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第五章 兄妹の絆

第十五話 人の恋バナは蜜の味

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 私達は無事にアステリアに避難してきた。アステリアの門をくぐるとお父様とお母様が心配そうに迎えてくれた。

「心配したのよ。大丈夫だった?」
「うん、ゾンビ達は弱いんだけど[ハイド]の魔法を使ってるのがいてそれが厄介だよ」
「何?[ハイド]だと....という事は人為的に起こされているのか」
「そう、オークレがこれを起こしているみたいだよ」

 ツヴァイお父様とメリアお母様はオークレと言う名前を聞いて怪訝な顔をした。ジーニお兄ちゃんが寝込んでしまった原因のアダマイオス、その人と一緒にいた人の名前が出た事で不安になったのかもしれない。

「大丈夫だよ。お父さん達は私が守る」
「はは、それは俺のセリフだぞ、ジャンヌ。今度は俺も戦うからな。一人で行くんじゃないぞ」
「...うん。一人で行かないよ~...」

 ツヴァイお父様は「間が空いたのは気になるが」って言ってヘンダークの方向を見るために城壁に上がっていった。

「あの人、ジーニが寝込んでしまった時にとっても落ち込んでたのよ。みんなには見せなかったけど、だから今度はお父様にカッコつけさせてあげてね」
「う~、でも~」
「もちろん、危なくなったら助けてあげてね」

 メリアお母様は私とライとレイの頭を撫でて微笑む。

 男の人を落すとても綺麗な笑顔。証拠にライは頬を赤くして呆けてるもん。私だって大きくなったら男の人を手玉にとっていくんだろうな~....ふふふ。

 仕方なく私達は見える範囲を警備していきます。

 北西にある村にも避難の指示は出してあるんだけどあっちにはゾンビの目撃例は上がってないみたい。やっぱりヘンダークからまっすぐアステリアに向かってきていたみたい。

 ゾンビ達は一日20匹くらいの数がアステリアに来るみたい。今の所人型のゾンビばかりで難なく処理出来てる。

 私はとても暇です。お父様からはなたれたマリーさんが私を監視しているのでお外にはいけないのです。無理やりいってもいいんだけどそうするとマリーさんが危ないよね。

「何で私がジャンヌ様の監視を....今頃キーファとフッティアは...」

 何だか恋のお悩み中のマリーさん、キーファ君はとてもおモテになるようなんだよね。確かにイケメンだけどお兄ちゃんには負けるよ。だってお兄ちゃんの方が強いし超イケメンだもん。

 よーし、ここは私が一肌脱いじゃおうかな~。

「マリーさん、キーファ君と仲良くしたいの?」

 子供特有の純粋な目でマリーさんを見つめる。私の目を見たマリーさんは少し怯んでモジモジし始めた。

「う、そうだけど。そんなはっきりと言われると何だか恥ずかしい」
「こう言う事ははっきりしないとダメだよ。どうせキーファ君は鈍感な主人公系でしょ?」
「キーファは鈍感と言うか。私達を傷つけないようにしている感じ。とっても優しいの」

 むむむ、気づいていながら手を出さないのか....まさか女の人に興味が?。キーファ君のお母さんが綺麗だから他の人は好みじゃないとか?。どちらにしてもキーファ君も罪づくりな男だな~。

 私が考察しているとマリーさんは私を見て首を傾げてる。

「マリーさんキーファ君の所にいこう!」
「ええ、でもキーファは外で巡回してるはず....フッティアと」
「ええ!?ダメじゃないですか。二人っきりで行かせちゃ。たぶんラッキースケベな事になって二人の距離は」

 私の言葉にマリーさんは「ラッキースケベ?」といって首を傾げたけどハッとして気付いたみたい。

 マリーさんが二人の方向へと走りだしてので私もついていく。ドキドキワクワクだよ~。修羅場が見れるかもしれないんだもん....。




 アステリアからギリギリ見えないくらいまで駆ける。マリーさんも結構強いんだな~、息がきれてないよ。

「フッティアさんくすぐったいですよ」
「何言ってんだ。これからじゃないか」

 森に入り茂みの向こうからそんな声が。

「ちょっと二人で何やってるの!!」

 マリーさんが躊躇なく茂みに入っていく。キャーこれが有名なシュラバですか~?...って、

「マリー?ジャンヌ様とどうしたんだ?」
「ジャンヌ様は外にでちゃだめなんじゃなかったっけ?」
「え?ええ?二人で何してたの?」

 ふむふむ、キーファ君はただフッティアさんにマッサージをしてもらってただけみたい。

「チィ、折角これから、ゴニョゴニョ」

 フッティアさんはゴニョゴニョと何か言ってる。フッティアさんはやっぱりただのマッサージで終わらせる気はなかったみたいです。私的にはどっちがキーファ君と付き合ってもいいんだけどね。

「マリーさんもマッサージしますか?このあとフッティアさんをしてあげようと思ってたんだけど」

 ふむ、キーファ君はとても天然さんなのかな?。

 マリーさんとフッティアさんは断る事もせずにマッサージされていく。とても艶めかしい声が森を包んでいったので私はアステリアへ帰る事にしました。
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