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第二章 支配地
第46話 支配地
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「お帰りなさいませ! ランカ様!」
オルコッドで一日程お買い物を楽しんでニールキャニオンに帰ってきた。峡谷が無くなって、大きな赤土の城壁の前でリトルが迎えてくれる。城門を付ければ立派な城壁だよね……見栄えは悪いけど。
「ふむ、アンナさんや。アンデッドを少し貸してくれ、城壁をレンガ造りに見えるように加工する」
「え? 出来るの?」
「赤土は粘土質じゃからな。少し魔法で焼き入れれば今よりは幾分かましにできるぞ」
僕と同じように見栄えが良くないと思ったのかルドマンが城壁を加工してくれるみたいだ。アンナさんに僕からもお願いすると早速作業に取り掛かってくれる。
「ランカ様! 果物もたくさんとれていますよ」
「リトル、果物はみんなで自由に食べていいよ。そんなになくてもお金になるって分かったから」
「そ、そうなのですか?」
まさかミレドさんに内訳を聞くとモモが一番高価な果物だった。寿命が延びると言われている貴族の食べ物として知られているらしい。昔話で聞いたような話だよな。
「我々にはもったいないものですが嬉しいです。みなも喜びます。ありがとうございます!」
リトルは涙を流して深くお辞儀してくれる。ワイバーンなのに礼儀作法がしっかりしてる子だな。
「あ、あのランカさん? その子は魔物ですよね?」
「ああ、アビゲール。そうだよ。僕の友達」
リトルと話しているとアビゲールが馬車から出てきて聞いてくる。答えを聞くと少し戸惑ってる。魔物と仲良くできるなんて知らないんだろうな。僕も知らなかったんだから。
「魔物なんですよね?」
「うん、でもいい魔物だよ」
「……」
目隠しで見えないけど、殺意がにじみ出てきてる様に感じるアビゲール。リトルには彼女にあまり近づかないように言っておこう。と、その前にアビゲールにも言い聞かせないと。
「魔物に恨みを持つのは仕方ない事だと思うけど、いい魔物もいるって言う事は覚えておいて」
「……」
「対話が出来れば無駄な犠牲は生まれない。まずは対話だよアビゲール」
「……(知らないくせに)」
アビゲールは僕の言葉を聞いて無言で頷くと城壁の方へと歩いていった。うっすらと聞こえた声に悲しくなる。
「君以上に君を知ってるよ」
彼女以上に歴史を知ってる。魔物に家族を奪われた人は多い。それを無くすことも今の僕の使命だと思ってる。
それを根本から無くすにはリトルのような魔物の味方が必要だ。対話のできる魔物、セリスもまたその一人。
「セリスを呼ぶの?」
「ん、依頼だからね」
「危険だと思うよ。アビゲールの本心は」
レッドが心配して話しかけてくる。彼女の心配もわかる。
アビゲールから依頼を受けた時に話した時は理解してくれたと思ったけど、何日かしてすぐに彼女の憎しみが復活してるのが分かった。
魔物への憎悪、街道の魔物は僕らが倒してきたけど、その魔物に向ける殺意が漏れていた。すぐにでも飛び出して僕らの代わりに倒したいといった雰囲気だった。
「いざとなったらこれを使うから安心して」
「箱?」
レッドに装飾された箱を見せる。オルコッドでの買い物は服だけじゃない。マネーマネーでも買い物をしてきた。【装飾された箱】と言われるアイテムでオルゴールになっている。
ノンの時に使った【手紙】のようにある対象のキャラクターに対して効果が発揮される。【装飾された箱】は睡眠効果を付与させる。アビゲールは乳飲み子の頃に孤児となった。家族がいたころから家族の音楽を聴いていて、孤児院でも音楽を聴いていた。
そのため、オルゴールの音楽を聴くと心が落ち着いて目を瞑ってしまう。まあ、それは僕の憶測、【装飾された箱】の本来の効果は【子供】に対して効果を及ぼす。アスノ君やノンにも効果が及ぼされるだろう。音の聞こえる範囲にいると睡眠状態になってしまうはずだ。
「……ほんとランカって凄いわね」
【装飾された箱】の効果を説明すると顔を引きつらせて褒めてくれる。改めて考えると恐ろしい効果だな。
「師匠! レベル上げしましょ!」
「おっと丁度いいタイミング」
レッドと話しているとアスノ君が元気よく馬車から降りてくる。【装飾された箱】を開けた。オルゴールが動き出して静かな音色を奏で始める。
「あれ? 師匠……。ス~ス~」
「ちゃんと動くな。ってレッド!?」
アスノ君が眠るのを確認して【装飾された箱】を閉じる。効果がしっかりと発揮されるのを確認して頷いているとレッドが抱き着いてきた。どうしたとかと思って抱き支えると彼女の寝息が聞こえてくる。
「は、ははは。確かに彼女もまだまだ子供だけどさ……」
レッドも大人とは言えないけど、まさか子ども扱いだとは思わなかった。僕が眠らないんだから効かないと思ったけど、ゲームのキャラクターはしっかりと年齢で区別されてるみたいだな。20歳か18歳で分けられているのかもしれない。という事は大体のキャラクターに効果を及ぼすな。中世ヨーロッパの時代背景だから、みんな若いからな~。
絶対に人に取られないようにしないと、悪用するような奴に取られたらたまったものじゃないぞ。
「だ、大丈夫か? どうしたんだよ?」
「ああ、ドーシャさん。丁度良かった二人とも眠かったのが限界に来たみたいで、馬車に寝かせてあげてください」
「わ、わかった」
ドーシャさん達が駆けつけてきてくれる。レッドとアスノ君を任せると城壁の中へと向かう。誰も城壁の中にはいない。僕だけだ。
「セリス」
彼女の名前を呼ぶと僕の前に魔法陣が描かれる。そして、魔法陣から彼女が姿を現した。
オルコッドで一日程お買い物を楽しんでニールキャニオンに帰ってきた。峡谷が無くなって、大きな赤土の城壁の前でリトルが迎えてくれる。城門を付ければ立派な城壁だよね……見栄えは悪いけど。
「ふむ、アンナさんや。アンデッドを少し貸してくれ、城壁をレンガ造りに見えるように加工する」
「え? 出来るの?」
「赤土は粘土質じゃからな。少し魔法で焼き入れれば今よりは幾分かましにできるぞ」
僕と同じように見栄えが良くないと思ったのかルドマンが城壁を加工してくれるみたいだ。アンナさんに僕からもお願いすると早速作業に取り掛かってくれる。
「ランカ様! 果物もたくさんとれていますよ」
「リトル、果物はみんなで自由に食べていいよ。そんなになくてもお金になるって分かったから」
「そ、そうなのですか?」
まさかミレドさんに内訳を聞くとモモが一番高価な果物だった。寿命が延びると言われている貴族の食べ物として知られているらしい。昔話で聞いたような話だよな。
「我々にはもったいないものですが嬉しいです。みなも喜びます。ありがとうございます!」
リトルは涙を流して深くお辞儀してくれる。ワイバーンなのに礼儀作法がしっかりしてる子だな。
「あ、あのランカさん? その子は魔物ですよね?」
「ああ、アビゲール。そうだよ。僕の友達」
リトルと話しているとアビゲールが馬車から出てきて聞いてくる。答えを聞くと少し戸惑ってる。魔物と仲良くできるなんて知らないんだろうな。僕も知らなかったんだから。
「魔物なんですよね?」
「うん、でもいい魔物だよ」
「……」
目隠しで見えないけど、殺意がにじみ出てきてる様に感じるアビゲール。リトルには彼女にあまり近づかないように言っておこう。と、その前にアビゲールにも言い聞かせないと。
「魔物に恨みを持つのは仕方ない事だと思うけど、いい魔物もいるって言う事は覚えておいて」
「……」
「対話が出来れば無駄な犠牲は生まれない。まずは対話だよアビゲール」
「……(知らないくせに)」
アビゲールは僕の言葉を聞いて無言で頷くと城壁の方へと歩いていった。うっすらと聞こえた声に悲しくなる。
「君以上に君を知ってるよ」
彼女以上に歴史を知ってる。魔物に家族を奪われた人は多い。それを無くすことも今の僕の使命だと思ってる。
それを根本から無くすにはリトルのような魔物の味方が必要だ。対話のできる魔物、セリスもまたその一人。
「セリスを呼ぶの?」
「ん、依頼だからね」
「危険だと思うよ。アビゲールの本心は」
レッドが心配して話しかけてくる。彼女の心配もわかる。
アビゲールから依頼を受けた時に話した時は理解してくれたと思ったけど、何日かしてすぐに彼女の憎しみが復活してるのが分かった。
魔物への憎悪、街道の魔物は僕らが倒してきたけど、その魔物に向ける殺意が漏れていた。すぐにでも飛び出して僕らの代わりに倒したいといった雰囲気だった。
「いざとなったらこれを使うから安心して」
「箱?」
レッドに装飾された箱を見せる。オルコッドでの買い物は服だけじゃない。マネーマネーでも買い物をしてきた。【装飾された箱】と言われるアイテムでオルゴールになっている。
ノンの時に使った【手紙】のようにある対象のキャラクターに対して効果が発揮される。【装飾された箱】は睡眠効果を付与させる。アビゲールは乳飲み子の頃に孤児となった。家族がいたころから家族の音楽を聴いていて、孤児院でも音楽を聴いていた。
そのため、オルゴールの音楽を聴くと心が落ち着いて目を瞑ってしまう。まあ、それは僕の憶測、【装飾された箱】の本来の効果は【子供】に対して効果を及ぼす。アスノ君やノンにも効果が及ぼされるだろう。音の聞こえる範囲にいると睡眠状態になってしまうはずだ。
「……ほんとランカって凄いわね」
【装飾された箱】の効果を説明すると顔を引きつらせて褒めてくれる。改めて考えると恐ろしい効果だな。
「師匠! レベル上げしましょ!」
「おっと丁度いいタイミング」
レッドと話しているとアスノ君が元気よく馬車から降りてくる。【装飾された箱】を開けた。オルゴールが動き出して静かな音色を奏で始める。
「あれ? 師匠……。ス~ス~」
「ちゃんと動くな。ってレッド!?」
アスノ君が眠るのを確認して【装飾された箱】を閉じる。効果がしっかりと発揮されるのを確認して頷いているとレッドが抱き着いてきた。どうしたとかと思って抱き支えると彼女の寝息が聞こえてくる。
「は、ははは。確かに彼女もまだまだ子供だけどさ……」
レッドも大人とは言えないけど、まさか子ども扱いだとは思わなかった。僕が眠らないんだから効かないと思ったけど、ゲームのキャラクターはしっかりと年齢で区別されてるみたいだな。20歳か18歳で分けられているのかもしれない。という事は大体のキャラクターに効果を及ぼすな。中世ヨーロッパの時代背景だから、みんな若いからな~。
絶対に人に取られないようにしないと、悪用するような奴に取られたらたまったものじゃないぞ。
「だ、大丈夫か? どうしたんだよ?」
「ああ、ドーシャさん。丁度良かった二人とも眠かったのが限界に来たみたいで、馬車に寝かせてあげてください」
「わ、わかった」
ドーシャさん達が駆けつけてきてくれる。レッドとアスノ君を任せると城壁の中へと向かう。誰も城壁の中にはいない。僕だけだ。
「セリス」
彼女の名前を呼ぶと僕の前に魔法陣が描かれる。そして、魔法陣から彼女が姿を現した。
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