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四冊目 りんごあめと白雪王子 ~絶対恋愛関係にならない二人の最後の夏休み
眠り姫と白雪王子 ……①
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ふと気づけば、意識もうろうとしながら身体をひくひく震わせている光が自分の下にいた。まずいことに、それまでの記憶があまりない。いや、光にいきなりフェラをされて、もうどうにでもなれと押し倒したことは確かに覚えているのだが……。
(しまった……やらかした)
その身体中にべたべたの精液を纏ったまま、恍惚とした表情で光は気絶しかけていた。ゼイゼイと荒い音でめちゃくちゃに乱れた息をしながら、ぐったり横たわっている。
結局、足腰の立たなくなった光を抱きかかえながら風呂に入り、身体を洗って、浴槽に浸からせ、拭いてやるという一連の介助までする羽目になってしまい、勝行は猛反省のため息をついた。
「……おま……ためすぎ……」
「ごめん……」
「王子様みたいなツラして……やる事えげつねえ……」
「だ、だからごめんって……」
お前が自制心崩壊させるようなことばっかりするから――。
なんて言えるわけもなく。
声が枯れるほど喘いでイキまくり、精魂尽き果て、挙句湯あたりした光は、頬を真っ赤に染めて旅館の布団の上に転がった。
扱き合い以上のことはしていないはず……はずなのだが、怖くてどこまでやってしまったのか、聞くこともできない。完全に理性が飛んでしまったとはいえ、穴があったら頭上までガッツリ入りたい気分である。
「――もう俺……ねたい……」
「髪の毛、乾かしてないぞ」
「おきれない……」
「風邪ひくから、ちゃんと拭いて。……ほら、やってあげるから、起きて」
「んー……」
目をこすり、ウトウトしながら起き上がってきた光の身体の後ろに座り込み、背もたれの代わりになりながら、勝行は光の髪をタオルでがしがしと拭き上げた。されるがままの光の体温は、風呂上りとはいえかなり熱がこもっている。
せっかく退院できたのに、今にも再び寝込んでしまいそうな疲労具合である。
「今日は色々うまくいかないことだらけだ……」
「んー、なに……?」
「……あまりお前の療養になってなくて」
「ああ……それ……別に……」
「ほんとごめん……」
「うっさいな……」
否定も肯定もせず、光は眠そうな声をあげて傍にあった腕にしがみつくと、胡坐をかいて座っていた勝行ごと、ごろんと布団に寝転がった。
突然の引力に逆らえず、勝行も思わず布団の上に倒れ込む。
「なっ、なに……っ」
そのまま寝転がった勝行をぎゅうと抱きしめると、すり寄るように頬を身体に擦りつけ、欠伸を漏らした。
「ねむ……なぁ……おやすみのキスは……まだ……?」
「えっ、光……?」
眠そうにしながらも、べったりしがみついて離れない。寝る前のおやすみのキスを強請るにしても、この体制ではどうしようもない。風呂上りの身体の火照りも残ったままだし、ついさっきの愚行を思い出すとまた顔が熱くなってしまう。
勝行はその腕の中で戸惑いながら、そっと光を覗き見た。
もう、あっという間に寝落ちてしまっている。
「……俺、抱き枕じゃないんだけどな。……まあ、いいけど……」
やり切れない気持ちの腹いせに耳を撫ぜ、頬をつねると、鼻から抜けるような可愛い声が小さく漏れる。
とはいえ、力尽きて即寝落ちてしまっても致し方ない。
山道を散々走らせたり、はしゃぎ回った挙句、風呂場で自分の自制心が吹っ飛んでしまったが故の若気の至り。
退院したばかりの病み上がりの身体に、体力尽き果てるまで疲れることばかりさせてしまった。これでは療養にならない。
けしかけられたから仕方ない……と責任転嫁してみても、やはりここは自分がちゃんと抑えるべきだった、と再び反省に戻る。
「あっつ……。クーラーつけていいかな……」
子どもみたいな体温の光に抱きつかれていては、ちっとも汗が引かない。寝汗がひどいと、光がまた風邪をひくかもしれないと思った勝行は、その腕の中からそっと抜け出し、近くにあったクーラーのリモコンスイッチをオンにした。
冷房は入浴中にタイマーで一度切れていたようだ。
「ん……んー……」
急にいなくなった勝行の身体を求めるように、光の腕が敷布の上をするすると徘徊する。
「どっか……いくなぁ……」
「ああ、ごめん。……起きてるのか?」
ついでに照明をひとつばかり薄暗くして、慌てて布団の上に戻ると、気配でわかったらしい光が再びその身体を求めてきた。けれど、その目はまったく開かない。やっぱり寝てるのか、と思いながら、勝行は求められるまま再び隣に添い寝した。
「なんでそんなにしがみつくかな。可愛いけど……あっついよ」
「んん……」
すぐそばにあるまだ乾ききっていない光の柔らかい髪を撫でてシャンプーの香りを愉しんでいると、光はふにゃふにゃとしまらない笑顔を零しながら、気持ちよさそうに寝息をたてている。
「う……かわいい……」
(しまった……やらかした)
その身体中にべたべたの精液を纏ったまま、恍惚とした表情で光は気絶しかけていた。ゼイゼイと荒い音でめちゃくちゃに乱れた息をしながら、ぐったり横たわっている。
結局、足腰の立たなくなった光を抱きかかえながら風呂に入り、身体を洗って、浴槽に浸からせ、拭いてやるという一連の介助までする羽目になってしまい、勝行は猛反省のため息をついた。
「……おま……ためすぎ……」
「ごめん……」
「王子様みたいなツラして……やる事えげつねえ……」
「だ、だからごめんって……」
お前が自制心崩壊させるようなことばっかりするから――。
なんて言えるわけもなく。
声が枯れるほど喘いでイキまくり、精魂尽き果て、挙句湯あたりした光は、頬を真っ赤に染めて旅館の布団の上に転がった。
扱き合い以上のことはしていないはず……はずなのだが、怖くてどこまでやってしまったのか、聞くこともできない。完全に理性が飛んでしまったとはいえ、穴があったら頭上までガッツリ入りたい気分である。
「――もう俺……ねたい……」
「髪の毛、乾かしてないぞ」
「おきれない……」
「風邪ひくから、ちゃんと拭いて。……ほら、やってあげるから、起きて」
「んー……」
目をこすり、ウトウトしながら起き上がってきた光の身体の後ろに座り込み、背もたれの代わりになりながら、勝行は光の髪をタオルでがしがしと拭き上げた。されるがままの光の体温は、風呂上りとはいえかなり熱がこもっている。
せっかく退院できたのに、今にも再び寝込んでしまいそうな疲労具合である。
「今日は色々うまくいかないことだらけだ……」
「んー、なに……?」
「……あまりお前の療養になってなくて」
「ああ……それ……別に……」
「ほんとごめん……」
「うっさいな……」
否定も肯定もせず、光は眠そうな声をあげて傍にあった腕にしがみつくと、胡坐をかいて座っていた勝行ごと、ごろんと布団に寝転がった。
突然の引力に逆らえず、勝行も思わず布団の上に倒れ込む。
「なっ、なに……っ」
そのまま寝転がった勝行をぎゅうと抱きしめると、すり寄るように頬を身体に擦りつけ、欠伸を漏らした。
「ねむ……なぁ……おやすみのキスは……まだ……?」
「えっ、光……?」
眠そうにしながらも、べったりしがみついて離れない。寝る前のおやすみのキスを強請るにしても、この体制ではどうしようもない。風呂上りの身体の火照りも残ったままだし、ついさっきの愚行を思い出すとまた顔が熱くなってしまう。
勝行はその腕の中で戸惑いながら、そっと光を覗き見た。
もう、あっという間に寝落ちてしまっている。
「……俺、抱き枕じゃないんだけどな。……まあ、いいけど……」
やり切れない気持ちの腹いせに耳を撫ぜ、頬をつねると、鼻から抜けるような可愛い声が小さく漏れる。
とはいえ、力尽きて即寝落ちてしまっても致し方ない。
山道を散々走らせたり、はしゃぎ回った挙句、風呂場で自分の自制心が吹っ飛んでしまったが故の若気の至り。
退院したばかりの病み上がりの身体に、体力尽き果てるまで疲れることばかりさせてしまった。これでは療養にならない。
けしかけられたから仕方ない……と責任転嫁してみても、やはりここは自分がちゃんと抑えるべきだった、と再び反省に戻る。
「あっつ……。クーラーつけていいかな……」
子どもみたいな体温の光に抱きつかれていては、ちっとも汗が引かない。寝汗がひどいと、光がまた風邪をひくかもしれないと思った勝行は、その腕の中からそっと抜け出し、近くにあったクーラーのリモコンスイッチをオンにした。
冷房は入浴中にタイマーで一度切れていたようだ。
「ん……んー……」
急にいなくなった勝行の身体を求めるように、光の腕が敷布の上をするすると徘徊する。
「どっか……いくなぁ……」
「ああ、ごめん。……起きてるのか?」
ついでに照明をひとつばかり薄暗くして、慌てて布団の上に戻ると、気配でわかったらしい光が再びその身体を求めてきた。けれど、その目はまったく開かない。やっぱり寝てるのか、と思いながら、勝行は求められるまま再び隣に添い寝した。
「なんでそんなにしがみつくかな。可愛いけど……あっついよ」
「んん……」
すぐそばにあるまだ乾ききっていない光の柔らかい髪を撫でてシャンプーの香りを愉しんでいると、光はふにゃふにゃとしまらない笑顔を零しながら、気持ちよさそうに寝息をたてている。
「う……かわいい……」
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