巻き戻った王子は幸せを掴む【三章完結】

そろふぃ

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4章 惆悵と本懐

16話

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数日間かけてやっと先に行った部隊がいる場所に到着することができた。
その間も、フランはレイと何度か浄化を練習し、どんどんとその制度を上げていき、その光景を見ていた騎士達は次第にフランのことを【聖者様】と敬愛するようになった。特に女性からは、ただ浄化の際に近くにいるだけで身も心も綺麗になることが大変喜ばれ今やフランの虜になっていた。

アリアもアリアで剣術が鈍っているということで休憩中は、ロイドとルディアンに少し見てもらっていた。数日とはいえアリアは一般兵並みにはできるようになっており、剣術の才能も少なからずあったようだ。体力面が心配だがそこは持ち前の魔力と魔法でどうにかするとのこと。その魔法に関しての知識量は空いた口が塞がらないっとばかりにルディアンは唖然とし、ロイドまでもが驚愕していた。20年以上のブランクがあるんじゃないのか!っと憤っていたが、アリアも、何もせずにただただ20年過ごしていたわけでなく、貴族席を抜けた後も新しい魔法書が出れば買いに行き、王城に勤めてからは一般向けに開館している図書館の魔法書は全部記憶していると言っていいほどに読み込んでいる。フランが魔族との戦いに参加するかもしれないと聞いてからは陛下に許可をとって王族専用に図書館にある魔法書を閲覧させて貰っていたのだ。ただ使う機会がなかっただけで知識だけなら王宮の魔法師となんら変わらない。

強くあり、優しく、配慮のある。そして美人なアリアは独身の男性はもちろん惹かれてしまうもので途中何度かさりげなくアプローチをうけていた。そんな場面を何度か見てしまったフランはなぜかモヤモヤとしてアリアが男性と2人で話しているとそっと2人の間に入りアリアの服をきゅっと握る、というまるで『母親が知らない人にとられそうになって拗ねているこども』の構図に周りが悶えるということもあった。

話は戻るが、先に出発した部隊のいる場所へ到着すると真っ先に迎えに来たのはやはりレイドルトだった。

「フラン!よく来たなー!待っていたよ!」

「あ、兄上」

「ああああぁぁーーーーークソみたいな仕事をしている時の癒しってマジ神だわー。もうフランもマイハニーもいないから俺死ぬんじゃないかってほどストレス半端ないよー!なんなのあのゴミクズどもは!最近まで何もしてこなかったくせに今になって周囲に被害を出し始めやがって!来て早々避難誘導やら物資の補給やら諸外国への緊急連絡やらもう何なのあいつらは!それにむがっ」

頬擦りされながら早口で捲し立てられ8割ほど何を言っているのかわからなかったが相当疲れていることはわかった。途中で何も言わなくなったのでそっと見てみると何やら口をもごもごしていた。

「うー!?んぅーー!!」

「兄上?」

「フラン様、こちらへ」

「アリア」

何やら声が出ないようで驚愕しているレイドルトからフランを奪い、そっと前にたつ。よくわからずおろおろしているとロイドがあちらにいきましょうっと声をかけてくれた。アリアも一緒にと思ったが2人はお話があると思うのでっと言われ仕方なくロイドについて行った。

アリアはフランが見えなくなるのを確認するとレイドルトにかけた魔法を解いた。

「ブッハッ!何するんだ!?」

「申し訳ありません、レイドルト殿下。私如きが御身に魔法をかけるなど本来なら不敬なことですが、陛下ならびに皇太子殿下より頼まれてしまってので」

「父上と兄上に?」

「はい。お二人から『あいつは、戦争になると口が悪くなってフランの教育上良くないからもしあいつがフランに対してよくない行動をするようなら実力的行使を私たちの権限で認める。また、そんなことがないとは願いたいが思ったよりひどそうだったら少し教育してくれ』っと」

「はぁ!?」

ただのメイドに頼むことではないだろう。っと驚かずにいられない。それもそうだろう、レイドルトはまだアリアについては父の知り合い程度としか把握していない。だが今の力関係だけでいえばアリアにとってレイドルトは赤子を捻るぐらいには差があるだろう。

「先ほどのことは仕方ないのでお許ししますが、次なさいましたら教育的指導に入ります。なのでフラン様に対して良い距離感でお過ごしくださいね。安心してください私のきょうせ、コホンッ、更生は皇太子殿下直伝ですから」

「は、はい」

とてもいい笑顔なのに背後にはまるで夜叉が迫ってきているように恐ろしい。てか全然安心できない。

やっぱり女性は怒ると怖いとレイドルトは何度めかわからないが改めて感じた。

「しかし、レイドルト殿下にも休息が必要なのは私達もわかっていますのでこちらをどうぞ」

「?これは、、、記録結晶と、手紙?、、、まさか!?」

「はい、レフィリア様からのお手紙です。ゆっくりお部屋でお読みください」

「あぁ!」

先ほどとは一転してすぐさま自分のテントに戻って行ったレイドルトに苦笑しつつ、アリアはフラン達の後を追った。

少し休息し再度状況把握のためレイドルトの元へ向かった。途中でルディアンらとあったので一緒に向かうことにした。

「そうですか、、、とうとう周辺に被害が、、、」

「はい、愚痴の要領でおっしゃっていたのでまだ正確なことはわかりませんが、確かに私達が聞いたことです」

「そこも含めよく聞かないとな」

大きな天幕の中に入れば何やらひっきりなしに忙しそうにしていた。

「あぁ来たか、早速情報の共有をしようか」

先ほどとは雰囲気がまったく違うレイドルトに少し驚きながらもささっと中へ入っていく。

「まず被害報告をしよう。一月ほど前は近隣に被害はなかったが2週間ほど前から村や町、外道を通っていた馬車を襲うようになった。その際に人々は攫われている。無事に逃げ切れた数人に合わなければ発見は遅れてにいた可能性もある。周り数十kmにある町には緊急避難誘導はしてあるが守り切れていないの今の現状だ。ガンディラス王国については、潜入した部隊から昨日報告が届いている。まず国民の4割は喪失したと考えて欲しい。王族は生き残っているが貴族の大半は死亡、国家として機動していない。完全に乗っ取られていると思って欲しい。それから魔王の弟、アスセーナについてだがおそらくアバドンの手に落ちたと考えていい。常にアバドンがそばにおり何かを囁いているところを目撃している。その行為が呪いの何かのはずだ。次にあちらの戦力に関しては不確かなところが多いが大まかな部分は魔王からの情報と一致しているはずだ。ここまで話したことで何か質問はあるか?」

「よろしいですか?」

レイドルトの問いかけにゲイルが手を上げた。

「なんだ?」

「王族を残しているのが引っ掛かったのですが?何か思惑などがあるのでしょうか?」

「あぁ、それは俺も考えた。おそらくだが、ガンディラス国の王族の多くは精霊、妖精、言い方は多くあるが自然生命体とのつながりが大きい、王族を殺すことで彼らの怒りが怖いのだと俺は推測している。文献から、精霊らは自己主張の強い生物らしく、自身の契約者以外はどうでもいいと思っているらしいからな。契約者に危害を加えなければ害をなしてくることはないっと考えたんだろう」

「などほど、確かにそれなら筋は通りますね」

「あぁ、他にあるか?ないなら部隊の編成をする」

他に意見はないようなのでレイドルトは先に進むべく前もって編成していた紙を掲げた。




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