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ニ
兄と弟
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誠の喜びように、晃毅は堪らず、ああ、と息を大きく吸い込んだ。
誠が昨日から晃毅に向けようとしてきた話とは、やはり毅嗣であることを確かめるためのものだったのだ。そしてそれは明らかになり、これ以上隠しているわけにはいかなくなった。
それは、望んだことではなかったが、こうなってみると、誠に対して他人行儀な態度を取り続けなくていいのだという安堵の方が大きかった。
「……はい」
忘れてなどいない。一時としても、忘れたことなどなかった。もう二度と会えないと覚悟したことはあったけれど。
深くうなずいた晃毅に、誠は大きくなったものだと呟いた。
それは、お互い様というものだろう。
誠は晃毅の二つ上だが、最後に姿を見たのは、晃毅が八つで誠が十の頃だったはずだ。
大きくなっただけではなく、姿形も見違えた。
それでも誠は、自分に気付いたのだと思うと、晃毅は自分も誠に手を伸ばしてしまいたくなって、それを止めるためにぎゅっと拳を握りしめなくてはならなくなった。
反対に誠は、遠慮なく晃毅の肩を引き寄せていく。それに抗う気はおきず、晃毅はされるがままになった。
「昨日は、面影があると思ったが、確かめられてよかった。無事に会えて嬉しいよ毅嗣」
それでも、昔の名で呼ばれると、首を振らないわけにはいかない。
毅嗣なんていう、いかにも武士の子の名前は、もう自分には相応しくないのだ。
晃毅がそっと誠の肩を押すと、誠は驚いた顔をしながら体を離したので、嫌がっているわけではないのだと笑みを浮かべてみる。
「もう、毅嗣という名前ではないんです。寺に預けられて後は、師より晃毅という名前をいただいて名乗っています」
誠は、ああ、と納得したようにうなずいた。
「そう、だったらしいな。陽江様も確か」
誠が目を向けると、それまで二人の再会をずっと見守っていたらしい葉蓮がうなずく。
「ええ、葉蓮という名をいただいています」
「晃毅に、葉蓮様、か……」
誠は何度か口の中で繰り返して、うん、とうなずいた。
「覚えました。わたしも、今は養安先生の下、医者の見習いとして誠と呼ばれています」
「ご立派になられましたね」
誠が胸に手を当てて名乗ると、葉蓮が二度うなずいて微笑んだので、誠は照れ臭そうに首に手を当てた。
「立派などと……。まだまだ勉強中ですから。昨日も、た、晃毅が先に患者の世話をしてくれていたおかげで、助かりました」
そういえば、誠は三太の家に往診に向かう途中だったはずだと、晃毅は誠を見て先を促そうとしたのだが、葉蓮が先に誠を引き留めるようなことを口にした。
「ああ、それでは三太さんは誠さんに診ていただいたんですね。晃毅も、昨日の夜は風邪がうつったのか随分くしゃみをしていたのですけど」
「くしゃみ?」
葉蓮の言葉に、誠はじろりと晃毅を見た。
すっかり、医者の目だ。
晃毅は慌てて首を振った。
「いえ、今朝にはもうくしゃみも何も出てはいませんから」
大丈夫だと言いたかったのだが、誠にはそれだけでは通用しなかった。
晃毅の手を取った誠は、そのまま手を引いて門の内側に入り込んで葉蓮に尋ねた。
「少し場所を貸していただけますか? 念のため、病が移っていないか確かめさせてください」
そんな心配がないことは、晃毅自身がよく分かっていたのだが、葉蓮は誠の申し出を喜んで受け入れた。
「ええ、ええ。わたしも今日は一日休んでいるように言ったのに、こうして歩き回っている人ですから、ようく診てやってください」
しかも、晃毅が悪いような言われようだ。
かといって、葉蓮に反論するわけにもいかず、医者である誠にこれ以上大丈夫と言っても受け入れてもらえそうになく、晃毅は少し納得いかない気分のまま誠に手をかれて持仏堂の外を囲うようにある廊下まで歩かされた。
途中、面白いものを見たような顔をお菖が晃毅に向けていたことは、もはや気にもしていられないと、見なかったことにした。
廊下に晃毅を腰かけさせると、誠もまた同じように腰かけた。
「確かに、くしゃみはもうないようだが」
ふむ、と手にしたままだった晃毅の腕を、脈を取る形に持ち変える。
「昨日は、どれくらいくしゃみが出ていた? 鼻水は?」
「くしゃみは、割と頻繁に。鼻水は、まあ、啜る程度には」
「他に、異常を感じたことは?」
「少し、疲れが。でも昨日は、戻ってすぐに、葉蓮様に寝ていろと言われたので、そのまま今朝まで眠っていました」
誠が次々と尋ねてくる問いは、誤魔化してもすぐに暴かれてしまいそうで、素直に答えた。本当は、早く三太とお夕の様子を見に行ってやって欲しいので、しぶしぶではあるのだが。
「なるほど。確かに大丈夫そうだ。引きかけの風邪なら、すぐに休めば治るからな」
額に触れたり、目の中や喉の奥を見たりと、一通りのことをし終えたらしい誠は、しばらくしてようやくうなずいた。
「だが……」
と、何がしか言いかけて、口をつぐんだ誠に、晃毅は首を傾げた。
何か言おうとして言い淀んでいるのが分かる。
「どうかしましたか」
何となく、誠が言おうとしているのが自分の体調のことではないような気がして、晃毅は尋ねてみた。
「うん、いや」
それでも誠は言葉を濁しているので、もしかしてと頭に浮かんだことも尋ねてみることにした。
「昨日の、三太たちの病のことですか?」
すると誠は、一拍置いてその通りだとうなずいてみせた。
「何か、気がかりなことでも?」
三太もお夕も、晃毅が部屋を出た時にはすっかり落ち着いていたはずだ。
だから、誠が二人の様子を診に行く途中だと告げた時も、念のためにくらいのことで、丁寧に診てくれているんだと安心しか感じなかった。
なのに何が気がかりなのかと、心配になる。
それが顔に出ていたのだろう、誠は笑って首を振った。
「いや、そういうわけじゃないんだ。昨日の二人は、ただの風邪を拗らせたにしても大変な様子だったし、それにしては薬も飲まずによく回復した。あの病の近くに居たのだから、念のため数日は様子をみるつもりで、無理をしない方がいいと思ったんだが」
「はあ……」
聞いてみると、不安に思うようなことではなく、ついぼんやりとした返事を返してしまったが、続く言葉は誠の言葉とはいえ、少し聞き捨てならなかった。
「だが、大人しくしていろと言って、大人しくしているおまえでもないだろう?」
「……どういうことですか」
つい聞き返してしまったのは、昔の気安さのせいだったが、誠にはそれが嬉しいらしく笑顔が返された。
「昔は、そうだっただろう? 無理だと言っても、何でも俺と同じようにしてみせようとしたし、無理だと分かっても出来るようになるまであきらめなかったからなあ」
懐かしそうに言われるとどう返していいか分からない。
「……もう大人になりましたから、分別くらいはつきますよ」
「それならいいが。とにかく、少しの間、無理はしないようにな」
誠はその言葉を合図にして、立ち上がったのだが、晃毅はつい追いかけるように左手を浮かせた。
「あ……」
声がもれたのは、そんな自分の行為を失態だと思ったからだったが、誠はただ微笑んで振り返る。晃毅が呼び止めたと思ったらしい。
実際、呼び止めたかったのだと、振り返った誠の顔を見て感じた晃毅は、自分自身に恥じ入りたいほどだった。
こうなることは分かっていたから、誠が同じく江戸にいることが分かっていても、声を掛けることもなく、名乗ることも避けていたのだ。
だが、もう遅い。
「あの、外までお見送りします」
「そうか? じゃあ、頼もうかな」
晃毅の葛藤に気付いた様子はなく、誠はあくまでも機嫌よく応じる。
「しかし、本当に、おまえだと分かってよかったよ。また江戸で会えるとは、思っていなかったからなあ」
門までのそう長くない距離を歩きながら、誠は改めてという風にしみじみと言った。
それは、晃毅にとっても同じ思いだった。
けれども、晃毅の抱える事情と秘密が、素直にその気持ちを伝えることを憚らせる。
「そうですね……。わたしも、また江戸に戻って来ることになるとは、思っていませんでした」
晃毅が言ったところで、門の外に出た誠が振り向いた。
「そうか……。また会いに来させてくれ。離れていた間のことが聞きたいんだ」
言えないことばかりだなどとは、返すことは出来なかった。誠の声音が、ずっと晃毅の身を心配していたことを告げている。かつて毅嗣であった晃毅として誠と向かい合って、冷たいことなど言えるはずもないのだ。
けれど大きくうなずくことも出来ない。
声にすることなく、どうにか小さくうなずくと、誠が苦笑に鼻を鳴らした。
「いろいろあっただろうから、無理にとは言わないが」
晃毅は誠に気遣わせてしまったことに気が付いて顔を上げた、がすでに誠は苦笑ではなく、医者の顔でもない表情で晃毅を見ていた。
「まあ、おまえのことをずっと気にしていたことだけは、分かってくれ。ただ一人の弟だからな」
誠の顔は、懐かしい、兄の顔をしていた。
誠はその顔のまま、ポンポンと晃毅の頭を撫でるようにして、三太たちの長屋の方に足を向ける。
「あの子たちの様子も、また報せに来るからな」
そう言い残して遠ざかる誠が、声の届かない距離になったところで、晃毅はため息交じりに呟いた。
「兄上……」
と。
「……誠先生と、兄弟なの?」
わざわざなのか、声を掛ける前にがさりと生垣を揺らして、お菖が問いかけてきた。
「いたんですか」
音がする前に気配に気付かなかったことを悔やみながら目を向けると、お菖は肩を竦める。
「いたのよ。ごめんね、別に覗くつもりはなかったんだけど」
「別に覗かれても困りませんが、実の兄弟というわけではありませんよ」
「へえええ」
実際には、お菖がいたことが分かって激しく動揺していたが、わざとらしいうなずきからお菖が話を聞きたがっていることも分かって、仕方がないという気になった。
葉蓮には今更わざわざ話すようなことではないし、かといって誠との再会は、自分一人の心に収めるには、少し大きすぎる出来事のようだ。何となく、誰かに聞いて欲しい気がしてしまった。
その点お菖なら、これまでの誠と晃毅の関わりようを知らないから、話し相手にはうってつけだ。
とはいえ、お菖の都合はどうだろうかと見てみると、お菖は話が続くものだと期待する顔でにこにことしていた。
晃毅は、どうせ休めと言われていることだし、とお菖に話を聞いてもらえるように頼んで、庫裡に居座ることにした。持仏堂あたりでは、手習いにやって来た子どもたちも話を聞きたがるかもしれないからだ。
流石に、子どもたちに自分の子ども時代のことを聞かれるのは、気恥ずかしい。
「昔、わたしと母が武家の人間だったことは、お菖さんはご存知ですよね」
庫裡の上がり框に腰掛けて、お菖が用意してくれた白湯の入った湯呑を抱えた晃毅は、どこから話そうかと口を開いた。
お菖はうなずくだけで、晃毅に話の続きを促していく。
「父はとある藩の江戸屋敷に勤めていて、まあ、それなりにその藩では身分もあったようです」
言いながら思い返してみるが、こうしてはっきりと昔を思い出すことは随分久しぶりだった。
「一方で、……誠先生のお父上は北町奉行所にお勤めの方で」
「ん、兄上じゃないの?」
それまでうんうんとうなずいていたお菖が、何故かそこには食いついて問いかけてきた。晃毅がどう呼ぶか迷って言い淀んだせいかもしれない。
「……まあ、昔はそうお呼びしていましたけど、もう今は兄上とお呼びするわけにはいかないでしょう? 実の兄弟でもないですし」
当然だろうと逆に問い返すと、お菖は同意しかねるという風に首を捻った。
「まあ、いいけど。それで?」
「それで、特に接点もなかったはずなんですけど、ある日両親と出かけた先で、わたしがはぐれてしまったみたいなんです。はっきりとは覚えていいませんが三つか、四つか、そのくらいの頃ではないかと」
思い返してみると、あれは縁日か何かだったような気もする。
何か随分と楽しい気分でいて、気が付くと両親はいなかったのだ。
「それで、わたしは両親を探したようなんですが、どうもこけて泣きじゃくっていたようで」
ほう、とお菖は大きくうなずいた。
まるでこの話の一番大事なところ、晃毅にとっても一番はっきりとした記憶がどこか分かっているような相槌だった。
晃毅は思い出のせいもあって、少し心が弾むような気がした。
「それで、その時助けてくれて、怪我の手当てをしてくれたのが、誠先生だったわけです」
「へえ、昔からお医者らしかったのねえ。でもじゃあ、兄上っていうのは?」
今度はためらわずに誠先生と呼べたというのに、お菖はまたも『兄上』に食いついた。余程気になっているらしい。表情を見ると、楽しんでいるようにも思える。
兄弟でもない相手を兄上と呼んでいれば、気になるものだろう。今の状況を傍目に見れば、晃毅が兄でお菖が妹のように見えるだろうが。
「それは、わたしが一人っ子で、兄弟というものに憧れていたというのもあるんですが、どうも、助けられたことで両親が見付かる頃には、随分な懐きようになっていたようで」
まだ続きがあるのだろうと、お菖は再びうなずくだけで、話を促している。そうされては、続きを話さなくてはならないような気がするから不思議だ。
「最初に誠先生を『兄上』と呼んだのは、父だった気がします。確か『よい兄上に助けていただいたな』とかなんとか。それですっかり、わたしも兄上が出来たような気がして。ことあるごとに、兄上に会いたいとせがむようになりました。……誠先生には兄君がおられますが、弟は、まあ」
「ああ、いらっしゃらなかったとことに、かわいい弟が出来たわけか」
お菖の言葉の気恥ずかしさに、晃毅は視線を庭木に向けた。
父はそう簡単に晃毅を連れて誠を訪ねるわけにはいかなかったし、立場上家の行き来も気軽なものではなかったはずだが、母は何かと口実を見つけて晃毅が誠に会う場を作ってくれていた気がする。
「なるほど……」
お菖は深く何度もうなずいて、自分にも入れていた白湯を飲み干した。
「でもそれなら、誠先生も、兄上って呼んで欲しいんじゃないかな」
「え……」
そんなことは思っていなかったと晃毅がお菖を見ると、お菖は何の不思議もないだろうという顔をしている。お菖を見ていると、まるでそう呼んではいけないと思っている晃毅の方が、変わった考えをしているかのようにさえ思える。
「でも、そんなわけには」
いかないと思うし、そう呼ぶことで誠を兄上と呼んでいた頃の気持ちまで戻って来てしまいそうだ。人に頼り切って甘えてしまう気持ち。それこそが晃毅にとって一番避けたいことだ。
晃毅は考えに入り込みかけたのだが、お菖がトンと湯呑を置いた音でその思考は途切れた。いつの間にかうつむいていた顔も、音につられて跳ね上がった。
「まあ、わたしがそう思っただけだけどね。誠先生も、晃毅さんに会えて嬉しそうだったじゃない」
「それなら、いいんですが」
晃毅が江戸を離れている間、ずっと会いたいと思っていたのが誠だ。多分、母よりももっと会いたい相手だった。
その誠も自分に会いたいと思っていてくれたのなら、それは嬉しいことだ。
昨日、今日と間近で見ることになった誠の姿を思い出すと、知らぬうちに穏やかな気持ちになるような気もする。
「そうだと思うよ。……誠先生も江戸は久しぶりだろうし、昔馴染みが近くにいるなら心強いでしょうよ」
晃毅は、久しぶりとは、と首を傾げた。
誠が医者をしているらしいというのは、葉蓮が耳に入れてきた話で、その話を頼りに遠目に姿を確かめたことはあったが、医者になった経緯や仔細は確かめる相手もおらずそのままだった。
「ああ、長崎に行ってたらしいよ。海の向こうの医者に学んだって聞いたけど」
お菖がさらりと告げる。
「もしかして、お菖さんは誠先生の事情に詳しいんですか?」
今朝も最初から『誠先生』と言っていた。お麻の父親も誠のことは前から知っていたようだ。誠が身を置いているらしい医師の養安の存在は、この近隣ではよく知られている。誠の存在も知れ渡っているのかもしれないし、お菖はそもそも巷のことに詳しいが。
「ああ、うちの父親が養安先生にずっとお世話になってるからね。養安先生が診に来てくださる時に、誠先生が一緒に来ることもあるんだ。長崎帰りなだけあって、怪我の手当ては養安先生よりお上手だよ」
それなら多少身の上に関わることも知っていることがあるかもしれない。なるほどとうなずく晃毅を、お菖は何か考えのある顔で見ていたが、晃毅が見られていることに気が付いたと知ると、にっと口の端を上げて笑った。
「世間話程度になら、他にも色々聞いてるけどね。晃毅さんは、自分で誠先生に聞いてみたらいいんじゃない?」
さもそうしろと面白がって唆すような顔に、晃毅は苦笑するしかなかった。
お菖はとにかくどういうわけか、晃毅を誠に近付けたいようだ。晃毅が誠に近づくことにためらいを感じていることも気が付いているようなのに。
かといってその理由を聞くわけでもないし、安易に晃毅を励ますようなこともない。
どうさせたいのかと思わないでもないが、『そうすればいい』と言ってくるだけで、そうしろと言っているわけではないのかもしれない。
それだからこそ、晃毅は散々ためらってみせていたのに、お菖の言葉にうなずく気持ちになった。
「……そうですね、機会があれば」
先延ばしにして誤魔化すためではなく、本当に、機会があればそうしてみようと思った言葉に、お菖が微笑む。
「そうなさいな。さて、それじゃあわたしはそろそろ茶店の方に行かなくちゃね。昼過ぎにはまた覗きにくるから、片付けとか気にせずに休んでて。少しでも働いたようなら、葉蓮様や誠先生に言いつけるからね」
立ち上がり、湯呑を水を張った盥に入れたお菖は、そのまま外に向かって行った。
誠が昨日から晃毅に向けようとしてきた話とは、やはり毅嗣であることを確かめるためのものだったのだ。そしてそれは明らかになり、これ以上隠しているわけにはいかなくなった。
それは、望んだことではなかったが、こうなってみると、誠に対して他人行儀な態度を取り続けなくていいのだという安堵の方が大きかった。
「……はい」
忘れてなどいない。一時としても、忘れたことなどなかった。もう二度と会えないと覚悟したことはあったけれど。
深くうなずいた晃毅に、誠は大きくなったものだと呟いた。
それは、お互い様というものだろう。
誠は晃毅の二つ上だが、最後に姿を見たのは、晃毅が八つで誠が十の頃だったはずだ。
大きくなっただけではなく、姿形も見違えた。
それでも誠は、自分に気付いたのだと思うと、晃毅は自分も誠に手を伸ばしてしまいたくなって、それを止めるためにぎゅっと拳を握りしめなくてはならなくなった。
反対に誠は、遠慮なく晃毅の肩を引き寄せていく。それに抗う気はおきず、晃毅はされるがままになった。
「昨日は、面影があると思ったが、確かめられてよかった。無事に会えて嬉しいよ毅嗣」
それでも、昔の名で呼ばれると、首を振らないわけにはいかない。
毅嗣なんていう、いかにも武士の子の名前は、もう自分には相応しくないのだ。
晃毅がそっと誠の肩を押すと、誠は驚いた顔をしながら体を離したので、嫌がっているわけではないのだと笑みを浮かべてみる。
「もう、毅嗣という名前ではないんです。寺に預けられて後は、師より晃毅という名前をいただいて名乗っています」
誠は、ああ、と納得したようにうなずいた。
「そう、だったらしいな。陽江様も確か」
誠が目を向けると、それまで二人の再会をずっと見守っていたらしい葉蓮がうなずく。
「ええ、葉蓮という名をいただいています」
「晃毅に、葉蓮様、か……」
誠は何度か口の中で繰り返して、うん、とうなずいた。
「覚えました。わたしも、今は養安先生の下、医者の見習いとして誠と呼ばれています」
「ご立派になられましたね」
誠が胸に手を当てて名乗ると、葉蓮が二度うなずいて微笑んだので、誠は照れ臭そうに首に手を当てた。
「立派などと……。まだまだ勉強中ですから。昨日も、た、晃毅が先に患者の世話をしてくれていたおかげで、助かりました」
そういえば、誠は三太の家に往診に向かう途中だったはずだと、晃毅は誠を見て先を促そうとしたのだが、葉蓮が先に誠を引き留めるようなことを口にした。
「ああ、それでは三太さんは誠さんに診ていただいたんですね。晃毅も、昨日の夜は風邪がうつったのか随分くしゃみをしていたのですけど」
「くしゃみ?」
葉蓮の言葉に、誠はじろりと晃毅を見た。
すっかり、医者の目だ。
晃毅は慌てて首を振った。
「いえ、今朝にはもうくしゃみも何も出てはいませんから」
大丈夫だと言いたかったのだが、誠にはそれだけでは通用しなかった。
晃毅の手を取った誠は、そのまま手を引いて門の内側に入り込んで葉蓮に尋ねた。
「少し場所を貸していただけますか? 念のため、病が移っていないか確かめさせてください」
そんな心配がないことは、晃毅自身がよく分かっていたのだが、葉蓮は誠の申し出を喜んで受け入れた。
「ええ、ええ。わたしも今日は一日休んでいるように言ったのに、こうして歩き回っている人ですから、ようく診てやってください」
しかも、晃毅が悪いような言われようだ。
かといって、葉蓮に反論するわけにもいかず、医者である誠にこれ以上大丈夫と言っても受け入れてもらえそうになく、晃毅は少し納得いかない気分のまま誠に手をかれて持仏堂の外を囲うようにある廊下まで歩かされた。
途中、面白いものを見たような顔をお菖が晃毅に向けていたことは、もはや気にもしていられないと、見なかったことにした。
廊下に晃毅を腰かけさせると、誠もまた同じように腰かけた。
「確かに、くしゃみはもうないようだが」
ふむ、と手にしたままだった晃毅の腕を、脈を取る形に持ち変える。
「昨日は、どれくらいくしゃみが出ていた? 鼻水は?」
「くしゃみは、割と頻繁に。鼻水は、まあ、啜る程度には」
「他に、異常を感じたことは?」
「少し、疲れが。でも昨日は、戻ってすぐに、葉蓮様に寝ていろと言われたので、そのまま今朝まで眠っていました」
誠が次々と尋ねてくる問いは、誤魔化してもすぐに暴かれてしまいそうで、素直に答えた。本当は、早く三太とお夕の様子を見に行ってやって欲しいので、しぶしぶではあるのだが。
「なるほど。確かに大丈夫そうだ。引きかけの風邪なら、すぐに休めば治るからな」
額に触れたり、目の中や喉の奥を見たりと、一通りのことをし終えたらしい誠は、しばらくしてようやくうなずいた。
「だが……」
と、何がしか言いかけて、口をつぐんだ誠に、晃毅は首を傾げた。
何か言おうとして言い淀んでいるのが分かる。
「どうかしましたか」
何となく、誠が言おうとしているのが自分の体調のことではないような気がして、晃毅は尋ねてみた。
「うん、いや」
それでも誠は言葉を濁しているので、もしかしてと頭に浮かんだことも尋ねてみることにした。
「昨日の、三太たちの病のことですか?」
すると誠は、一拍置いてその通りだとうなずいてみせた。
「何か、気がかりなことでも?」
三太もお夕も、晃毅が部屋を出た時にはすっかり落ち着いていたはずだ。
だから、誠が二人の様子を診に行く途中だと告げた時も、念のためにくらいのことで、丁寧に診てくれているんだと安心しか感じなかった。
なのに何が気がかりなのかと、心配になる。
それが顔に出ていたのだろう、誠は笑って首を振った。
「いや、そういうわけじゃないんだ。昨日の二人は、ただの風邪を拗らせたにしても大変な様子だったし、それにしては薬も飲まずによく回復した。あの病の近くに居たのだから、念のため数日は様子をみるつもりで、無理をしない方がいいと思ったんだが」
「はあ……」
聞いてみると、不安に思うようなことではなく、ついぼんやりとした返事を返してしまったが、続く言葉は誠の言葉とはいえ、少し聞き捨てならなかった。
「だが、大人しくしていろと言って、大人しくしているおまえでもないだろう?」
「……どういうことですか」
つい聞き返してしまったのは、昔の気安さのせいだったが、誠にはそれが嬉しいらしく笑顔が返された。
「昔は、そうだっただろう? 無理だと言っても、何でも俺と同じようにしてみせようとしたし、無理だと分かっても出来るようになるまであきらめなかったからなあ」
懐かしそうに言われるとどう返していいか分からない。
「……もう大人になりましたから、分別くらいはつきますよ」
「それならいいが。とにかく、少しの間、無理はしないようにな」
誠はその言葉を合図にして、立ち上がったのだが、晃毅はつい追いかけるように左手を浮かせた。
「あ……」
声がもれたのは、そんな自分の行為を失態だと思ったからだったが、誠はただ微笑んで振り返る。晃毅が呼び止めたと思ったらしい。
実際、呼び止めたかったのだと、振り返った誠の顔を見て感じた晃毅は、自分自身に恥じ入りたいほどだった。
こうなることは分かっていたから、誠が同じく江戸にいることが分かっていても、声を掛けることもなく、名乗ることも避けていたのだ。
だが、もう遅い。
「あの、外までお見送りします」
「そうか? じゃあ、頼もうかな」
晃毅の葛藤に気付いた様子はなく、誠はあくまでも機嫌よく応じる。
「しかし、本当に、おまえだと分かってよかったよ。また江戸で会えるとは、思っていなかったからなあ」
門までのそう長くない距離を歩きながら、誠は改めてという風にしみじみと言った。
それは、晃毅にとっても同じ思いだった。
けれども、晃毅の抱える事情と秘密が、素直にその気持ちを伝えることを憚らせる。
「そうですね……。わたしも、また江戸に戻って来ることになるとは、思っていませんでした」
晃毅が言ったところで、門の外に出た誠が振り向いた。
「そうか……。また会いに来させてくれ。離れていた間のことが聞きたいんだ」
言えないことばかりだなどとは、返すことは出来なかった。誠の声音が、ずっと晃毅の身を心配していたことを告げている。かつて毅嗣であった晃毅として誠と向かい合って、冷たいことなど言えるはずもないのだ。
けれど大きくうなずくことも出来ない。
声にすることなく、どうにか小さくうなずくと、誠が苦笑に鼻を鳴らした。
「いろいろあっただろうから、無理にとは言わないが」
晃毅は誠に気遣わせてしまったことに気が付いて顔を上げた、がすでに誠は苦笑ではなく、医者の顔でもない表情で晃毅を見ていた。
「まあ、おまえのことをずっと気にしていたことだけは、分かってくれ。ただ一人の弟だからな」
誠の顔は、懐かしい、兄の顔をしていた。
誠はその顔のまま、ポンポンと晃毅の頭を撫でるようにして、三太たちの長屋の方に足を向ける。
「あの子たちの様子も、また報せに来るからな」
そう言い残して遠ざかる誠が、声の届かない距離になったところで、晃毅はため息交じりに呟いた。
「兄上……」
と。
「……誠先生と、兄弟なの?」
わざわざなのか、声を掛ける前にがさりと生垣を揺らして、お菖が問いかけてきた。
「いたんですか」
音がする前に気配に気付かなかったことを悔やみながら目を向けると、お菖は肩を竦める。
「いたのよ。ごめんね、別に覗くつもりはなかったんだけど」
「別に覗かれても困りませんが、実の兄弟というわけではありませんよ」
「へえええ」
実際には、お菖がいたことが分かって激しく動揺していたが、わざとらしいうなずきからお菖が話を聞きたがっていることも分かって、仕方がないという気になった。
葉蓮には今更わざわざ話すようなことではないし、かといって誠との再会は、自分一人の心に収めるには、少し大きすぎる出来事のようだ。何となく、誰かに聞いて欲しい気がしてしまった。
その点お菖なら、これまでの誠と晃毅の関わりようを知らないから、話し相手にはうってつけだ。
とはいえ、お菖の都合はどうだろうかと見てみると、お菖は話が続くものだと期待する顔でにこにことしていた。
晃毅は、どうせ休めと言われていることだし、とお菖に話を聞いてもらえるように頼んで、庫裡に居座ることにした。持仏堂あたりでは、手習いにやって来た子どもたちも話を聞きたがるかもしれないからだ。
流石に、子どもたちに自分の子ども時代のことを聞かれるのは、気恥ずかしい。
「昔、わたしと母が武家の人間だったことは、お菖さんはご存知ですよね」
庫裡の上がり框に腰掛けて、お菖が用意してくれた白湯の入った湯呑を抱えた晃毅は、どこから話そうかと口を開いた。
お菖はうなずくだけで、晃毅に話の続きを促していく。
「父はとある藩の江戸屋敷に勤めていて、まあ、それなりにその藩では身分もあったようです」
言いながら思い返してみるが、こうしてはっきりと昔を思い出すことは随分久しぶりだった。
「一方で、……誠先生のお父上は北町奉行所にお勤めの方で」
「ん、兄上じゃないの?」
それまでうんうんとうなずいていたお菖が、何故かそこには食いついて問いかけてきた。晃毅がどう呼ぶか迷って言い淀んだせいかもしれない。
「……まあ、昔はそうお呼びしていましたけど、もう今は兄上とお呼びするわけにはいかないでしょう? 実の兄弟でもないですし」
当然だろうと逆に問い返すと、お菖は同意しかねるという風に首を捻った。
「まあ、いいけど。それで?」
「それで、特に接点もなかったはずなんですけど、ある日両親と出かけた先で、わたしがはぐれてしまったみたいなんです。はっきりとは覚えていいませんが三つか、四つか、そのくらいの頃ではないかと」
思い返してみると、あれは縁日か何かだったような気もする。
何か随分と楽しい気分でいて、気が付くと両親はいなかったのだ。
「それで、わたしは両親を探したようなんですが、どうもこけて泣きじゃくっていたようで」
ほう、とお菖は大きくうなずいた。
まるでこの話の一番大事なところ、晃毅にとっても一番はっきりとした記憶がどこか分かっているような相槌だった。
晃毅は思い出のせいもあって、少し心が弾むような気がした。
「それで、その時助けてくれて、怪我の手当てをしてくれたのが、誠先生だったわけです」
「へえ、昔からお医者らしかったのねえ。でもじゃあ、兄上っていうのは?」
今度はためらわずに誠先生と呼べたというのに、お菖はまたも『兄上』に食いついた。余程気になっているらしい。表情を見ると、楽しんでいるようにも思える。
兄弟でもない相手を兄上と呼んでいれば、気になるものだろう。今の状況を傍目に見れば、晃毅が兄でお菖が妹のように見えるだろうが。
「それは、わたしが一人っ子で、兄弟というものに憧れていたというのもあるんですが、どうも、助けられたことで両親が見付かる頃には、随分な懐きようになっていたようで」
まだ続きがあるのだろうと、お菖は再びうなずくだけで、話を促している。そうされては、続きを話さなくてはならないような気がするから不思議だ。
「最初に誠先生を『兄上』と呼んだのは、父だった気がします。確か『よい兄上に助けていただいたな』とかなんとか。それですっかり、わたしも兄上が出来たような気がして。ことあるごとに、兄上に会いたいとせがむようになりました。……誠先生には兄君がおられますが、弟は、まあ」
「ああ、いらっしゃらなかったとことに、かわいい弟が出来たわけか」
お菖の言葉の気恥ずかしさに、晃毅は視線を庭木に向けた。
父はそう簡単に晃毅を連れて誠を訪ねるわけにはいかなかったし、立場上家の行き来も気軽なものではなかったはずだが、母は何かと口実を見つけて晃毅が誠に会う場を作ってくれていた気がする。
「なるほど……」
お菖は深く何度もうなずいて、自分にも入れていた白湯を飲み干した。
「でもそれなら、誠先生も、兄上って呼んで欲しいんじゃないかな」
「え……」
そんなことは思っていなかったと晃毅がお菖を見ると、お菖は何の不思議もないだろうという顔をしている。お菖を見ていると、まるでそう呼んではいけないと思っている晃毅の方が、変わった考えをしているかのようにさえ思える。
「でも、そんなわけには」
いかないと思うし、そう呼ぶことで誠を兄上と呼んでいた頃の気持ちまで戻って来てしまいそうだ。人に頼り切って甘えてしまう気持ち。それこそが晃毅にとって一番避けたいことだ。
晃毅は考えに入り込みかけたのだが、お菖がトンと湯呑を置いた音でその思考は途切れた。いつの間にかうつむいていた顔も、音につられて跳ね上がった。
「まあ、わたしがそう思っただけだけどね。誠先生も、晃毅さんに会えて嬉しそうだったじゃない」
「それなら、いいんですが」
晃毅が江戸を離れている間、ずっと会いたいと思っていたのが誠だ。多分、母よりももっと会いたい相手だった。
その誠も自分に会いたいと思っていてくれたのなら、それは嬉しいことだ。
昨日、今日と間近で見ることになった誠の姿を思い出すと、知らぬうちに穏やかな気持ちになるような気もする。
「そうだと思うよ。……誠先生も江戸は久しぶりだろうし、昔馴染みが近くにいるなら心強いでしょうよ」
晃毅は、久しぶりとは、と首を傾げた。
誠が医者をしているらしいというのは、葉蓮が耳に入れてきた話で、その話を頼りに遠目に姿を確かめたことはあったが、医者になった経緯や仔細は確かめる相手もおらずそのままだった。
「ああ、長崎に行ってたらしいよ。海の向こうの医者に学んだって聞いたけど」
お菖がさらりと告げる。
「もしかして、お菖さんは誠先生の事情に詳しいんですか?」
今朝も最初から『誠先生』と言っていた。お麻の父親も誠のことは前から知っていたようだ。誠が身を置いているらしい医師の養安の存在は、この近隣ではよく知られている。誠の存在も知れ渡っているのかもしれないし、お菖はそもそも巷のことに詳しいが。
「ああ、うちの父親が養安先生にずっとお世話になってるからね。養安先生が診に来てくださる時に、誠先生が一緒に来ることもあるんだ。長崎帰りなだけあって、怪我の手当ては養安先生よりお上手だよ」
それなら多少身の上に関わることも知っていることがあるかもしれない。なるほどとうなずく晃毅を、お菖は何か考えのある顔で見ていたが、晃毅が見られていることに気が付いたと知ると、にっと口の端を上げて笑った。
「世間話程度になら、他にも色々聞いてるけどね。晃毅さんは、自分で誠先生に聞いてみたらいいんじゃない?」
さもそうしろと面白がって唆すような顔に、晃毅は苦笑するしかなかった。
お菖はとにかくどういうわけか、晃毅を誠に近付けたいようだ。晃毅が誠に近づくことにためらいを感じていることも気が付いているようなのに。
かといってその理由を聞くわけでもないし、安易に晃毅を励ますようなこともない。
どうさせたいのかと思わないでもないが、『そうすればいい』と言ってくるだけで、そうしろと言っているわけではないのかもしれない。
それだからこそ、晃毅は散々ためらってみせていたのに、お菖の言葉にうなずく気持ちになった。
「……そうですね、機会があれば」
先延ばしにして誤魔化すためではなく、本当に、機会があればそうしてみようと思った言葉に、お菖が微笑む。
「そうなさいな。さて、それじゃあわたしはそろそろ茶店の方に行かなくちゃね。昼過ぎにはまた覗きにくるから、片付けとか気にせずに休んでて。少しでも働いたようなら、葉蓮様や誠先生に言いつけるからね」
立ち上がり、湯呑を水を張った盥に入れたお菖は、そのまま外に向かって行った。
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