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第一章 新しい世界

第25話 教会

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「ようこそアレリアーク教会へ」

 教会は冒険者ギルドのすぐそばにあった。回復魔法を主に扱っているらしいから町の中央にあるのかもな。
 司祭様がお辞儀をして迎えてくれる。

「お祈りですか?」

「あ、ステータスを見に来ました」

 司祭様の質問に答える。すると司祭様は僕の後ろに視線を移す。後ろにはブレイドがいるだけだけど。

「ご両親は?」

 司祭様が何を見ていたのか分かった。僕みたいな子供が一人で来るのはおかしいもんな。

「今は一人です。村からブレイドと一緒に出てきて」

「ブレイドとはあの鹿ですか?」

「はい。従魔のブレイドディアです」

 司祭様は僕の説明を聞いて何度か頷くと中に入れてくれた。ブレイドはまた外で待っていてもらおう。

「ステータスを見る方には銀貨のお布施をいただいておりますが」

「あ、はい」

 司祭様はそういって手を差し出してくる。銀貨を手渡すと奥の部屋へと案内される。

「こちらの女神像の前でお祈りをするとステータスがあなたにだけ見えるようになります」

「あ、お祈りをすると見れるんですね」

 司祭様はそういって更に奥の部屋へ入って行く。ご自由にどうぞってことか。

「じゃあ」

 跪いて両の手で祈りを捧げる。

『祈りを受け取りました』

「え!? だれ!?」

 祈りを捧げると脳内に直接声が聞こえてくる。女神様と言っていたから女性の声だ。僕は驚いて女神像を見上げる。

『ステータスを提示します』

「あ、はい……」

 驚いていると女神様はすぐにステータスを見せてくれる。

 エルク LV 70

 HP 10000
 MP 7000
 
 STR 900
 DEF 900
 DEX 800
 AGI 800
 INT 70000
 MND 70000

 凄いステータスなのかよくわからないけど、レベルは凄いな。お父さんが85なのに70って。
 他の人のステータスを参考にして見たいけど、自分のステータスしか見れないみたいだからな~。

「どうでしたかエルク君? 見れましたか?」

 ステータスを見ていると司祭様が奥の部屋から帰ってくる。

「あ、はい司祭様。見れたんですけど、凄いのか凄くないのか分からなくて」

「あ~、初めての人は気になりますよね。普通の方はそうですね~。HPとMPが10くらい、他のステータスは5から8といった感じですね」

「あ、それって1レベルの」

「あ、はい。そうですが。もしかしてレベルが上がっているのですか?」

 司祭様の質問に頷いて答える。僕みたいな子供が魔物を倒せるなんて思えないから不思議そうにしてるな。
 僕の説明を聞くと司祭様は考え込んでしまう。

「参考になるか分かりませんが30レベルの冒険者がHPとMPが400程で他のステータスは100から120と言ったところですね」

 なるほど、そのくらいのステータスが普通ってことか。単純に考えて4倍としても僕のステータスはおかしいレベルだって言うのが分かるな。

「ありがとうございます司祭様」

「いえいえ、では良い旅を」

 司祭様はそういって奥の部屋に戻って行った。

「いい人だったな~」

 教会を後にして呟く。ブレイドと一緒に道路を歩いている。魔物と一緒にいるからやっぱり人の視線が痛いな~。

「ブレイドの鞍って鍛冶屋さんかな? 馬のでも大丈夫かな」

 鞍ってどこに売ってるのかな? あれって革製品だよね。周りを見渡しても鍛冶屋さんは見当たらない。

「ちょっと」

「ん~、どこで売ってるかな~?」

「ちょっと! なに無視してんのよ!」

「え? 僕?」

 ブレイドと一緒に歩いていると急に声をかけられた。振り向くとそこには僕と同じくらいの少女がたっていた。ムスッと頬を膨らませて憤りを見せる。

「なんで無視したのよ!」

「気づかなかっただけだよ。知り合いはいないから呼ばれてるなんて思わなかったしね。因みに君は知らない人でしょ?」

 腕を組んで迫ってくる少女。金髪ツインテールの三つ編みが可愛らしい子だな。

「そう、なら私の名前はミア。あなたの名前は?」

「えっとエルクだけど」

「これで私達は知り合い。いい?」

「う、うん……」

 ミアちゃんは僕に迫って脅迫にも似た声をあげる。

「ふう、それでエルクはこの町に何しに来たの? 買い物?」

「あ~うん。ブレイドの鞍を買おうと思って」

「ブレイドってこの子? 可愛いね」

 ミアちゃんがブレイドの頭を撫でる。ブレイドはお礼とばかりにミアちゃんの手を舐める。くすぐったそうにするミアちゃんは楽しそうだ。

「鞍なら鍛冶屋さんで売ってるわよ。店の外に飾ってあったわ」

「あ、そうなんだねありがとう。このハンカチ使って」

「あ、ありがと」

 ブレイドになめられた手はべとべとになってる。撫でてくれたお礼もかねてハンカチを渡すと顔を真っ赤にして受け取ってくれた。

「鍛冶屋に行くんでしょ? 私も一緒に行っていい?」

「あ~うん。大丈夫だけど、いいの?」

「いいに決まってるでしょ。私が案内してあげるって言ってるの!」

 鍛冶屋の場所は分からないからありがたい。だけどミアちゃんはなぜ僕に声をかけてきたんだろう?

「おい! ミア! なんだそいつは!」

 不思議に思っていると声があがる。振り向くと僕と同じくらい、ミアちゃんと同じくらいの少年が木の棒を持って現れた。
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