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第一章 新しい命
第九話 絆
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「アルス様次の休憩地点です」
「よし、皆ここで朝まで休憩だ。体を休めておけよ」
「「「「「応!」」」」
アルス王子の号令で騎士達の野太い声が響く。しばらくすると天幕が張られ扇状に陣が組まれる。通常は円状なのだがアルス王子はこの陣を好んで使っていた。それは扇状の方が騎馬が動きやすいとアルスが感じるからだそうだ。
「ここからあと何日かかる?」
「はっ!あと4日程かと」
「そうか、遠いな」
「領土内なので近い方ですよ。王子」
「ああ、すまない」
アルス王子は天幕のベッドに座り兵士からの報告を聞き呟いた。そこへ飲み物を持ってきた騎士がアルス王子へその飲み物を渡して話す。この騎士は王子の近衛騎士団の団長エルエス、王国騎士団二位の実力者にしてアルス王子の親友である。共に苦楽を共にして今や王国を背負う立場に共になっている。
「しかし、ツヴァイ様がやられるとはな」
「ええ、私達で勝てるのでしょうか?」
「勝てるのかではない勝たないとダメなんだ。このグラディアにかけて」
アルス王子は聖剣グラディアを掲げる。誰に何を言われたのかアルス王子は追い込まれていた。
「王子....大丈夫ですよ。たとえ失敗しても王はあなたを跡継ぎにします。ツヴァイ殿が王になるわけないじゃないですか」
エルエスは王子の手を取りそう話す。しかし王子は俯き呟く。
「ダメだ。お父様はご自分でこの国を作ったんだ。それを受け継ぐにはそれ相応の・・・」
「・・・」
その呟きにエルエスは聞こえていたが聞こえていないふりをして自分の飲み物を作り飲み干した。そして思いのたけをアルス王子へとぶつける。
「例え王子に、いや王にならなくても俺はアルスの友だ!忘れてくれるな!」
「エルエス・・・」
エルエスが急に叫んだことでアルス王子は驚きエルエスを目で追った。エルエスは恥ずかしそうに頬を染めて天幕を出る。エルエスは非常に冷静は人間だった。いつでもどんな状況でも、だがアルスの気落ちしている姿にいてもたってもいられなくつい大きな声を上げてしまった。その声は天幕を越え陣の者達にも聞こえただろう。のちにこのエルエスの叫びは腐女子や腐男子の薄い本になるのだった。
「ははっ、まさかエルエスがあんなに大きな声を・・・僕はどうかしていたのかもしれないな。まさかツヴァイ様を疑うなんて。明日エルエスに礼を言わないとな」
さあ明日の為に休もうとアルスはベッドに横になるのだった。
「ひ~ひどい目にあった。でもあのフッティアさんもローズ様のお知り合いか~」
アステリアの難民キャンプへの帰り道、アステリアの少年キーファが呟く。通常[薔薇]の上位の人にあうのはまれであるがそれだけアステリアの人達が注目を浴びている証拠だろう。その事にキーファが気付く事はない。
「か~ちゃん、帰ったよ」
「遅かったじゃないかい、何してたんだい・・・・ってちょっとあんた!なにそれ!!」
キーファの母のルーがキーファに振り向くと声色が変わる。キーファの服が伸びきって女性で言う所の谷間まで見えかかっていたのだ。
やばいという顔でキーファがそれを隠そうとするが時すでに遅し。母ちゃんのビンタがキーファの頬を捉えた。母ちゃんのビンタで起きた風圧が薄い布の小屋を揺らす。
「あんた!その服は昨日買ったんだよ!次の日にそんなにして!!」
キーファの母ルーは怒っている。言葉よりも行動が先のルーのビンタは音速を越えたかのようにキーファを吹き飛ばした。あれだけ冒険者達を圧倒していたキーファが簡単にその攻撃を受けた事を鑑みると大人になればなるほどステータス異常が発生しているのがわかる。
「いって~、母ちゃんすぐ手ー出すなよな。これは換金していた時にジャケンとかいう人達にやられたんだよ」
「なんで服をつかまれたんだい?」
「だって、急に話しかけてきたんだもん」
「まったく、これだから若いもんは・・・」
ルーもまだまだ若い女性なのにキーファの若さを馬鹿にしている。この世界の母というものは結婚が早いせいかとても若い、ルーはどう見ても30歳前半か20歳後半である。実際は24である、キーファは12歳の頃の子供と言うことになる・・・どんだけ~。
「でも弁償のお金は巻き上げてきたよ」
「何だいちゃんとしてるじゃないか!それを早く言いなさいよ」
「言う前にビンタしたんじゃないか・・」
「何か言ったかい?」
キーファの言葉にルーが眼力強く聞くとキーファは強く首を横に振る。それだけ先ほどのビンタが怖いのだろう。キーファはすぐに腰のベルトに付けていた革袋を6個取り出す。一つだけ鈍い光を出す袋が[邪犬]のチンピラの物だ。
「これがそのジャケンとか言うののかい?全部銅貨じゃないかい・・・・しみったれてるねー」
「名が知れてるとか言ってたけど・・・・でも服代くらいにはなるよね?」
「まあ、服代くらいには」
ルーとキーファは呆れている。子供を脅すのだからそれなりに腐っているとは思っていたがまさかこんな小銭しか持っていないとは思ってもいなかったのだ。キーファはうなだれた。
「あのアブサンとかいうリーダーの袋を取っておけばよかったかな~」
キーファは後悔をしている。流石にリーダーならばそれ相応のお金を持っていただろうと。
しかしその呟きにルーがキーファに拳骨を落した。
「いって~~」
「こんな貧乏グループをいじめたらダメじゃないか!!返してきな」
「え~やだよ~。またなめるなとか言ってからんでくるよ。ぜったい」
「いいから行きな。革袋に一枚金貨入れといたから」
「え~勿体ない」
「早く行く!また拳骨が落ちるよ!」
「わかったよ・・・」
キーファはうなだれながら冒険者ギルドに向かう。案の定チンピラとアブサンに絡まれるが攻撃を躱して帰ってきたがキーファのかわりに着ていた服はボロボロになっていて結局拳骨を受けることになった。この時はフッティアの手助けはなかった、フッティアはキーファと[邪犬]のじゃれ合う姿を見て大笑いしながらエールを飲んでいるのだった。じゃれ合いといっても[邪犬]は全員刃物を出して目は真剣だったのだが。
全員のした後キーファの置いて行った革袋を見た[邪犬]のメンバーは大層喜んだそうだ。アブサンは不貞腐れていたが。
冒険者ギルドの今回の騒動は街中に広がりツヴァイの威光が強まったとか何とか。
「ジーニ様・・・ジーニ様」
「うにゅ・・・」
宙づりにされてから二日目あの日の夜は意識が無かったがあの日から次の日の朝にはベッドで寝ていたジーニ。ツヴァイはそのままだったが・・・。
それから一日が立つとジーニは朝寝坊をして溶けたチーズのようにベッドに寝っ転がっている。シリカさんはそんな僕を抱えて食堂に向かう。
「ほら、ジーニ様ご飯ですよ」
「アウ、もぐもぐ」
シリカさんは僕を膝の上に乗せてご飯を食べさせる。シリカさんは僕が無茶をするたんびにこんな風に甘やかしてくる、シリカさんは僕の事が心配なようでこうやって膝の上に僕をおき肌身離さず可愛がられるのであった。シリカさんは僕を可愛がりそれに照れる僕の姿を見て頬を緩ませている。ララさんとお母様はそんな二人を見て呆れながらもこの幸せが続けばいいなと願っていた。
「みんなジーニが好きなんだな」
「・・・・ええ、あなたよりは」
メリアはジトーッとツヴァイを見つめ冷たくあしらう。ツヴァイは頭を掻きばつが悪そうにするがポケットから何かを取り出しメリアの前に置いた。
「・・何これ?」
「・・・指輪だよ」
「指輪?」
メリアはツヴァイに言われその小さな箱を手に取り開けると綺麗な銀のリングにサファイアブルーの石が輝いていた。
「これで許せって?」
「ああ、三人でお揃いだ」
ツヴァイは自分の左手中指を見せると同じサファイアブルーが輝いていた。
「じゃああと3個欲しいわね」
「え?」
「シリカやセバス、ララにもほしいもの」
メリアは笑って答えた。家族全員ならば確かに3人にも同じ物をそろえてあげたいと言うのは本心だろう。シリカさんやララさん、セバスさんも微笑んでいた。
ツヴァイは小さなため息をついて自分の家族は何て心が優しいんだと優しく微笑んだ。すぐにツヴァイは同じリングを買いに行くのだった。父ちゃん頑張れ!
「よし、皆ここで朝まで休憩だ。体を休めておけよ」
「「「「「応!」」」」
アルス王子の号令で騎士達の野太い声が響く。しばらくすると天幕が張られ扇状に陣が組まれる。通常は円状なのだがアルス王子はこの陣を好んで使っていた。それは扇状の方が騎馬が動きやすいとアルスが感じるからだそうだ。
「ここからあと何日かかる?」
「はっ!あと4日程かと」
「そうか、遠いな」
「領土内なので近い方ですよ。王子」
「ああ、すまない」
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「しかし、ツヴァイ様がやられるとはな」
「ええ、私達で勝てるのでしょうか?」
「勝てるのかではない勝たないとダメなんだ。このグラディアにかけて」
アルス王子は聖剣グラディアを掲げる。誰に何を言われたのかアルス王子は追い込まれていた。
「王子....大丈夫ですよ。たとえ失敗しても王はあなたを跡継ぎにします。ツヴァイ殿が王になるわけないじゃないですか」
エルエスは王子の手を取りそう話す。しかし王子は俯き呟く。
「ダメだ。お父様はご自分でこの国を作ったんだ。それを受け継ぐにはそれ相応の・・・」
「・・・」
その呟きにエルエスは聞こえていたが聞こえていないふりをして自分の飲み物を作り飲み干した。そして思いのたけをアルス王子へとぶつける。
「例え王子に、いや王にならなくても俺はアルスの友だ!忘れてくれるな!」
「エルエス・・・」
エルエスが急に叫んだことでアルス王子は驚きエルエスを目で追った。エルエスは恥ずかしそうに頬を染めて天幕を出る。エルエスは非常に冷静は人間だった。いつでもどんな状況でも、だがアルスの気落ちしている姿にいてもたってもいられなくつい大きな声を上げてしまった。その声は天幕を越え陣の者達にも聞こえただろう。のちにこのエルエスの叫びは腐女子や腐男子の薄い本になるのだった。
「ははっ、まさかエルエスがあんなに大きな声を・・・僕はどうかしていたのかもしれないな。まさかツヴァイ様を疑うなんて。明日エルエスに礼を言わないとな」
さあ明日の為に休もうとアルスはベッドに横になるのだった。
「ひ~ひどい目にあった。でもあのフッティアさんもローズ様のお知り合いか~」
アステリアの難民キャンプへの帰り道、アステリアの少年キーファが呟く。通常[薔薇]の上位の人にあうのはまれであるがそれだけアステリアの人達が注目を浴びている証拠だろう。その事にキーファが気付く事はない。
「か~ちゃん、帰ったよ」
「遅かったじゃないかい、何してたんだい・・・・ってちょっとあんた!なにそれ!!」
キーファの母のルーがキーファに振り向くと声色が変わる。キーファの服が伸びきって女性で言う所の谷間まで見えかかっていたのだ。
やばいという顔でキーファがそれを隠そうとするが時すでに遅し。母ちゃんのビンタがキーファの頬を捉えた。母ちゃんのビンタで起きた風圧が薄い布の小屋を揺らす。
「あんた!その服は昨日買ったんだよ!次の日にそんなにして!!」
キーファの母ルーは怒っている。言葉よりも行動が先のルーのビンタは音速を越えたかのようにキーファを吹き飛ばした。あれだけ冒険者達を圧倒していたキーファが簡単にその攻撃を受けた事を鑑みると大人になればなるほどステータス異常が発生しているのがわかる。
「いって~、母ちゃんすぐ手ー出すなよな。これは換金していた時にジャケンとかいう人達にやられたんだよ」
「なんで服をつかまれたんだい?」
「だって、急に話しかけてきたんだもん」
「まったく、これだから若いもんは・・・」
ルーもまだまだ若い女性なのにキーファの若さを馬鹿にしている。この世界の母というものは結婚が早いせいかとても若い、ルーはどう見ても30歳前半か20歳後半である。実際は24である、キーファは12歳の頃の子供と言うことになる・・・どんだけ~。
「でも弁償のお金は巻き上げてきたよ」
「何だいちゃんとしてるじゃないか!それを早く言いなさいよ」
「言う前にビンタしたんじゃないか・・」
「何か言ったかい?」
キーファの言葉にルーが眼力強く聞くとキーファは強く首を横に振る。それだけ先ほどのビンタが怖いのだろう。キーファはすぐに腰のベルトに付けていた革袋を6個取り出す。一つだけ鈍い光を出す袋が[邪犬]のチンピラの物だ。
「これがそのジャケンとか言うののかい?全部銅貨じゃないかい・・・・しみったれてるねー」
「名が知れてるとか言ってたけど・・・・でも服代くらいにはなるよね?」
「まあ、服代くらいには」
ルーとキーファは呆れている。子供を脅すのだからそれなりに腐っているとは思っていたがまさかこんな小銭しか持っていないとは思ってもいなかったのだ。キーファはうなだれた。
「あのアブサンとかいうリーダーの袋を取っておけばよかったかな~」
キーファは後悔をしている。流石にリーダーならばそれ相応のお金を持っていただろうと。
しかしその呟きにルーがキーファに拳骨を落した。
「いって~~」
「こんな貧乏グループをいじめたらダメじゃないか!!返してきな」
「え~やだよ~。またなめるなとか言ってからんでくるよ。ぜったい」
「いいから行きな。革袋に一枚金貨入れといたから」
「え~勿体ない」
「早く行く!また拳骨が落ちるよ!」
「わかったよ・・・」
キーファはうなだれながら冒険者ギルドに向かう。案の定チンピラとアブサンに絡まれるが攻撃を躱して帰ってきたがキーファのかわりに着ていた服はボロボロになっていて結局拳骨を受けることになった。この時はフッティアの手助けはなかった、フッティアはキーファと[邪犬]のじゃれ合う姿を見て大笑いしながらエールを飲んでいるのだった。じゃれ合いといっても[邪犬]は全員刃物を出して目は真剣だったのだが。
全員のした後キーファの置いて行った革袋を見た[邪犬]のメンバーは大層喜んだそうだ。アブサンは不貞腐れていたが。
冒険者ギルドの今回の騒動は街中に広がりツヴァイの威光が強まったとか何とか。
「ジーニ様・・・ジーニ様」
「うにゅ・・・」
宙づりにされてから二日目あの日の夜は意識が無かったがあの日から次の日の朝にはベッドで寝ていたジーニ。ツヴァイはそのままだったが・・・。
それから一日が立つとジーニは朝寝坊をして溶けたチーズのようにベッドに寝っ転がっている。シリカさんはそんな僕を抱えて食堂に向かう。
「ほら、ジーニ様ご飯ですよ」
「アウ、もぐもぐ」
シリカさんは僕を膝の上に乗せてご飯を食べさせる。シリカさんは僕が無茶をするたんびにこんな風に甘やかしてくる、シリカさんは僕の事が心配なようでこうやって膝の上に僕をおき肌身離さず可愛がられるのであった。シリカさんは僕を可愛がりそれに照れる僕の姿を見て頬を緩ませている。ララさんとお母様はそんな二人を見て呆れながらもこの幸せが続けばいいなと願っていた。
「みんなジーニが好きなんだな」
「・・・・ええ、あなたよりは」
メリアはジトーッとツヴァイを見つめ冷たくあしらう。ツヴァイは頭を掻きばつが悪そうにするがポケットから何かを取り出しメリアの前に置いた。
「・・何これ?」
「・・・指輪だよ」
「指輪?」
メリアはツヴァイに言われその小さな箱を手に取り開けると綺麗な銀のリングにサファイアブルーの石が輝いていた。
「これで許せって?」
「ああ、三人でお揃いだ」
ツヴァイは自分の左手中指を見せると同じサファイアブルーが輝いていた。
「じゃああと3個欲しいわね」
「え?」
「シリカやセバス、ララにもほしいもの」
メリアは笑って答えた。家族全員ならば確かに3人にも同じ物をそろえてあげたいと言うのは本心だろう。シリカさんやララさん、セバスさんも微笑んでいた。
ツヴァイは小さなため息をついて自分の家族は何て心が優しいんだと優しく微笑んだ。すぐにツヴァイは同じリングを買いに行くのだった。父ちゃん頑張れ!
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