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第一章 新しい命

第十四話 おまけ ダイン、サンジ、ジーダ

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 俺はあの時から周りからへんな目で見られまた陰口を言われているようだった。

「ほら、あいつだぜ。例の鉱山奴隷と寝た男」
「ほ~あいつが・・・・イケメンじゃね?」
「今それは関係ないだろ!」

 やはりどこか違うアドスバーンの兵士達。ジーダは悪口を無視してあの二人の働くエリアへと足を運んだ。

「おい、お前達、話がある。ちょっとこっちこい」
「へ?またですかい?ジーダさん」
「もう話す事はないですよ。俺達を気絶させたのはあの赤ん坊なんですから」

 こいつらはダインとサンジという名前らしい。こいつらが捕まった理由は強盗なのだがその捕まえられた理由があのプニプニの正体の赤ん坊らしい。確かに俺は気絶する前に顔全体を覆うあのプニプニによって窒息されているのだ、あの感触が赤ん坊の腹ならば確かに合致する。俺も24だ、赤ん坊の手や腹は触ったことあるしな・・・結婚はしていないが...く~自分で言っていて悲しくなる。

「いいからこい、今日はお前達にもいい話のはずだ」
「「え?」」

 ジーダは二人を連れて鉱山で使う薪集めの為森へ向かった。

「ここらへんでいいだろう。怪しまれないように作業しながら聞いてくれ」
「「へい!」」

 ジーダは切り株に腰かけ二人の作業を見張りながら話をする。ジーダは一本タバコをふかす。

「俺はこれまで女とは金でしか寝た事はない・・・」

 ダインとサンジの木を切る音がしている中ジーダの声が二人の耳に届く。ジーダはタバコの煙を空へと放ち更に話続けた。

「だからと言ってお前達と寝ようとは思っていないしそちらのけはない!」
「「へい」」
「あっしらも」

 そうだ、いわれなき噂で俺達は被害を受けている。確かにあの状況、変ではあるが俺は服は脱いでいないしヘルメットをかぶっていた。普通そんな行為の時にそんな恰好でやるわけがない、どんな性癖だと俺は叫びたかったほどだ。

 そして俺は今日決心した。

「それでだな。お前達を解放したいと思っているんだ」
「「え?」」

 そう、ジーダは二人を解放して冒険者になろうと誘っているのだ。

「ですが、俺達は奴隷紋があるのでここから離れる事は・・・」
「それは大丈夫だ。その奴隷紋は俺の名義でやってある。お前らは俺の物という事だ」

 話だけ聞いていると誤解されそうだがジーダの眼は真面目なままだった。この男ジーダはこういう所があるから周りから誤解されるのだろう。だが一途な男なのだ。

 ジーニのいたずらで一番被害を受けた男の一大決心である。

「ってそれじゃあ。俺達に断る権利はないじゃないですか・・・」
「まあ、そうなるが・・・俺も真面目な男なんでな。いちおう確認をとっておこうと思ってな」
「こんなところで働くよりは…実は俺冒険者に憧れていたんだ」

 サンジが赤裸々に幼少期の頃の話をしだした。

「俺の母ちゃんは体が弱くて俺を生んですぐに死んじまったんだ。親父は働く気力を失いいつの間にかいなくなっちまった。俺は食べ物を求めて森に入った。その時に盗賊達と知り合ってこのありさま」
「そうか」
「ローズ様に憧れていたんだ。俺も強くなって俺みたいなクズを作らない世の中にってさ。でも中途半端に盗賊をやめてもやっぱり同じ穴に戻っちまうんだよな」

 サンジは涙して話す。それに追従するようにダインも幼少期の記憶を話し出した。

「俺はさ、親父が冒険者だったんだ。俺が生まれて一年したくらいに死んだらしい。俺は親父の顔も知らずに生きてきたんだ。おっかあは俺の為に男と寝て暮らす金を作ってたけど流行病にかかっちまって俺を残して死んじまったよ。俺は家賃が払えなくなって追い出された。あとはサンジと同じ感じだな。盗賊に拾われて盗賊の仕事を教わりそして抜け出した」

 二人は盗賊を抜け出すと言う勇気を出したが結局は酒場で知り合った同じ穴のムジナと強盗に入って捕まってしまった。

 人に歴史ありとはこの事だろう。奴隷もそれぞれ抜け出せない蟻地獄をもがき苦しんでいるのだ。俺は少し感慨深く俯き正式に二人を冒険者にすることを決意した。

「俺は決めたぞ!やはりお前達と一緒に冒険者になる!。だが金はある程度しかない!最初はきついだろうが辛抱してくれ」
「え?本当ですか?」
「でも、奴隷を連れて行っていいんですか?」

 サンジは喜んだが、ダインは不安そうな顔をしている。ジーダは何か吹っ切れたように笑いこう話した。

「いいわけないだろ!、犯罪だよ。だが俺は決めたんだ」

 ジーダの眼は輝く。その輝きを見てダインとサンジの眼にもそのやる気に満ちた輝きが宿り、二人も決意するのだった。

「「俺達やります!やらせてください」」
「そうか、やってくれるか」

 こうしてダイン、サンジ、ジーダの冒険が始まるのだった。

 これはアルス王子がアステリアに進行して二日目のお話。続きがあるかは誰にもわからない。

 
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