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第六章 学園都市ブラウディア

第三話 見た目は子供

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「おい、追い越した馬車はどうなった?」

 ジーニの馬車を追い越した貴族の馬車、それに乗っていた少年が事の詳細を護衛の兵士に聞いている。

「へい、情報ではゴブリンライダーを撃退して無事にブラウディアに着いたようです」
「ほ~」

 少年は偉そうに顎に手を当てて関心しているようだ。

 少年は学園都市に今年から通う事になった。そしてそこには加護なしでどうやら凄い四歳児が来るという話を聞いていた。

 それを良しとしない少年はアステリアの紋章のついた馬車を見かけてゴブリンライダーをけしかけたのだった。しかし少年の思惑通りにはいかず馬車は無事だった。

 だが少年は思い通りにいかない事も楽しんでいるようだ。

「ではザライノフの手腕を拝見するかな」

 少年はそう言って笑みをうかべて自分の屋敷へと入っていく。







「ではランク分けテストを開始します」

 僕は学園に通うことになって早速テストをやっています。僕4歳だけど前世の記憶があるから...。

「終わりました~」
「ええ!?始まって10分よ。本当なの?」

 先生が教壇から歩いてくる。この教室は教壇から扇状の部屋になっていて後ろの席は段差があり階段を登る形になっている。僕は一番後ろなので先生を見下ろすような感じだ。

 先生は僕のテスト用紙を見て汗を垂らしてる。

「あなた4歳よね?。6歳でも..というか絶対に解けない問題まで解いているじゃない...」

 あれ?やり過ぎちゃった?。でも百桁の足し算何て低学年でも解けるよ。それが解けない問題って...。

 大分現代の教育は進んでいるようです。計算よりも戦争の技術をあげているのかもしれないからしょうがないのかな?。他の問題は足し算引き算だし。

 試験はこれ以降も続いて魔法と剣技も行われました。まず魔法ですが、

「では初級魔法の[ファイア]と[ファイアボール]どちらかを唱えて。あの的を破壊してください」
「はい!マナよ、炎を体現せよ。[ファイア]」

 順々に子供達が的に向かって炎を出してる。中には[ファイアボール]を使えない子もいて泣きだしちゃったりしてた。

「おお!、凄い。あの歳で」

 歓声があがった。フローラちゃんが[ファイアーボール]を4つ出して的周辺を破壊してた。先生は開いた口が閉じないみたい。

 流石フローラちゃん、可愛くて強いってもう最強だよね。

「ジーニちゃんやったよ。満点!」
「よかったねフローラちゃん」

「次アステリア・ジーニ」
「あ、僕の番だ」
「頑張ってねジーニちゃん」

「うん、行ってくるね~」

 僕はフローラちゃんに手を振って的の正面に立った。何だか色んな方向から視線を感じるけど。

「では始めてください....」

 ジーっと先生が僕を見つめてる。可愛いからってそんなに見ないでん。恥ずかしくて失敗しちゃうよ~。

 僕は気を取り直して集中。そして、

「[ファイアーボール]」
「どわ~~!!!」
「きゃ~」

 ありぇ~?おかしいぞ~って見た目は子供、頭脳は大人の真似をしている場合ではない。

 僕は久しぶりに普通の魔法を使ったんだけど、すっごく強化されていたようです。

 元々は鷹くらいのフェニックスだったんだけど今は車二台分くらいの大きさになってしまいました。

 それが羽ばたいた事で皆怖がっちゃったみたい。もちろん的は消滅したけど内壁も見事に消滅してしまい。内壁の奥の家々からこちらを覗く人達が多数。

 えへ、やりすぎちった。

「ちょちょちょ!!!私は[ファイアーボール]って言ったのよ。何で極級魔法のフェニックスを出しているの!!ってか無詠唱!!」

 先生は突っ込みどころ満載だったようで困惑して何をさきに行ったらいいのかわからないみたい。僕はとりあえず。

「[ストーンウォール]」
「ちょ~!!」

 僕は内壁を立て直した。元々はレンガ作りだったんだけど大目に見てもらおう。だけどやっぱり高さが凄い事になったので切って揃えよう。

「[エアカッター]」
「もう好きにして....」

 先生は諦めてくれたみたい。僕はきり落とした壁を[マナパック]で包んで壁に立てかける。もちろん僕は満点みたい。

「流石ジーニちゃんだね」
「え~そんなことないよ。フローラちゃんだってあのくらい出来るでしょ?」

 フローラちゃんと他愛のない話をしてる。でも一つ心配事が。

「あの人達コワイ」
「うん、怖いね」

 クラスメイトに怖がられてしまった。でもしょうがないよね。やっぱり僕たちは人外の領域にいるのだなと改めて確認がとれた。

 ただ、視線が増えてくるのはどうにかして欲しい。

「次は剣技のテストです。このアリーナは特殊な結界で覆われています。この中で真剣で戦ってもらいます。相手は魔物です、気を確かに持って挑んでください」
「ゴブリンだ。僕初めて見た」
「怖いよ~...おかあさ~ん」

 アリーナの中央に緑色の典型的なゴブリンがこん棒をもって威嚇してくる。魔物は結界から出られないのでテストを待つのみのようだ。

 一人一人中に入っていく。

「きゃ~」
「ギャギャギャ!!」

 ゴブリンのこん棒が女の子へと命中。女の子は結界の外に瞬間移動、どうやらある一定のダメージを受けると結界の外に追い出されるみたい。とってもいい結界だね。

 何組かのテストを見たけどやっぱり最弱のゴブリンでも6歳じゃ勝てる人はいないみたい。

「あ、フローラちゃんだ」

 勝つのはフローラちゃんだろうけど見て手上げよう。

「やー」
「ギャ~!」

 剣の腹がゴブリンに当たると盛大に結界に叩きつけられた。そのあとゴブリンはピクピクとしばらく脈打つと動きを止めていった。

 そういえばフローラちゃんは剣を使わないんだったね。初めての剣で刃を当てられないのは僕だけじゃなかった。

「...剣筋が見えん。...では次」

 剣の先生は強面のおじさんだったんだけど目頭を抑えて呟いてる。次の子は追加されたゴブリンと戦い始めたけど負けて結界から出されてた。さっきまであったゴブリンの死体は地面に吸収されて行った。どういう仕組み何だろう?気になる。

「次、アステリア・ジーニ...君が壁を壊したジーニか」
「え?えへへ、ちょっと手が滑っちゃって」
「う!、可愛くしてもダメだぞ。壁は守ってくれるものであって壊す物じゃない。さあ中に入れ」

 強面のおじさんは僕の照れた仕草を見て狼狽えた。僕って罪な男、こんな怖そうな人もイチコロだね。なんちゃって。

「ギャギャギャ!!!」

 ゴブリンがいきこんで突進をしてきた。僕はバックステップで躱す。なんでわざわざ交わしたんだって?。それはこの魔物のせいだよ。

「な!。何でハイオーガが!」

 オークの上位の存在オーガの更に上、ハイオーガだってさ。とっても生き荒く現れたけど最初から気付いてたんだよね。面白そうだから放置しちゃった。そのせいでゴブリンはハイオーガの突進でつぶれて死んじゃった。

「ジーニ、逃げなさい。ハイオーガでもその結界は破れんはずだ」
「ガ~~~!!」

 ハイオーガはまるでフラグを回収をしたかったように結界を破壊した。拳一発ってどんな結界ですか?。

「キャ~」
「怖いよ~」

 子供達が混乱して強面のおじさんに抱きついてる。しょうがないよね。怖いに決まってるよ。ゴブリンにも勝てないのにハイオーガなんてさ。僕に突進してきたゴブリンさんはハイオーガのショルダータックルを受けて絶命したけどね。

「子供達のせいで助けにいけん!」
「大丈夫だよ。先生はその子達を見ていてあげて」

 僕はそう言って剣を構える。だけど一つ気になったので剣に[リペア]をかけた。

「やっぱり、亀裂が入ってたね。誰の仕業かな~」

 剣には亀裂が入っていて明らかに人為的なのが伺えた。まあハイオーガなんてBランクくらいの魔物じゃ剣を持っていなくても勝てるけど。

「ガアアァァァァ!!」
「うるさい!!」

 風きり音と共にオーガの首が地面に落ちた。辺りは一瞬静かになり、歓声があがった。

 

 歓声が上がる中二人の男女は何やら話し合っている。

「やはり強いな」
「でもこれからどうするの?このままじゃ...」

 その様子を見ていた。男と女がヒソヒソと話をしている。今回の仕掛け人のような男女はアリーナを離れながら話を進めていく。

「Bランクの魔物は軽々倒すし。テストはどれも満点。剣の仕掛けにも気づくなんて異常だよ」
「ああ、戦士として俺は奴と対峙したいが勝てる気はしないな」

「じゃあ私と死合うか?」

 バッバッ!

 男女は瞬時に声の方から離れる。しかし背後からの気配は消えなかった。

「そう強張るな。まずは話をしようじゃないか」
「[薔薇]のローズ....それにエルフだと!!」

 男女の前に現れたのはローズとデシウスだった。ローズは男女の前で身構え背後の気配はデシウスであった。

 ジーニに向けられていた視線の中には彼女らの視線も含まれていたのだった。


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