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第五章 兄妹の絆

第二十話 アステリア帰還

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 ジャンヌ達が戦っている間も地上ではオークレが連れてきたゾンビ達と戦闘が行われていた。

 デイブ村からアステリアへ戻っていた部隊を何とかアステリアの城壁まで連れてきたツヴァイは城壁の上からジャンヌ達を心配しながらも仲間達に指示を出していく。

「俺もあそこに行きたいがこんなにゾンビが来ていたとは思わなかった...」

 ツヴァイはヘンダークへと斥候を放っていたのだがその情報には少数のゾンビしか確認されていなかったのだった。

 地面を覆いつくすほどのゾンビが来ていた事に気付けなかったの失態だった。しかしオークレにより[ハイド]が施されたのだからしょうがない。

「皆!気張るぞ!ジャンヌ達にばかりいい格好させるな!!」
「「「「「応!!」」」」」

「「「「「ファイアランス」」」」」

 城壁より魔法が放たれる。続けて矢がいかけられていく。

「第一歩兵隊出るぞ!」

 北門から200人の部隊が出る。大盾を構えながらゾンビが門に付くのを防ぎつつ前進していく。

「四足に気をつけろ、早いぞ」

 まるで戦車のように全体を大盾で防ぎながら歩く部隊は軽々とゾンビ達を粉砕していく。

「第二歩兵隊も続くぞ」

 第二から第五まで歩兵隊が戦場を蹂躙していき門の前のゾンビ達は一掃された。そして、

「第一騎兵隊出る!」

 確保された戦場を騎兵隊が駆ける。まだまだいるゾンビ達が騎兵によって粉砕されて行く。

 城壁からの攻撃も続けられていくが一向に数が減らない。

「いくらいるんだ!。やはりジーニを」
「ツヴァイ様まだ行けます。補給はなくても食料は十二分にあります。いけますよ!」

「そうか、そうだな。お前達を信じるのも俺の役目か」

 ツヴァイは一度アドスバーンに負けている。その為兵士が傷つく事に抵抗があるのだった。

 アドスバーンと戦争をする前の内戦ではツヴァイは敵知らずで仲間に死人を出したことがなかった。

 それはツヴァイの戦闘スタイルによるもの、戦場を疾走して敵の将を瞬時に狩る事で勝ってきたのだ。しかしこの戦場に将はいない。たとえいたとしてもゾンビは将が倒された事を気にも留めずに近くの生物を襲うだろう。

「第一騎兵隊、戻りました」
「ああ、ご苦労だった。それで戦場はどうだ?」

「ハッ!、ヘンダークの方角へ行けば行くほどゾンビ達の様相が変化していくようです」

 騎兵隊は気付いたことを報告していく。

 どうやらゾンビにも強弱があり、今城壁に迫っているのはF~Eランクのゾンビだそうだ。少しずつランクがあがっていくようで報告ではオークのゾンビも確認したらしい。

「ちゃんと見たわけではないのですがオークキングもいるかもしれません」
「...そうか。皆引き締めろ。ゾンビに夜はない。交代で事にあたってくれ」
「「「「「ハッ!!」」」」」

 ツヴァイはため息をつきジャンヌ達が戦っているであろうアダマイオスを見やる。城壁から一キロほど離れた所にそれはいる、その為大きさがよくわかる。

「俺もあそこで子供達を....」
「王!、強い個体が現れました」

「お、おう。ガルド!頼んだ」
「了解!キーファ君、マリー、フッティア行くぞ!」
「「「了解!」」」

 キーファも[薔薇]の一員に加えられその俊敏性から繰り出される連撃を買われ幹部にまで上り詰めた。

 ガルドに追従して青く光るゾンビの集団へと突撃していく。ゾンビがマナを纏い強化されたアストラルゾンビである。まだCランク程度の敵の為ガルド達ならばまだまだ簡単に一掃できるが何せ数が多い。

「城壁から離れすぎるな。城壁からの魔法に頼れ!仲間を信じろ」
「了解!!くらえ![三双]!」

 キーファはゾンビを三つ切りに両断。地面に切断されたゾンビが零れ落ちる。

 [三双]は首胸腰を一瞬で切りつける技である。速度のあるキーファを象徴するような技だ。

「[トリプルアロー][ワイドショット]」

 マリーの連打の矢が放たれる。

 [トリプルアロー]名前の通り三発の矢を放つ。
 [ワイドショット]扇状に5発の矢が放たれる。

「私も大暴れだ![ホールドアッパー]」

 フッティアの戦斧が一人のゾンビを捕まえる。捕まえたままフッティアは自転して振り回す、しばらく周りに攻撃を加えて捕まえていたゾンビが吹き飛び着地したところでもダメージが発生した。

 まだまだアステリアはゾンビに負けていない。
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