるほど。熱狂的なマリさんファンか。確かにスレンダーでストイックな彼女のファンになってしまうのはわかる。だけど、こんな強引なやり方じゃダメでしょ。
「こんなことをしてもマリさんは喜ばないよ!」
「ふふふ、マリさんはこんな私を愛してくれた。私だけのマリさん」
僕の声に見向きもしない。目がハートでマリさんしか目に入ってない感じだな。
「な、なんだか苦しくなってきた」
「え!?」
アイコさんが膝をついた。僕は何ともないのに彼女だけ? これが妹の言っていた未来視?
「おかしいわね。すぐにマリさん以外の空気がなくなるはずなのに。中々倒れないわ」
セリナがそういってアイコさんに近づいていく。すぐにシャボン玉を割らないと彼女が危ない。
「はっ!」
屋上を覆っていたシャボン玉に大きな火の玉を当てる。すぐにシャボン玉が割れる。
「ちょ、ちょっとなんなのよあなた! なんで私の愛を割ることが出来るの!」
「僕はちょっと強いんだ。家族を傷つける人にはお仕置きだよ!」
「!?」
僕へと視線を移すセリナ。僕は問答無用とばかりに雷の球を彼女のお腹に押し当てる。電撃が走ると卒倒するセリナ。その場に倒れると危ないので抱きとめる。
「ど、どうなってるのライト君?」
「ん~」
アイコさんが心配そうに近づいてきてセリナの顔を覗く。電撃で気絶している彼女、寝顔は普通の女の子だな。
「ちょっと死んでいた間に超能力者が普通にいる世界になった?」
「そんなわけないでしょ! そんな人漫画やアニメの世界だけよ」
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「ほんと超能力者なんて非常識……。と、とりあえずライト、ありがとうね……」
恥ずかしそうにお礼を言ってくるマリさん。これから呼び捨てってことかな? 少しはお兄ちゃんらしく出来たか。と思っていたらマリさんが頭を撫でてきた。これは確実に子供扱いしているな。
「あ~、マリがライト君の頭を撫でてる~。私も~!」
「今はダメ! 今は私の番!」
「あ~ん。ずるいずるい~」
抱き上げて僕を独り占めするマリさん。アイコさんが騒ぐものだからセリナが目を覚ます。
「ん? ここは? な、なんで屋上に? ま、マリ様!? なんでこんなところに?」
セリナが僕らに気がついて声をあげる。どうやら、覚えていない様子だけど。マリさんのことを様って言ってる。ファンなのは本当なのか。
「セリナって言ったっけ? 何か覚えてる? 超能力者のこととか」
「マリ様が私に話しかけてくれてる! でも何のことを言ってるのか分からないです! ごめんなさい!」
マリさんの質問にセリナが目をハートにして答える。嘘を言ってる感じじゃないな。ってことは正気を失っていたのか?
「ここに来る前に何か覚えていることは?」
「え? ん~、マリ様の写真を生徒会室で整理していたと思いましたけれど」
僕の質問には普通に答えてくれた。生徒会室? そんなところでマリさんの写真を整理していたの? 凄い子だな。
「本当に超能力のことは知らないの?」
「よくわかりませんわ」
アイコさんの質問にも普通に答えるセリナ。生徒会室が怪しいな。
「あっ!? チャイム!」
「遅刻するとうるさいんだよね。あとはお願いライト」
学校のチャイムが鳴って二人が下の階への階段を下っていく。こんな事態なのに授業を受けるのか。ある意味逞しい子達だな。
「あの、私も行ってよろしいですか?」
「あ~うん、いいんだけどさ。生徒会室っていうところに案内してくれるかな?」
「丁度私も行く予定だったんです。マリ様の弟様なら色々と知っていますわよね。楽しみですわ~!」
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