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7. 一週間後のとある朝
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『一週間後のとある朝』
《コンコン》
「は、ふぁい」
私は自分の寝室のふわふわベットから返事をした。もうこんな時間なの?メイドのネルシャが来たんだろう。いつもより強く叩く音に少し驚きながらも、ゆっくり体を起こした。
《コンコン》
「はいはい!今起きたよぉ、入って」
《コンコンコン》
私、鍵を掛けたのかしら。ベットのレースを開き、近くにあった服を羽織って扉の方に行こうとした時だった。
《おぉーい、こっちだって》
「き、きゃぁぁ!!」
扉ではなく、窓から視線と音が聞こえたのでそっちを見るとイタズラ顔のあの男、ファクトがいた。いや…ありえない。ここ二階よ…?しかも王城に…。
《お嬢様!?大丈夫でしょうか!?》
今度は扉の向こうからネルシャの慌てるような声が聞こえた。これはまずい。慌てて、ネルシャを止める。
「だ、大丈夫よ。窓を開けたら小鳥が入ってきたの!そっちに行くと大変だから少し入らないでね!」
「かしこまりました!ディーレ様、お気をつけ下さい!」
「うん!」
そういいこっそり扉の鍵を閉めた。これでとにかくバレない。そう思って再びあの窓を見ると何処かに隠れたのか姿はない。
「夢…?いや、絶対今…」
恐る恐る窓を開ける。そして、顔を少し出した時だった。
「やぁ、おじょー様」
「きゃぁッ!!」
《バチッ》
「痛ッ─う、うわっ!」
「あ、危ない!!」
驚いて咄嗟に手が出てしまい、顔を平手打ち…。その反動で落ちそうになる彼を慌てて引き止め部屋の中に2人揃って倒れ込んだ。
「痛ッて…」
「お、重い……!」
「うぉっ、ご、ごめん!!」
重たい身体は私の声に反応して慌ててどっかにいった。彼の手に私は起こされ、初めて見る彼の心配そうな顔には驚いた。
「大丈夫?ごめん…」
「だ、大丈夫よ。あ、顔叩いてしまってごめんなさいね。痛くないかしら…?」
「女性に叩かれたのは始めてだ。…まぁ、少し痛かった」
そっと目を逸らして叩いた部分を覆った。真っ赤になっている顔と何処か恥ずかしそうにする光景には少し笑ってしまう。会った時から思うけど、ハッキリ物事を言うから少し可愛いと思ってしまうのは何故だろう。
「ふふっ」
「なっ、何笑ってんだよ」
「いいえ、貴方正直の割にすることは無謀過ぎない?此処にどうやってきたの?こんなことバレたら重罪よ?」
「あぁー、まぁ、その時はその時だ。それより、貴族のボンボンだとは思ってはいたが、第二王女様だったとはなぁ~。ディーレってそのままじゃないか」
「あら?仮名だとは一言も言ってないけど?」
「悪いな勘違いして。この国の情報はよく知らないんだ。俺の事は黙っててくれよ?ほら、礼と言っては何だが、はい」
「なにこれ?」
「おじょー様がいってた店に行って最近でたパンだぜ。確かにチーズケーキ美味かった」
そう言ってドヤ顔を見せるファクト。そっと中を開けると確かに美味しそうなパンが入っていた。そしてもう一つ何か箱がある。手に取り言った。
《コンコン》
「は、ふぁい」
私は自分の寝室のふわふわベットから返事をした。もうこんな時間なの?メイドのネルシャが来たんだろう。いつもより強く叩く音に少し驚きながらも、ゆっくり体を起こした。
《コンコン》
「はいはい!今起きたよぉ、入って」
《コンコンコン》
私、鍵を掛けたのかしら。ベットのレースを開き、近くにあった服を羽織って扉の方に行こうとした時だった。
《おぉーい、こっちだって》
「き、きゃぁぁ!!」
扉ではなく、窓から視線と音が聞こえたのでそっちを見るとイタズラ顔のあの男、ファクトがいた。いや…ありえない。ここ二階よ…?しかも王城に…。
《お嬢様!?大丈夫でしょうか!?》
今度は扉の向こうからネルシャの慌てるような声が聞こえた。これはまずい。慌てて、ネルシャを止める。
「だ、大丈夫よ。窓を開けたら小鳥が入ってきたの!そっちに行くと大変だから少し入らないでね!」
「かしこまりました!ディーレ様、お気をつけ下さい!」
「うん!」
そういいこっそり扉の鍵を閉めた。これでとにかくバレない。そう思って再びあの窓を見ると何処かに隠れたのか姿はない。
「夢…?いや、絶対今…」
恐る恐る窓を開ける。そして、顔を少し出した時だった。
「やぁ、おじょー様」
「きゃぁッ!!」
《バチッ》
「痛ッ─う、うわっ!」
「あ、危ない!!」
驚いて咄嗟に手が出てしまい、顔を平手打ち…。その反動で落ちそうになる彼を慌てて引き止め部屋の中に2人揃って倒れ込んだ。
「痛ッて…」
「お、重い……!」
「うぉっ、ご、ごめん!!」
重たい身体は私の声に反応して慌ててどっかにいった。彼の手に私は起こされ、初めて見る彼の心配そうな顔には驚いた。
「大丈夫?ごめん…」
「だ、大丈夫よ。あ、顔叩いてしまってごめんなさいね。痛くないかしら…?」
「女性に叩かれたのは始めてだ。…まぁ、少し痛かった」
そっと目を逸らして叩いた部分を覆った。真っ赤になっている顔と何処か恥ずかしそうにする光景には少し笑ってしまう。会った時から思うけど、ハッキリ物事を言うから少し可愛いと思ってしまうのは何故だろう。
「ふふっ」
「なっ、何笑ってんだよ」
「いいえ、貴方正直の割にすることは無謀過ぎない?此処にどうやってきたの?こんなことバレたら重罪よ?」
「あぁー、まぁ、その時はその時だ。それより、貴族のボンボンだとは思ってはいたが、第二王女様だったとはなぁ~。ディーレってそのままじゃないか」
「あら?仮名だとは一言も言ってないけど?」
「悪いな勘違いして。この国の情報はよく知らないんだ。俺の事は黙っててくれよ?ほら、礼と言っては何だが、はい」
「なにこれ?」
「おじょー様がいってた店に行って最近でたパンだぜ。確かにチーズケーキ美味かった」
そう言ってドヤ顔を見せるファクト。そっと中を開けると確かに美味しそうなパンが入っていた。そしてもう一つ何か箱がある。手に取り言った。
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