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第二章 信仰と差別

第十五話 現在のセバスの日課

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「おかえりなさいませジーニ様」
「ただいまセバス~」

 僕はツヴァイ邸に帰るとセバスが迎えてくれた。そしてすぐにシリカさんが駆けてきて僕を抱きしめる。

「おかえりなさいジーニ様」
「シリカさんただいま~」
「ふふ、シリカはやっぱりジーニが好きなのね」

 シリカさんに抱かれている僕を見てメリアお母様が微笑む。

 あれ?シリカさんが僕の匂いを嗅いでいる?。なんかあったのかな?。

 シリカとララの会話を知らないジーニにはその行為の意味を理解することはできなかったのだった。

「すみませんメリア様」
「ふふ、そうね。ジーニ、今日は一緒に寝てくれる?」
「え!ねてもいいの?」
「ええ、一緒に寝ましょ」
「やった~」

 僕はシリカさんから降りると喜びの舞いを踊った。は、そう言えばデシウスの前以外で初めて立って踊っちゃった。

 メリアお母様は僕の立った姿を見て涙を流して喜んでくれた。そこまで喜ばれると流石に恥ずかしいな。と思っていたらシリカさんも泣いてる。

 僕は頭を掻いて照れているとお母様に抱き上げられて寝室へと向かった

「ん、今日は我慢の日だね。メリア様もツヴァイ様がいないから寂しかったんだよ」
「そうですね。でも記念すべき日ですね。でも羨ましい・・・」
「ん、じゃあ今日は私を可愛がって...」
「ララ・・・」
「ん、最近シリカはジーニ様ばっかり・・私も可愛がってほしい」

 いつも無表情で大人ぶっているララさんだったが実は我慢をしていた。メイドになったばかりの頃はシリカさんに褒められる為に仕事をしていたのだ。

 最近ではララも大人を意識して我慢していたのだがジーニが甘やかされているのを見て我慢も限界に達したのだった。

「じゃあ今日は一緒に寝ましょ」
「やった」

 ララさんは素敵な笑顔をシリカに向けるとシリカはララの手を取って寝室へと一緒に歩いていった。

「ふふ、私は素晴らしい方々と知り合えてとても幸せです。ツヴァイ様の執事になって正解でしたね」

 セバスはみんなを見送ってそう呟いた。本来ならツヴァイについて行くはずだったセバスだったが今回はツヴァイの申し出で残る事になった。

 ツヴァイはロクーデの恨みを恐れたのだがそれは杞憂に終わる。ロクーデの部下達は所詮は金のつながり、金が供給されなくなった時部下達はちりぢりになったのだ。なのでメリアを狙う者はいなくなり更にニクライの逮捕も重なりかなりこのアルサレムは平和になっている。

 セバスはとても暇な職務を全うしていた。

 と思われがちだが、

「ここだぜ。執事一人とメイドが二人の屋敷だ」
「ああ、ロクーデの所で働いた奴から聞いた。どうやらツヴァイとかいう英雄の屋敷らしい」

 二人組の強盗が屋敷の外で話している。もちろんこの時ララさんも僕も気づいていたんだけどセバスに対する信頼で無視して人の温かさを感じて目を閉じていた。

「夜分にいらっしゃいませ!どういったご用で?」
「「!?」」

 二人の強盗は急に背後から声をかけられ驚愕してその声の方を向くとそこにはセバスが立ってお辞儀をしていた。

「この野郎いつの間に!!」
「今日はどういったご用ですか?お客様方で10人は来たと思うのですが?」

 そうほぼ毎日二人一組の強盗が代わる代わるこのツヴァイ邸に訪れるのだ。これはだれかの嫌がらせなのかはわからないがツヴァイ邸は今強盗達の中ではねらい目の物件だったのだ。

 だがセバスは毎日この面倒な者を捕まえる作業をするのだった。

「10人!ってことは俺達ははめられたってのか?」
「ちきしょう!こんな奴がいたなんて聞いてないぞ!」
「そうですかそれはお可哀そうに」

 セバスはララに縄の使い方を教えた男。一瞬のうちに強盗二人を捕縛して玄関の外の柱へとつなぐ。騒いでうるさくなる前に腹への殴打で黙らせるセバスは大変優秀な執事であった。

 セバスは昔ツヴァイの敵であった。ツヴァイが二つ名を手に入れた戦争で敵将の奴隷兵だったのだ。敵将の男はセバスをこき使い前線で戦わせていた。その為疲弊していったセバスはただの兵士によって致命傷を受けて地に伏せたのだ。だがその時ツヴァイに拾われ主である将軍はツヴァイに討たれた事でセバスは自由を得たのだった。

 その時の恩を返したいと執事を申し出た。セバスはその時の決断に今、正解だったと笑みをうかべる。

 こうして〈暇な職務〉を終えたセバスは自室へ向かい睡眠を取るのだった。
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