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第八章 倍倍

第十三話 迫る決戦

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「全世界の皆さん聞こえていますか?。私は学園都市ブラウディアの学長、グロリアです」

 一か月が経ち舞台は整った。全世界の軍がエンドに一番近い大陸の先端に集まり警備している。エンドは地球で言う所の北極に当たるなので一番近い大陸と二番目に近い大陸は僅差である。エンドに一番近い大陸はツリーエンド、そして反対側の大陸、サンドエンド。そこには精鋭部隊が名を連ねていた。

 ツリーエンドにはアドスバーンとエクス、それにツヴァイお父様。お父様は胸躍らせていた。まさか自分が人類の生存をかけた聖戦に関われるとは思っていなかったのだ。男としてこれ以上の名誉はない。

「ツヴァイ、そう死に急ぐな。慎重に行くんだ」
「わかってる。死にはしない。俺には帰る場所があるんだからな」

 ツヴァイがいるのだから[薔薇]の面々も揃っている。アステリアには必要最低限の兵を残した。ルインズガル大陸にはアルス王とベンジャミン達を残している。心配はあるものの頼もしいものだ。

「二人共この度は申し訳なかった。まさかグラーフが毒を仕込んでいるとは」

 エクスは膝をつき謝った。アドスバーンとツヴァイは慌ててエクスの体を起こす。

「今は戦友だ。これから起こる戦の戦功をもって謝ってくれ」
「そうだな」
「かたじけない。このエクス、このエクスカリバーの名において必ず報いる事を誓う」

 聖剣エクスカリバー。誰もが一度は聞いた事のある名を持つそれは何とも言えない神々しさを放っていた。

 三人は強く握手を交わして自軍へと戻って編隊を組んでいく。








「エアリア、無理はしないようにね」
「大丈夫です。グロリア様。私も戦います」

 グロリアの部隊はツリーエンドの次にエンドに近い大陸サンドエンド。

 エアリア達、桃花会もこの戦いに参戦する。戦闘力では普通の兵の数倍の桃花会がいるのはとても心強い。

 アルベルトは戦斧を担いでうずうずしている。

「魔人だろうと何だろうとやってやるぜ」
「そういきり立つな。どんなに強くても統率の取れない部隊はすぐに崩れる。前線を崩すなよ」

 アルベルトに忠告するのはエンカ、冷静に現状を把握していく。 

 リティスとヴァリスも兵を統率して冷静に待機している。そんな中全体に[ヒール]の光が。

「これは...ジーニか?」

 エンカは上空を見やりそう呟く。

 ジーニはここまで来るのに疲労しているであろうみんなに回復を施した。兵達は歓喜してジーニへと歓声をあげる。

「ジーニ様!」
「天使様!!」
「俺達は勝てるぞ!」

 みんな頼もしいジーニに感激して声をあららげた。エンカもその声によって高揚していく。そして高ぶった心を内に秘め天幕に入りこれからの事を全体の部隊長達と話し合っていく。







 僕らは一番大きな天幕でこれからの事を話す。モニターのような魔道具でツリーエンドとサンドエンドをつないでTV電話みたいな状態で話し合う。

「魔人は一向に動こうとしない」
「ああ、こちらも同じだ」

 ジーニは石になっている魔人を近くで見てきたのだが動かなかった。結界は簡単に壊せるかもしれないけどその後が怖い。魔人達は暴走して街を壊しに行くかもしれない。それを止める為の全世界の戦力を街に配置してるけど魔人の相手は骨が折れる。

「ご兄弟を配置しているエリアに行ってくれればいいのですが」
「うん、そうなってくれれば最高なんだけどね。僕でも一瞬で半分ほどしか抑えられないと思うから逃げていくのをみんなで何とかしてもらうしかない」

 賢者の塔で見せた魔人キャッチャーをもっと大きくした版を使う予定なんだけど速度がそれほどでないのでいくらか避けられると思うんだ。残ったのはみんなでどうにかしなくちゃ。

「明日、決行するよ。いいね」

 僕の問いに部隊長を勤める、アドスバーン、エクス王、ツヴァイお父様、グロリアさん、グレッグ王、エアリアさんが頷いた。そのほかの国は自国をまもるほどの兵しかいなくて若干の物資の提供で妥協した。この後の事を考えているのかもしれない。

 ベントスの国は魔窟が更に広がっていてこっちに来ている場合じゃないみたいだったので仕方なかった。いくつか攻略しておいたけどね。

 明日、本当に終わりがやってくる。僕はシリカさんのいる方角を見つめる。
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