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しおりを挟む「よく怒られなかったね…陛下が見られたら大変な事になるよ…?」
「すみません…」
「今回はオディル王子のお言葉もあってグロスさんは見逃したと思うけど…あの人怒らさずともずっと怖いだろ?甘い物をあげるととても喜ぶんだけどね」
「甘い物…ですか?」
「うん、フフッ」
カイル様は笑って紅茶を飲んだ。カイル様は笑ってはいるものの、俺は気が気ではなかった。どうやらオディル王子に剣を向けたら大罪…反逆罪に当たって死刑とも…。あの状態を陛下に見られていたら、どうなっていたことか。そんな大切なこと、知らなかった自分が恥ずかしい…。許可を得ず剣なんて向けれない、絶対…。もっと勉強しないと。
「でもまさか、もうオディル様とやり合うとは思っていなかったけどね…。で、どうだった?オディル王子強かったでしょ?」
「は、はい…とても強かったです!」
「僕もそう思うよ。稽古してたらあの方の剣はとても一撃が重い。それに加えて、結構速いからこっちも油断出来ない。陛下も噂によればオディル王子と似ているらしいね。魔力もそうだけど、お二人共とても強い方だしね…」
「そうでしょうね…俺達が守る前に逆に守られたら恥ずかしいです…」
「フフッ、そうならないように訓練だよ。陛下も剣術はお好きなようだけど、魔術も国の為に使うから身体に負担を与えないようにしないしないといけないから…。陛下や御家族を守る為に僕たちがいるからね」
「はい!」
俺はカイル様に行き良いよく答えて笑顔を見せた。カイル様についていけるなら俺はもうこの上ない幸せだった。
「そうだ。来週辺りに君の先生が来ることになったんだ。日時や時間は決まったら言うね」
「あ、ありがとうございますッ!」
「どういたしまして、そこでちゃんとした礼儀作法だったり、国の事など教えてもらえるだろうけど、今日のように陛下の御家族と会う時は一言僕に言って欲しい。陛下の口止めだったら仕方ないけど、陛下やオディル様だったり、ルークにも万が一のことがあれば大変だからね」
「す、すみません…つ、次からはしっかり心得ます!」
「うん、次からはそうするんだよ。さぁ、そろそろお腹も空いたし、夕食にしようか。一緒に行くかい?」
「は、はい!」
カイル様の警告にとても緊張したものの、グロスさんのように鋭い目付きや威圧はしてこなかった。それでもカイル様の言葉は深く胸に刻んだ。
そのあと、俺たちは先程とは違った、楽しく面白い話しながら夕食の食べれる食堂へ向かう。扉を開き、中に入ると大食堂にはいつものように大勢の騎士達がいて、食事をバイキングのように取っている。俺も順にカイル様と同じ料理と今日のデザートであるイチゴの乗ったショートケーキを取った。
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