52 / 62
4章 惆悵と本懐
10話
しおりを挟む
一同が席につき話に入る。所々詰まりながらもフランは彼との間にあったことを話し、ロイドがその話に付け足す用の事細かな情報を付け加え伝えて行った。
「、、、呪いか」
難しい顔をしながら何やら考え込んでいるみんなに少し心配になりつつ眺めていると皆、安心させるように微笑んでくれる。
「フランよく無事にこの情報を届けてくれた。お前のおかげでまた違った選択肢を選ぶことができる」
「!」
「えぇ、ルディたちにも伝えないと、、、まずは魔王と話をしないことには何もはじまらないな」
「!魔王と?」
魔族との交流がないとは言えないが多いわけでもなく、秘密裏に行われているため実際のところは何もわからない。前の時も魔王とはあったこともない。今回のことで魔族との間に大きな亀裂ができてしまい、少ない交流もなくなったとは噂で聞いたが、、、、。
「あぁ、平和協定を結んでいたとて、文化の違いは変えられない。こちらが平和であればあるほど、文化の浅い魔族たちにとっては憧れるものだ。憧憬はいずれ怨嗟へと変わることが多い。ならば、そうなる前に繋がりを持ち相互にいい関係を結ぶことが最善だ。こちらとてむやみに戦争をしたいわけではないからな。平等な関係になればあちらも下手に手を出して来ないと思っていたが、、、。裏でコソコソと動いているネズミがいることに気づけないとは」
側近の動向に気づけなかった魔王に言っているのか、隣国が落とされていることに気づかなかった自分自身に言っているのか、おそらく両方だろうが、これはどうしようもないだろう。敵は随分前からこの計画をしていたのだからこちらが気づけるはずもない。
「すぐに動くとしよう。フラン、お前は、今は休め。疲れているだろう?」
「で、でも、、、」
「お前にも後に頼みたいことがある。でも、今は休め、疲れた顔をしてる」
「?、、、うん」
そういえば、もう随分まともに休んでいなかった。極度の緊張状況でぐっすり眠ることもできず、この国に入った時からは噂のこともあって余計に疲れてしまっていた。
「フラン」
「!兄様」
「お前がここまで頑張ってくれたんだ。この情報を無駄にはしない。よく休んで、元気な姿を見せてくれ」
「!うん、ありがと、兄様、父様」
「あぁ」
フランの顔がそれほど疲れているように見えているのか、ここはみんなの言葉に編めることにして部屋に戻った。
「フラン様!よく、よくご無事で!!」
『フラン~~~!!』
「アリア、わっ」
扉を開けた瞬間我慢していたのか、二人が待っていた。
心配していたのだろう、アリアの目は赤くなっておりレイもすごく安心しているようだった。レイはまだフランとの繋がりがあったから生きていることはわかっていたとしても会えないことが悲しかったのかもしれない。
「レイ、、、アリア、、、ただいま」
「!はい、はい!おかえりなさいませ!フラン様」
『おかえり!』
二人に会うとようやく帰ってきたのだと再認識することができた。
▪️
▪️
▪️
「ロイドヴァルト、フランの言ったことに間違いはないのだな?」
「、、、はい、私も彼と話ました。その際、魔法での誓約を結びました」
「!」
魔法での誓約は、魂の誓約とも言われ、もし反意にした時、魂が傷つくと言われている。
「そうか、、、お前たちが、あの国からこちらの国に来るのにかかった月日を見れば近々奴らがこの国に来るのも不思議ではないな」
「そうですね、、、すぐにでも準備を始めないと、、、」
「、、、そのこととは別のことでお話が」
「なんだ?」
この一大事になんの話があるのかと訝しげにロイドを皆が眺める。
「フラン様のことです。あの男、アスセーナからの伝言がございます」
「、、、なんだ?」
「『これは自分だから知っていること、本人でさえ気づいていない。しかし、これからも生きていくのなら気づいていかなければいけない。そしてそれは彼を囲うお前たちも気づかなければいけないことだ』っと」
「気づかなければいけないこと?なんのことだ、、、」
なんの脈略のない話にどういうことなのか皆考えことが思い当たる節がないのだ。しかもそれを言ったのが敵のような立場にいるのでどうも信じがたい。
「、、、フラン様と監察館を出た時のことです。馬車に乗っていた私たちを、魔族が幻影魔法と転移魔法を使用して移動させていたのですが、、、、私は全くその魔法に気づけなかったのです。使用されたことにも、使用中も、、、ですが、フラン様はどうやら気づいていたようなのです」
「「「!」」」
「間違いではなく?魔法を使ったことも習ったこともないフランが、か?」
「はい、おそらく、幻術魔法が使われた時や転移魔法が使われた時のことだと思うのですが、その際窓の外を不思議そうに眺めておられました」
「そう、か、、、いや、まさか、、、」
何か思い当たることがあるのか考え込む父に目を向ける。
「何か思い当たることがあるのですか?」
「いや、、、しかし、、、今は何も言えん。お前たちは魔族との戦いのことを考えるんだ」
「しかし、、、わかりました」
「兄上!」
「今は目先のことを考えよう。いいな」
「っ、、、わかりました」
フランが心配なのは皆同じ、だが、魔族との戦いは国民も関わってくる、国王として、この国を統べる者のつとめを果たさなければいけない。
「ロイドヴァルト、フランの護衛を任せる」
「、、、はい。もう、今回のようなミスは起こしません。そこで昔のように稽古をお頼みしたいのですが、、、」
「!、、、久しぶりだね。いいよ。ひさしびりにしようか。手加減はしないよ?」
「もちろんです。よろしくお願いいたします。皇太子殿下」
「はは、昔のようにアルでいいんだよ?」
「、、、呪いか」
難しい顔をしながら何やら考え込んでいるみんなに少し心配になりつつ眺めていると皆、安心させるように微笑んでくれる。
「フランよく無事にこの情報を届けてくれた。お前のおかげでまた違った選択肢を選ぶことができる」
「!」
「えぇ、ルディたちにも伝えないと、、、まずは魔王と話をしないことには何もはじまらないな」
「!魔王と?」
魔族との交流がないとは言えないが多いわけでもなく、秘密裏に行われているため実際のところは何もわからない。前の時も魔王とはあったこともない。今回のことで魔族との間に大きな亀裂ができてしまい、少ない交流もなくなったとは噂で聞いたが、、、、。
「あぁ、平和協定を結んでいたとて、文化の違いは変えられない。こちらが平和であればあるほど、文化の浅い魔族たちにとっては憧れるものだ。憧憬はいずれ怨嗟へと変わることが多い。ならば、そうなる前に繋がりを持ち相互にいい関係を結ぶことが最善だ。こちらとてむやみに戦争をしたいわけではないからな。平等な関係になればあちらも下手に手を出して来ないと思っていたが、、、。裏でコソコソと動いているネズミがいることに気づけないとは」
側近の動向に気づけなかった魔王に言っているのか、隣国が落とされていることに気づかなかった自分自身に言っているのか、おそらく両方だろうが、これはどうしようもないだろう。敵は随分前からこの計画をしていたのだからこちらが気づけるはずもない。
「すぐに動くとしよう。フラン、お前は、今は休め。疲れているだろう?」
「で、でも、、、」
「お前にも後に頼みたいことがある。でも、今は休め、疲れた顔をしてる」
「?、、、うん」
そういえば、もう随分まともに休んでいなかった。極度の緊張状況でぐっすり眠ることもできず、この国に入った時からは噂のこともあって余計に疲れてしまっていた。
「フラン」
「!兄様」
「お前がここまで頑張ってくれたんだ。この情報を無駄にはしない。よく休んで、元気な姿を見せてくれ」
「!うん、ありがと、兄様、父様」
「あぁ」
フランの顔がそれほど疲れているように見えているのか、ここはみんなの言葉に編めることにして部屋に戻った。
「フラン様!よく、よくご無事で!!」
『フラン~~~!!』
「アリア、わっ」
扉を開けた瞬間我慢していたのか、二人が待っていた。
心配していたのだろう、アリアの目は赤くなっておりレイもすごく安心しているようだった。レイはまだフランとの繋がりがあったから生きていることはわかっていたとしても会えないことが悲しかったのかもしれない。
「レイ、、、アリア、、、ただいま」
「!はい、はい!おかえりなさいませ!フラン様」
『おかえり!』
二人に会うとようやく帰ってきたのだと再認識することができた。
▪️
▪️
▪️
「ロイドヴァルト、フランの言ったことに間違いはないのだな?」
「、、、はい、私も彼と話ました。その際、魔法での誓約を結びました」
「!」
魔法での誓約は、魂の誓約とも言われ、もし反意にした時、魂が傷つくと言われている。
「そうか、、、お前たちが、あの国からこちらの国に来るのにかかった月日を見れば近々奴らがこの国に来るのも不思議ではないな」
「そうですね、、、すぐにでも準備を始めないと、、、」
「、、、そのこととは別のことでお話が」
「なんだ?」
この一大事になんの話があるのかと訝しげにロイドを皆が眺める。
「フラン様のことです。あの男、アスセーナからの伝言がございます」
「、、、なんだ?」
「『これは自分だから知っていること、本人でさえ気づいていない。しかし、これからも生きていくのなら気づいていかなければいけない。そしてそれは彼を囲うお前たちも気づかなければいけないことだ』っと」
「気づかなければいけないこと?なんのことだ、、、」
なんの脈略のない話にどういうことなのか皆考えことが思い当たる節がないのだ。しかもそれを言ったのが敵のような立場にいるのでどうも信じがたい。
「、、、フラン様と監察館を出た時のことです。馬車に乗っていた私たちを、魔族が幻影魔法と転移魔法を使用して移動させていたのですが、、、、私は全くその魔法に気づけなかったのです。使用されたことにも、使用中も、、、ですが、フラン様はどうやら気づいていたようなのです」
「「「!」」」
「間違いではなく?魔法を使ったことも習ったこともないフランが、か?」
「はい、おそらく、幻術魔法が使われた時や転移魔法が使われた時のことだと思うのですが、その際窓の外を不思議そうに眺めておられました」
「そう、か、、、いや、まさか、、、」
何か思い当たることがあるのか考え込む父に目を向ける。
「何か思い当たることがあるのですか?」
「いや、、、しかし、、、今は何も言えん。お前たちは魔族との戦いのことを考えるんだ」
「しかし、、、わかりました」
「兄上!」
「今は目先のことを考えよう。いいな」
「っ、、、わかりました」
フランが心配なのは皆同じ、だが、魔族との戦いは国民も関わってくる、国王として、この国を統べる者のつとめを果たさなければいけない。
「ロイドヴァルト、フランの護衛を任せる」
「、、、はい。もう、今回のようなミスは起こしません。そこで昔のように稽古をお頼みしたいのですが、、、」
「!、、、久しぶりだね。いいよ。ひさしびりにしようか。手加減はしないよ?」
「もちろんです。よろしくお願いいたします。皇太子殿下」
「はは、昔のようにアルでいいんだよ?」
17
お気に入りに追加
548
あなたにおすすめの小説

そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる