異世界転生!ハイハイからの倍人生

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
上 下
52 / 252
第三章 建国

第十八話 おおきな一歩

しおりを挟む
「ふん♪ふん♪ふん♪ふ~ん♪」

 シリカは鼻歌を歌いながら昼食を作っている。よっぽどジーニと寝れる事が楽しみなのだろう。屋敷にシリカのうれしさが充満していく。

「ほっほっほ。中々心地よい空気ですね。こうでなくてはアステリアではありませんね」

 セバスは微笑む。ツヴァイ邸に日常が帰ってきた。デシウスが入る前のメンバーが全員そろっているのは結構久しぶりなきがする。

「ご飯食べたら下水をやるぞー」
「ジーニちゃん下水ってな~に?」

 フローラちゃんが僕に聞いてくる。周りを見ると全員首を傾げてわからない様子だ。この世界ではあんまり知られていないみたい。魔法で綺麗にする魔法の[クリーン]があるので要らないみたい。

 だけどいちいちお皿を洗って水をクリーンしてたらきりがないからね。衛生上必要だと思うんだ。

「ではいただきます」
「「「「いっただっきま~す」」」」

 みんなでご飯を食べた。とても暖かい味がしたな~。何だかシリカさんの幸せが入っていたような気がする。

「じゃあ、お仕事行ってきます~」
「いってらっしゃいませジーニ様」

 セバスに見送られて屋敷からでる。獣人と人が共存している街アステリア。みんな平等に暮らしている。この光景はとても誇らしい。

「ジーニ様!あそぼ~」
「遊びましょ」

 屋敷の庭から外に出ると子供達が声をかけてきた。一人は見知った顔の子だった。アステリアから避難した時に馬車に近づきすぎて怒られていた子だな。

「ジーニ様何して遊びます?」
「いや~ちょっと仕事があるんだ~」
「「え~」」

 僕が子供達のお誘いを断る。するとララさんが近づいてきた。

「ん、ジーニ様はまだ子供なんだから遊んだほうがいい」
「え?でも」
「遊びなさい」

 ララさんは僕を抱き上げて話した。どうやら僕は遊びが足りないみたい。

 だけど僕はアステリアを発展させたいんだけど。元々ある水路に西側からつなげるだけだからだいぶ楽だけどやっちゃいたいんだよな~。

「...わかったよ~遊びますよ。でもララさんもだよ」
「え!?私も...」
「わ~い、ララさんも遊ぶ」
「遊ぼ~」

 子供達は大喜びだ。日頃大人と遊ぶこと何てない子供達なので異常に喜んでる。

 いやいや勝鬨はやり過ぎだろ。異常に逞しい子供達だな、僕が言えた義理じゃないけど。

 子供達と遊んでいて気付いたんだけどみんな加護なしのピアスをしている。改めてアステリアの住人みんなを見ると獣人も元からいた人もみんなピアスをしていた。元のアステリアの人達はみんな加護なしではないはず、なのにみんなピアスしているのはなんでだろう?。

「ん、ジーニ様気付いた?」

 僕がキョロキョロと周りを見ているとララさんが僕の顔を覗いて聞いてきた。

「みんなピアスしてるよ」
「ふふ、そうだよ。みんなジーニ様みたいになりたいんだって。ほら私も」

 ララさんは得意気に耳を見せる。

 本当にララさんもピアスしてる。僕を真似してみんなピアスをしているみたいなんだけど、何だか嬉しい。顔がにやけちゃうよ~。

 アステリアでは加護なしへの差別は全くなくなった。元から加護なしへの差別をしていた人は避難した時にアルサレムに移住していた。結果的には獣人達を仲間にしただけだがジーニにとっては大きな一歩だった。

 そしてジーニはララと子供達と鬼ごっこをする。途中フローラちゃんも参戦して壮絶な鬼ごっこが始まった。

「ジーニちゃん、まて~」
「ふふふ、僕のハイハイには追いつけないでしょ」

 僕のハイハイには誰も追いつけない。すっごい土煙を立てているよ。そろそろハイハイからは卒業したいので短距離走してダッシュ世界一の称号を手に入れなくては。これは決定事項だ。

「ん、ジーニ様ハイハイ禁止!」
「誰も追いつけないよ~」
「フローラちゃんが追いつけないんじゃ誰も捕まえられないよ~」

 僕は不満顔だったけど了承した。それでも僕には誰も追いつけないので同じなんだけどね。という事で、

「かくれんぼにしようよ」
「カクレンボ?」

 僕の提案にみんな首を傾げた。鬼ごっこ知っていたのにかくれんぼは知らないみたい。なので僕はかくれんぼの説明をしていく。みんな頷いているのでルールはわかってくれたはず。

 かくれんぼなら速度は関係ない、範囲を決めてかくれんぼがスタート。鬼は最初なので僕がなりました。神眼は使わないよ。僕はそんな卑怯な人じゃないからね。

「もういいかい?」
「「「「「もういいよ~」」」」」

 さてさていきますか~。

 前世で遊んだことがある私はかなり有利。みんなも知っているかもしれないがもういいよの声である程度の位置がわかるのだよ。なので、

「ハイ、三人目みーつけたー」
「ジーニ様はや~い」

 子供達は早々に見つける事ができた。だがララさんとフローラちゃんは一筋縄ではなかった。僕は最初ララさんの声を追って動いたのだが、ララさんは声のしたところにはいなかった。この戦法は初手が大事なので僕は標的を変えて子供達を狙った。大人げないって言わないでね。僕はまだ2チャイなんだから。

 ララさんはかくれんぼ初心者なのにかくれんぼ極意の[声デコイ]を使ってきたのだ。末恐ろしい。

「ぐ~、まさかかくれんぼ師範代の僕がここまで見つけられないとは」

 20分くらいが経過した。僕は悔しさで膝をついた。すると背後から声がかけられる。

「ん、私の勝ち。まだまだ子供には負けられない」

 ララさんが勝ち誇ってピースしている。フローラちゃんも茂みから顔をだした。何故わからなかったんだ。とお思いだろうが彼女らは音を立てずにずっと僕の後をついて歩いていたようだ。流石の僕も神眼なしで背後を見る事はできなかった。

 完敗だ....。僕は膝をついてうなだれた。ララさんは僕の頭を撫でて慰めてくれているけど顔はにやけている。してやったりという事だろうか。む~、また僕もいじっちゃうかんね。おぼえておけよ~。

「ジーニ様、ララさん、フローラちゃんまた遊んでね」
「ん、アメラちゃん、またね」
「また遊ぼうね~」

 子供達はひとしきり遊び満足したのか家へ帰っていった。

 ララさんは屋敷に本を読みに帰り、フローラちゃんはまたコクエンと散歩に行くみたい。フローラちゃんの散歩はほぼ狩りなんだけどその量はアステリアの狩りをしている人の3倍はくだらないらしい。量も凄いけど質も凄くて換金すると凄い額みたいだよ。ツヴァイお父様はすぐにでもレアアイテムのアイテムバックが欲しいって嘆いてた。流石にあの量を運ぶのは骨が折れるよね。

 まあそれはそれとして僕は下水整備をしていきます。
しおりを挟む
感想 179

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

処理中です...