巻き戻った王子は幸せを掴む【三章完結】

3章 不識と無情

3話

訓練は数時間続き、その際騎士団の団長の強さには目を見張るものがあった。あのルディアンをほぼ瞬殺で倒しているのだ。どれほどの修練すれば彼のように強くなるのだろうか。彼も顔はいかつく歴戦の男のように見えるがまだ20代後半のようだし、何か強さの秘訣でもあるのだろうか、、、。

今は休憩の時間で、アリアが弁当を持ってやってきてくれた。仕事も終えたそうなのでこれからは一緒に訓練を見るのだろう。

「うまそうなもん食ってんじゃん。俺にもくれ」

「えーお前だけずりぃ！」

「俺はいいんだよ！弟だからな！」

そう言って汗を拭いながら近づいてくるフランとまさかのカロルにドキッとしてしまう。

「あ、アリア」

「はい、多めに作っていただいておりますのでよろしければ」

「おっ気がきくなありがとな！あー訓練で疲れた見に染みるわぁ」

そう言ってすごい勢いで食べていくルディアンに食べたものはどこに行っているのか疑問になる。確かに自分よりも幾分かは背は高いがそれでも大きな差ではない。フランは3つほどでお腹いっぱいになるものをペロリと何個も食べてしまっている。

「なぁ、フラン様俺にもくれないか？じゃないわ、くれないですか？」

「おま！それ全く敬語になってねぇからな！」

「仕方ねぇだろ！俺だって腹減ってんだよ！」

「だったら食堂に行けばいいだろ！」

「あぁ？たまにはこう言ったものだって食いたくなんの！それにせっかくこんな綺麗な子がいるのに食堂にいる野郎の顔なんて見たくないっつうの」

憧れの人が目の前にいてしかも自分に綺麗と言ってくれたことがなんとも恥ずかしい。そっと抱えていたレイをアリアに預け、お皿にサンドイッチと綺麗に盛られたおかずたちを乗せていく。

「フラン様？えっ」

何やら驚いた顔をしているアリアに構えずとりあえずお皿いっぱいに乗せた。

「フランおうz、、、へ」

「あ、あげる」

「い、いいんですか？」

「ん、、、いや？」

「へ？そ、そそんなことないっすよ！フラン様自ら装ってもらえてもう死んでもいい感じ」

「それはダメ！」

カロルがいなければ魔王が世界を支配してしまう。そうなればこの世界にあとはない。皆殺されてしまうか魔族の奴隷となってしまうかもしれない。そんなことは絶対にダメだ。つい感情的になって詰め寄ってしまったがはっと気づくてカロルの顔のまじかに近づいてしまっていた。彼の緋色の瞳にじっと見つめられてしまって恥ずかしくなって顔が熱くなるのを感じる。

「っ！」

パッと素早く離れるもどうにも恥ずかしくてついついありあとピエールの後ろに隠れてしまった。

「い、いっぱい食べて」

「、、、、は、はい」

なんとも甘い空気になるがそれを許さない奴らがこの場にはいた。

「「はぁああ！？」」

「お前、何顔赤くしてんだよ！ざけんなよちょっと顔がいいくらいで！！」

「、、、俺この顔に産まれてよかったって初めて思った」

「うるせぇよっ！！」

「ふ、フラン！ダメだぞ、あのような男は絶対に遊んでるに違いない！お前が悲しむだけだぞ！叔父さんは許しませんよ！」

「？？えっと」

「あんな男と一緒になったら〇〇ピーやら✖️✖️ピーをされてそれで」

途中でアリアに耳を塞がれ何を言っているのかわからないがアリアの恐ろしいほどの笑みを見た後に聞き出すのは得策ではないだろう。ピエールはそのごくらい雰囲気を出しながら地面にのの字を書いていたがアリアに気にしなくていいと言われたので大丈夫なのだろう。

「ふふ、フラン様はカロル様のような男性がお好きなのですか？」

「？ん、強くて優しくていい人だから、、、俺の憧れ」

「あらあら（まだ恋にはなっていなさそうね）そうなのですね。確かにカロル様はかっこいいですものねぇ」

「ん」

フランの赤面をまじかで見たカロルはそれはもういつもの倍以上に張り切ってしまい無双状態が続いてしまっている。

その日の訓練が終わったあとは思ったことを紙にまとめいまだになぜか血涙を流しているピエールに渡した。陛下のもと私にいくことだろう。アリアもなぜか誤解がないようにとついていった。