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第二章 支配地

第42話 偽金づくり

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「これでどうじゃ?」

 早速金貨を作ってもらってルドマンが机に金貨を並べていく。僕の顔が描かれてるんですけど……

「どうじゃ? ランカを見立ててみたが」

「いい出来ねルドマンさん!」

 アスノ君はお酒のせいで寝込んでるからレッドが代わりに喜んでくれてる。恥ずかしいけど喜んでくれてるならいいか。

「じゃあ、使えるかやってみるね」

 僕は話ながら【フィールドクリスタル】の元へ。金貨をフィールドクリスタルに入れると何の抵抗もなく受け入れてくれる。

「金貨になってればなんでもいいのか」

 材料は普通の金貨と同じ。コインの形になってて、金貨と同じ量の金を使ってればいいのかもしれない。それなら量産してここで消費すればいいかもな。表に出さなければ違法ではない、言ってしまえばバレなければ犯罪ではないのだ。まあ、レッドが警察みたいなものだからバレバレなんだけれども。

「大丈夫そう?」

「うん、いけそうだ」

 心配そうに肩に手を置いてくるレッドに答える。彼女は嬉しそうに微笑む。

「ルドマン。量産してもらって」

「おお、そうだろうと思ってやっておるぞ」

 鍛冶場に戻ってルドマンに声をあげると既にいくつかの金貨が出来上がっていた。

「じゃあどんどんフィールドクリスタルに入れていってもらって」

「ランカ様! 吸血鬼が!」

「ええ!? セリス?」

 楽しくなってきたところでノイシュさんが声をあげる。ニールキャニオンは僕らの支配地になってる。彼のアンデッドが監視カメラのように張り巡って見張りに立ってくれてる。いつ何が来ても分かるようになってるんだよな~。
 この状況を見られるのはあまりよくなさそうなのですぐに会いに行こう。



 ノイシュと戦っていたランカ達、その時セリスは遠目から観察していた。

「これは凄まじい」

 身震いして感想を述べるセリス。見ていたのはギガントスケルトンを一人で倒すランカ。彼女は彼を欲しくてたまらない様子。それをみて側近のウランがため息をつく。

「セリス様。人間など50年もすれば死ぬほど弱くなります。そんなもの何の役にも立たないでしょう」

「何を言っているのウラン。それならば不老不死にしてしまえばいいのよ。吸血鬼にね」

 ウランの言葉にそう返すセリス。

「でも、忠誠を誓ってもらわないとダメよね。そうするには仲良くならなくちゃね。あ!? また倒した! 凄いわ~。あの赤髪の騎士もいいわね!」

「はぁ~。あの方々が吸血鬼となってしまったら私は何番目になってしまうことやら」

 セリスが楽しそうに話すと大きなため息をつくウラン。吸血鬼達は強さで位が決まる。セリスの横に立てるのは側近の中で一番だから、ウランはセリスの隣に立てることを誇りに思っているようだ。

「はぁ~、終わったようね。人間は戦いの後は大騒ぎをするわ。その後に伺いましょう。機嫌がいい時に交渉するのは基本よね」

「そうですかね~? サデス様は機嫌がよかったと思いましたけど?」

「あらそう? まあ、そう言う事もあったわね」

 セリスが嬉々として話し出すとウランが再度小さくため息をついて問いかけた。昔のことと気にしない様子のセリスは舌なめずりをする。彼女は本当にランカを気に入ってしまったようだ。それを証拠にランカ以外の名を知らないでいる。

「それにしてもアンデッドも従えているなんて無視できない方々ね」

「そうですね。ですが吸血鬼に比べたら取るに足らない戦力です」

「そうかしら? 次はグレータースケルトンを手懐けるかもよ?」

「なるほど、そうなると脅威ですね」

 二人はそう話して考え込む。セリスはすぐに考えるのをやめてレイドック城へと歩き出す。

「セリス様?」

「敵対する気がないのだから考えても仕方ないわ。その戦力を得てどうするか、を考えるならまだしもね」

 不敵に笑い飛び立つセリス。ウランはその言葉に一際大きなため息をつく。
セリスたちはずっと観察していた。そして、今に至る




「こんにちはランカさん」

「こんにちはセリス……」

 白衣のドレスを着て現れたセリス。執事服の取り巻きたちとお辞儀をするとニッコリと微笑む。

「今日はどうしたのかな?」

「ふふふ、あなたの顔が見たくてという理由ではいけませんか?」

「え?」

 セリスの理由にならない理由を聞いて、ランカはレッドとルドマンの顔を見る。二人は首を傾げた。

「ふふ、可愛らしいお友達ですね。えっと赤髪のあなた、お名前を聞いてもよろしいかしら?」

「え? レッドだけど?」

「そう、綺麗な名前ね。そちらの筋肉の方は?」

 レッドの名を聞くとすぐにルドマンの名前を聞いてくる。彼女は僕以外の名前も聞いてきてる。何か意味があるのか?

「あと小さな子供もいましたよね。その方の名前もいいかしら?」

 ルドマンの名前を聞くとすぐにアスノ君の名前も聞こうとしてくる。名前が何かに使えるのか? ついつい勘ぐってしまうけれど、無駄に終わる。

「ふふ、名前を聞くのはおかしいですか? 私達はこの間の戦闘を見ていました。それで皆さんと仲良くしたいと思いました。ただそれだけですよ。仲良くなるには名前を知っておかないとダメでしょ?」

 可愛らしく微笑むセリス。ついつい見惚れてしまうけれど、すぐに真剣に答える。

「仲良くなれるなら僕は願ってもない事だよ」

「ありがとうございますランカ様!」

 僕の答えに喜んでくれるセリス。今にも抱き着いてきそうになってるけど、側近の紫の髪の女性に止められてる。しかし、ラスボスのセリスと仲良くできるのはかなりありがたいな。というか危ない時に呼んでと言われたけどそれもいらなくなったかな?
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