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九
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「すまない、だから、ここの長さから、なぜこの高さがはじき出される」
「つまり、そういう計算になるから。ほら、もう一度言うが、この底辺と角度により高さが分かるのだ。この図もそうなっている」
「理屈ではなくそういうものなのか」
「いや、理屈そのものだろう。かなり難しい理屈になるが。西洋の頭が良い者が考えたらしい。今では、皆、この方法で高さを測っている」
一刻ほど前から川越に堤の高さを測る方法を教わっていた。川越は私を普請組の書庫に連れて行き色々な図面を持ち出して親切に教えてくれた。
正確な堤の高さは、堤の天辺から地面に張った紐の長さと、その紐の角度ではじき出される。
「それで、具体的にはどう測るのだ」
「そう、まず高さと底辺が八尺なら、この側面が十一尺三寸一分で、角度が四十五度だ。ここまでは良いな」
「だからそれをどう測るのだ」
「まあ聞け、側面を測る十一尺三寸一分の紐を使う。この紐を堤の天辺に括り付け下の地面までピンと張る。そして、この紐の角度を測る。四十五度なら、高さは八尺だ」
「なるほど」
「角度が違えば、その角度により計算して、高さが分かる」
図面を見ると確かにそうなっている。間違いない。
「これであれば確かに正確だな」
「異論を挟む余地はない」
「仮に高さが七尺だったらどうなる」
「使う紐が十一尺三寸一分のままであれば角度が小さくなるだろう。そうだな、まあ大体四十度位になるかな。底辺も少し伸びることになるから、そうなったら再度計算し直しにはなるだろう」
「角度は何で測るのだ」
「象限儀という道具だ。この図にある、ほら、このようなものだ」
「ここには現物はあるのか」
川越は立ち上がって棚の中から扇のような大きさと形をした機械を持ってきて私に渡した。
「近江屋が使っているものと同じではないが、まあこのようなものだ」
竹と金属で出来ていてかなり重い。扇の要の位置に数本の金属の棒が固定され上下に動くようになっており、竹で出来た半円には目盛りが細かに刻まれている。
「これなら正確に測られそうだな」
「それはそうだ。まあ、四十五度とは直角の半分だから、見た目でもすぐ分かる。十一尺三寸一分の紐と象限儀で正確に高さが分かるという訳だ。これはどうやっても誤魔化しようがない」
高さは七尺で間違いない。従って、角度は必ず四十度くらいになる。
「なるほど、よし。これで明日は大丈夫だな」
私は川越に礼を述べ、二人で図面や道具を片付けだした。図面を棚に戻しながら川越が顔を私に向けた。
「おい惣兵衛、完成検査にお主らが立ち会うこと、普請奉行はかなりの立腹だぞ」
「うむ、それはそうだろうな」
「何も無かったら只では済まないぞと息巻いている」
「しかし、別に検査を止めさせた訳ではないから、検査自体は粛々と行えば良い訳だ」
「目付が検査は不正に行われていると思っているということだろう」
「それを確認するために我らを立ち会わせろということだ」
川越がしばらく考え込んだ。
「しかし、目付が検査に立ち会うなど尋常ではないだろう」
私は手を止めて川越を見た。
「荒木が殺されたことのほうが尋常ではない」
川越が黙って頷いた。
翌日
私はヨネを連れて家を出ると、検査の最終地点となっている堤の下流域に向かった。
事件解明の糸口はヨネの一言だった。今日の大舞台に、ぜひ立ち会わせてやりたかった。
現場に到着すると、既に近江屋の一団が検査の準備をするように機材を用意していた。検査の最終日ということなのか、思ったより大掛かりである。
益次郎が私に気付き近付いてきた。
「これは、確か高橋様でしたか、ご苦労様でございます」
「今日は検査に立ち会わせてもらう」
「はい、伺いました。目付方が皆様お越しになるということで。しかし、何事でございますか」
「完成検査の正確性を確認するためだ」
「私どもの検査が、正確に行われていないとでも」
「それは後ほど判明するだろう」
「あまり気分が良くはありませぬ。何か疑われているようでございます」
「正確に行なっているというのであれば、何ら臆することでもないであろう」
「何故私どもを疑うのであるかを教えていただきたいものです」
「今は言えぬ。検査が終わってから明らかにする」
「左様ですか・・」
益次郎が不満げに礼をして去っていった。
その後ろ姿を見ていると、右の方角から大目付仲里が次席の三浦を始めとする目付役数名を引き連れて近付いてきた。さらに、左の方角から普請奉行永沢が川越ら数名を引き連れて近付いてきた。
関係者が一堂に会した。
普請奉行がゆっくりと大目付の前に出た。
「この度のこと、大目付の頼みということで止む無く了解したが、検査をこれ以上遅らせる訳にはいかない。あくまでも立ち会いということで、検査に口を挟むようなことはしないという約束。それは守ってもらう。本日で完成検査は終了させる」
仲里が頷いた。
「それは約束いたす。検査に口は挟まない、適正に行われれば」
永沢が身構えた。
「な、何と、適正に行われていないと申すか」
仲里が顎を突き出した。
「そうは言っていない。適正であれば口は挟まないということだ」
「その言いぐさは何だ、不正があると言っているようなものだろうが」
「後ろめたいことが無ければそう喚くな」
「疑いをかけられたからには黙っていられようか」
慌てて目付役と普請役の数名が二人の間に割って入った。
皆がオロオロするなか、大目付と普請奉行が睨み合っている。三浦は仲里の後ろで小さくなっている。
初っ端からこれでは、検査どころではない。兎に角、検査はやって欲しい。
その時、叫び声が響いた。
「殿の御成」
見ると、堤の上に葉山藩主の白鳥長政が姿を現した。側近の数名を従えている。
一同が一斉に腰を低くして頭を下げた。私も慌ててヨネの体を抑えて地面にひれ伏した。大騒ぎが一瞬で静寂と化した。
長政がゆっくりと堤を降りてきた。一同の前で立ち止まった。
「ご苦労である」
長政がぐるりと一同を見回した。
「皆の者、面を上げて楽にせよ。おお、永沢に仲里か、今日は何をしておる」
「はい、堤の完成検査の最終日にございます」
永沢が答えた。
「それはご苦労。それで、仲里は何をしておる」
「完成検査の適正確認でございます」
そう仲里が答えると、長政が首を傾げて側に控える御付きに尋ねた。
「どういうことか。余は意味が分からない。普請奉行が検査を行い大目付が確認か」
御付きが困った顔をした。
「各お役方、殿に丁寧に説明されて下され」
永沢と仲里が各々説明した。
「そうか、堤の高さに疑義があるので、このような大掛かりな検査と相成った訳であるな。苦しゅうない。余の前で高さを測ってみよ。それで決着するだろう」
長政は御付きが用意した胡床に座った。
永沢が益次郎に指示を出し、益次郎が人足に検査を始めるよう指示を出した。
検査が開始された。人足の案内に従って、川越や普請役の数名が外形の検分から頑丈さや土壌の状態などを確認して行った。
そして、いよいよ高さの計測に入った。
私は現場の近くまで行き、その様子を見詰めた。
不正を決して見逃さないように、その様子を逐一確認した。
人足が堤に登り紐の一方の端を固定した。紐を下に垂らし、下に居る人足が紐のもう一方の端を持って引きながら緩みがなくなるまで張った。
紐が真っ直ぐになったところで端を杭に縛りそれを地面に打ち付けた。
象限儀を持った人足が紐に近づきそれを台座に置いて固定すると、紐の角度を測定した。入れ替わりに数人が確認し頷いた。
場が静まった。
「四十五度」
何と言うことだ。堤の高さは八尺だ。
受け入れ難いが、否定しようが無い。目を凝らして見ていたが、不審な点は無かった。
呆然として立ち竦んだ。
普請役の一人が近づいてきて長政と永沢の前で腰を下ろして頭を下げた。
「計測の紐の長さが十一尺三寸一分、角度が四十五度、従いまして堤の高さは八尺となります」
長政が頷いた。
永沢と益次郎が顔を見合わせて、勝ち誇ったように周囲を見回した。
仲里は頭を下げて肩を落としている。近くで慎重に検査の様子を見ていた川越も腕を組んで沈黙している。
もはや、高さが八尺という検査結果を覆す事は出来ない。頭が真っ白になり力が抜けていった。
「つまり、そういう計算になるから。ほら、もう一度言うが、この底辺と角度により高さが分かるのだ。この図もそうなっている」
「理屈ではなくそういうものなのか」
「いや、理屈そのものだろう。かなり難しい理屈になるが。西洋の頭が良い者が考えたらしい。今では、皆、この方法で高さを測っている」
一刻ほど前から川越に堤の高さを測る方法を教わっていた。川越は私を普請組の書庫に連れて行き色々な図面を持ち出して親切に教えてくれた。
正確な堤の高さは、堤の天辺から地面に張った紐の長さと、その紐の角度ではじき出される。
「それで、具体的にはどう測るのだ」
「そう、まず高さと底辺が八尺なら、この側面が十一尺三寸一分で、角度が四十五度だ。ここまでは良いな」
「だからそれをどう測るのだ」
「まあ聞け、側面を測る十一尺三寸一分の紐を使う。この紐を堤の天辺に括り付け下の地面までピンと張る。そして、この紐の角度を測る。四十五度なら、高さは八尺だ」
「なるほど」
「角度が違えば、その角度により計算して、高さが分かる」
図面を見ると確かにそうなっている。間違いない。
「これであれば確かに正確だな」
「異論を挟む余地はない」
「仮に高さが七尺だったらどうなる」
「使う紐が十一尺三寸一分のままであれば角度が小さくなるだろう。そうだな、まあ大体四十度位になるかな。底辺も少し伸びることになるから、そうなったら再度計算し直しにはなるだろう」
「角度は何で測るのだ」
「象限儀という道具だ。この図にある、ほら、このようなものだ」
「ここには現物はあるのか」
川越は立ち上がって棚の中から扇のような大きさと形をした機械を持ってきて私に渡した。
「近江屋が使っているものと同じではないが、まあこのようなものだ」
竹と金属で出来ていてかなり重い。扇の要の位置に数本の金属の棒が固定され上下に動くようになっており、竹で出来た半円には目盛りが細かに刻まれている。
「これなら正確に測られそうだな」
「それはそうだ。まあ、四十五度とは直角の半分だから、見た目でもすぐ分かる。十一尺三寸一分の紐と象限儀で正確に高さが分かるという訳だ。これはどうやっても誤魔化しようがない」
高さは七尺で間違いない。従って、角度は必ず四十度くらいになる。
「なるほど、よし。これで明日は大丈夫だな」
私は川越に礼を述べ、二人で図面や道具を片付けだした。図面を棚に戻しながら川越が顔を私に向けた。
「おい惣兵衛、完成検査にお主らが立ち会うこと、普請奉行はかなりの立腹だぞ」
「うむ、それはそうだろうな」
「何も無かったら只では済まないぞと息巻いている」
「しかし、別に検査を止めさせた訳ではないから、検査自体は粛々と行えば良い訳だ」
「目付が検査は不正に行われていると思っているということだろう」
「それを確認するために我らを立ち会わせろということだ」
川越がしばらく考え込んだ。
「しかし、目付が検査に立ち会うなど尋常ではないだろう」
私は手を止めて川越を見た。
「荒木が殺されたことのほうが尋常ではない」
川越が黙って頷いた。
翌日
私はヨネを連れて家を出ると、検査の最終地点となっている堤の下流域に向かった。
事件解明の糸口はヨネの一言だった。今日の大舞台に、ぜひ立ち会わせてやりたかった。
現場に到着すると、既に近江屋の一団が検査の準備をするように機材を用意していた。検査の最終日ということなのか、思ったより大掛かりである。
益次郎が私に気付き近付いてきた。
「これは、確か高橋様でしたか、ご苦労様でございます」
「今日は検査に立ち会わせてもらう」
「はい、伺いました。目付方が皆様お越しになるということで。しかし、何事でございますか」
「完成検査の正確性を確認するためだ」
「私どもの検査が、正確に行われていないとでも」
「それは後ほど判明するだろう」
「あまり気分が良くはありませぬ。何か疑われているようでございます」
「正確に行なっているというのであれば、何ら臆することでもないであろう」
「何故私どもを疑うのであるかを教えていただきたいものです」
「今は言えぬ。検査が終わってから明らかにする」
「左様ですか・・」
益次郎が不満げに礼をして去っていった。
その後ろ姿を見ていると、右の方角から大目付仲里が次席の三浦を始めとする目付役数名を引き連れて近付いてきた。さらに、左の方角から普請奉行永沢が川越ら数名を引き連れて近付いてきた。
関係者が一堂に会した。
普請奉行がゆっくりと大目付の前に出た。
「この度のこと、大目付の頼みということで止む無く了解したが、検査をこれ以上遅らせる訳にはいかない。あくまでも立ち会いということで、検査に口を挟むようなことはしないという約束。それは守ってもらう。本日で完成検査は終了させる」
仲里が頷いた。
「それは約束いたす。検査に口は挟まない、適正に行われれば」
永沢が身構えた。
「な、何と、適正に行われていないと申すか」
仲里が顎を突き出した。
「そうは言っていない。適正であれば口は挟まないということだ」
「その言いぐさは何だ、不正があると言っているようなものだろうが」
「後ろめたいことが無ければそう喚くな」
「疑いをかけられたからには黙っていられようか」
慌てて目付役と普請役の数名が二人の間に割って入った。
皆がオロオロするなか、大目付と普請奉行が睨み合っている。三浦は仲里の後ろで小さくなっている。
初っ端からこれでは、検査どころではない。兎に角、検査はやって欲しい。
その時、叫び声が響いた。
「殿の御成」
見ると、堤の上に葉山藩主の白鳥長政が姿を現した。側近の数名を従えている。
一同が一斉に腰を低くして頭を下げた。私も慌ててヨネの体を抑えて地面にひれ伏した。大騒ぎが一瞬で静寂と化した。
長政がゆっくりと堤を降りてきた。一同の前で立ち止まった。
「ご苦労である」
長政がぐるりと一同を見回した。
「皆の者、面を上げて楽にせよ。おお、永沢に仲里か、今日は何をしておる」
「はい、堤の完成検査の最終日にございます」
永沢が答えた。
「それはご苦労。それで、仲里は何をしておる」
「完成検査の適正確認でございます」
そう仲里が答えると、長政が首を傾げて側に控える御付きに尋ねた。
「どういうことか。余は意味が分からない。普請奉行が検査を行い大目付が確認か」
御付きが困った顔をした。
「各お役方、殿に丁寧に説明されて下され」
永沢と仲里が各々説明した。
「そうか、堤の高さに疑義があるので、このような大掛かりな検査と相成った訳であるな。苦しゅうない。余の前で高さを測ってみよ。それで決着するだろう」
長政は御付きが用意した胡床に座った。
永沢が益次郎に指示を出し、益次郎が人足に検査を始めるよう指示を出した。
検査が開始された。人足の案内に従って、川越や普請役の数名が外形の検分から頑丈さや土壌の状態などを確認して行った。
そして、いよいよ高さの計測に入った。
私は現場の近くまで行き、その様子を見詰めた。
不正を決して見逃さないように、その様子を逐一確認した。
人足が堤に登り紐の一方の端を固定した。紐を下に垂らし、下に居る人足が紐のもう一方の端を持って引きながら緩みがなくなるまで張った。
紐が真っ直ぐになったところで端を杭に縛りそれを地面に打ち付けた。
象限儀を持った人足が紐に近づきそれを台座に置いて固定すると、紐の角度を測定した。入れ替わりに数人が確認し頷いた。
場が静まった。
「四十五度」
何と言うことだ。堤の高さは八尺だ。
受け入れ難いが、否定しようが無い。目を凝らして見ていたが、不審な点は無かった。
呆然として立ち竦んだ。
普請役の一人が近づいてきて長政と永沢の前で腰を下ろして頭を下げた。
「計測の紐の長さが十一尺三寸一分、角度が四十五度、従いまして堤の高さは八尺となります」
長政が頷いた。
永沢と益次郎が顔を見合わせて、勝ち誇ったように周囲を見回した。
仲里は頭を下げて肩を落としている。近くで慎重に検査の様子を見ていた川越も腕を組んで沈黙している。
もはや、高さが八尺という検査結果を覆す事は出来ない。頭が真っ白になり力が抜けていった。
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