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第四章 ルインズガル大陸

第四十二話 ジャンヌの目的

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 ツヴァイがみんなを守ろうと戦っている時、ジャンヌは王の墓の奥深くへと侵入していく。

「ダ~ダ~ダ~」

 階段を降りるその姿は何とも可愛いらしい。それを見ていた風の女神は居ても立っても居られずにジャンヌを抱き上げて階段を下っていく。

「キャフキャフ~~」

 風のように階段を下るのがとても楽しいのかジャンヌは笑い叫ぶ。そして、墓の最深部へとたどり着くとそこには先代の王、アルサレムの棺と漆黒の棺が並べられておかれていた。

 漆黒の棺を指さす風の女神。ジャンヌは棺を鎧達に開けさせるとそこには何もなかった。

 正確には奈落に続くかのような漆黒であった。風の女神はなおもその漆黒を指さしているのでジャンヌは覗き見る。すると、

「おやおや、サクリファイスキメラがいないと思ったら侵入者ですか....」

 棺の間の入口に手を掛けて話すはトゥルースである。そしてジャンヌを見やると驚いて口を開いた。

「あなたは....ジーニ様ではないようですね。しかしサクリファイスどもを始末したのですから相当は....レベル110!!!???」

 トゥルースは相手のステータス見る事が出来る。ジャンヌは恐ろしいほどレベルを上げていた。アダマイオスの斥候を倒していた時もちゃっかりと経験値を溜めていたがまだ足りないという事で深淵の森でもパワーレベリングをしていたのだ。

 結果このようなレベルになっていたが両親は気付かない。生まれた時に見たっきりで流石に一歳にならないジャンヌは見なくてもいいと思ったのだろう。

「....そうですか、そうですね。世界最高レベルがこのような赤子とは....ジーニ様だけではないのですね」

 ワナワナと震えるトゥルース。

「ダダ?」

 こんな状況にもかかわらず風の女神はジャンヌを棺へと放り込む。まるで水に入るかのような音を残してジャンヌは棺の中へと姿を隠す。

「しまった.....おのれ、精霊ども」

 風の女神はニヤリと笑い消えていく。




「ダ~ウ~?」

 ジャンヌは暗闇の中にいた。地面があるのでハイハイしていくのだが東西南北すべてが真っ黒なのでどちらに行けばいいのかわからないでいる。

 その時漆黒の中にユラユラと揺れる人影が手招きをする。人懐っこいジャンヌは駆け寄っていく。

 近づいて見てもそれは真っ黒で影そのものであった。しかしとても優しい感じがしたジャンヌは影に寄り添う。

 影はジャンヌを持ち上げるとまっすぐと歩いて行く。

 しばらく歩いて行くと遠くに真っ白い空間が見えてきた。

「ダ~ア?」

 ジャンヌは影をみて白い空間を指さして疑問を示す。影は頷いている。どうやら目的地はここのようだ。

 影は白い空間には入れないようで境目で立ち何かを待っている。すると白い空間の一部ががユラユラと揺れている。

 それは近づいて来ると人型なのが分かる。影の人型から白の人型へとジャンヌが受け渡されると白い空間へと歩き出した。

 影の人型はジャンヌへと手を振り続けている、何とも言えない可愛らしさがある。

 白い空間をしばらく歩いて行くと白の人型の背丈ほどの高さに浮いている杖が見えてきた。

「ダ~ダダ?」

 ジャンヌは杖を指さして白の人型に疑問をぶつけた。白の人型は頷き杖に近づいて行く。

 杖が手に届く範囲に来ると白の人型は杖を取ろうとするが杖に手があたるとドロッと腕がとけ落ちた。どうやらこれを取ってほしかったようだ。

「ダ~」

 ジャンヌが取りやすいように突き出す。そしてジャンヌが杖を取ると杖の先端についていた石が輝きを増しジャンヌを天高く舞い上げる。

「ダ~ア?」

 天へと向かうジャンヌへ手を振る二人。影も白い空間へと入れるようになったようであった。言葉はなくとも二人からは暖かい感情が流れ込んできてジャンヌは目を潤ませる。

 この二つの影はジャンヌの味方の光の精霊と闇の精霊であった。この杖の力によってトゥルースに閉じ込められていたのだ。ゴーレム使いだと思っていたジャンヌの能力は精霊使いであった。そして如何なる物体にも精霊は宿っている。そして闇や光にも精霊は宿る。今まで光や闇の精霊が姿を現さなかったのは囚われていたからであった。

 そして今解放された事で本当のジャンヌの能力が解放された。

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