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第六章 学園都市ブラウディア

第二十七話 深淵の森間引き隊

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「お兄ちゃんがいない~」
「「バブバブ」」

 ジャンヌと双子は三人でソファーに寝っ転がり暇を弄んでいる。ジーニは学園に言っているのでしょうがないのだがジャンヌ達は不貞腐れてダラダラとするのだった。

「[鴉]のお姉さん」
「はっ!何でしょうか」

 ジャンヌはナナに声をかける。ナナは少し嫌な予感がしたが従わなければもっとひどいことになるかもと思いただちに応じた。

「お馬さんやって~」
「・・・はっ」

 お馬さんと聞いてすぐにピンとこなかったナナは少し悩み気が付く。四つん這いになったナナの背中に兄妹が全員乗り込むとナナが歩き出して兄妹達は楽しそうに笑い出した。






「ハアハア、まだやるんですか」

 それから一時間程、ナナを歩かせるとジャンヌ達は満足したのかホクホク顔でソファーに戻って行った。前世の記憶があっても子供の体になった事で童心が戻っているのだろう、とても満足そうだ。

「ナナ、大丈夫か?」
「・・・見ていたのならお前がやればよかっただろう。膝が痛い」
「いや、俺はあそこまでプライドを捨てられん」
「捨ててるわけじゃないわよ。ちょっとこっち来なさい」
「うわ!ちょっと暴力はやめろ」

 [鴉]の面々は呪いを消されてから自我が戻ってとても個性豊かな表情をするようになった。従順なジーニの兵士達が徐々に充実していく。

「キュウとジュウはどうしたんだ?。キュウは鹿狩りでジュウは鍛冶屋に修行にいってる」
「どういう事?」
「キュウは食べ物調達の達人でジュウは手裏剣を作るのが得意だったみたい」
「おいおい・・・」

 捕まっているものの中で一番の実力者のナナは俯いて悲しくなった、後続の者達がこんなにもゆとりになっているとはと嘆いたのだ。

「おい、ナナとハチ、庭に来い。訓練をするぞ」
「「はい~!!」」

 ローズの声に条件反射で反応したナナとハチはローズの後ろを3歩下がってついて行く。とてもいい妻・・もとい部下達である。

「キュウとジュウは良い得意分野だったな」
「ですね。私達も家事とか料理って言えばよかった」

 ナナとハチは頭を垂れて嘆いた。

 二人はローズにボロ雑巾のようにされてはジャンヌ達に回復されて技術を上げていった。





「あ~今日も平和だな~」

 アステリアにてイートン君は青空に叫んだ。ゾンビ騒動以来ちょっとしたスタンピードが起きたくらいで街には何事もない。

 普通の街ならばスタンピードが起きたらかなりの数の死傷者が出るはずだが怪我人すら出なかったのだ。何とも強靭な街だろう。

「しかしジャンヌ様に教わったこの腐葉土とか言うのは本当に効果があるんだな~」

 イートンは腐葉土を掴んでパラパラとばら撒くと鍬で混ぜていく。腐葉土を用いてからジーニがいた時のような見事な実をつけた作物たちはアステリアの兵糧を潤わせていく。

「狩りもコクエン達と行けば安全に出来るし。問題は深淵の森くらいだよな」

 深淵の森はジャンヌ達の襲撃を受けなくなったことで日に日に魔物が増えていく。その為スタンピードが起きた次第である。

「ルーザーとキーファのパーティーだけじゃ間引きも間に合ってないもんな」
「ふっふっふ、イートンさんや。お困りかな?」
「ふっふっふ、俺達が悩みを解決してやろう」
「うわ、気持ち悪い!」

 解体班のブーンとカインがイートンの背後から近寄り耳元で呟いた。その為イートンは飛び上がり耳を擦る。

「失礼な奴だな」
「まったくだ。それはいいとして」
「いいんですか」
「お前は冒険をしたくなっているんだろ?」
「はい?」

 イートンは斜めの答えに首を傾げた。別にイートンは現状に満足している。平和な街にもとても青い空にもだ。あんなアダマイオスのような巨人と戦いたいわけでもないしゴブリンの脳天を割りたいわけでもないのだ。

「という事で俺達とパーティーを組まないか?」
「ええ」
「俺が斥候で牽制、カインが遠隔、イートンは・・・・盾?」
「何で疑問形何ですか!」

 ブーンとカインはイートンの特技を調べていなかったなので盾でもやらせればいいかと適当に答えた。

「僕は直剣と盾が使えますよ」
「よ~っし決まりだ。善は急げ、深淵の森に行くぞ」
「ええ~」

 嫌がるイートンを引きずりブーンとカインは深淵の森に歩いて行く。

 その様子を見ていたアルデバランは塔の姿で呟く。

「平和ですマスター。願わくば私をお呼びください。マスターのマナを食べたい」

 アルデバランは平和が好きだがマスターであるジーニのマナはもっと好きなのであった。今にもお傍に飛んでいきたい気持ちを抑えてアステリアを見守るのだった。

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