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第二章 信仰と差別
第十二話 思惑
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「フェイク!」
ベンジャミンが応接室にてフェイクを怒鳴りつける。フェイクはいつも通り不敵に笑っている。
「ベンジャミン様、どうしたのですか。そんなに凄んで」
「どうしたもこうしたもあるか!!ジーニとかいう赤ん坊が来たぞ」
「・・・流石に早いですね」
フェイクは顎に手を当てて考えこんでいる。ベンジャミンはそんなフェイクを見て苛立っていた。
「何が流石だ!本当ならばアドスバーンがアルサレムを攻撃していたのだろう!それなのにまさか停戦休戦を通り越して同盟までいってしまったじゃないか!これからどうすればいいんだ!」
ベンジャミンは頭を抱え込んで俯く。
「ははは、大丈夫ですよ。あなたはこのまま兵を集めてください」
「兵を集める!?集めてどうする。確かに私の兵士達は死を恐れない者にできた。だが今から入ってくる兵士達はただの民だぞ」
ベンジャミンが危惧するのは兵士の練度である。僧兵と言われる兵士は死を恐れずただ敵だけを見て戦う事が出来るほどに洗脳出来ている。だが貧民街で集めている兵士達はただ飯欲しさに兵士になろうとしている半端な者だ。
そんな半端ものを軍の列に加えても士気が下がるだけではないだろうかとベンジャミンは思っている。
「はっはっは~、大丈夫ですよ。あなたはただ民衆を集めればいいのです。できれば外からも兵士を集めてください」
「・・ああ・・わかった。だがフローラはここから避難させてもいいか?」
ベンジャミンはフェイクの言う通り、事をすすめるようだ。だがフローラを何処かに避難させようとしている。
「フローラ様はここにいないとだめですよ」
「何故だ!、フローラは関係ないだろう」
「はっはっは、何故加護なしをそんなに心配しているのですか?」
「それは・・・・私の娘だ。当たり前だろう」
ベンジャミンはフェイクに指摘されて俯いた。確かに何故ベンジャミンは実の娘とはいえ加護なしを避難させようとしているのだろう。
「フェリア様が気がかりなのですか?」
「・・・」
「だってそうでしょう?加護なしを毛嫌いしているシュミットの賢人が何故自分の娘というだけで避難させようとするのです?おかしいでしょう」
ミュージカルさながらにクルクル回りながらフェイクがベンジャミンに詰め寄る。ベンジャミンはフェイクに詰め寄られ壁へと追い込まれる。
「フローラは、フローラだけは・・」
「そうですかそうですよね。あなたはソフィア様を殺そうとした。いや、実質殺しているわけですからね。これ以上実の娘を殺したくないのでしょうそうでしょう?」
フェイクのギアが上がっていく。頬は高揚し更に話し続けていく。
「あ~なんとお可哀そうなベンジャミン様。私が女ならば慰めて差し上げるのに申し訳ありません。ですがフローラ様は絶対に移動させてはいけませんよ。この街の中心から移動させたら・・・・あなたの首はないものと思ってください」
「・・・」
ベンジャミンはその場に力なく座る。ベンジャミンはアルサレムへ向かうソフィアに気付き、予めニクライに依頼をだしていた。そしてソーアには気づかないふりをしてそのまま二人を野に放ったのだ。
本来ベンジャミンはソーアを一緒に行かせることでアルサレムではない何処かへ行ってくれれば何も起こらなかったのだ。そして今正に身内に危険が迫っている。戦争をしようとしている。なおかつ勝てる見込みのない戦争である。
アルサレムとシュミットでは単純に数で負けている。アルサレムは2万の兵士を所有し更にアルス王子、第一騎士団団長クァンタム、そしてエルエスがいる。この三人だけでも1000の兵士に値するわけだ。
それに対してシュミットは僧兵が5000に2000の民兵である。本来はアドスバーンが失敗した場合の保険のような存在だったシュミット。なのでそれほどの戦力を有していないのだった。
「ではお可哀そうなベンジャミン様。約束をたがわないように」
フェイクは言うだけ言って姿を消した。
ベンジャミンは俯き応接室から出て、もう眠っているであろうフローラの部屋へと足を運んだ。
「お父様?どうしたの?泣いているの?」
フローラは部屋に入ってきたベンジャミンを見てそう声をかけた。ベンジャミンはフローラの部屋に来るまでの間に泣きじゃくって目を腫らせている。
「大丈夫だよフローラ。今日は一緒に寝ような」
「え!ほんとに。わ~今日はすっごくいい日だな~。天使様にも会えたし」
「ふふふ、天使か。そうだな彼は天使なのかもしれないな(そう・・私を天に召す天使なのかもな)」
ベンジャミンは優しくフローラに笑顔で答えた。
この日フローラは生まれて初めてのお父様の暖かさを感じるのだった。
ベンジャミンが応接室にてフェイクを怒鳴りつける。フェイクはいつも通り不敵に笑っている。
「ベンジャミン様、どうしたのですか。そんなに凄んで」
「どうしたもこうしたもあるか!!ジーニとかいう赤ん坊が来たぞ」
「・・・流石に早いですね」
フェイクは顎に手を当てて考えこんでいる。ベンジャミンはそんなフェイクを見て苛立っていた。
「何が流石だ!本当ならばアドスバーンがアルサレムを攻撃していたのだろう!それなのにまさか停戦休戦を通り越して同盟までいってしまったじゃないか!これからどうすればいいんだ!」
ベンジャミンは頭を抱え込んで俯く。
「ははは、大丈夫ですよ。あなたはこのまま兵を集めてください」
「兵を集める!?集めてどうする。確かに私の兵士達は死を恐れない者にできた。だが今から入ってくる兵士達はただの民だぞ」
ベンジャミンが危惧するのは兵士の練度である。僧兵と言われる兵士は死を恐れずただ敵だけを見て戦う事が出来るほどに洗脳出来ている。だが貧民街で集めている兵士達はただ飯欲しさに兵士になろうとしている半端な者だ。
そんな半端ものを軍の列に加えても士気が下がるだけではないだろうかとベンジャミンは思っている。
「はっはっは~、大丈夫ですよ。あなたはただ民衆を集めればいいのです。できれば外からも兵士を集めてください」
「・・ああ・・わかった。だがフローラはここから避難させてもいいか?」
ベンジャミンはフェイクの言う通り、事をすすめるようだ。だがフローラを何処かに避難させようとしている。
「フローラ様はここにいないとだめですよ」
「何故だ!、フローラは関係ないだろう」
「はっはっは、何故加護なしをそんなに心配しているのですか?」
「それは・・・・私の娘だ。当たり前だろう」
ベンジャミンはフェイクに指摘されて俯いた。確かに何故ベンジャミンは実の娘とはいえ加護なしを避難させようとしているのだろう。
「フェリア様が気がかりなのですか?」
「・・・」
「だってそうでしょう?加護なしを毛嫌いしているシュミットの賢人が何故自分の娘というだけで避難させようとするのです?おかしいでしょう」
ミュージカルさながらにクルクル回りながらフェイクがベンジャミンに詰め寄る。ベンジャミンはフェイクに詰め寄られ壁へと追い込まれる。
「フローラは、フローラだけは・・」
「そうですかそうですよね。あなたはソフィア様を殺そうとした。いや、実質殺しているわけですからね。これ以上実の娘を殺したくないのでしょうそうでしょう?」
フェイクのギアが上がっていく。頬は高揚し更に話し続けていく。
「あ~なんとお可哀そうなベンジャミン様。私が女ならば慰めて差し上げるのに申し訳ありません。ですがフローラ様は絶対に移動させてはいけませんよ。この街の中心から移動させたら・・・・あなたの首はないものと思ってください」
「・・・」
ベンジャミンはその場に力なく座る。ベンジャミンはアルサレムへ向かうソフィアに気付き、予めニクライに依頼をだしていた。そしてソーアには気づかないふりをしてそのまま二人を野に放ったのだ。
本来ベンジャミンはソーアを一緒に行かせることでアルサレムではない何処かへ行ってくれれば何も起こらなかったのだ。そして今正に身内に危険が迫っている。戦争をしようとしている。なおかつ勝てる見込みのない戦争である。
アルサレムとシュミットでは単純に数で負けている。アルサレムは2万の兵士を所有し更にアルス王子、第一騎士団団長クァンタム、そしてエルエスがいる。この三人だけでも1000の兵士に値するわけだ。
それに対してシュミットは僧兵が5000に2000の民兵である。本来はアドスバーンが失敗した場合の保険のような存在だったシュミット。なのでそれほどの戦力を有していないのだった。
「ではお可哀そうなベンジャミン様。約束をたがわないように」
フェイクは言うだけ言って姿を消した。
ベンジャミンは俯き応接室から出て、もう眠っているであろうフローラの部屋へと足を運んだ。
「お父様?どうしたの?泣いているの?」
フローラは部屋に入ってきたベンジャミンを見てそう声をかけた。ベンジャミンはフローラの部屋に来るまでの間に泣きじゃくって目を腫らせている。
「大丈夫だよフローラ。今日は一緒に寝ような」
「え!ほんとに。わ~今日はすっごくいい日だな~。天使様にも会えたし」
「ふふふ、天使か。そうだな彼は天使なのかもしれないな(そう・・私を天に召す天使なのかもな)」
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