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第四章 ルインズガル大陸

第三十九話 アルサレム①

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 ツヴァイ達が街に到着すると門にいた兵士達が驚き戸惑っていた。それもそのはずだ馬車が宙を舞ってくるのだから。

 ツヴァイはジャンヌに近くに止めてくれといったのだがジャンヌは気にせずに街の中央へと向かってしまったのだ。

 門にいた兵士達は急いで駆けつけてきたがそこには自分達の上司であるクァンタムやツヴァイと言う有名人がいたために安心して話しかけてきた。

「クァンタム隊長、それにツヴァイ様...どうされたんですか?」
「驚かせてすまない。アステリアの王、ツヴァイ様を迎えに行ったのだが凄い魔道具があると言って帰りに乗ってきたのだ」

 予めジャンヌの事は公表しないようにと話し合っていたので馬車は魔道具だということにしている。

「ああ、そうだったんですね」
「君も知っているだろ。この街の状況をそれを終結させるために来ていただいたんだ」

 兵士は頷く。みな異変には気づいていたのだが王が動かないために何もできないでいた。クァンタム達が動いている事をしりホッと胸を撫でおろしているようだ。

「出来るだけ王城には内密にしておきたい」
「って言ってもあんな派手に現れたのでは無理ですよ」
「そこを何とか皆に言い聞かせてくれ。頼む」

 クァンタムは頭を下げてお願いをしている。兵士達は困りながらもクァンタムのお願いを何とか遂行していく。

 アルサレムの兵士達は皆住民達にそれなりに好かれているので大丈夫だろう。王城には情報はいかずにすむはずだ。

 そしてツヴァイ達はアステリア邸へと向かうのだった。

 荷物を一通り屋敷にいれていく、そしてその時異変が起きる。

「こんな所に鎧なんてあったか?」

 アステリア邸にツヴァイの知らない物が数多く置いてあるのだ。それに気付きツヴァイはそれへと手を伸ばす。

 そして、

「うっ、やはり敵か!」

 鎧が動き出しツヴァイを切りつけた。油断していたのもあるがツヴァイは迂闊にも傷をつけられてしまった。

「敵だ。構えろ」
「「「「はい!」」」」

 ツヴァイ邸の中からも無数の鎧が現れる。皆ロングソードを振り切りつけてくる。

「剣筋は中々だが体がなっていないな!」

 ツヴァイは剣を剣で受けて蹴りを放つ。鎧は衝撃でよろけ壁にぶち当たると兜と胴体が離れた。

「な!、こいつらなんかおかしいと思ったら魔物だぞ!リビングアーマーとか言う奴か?」

 ツヴァイの言葉に皆反応して鎧達の体へと打撃を繰り出し壁へとブチ当てる。鎧達は皆兜が取れて立ち上がりこちらを見据えるが中身などなかった。

 鎧はツヴァイの言った通りリビングアーマーであった。魔物のランク的にはCやDの類いである。鎧自身の性能も強さに変わるのだがこの魔物達はD以下の鎧なのだろう簡単に制圧していった。

「よし、これで最後だ!」
「結構やわかったですね」
「私達が帰ってきた事は悟られたね」
「ああ、そうだな」

 ツヴァイ達は警戒しながらも屋敷に籠る事になった。

「アーマーの持ってた剣は結構使えそうだな」
「そうね。私はこっちの短剣タイプ貰おうかな」
「じゃあ俺は大剣タイプもーらおっと」

 キーファ、フッティア、マリーはそれぞれリビングアーマーが持っていた剣をてにもつ。しかしその時、

「うわ!こいつも魔物か!」

 キーファが手に持った大剣の柄がキーファに噛みついてきた。それを皮切りにマリーの持った短剣やフッティアが持った戦斧タイプなども目を覚ましてその場にいたツヴァイ達を襲い始めた。

「チィ!、ついて早々2連戦か!」

 リビングウェポンと言われるこの魔物達も元の武器の強さでランクが変わる魔物だ。今回のこいつらはB~Dランク、フッティアの持っていた戦斧がBランクだと思われる。とても強敵だ。

「みんな、早めに加勢に来てくれ。私の武器じゃこいつには勝てない」

 フッティアの持っていた元々の武器も相当な物だった。ワンジとニーナで作った武器だったのだ。しかしそれを上回るリビングウェポンの為武器が見る間に欠けていく。

「分かってるんですけどこっちも中々」
「ちょっとやばい...」

 キーファは間合いの長い大剣が相手、更にキーファは獣や人以外との戦闘は経験不足である。体を持っていない魔物との戦闘などどうすればいいのかわからないのだった。

 そしてマリーは遠距離系の強者である。近接でしつこくやられるとあまり力を発揮できないでいる。

「「ハイパワーブレイド」こちらは終わった加勢する」

 クァンタムが上段の強烈な剣技でリビングウェポンを3匹倒してフッティアへと加勢に向かう。更に残りの二人にもツヴァイが加勢に入り事なきを得た。

「ハァハァ、助かりました」
「お前達まだまだだな。帰ったら訓練のやり直しだ」
「面目ない。護衛として来てこれでは...」

 ツヴァイ達は敵がいなくなったことに安堵して荷物をとりに外に出ると屋敷の庭が凄い事になっていた。

「何だこれは....ハウンドドックか....」
「確かCランクの魔物ですね」
「これ全部ジャンヌ様が?」
「キャッキャ」

 屋敷の庭で二階ほどの高さに浮かぶジャンヌは手を叩いて笑っている。どうやらツヴァイ達が生死をかけていた時、新手のハウンドドックが来ていたようだ。ジャンヌの巨人達は凄まじい速さでハウンドドック達を蹴散らしていった。軽く数えて20は居る、何とも末恐ろしい子供だろうか。

 ツヴァイはため息を吐いた。

「ジーニもそうだがジャンヌもでたらめだな。ジャンヌに王城に行ってもらうか?」
「ツヴァイ様それは...」
「冗談だよ冗談...ハッハッハッハ....」
「目が笑ってないですけど...」

 ツヴァイは再度ため息を吐く。自分よりもはるかに強そうな子供が二人もできてしまったのだ。そりゃあ、ため息もでますよね...。

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